2014-06-26

ジャンプシート。

 エアラインパイロットになってよかったな〜と思うことの一つは、「ジャンプシート」っていうのを使って旅行ができることです。 僕が働いている航空会社と相互ジャンプシートの取り決めに合意をしている他の航空会社なら、このジャンプシート制度を使って飛行機に乗れます。 以前フォートマクマレーで働いていたころは、毎月ビクトリアに戻るために自腹で航空券を買っていました。 毎月5〜6万円の出費でした! あれは本当に痛かった。 でも、フォートマクマレーに休みの間ずっといてもすることがないし、毎月バケーションのつもりで、と自分に言い聞かせて毎月それだけのお金を使っていました。 今はジャンプシートのおかげでだいぶ安く飛行機に乗れます。 詳細な額は話してはいけないことになっているので言えませんし、聞かないでください(笑)。 

 このジャンプシートというのはもともとはコクピット内にある補助席のことで、監査官が座ってパイロットの仕事ぶりや技量を観察したりするときのための席のことです。 航空会社によっては自社パイロットならコクピット内のジャンプシートに座らせてもよかったりします。 僕がいつも利用しているWestjetはコクピット内ではなく、普通に乗客としてキャビン内に座ります。 カウンターのおねえさんの機嫌が良くて、僕も丁寧に笑顔で対応して、それで席に余裕があるとキャビン内の席を用意してくれます。 満席だったり、空席があっても他の僕よりもシニアなパイロットが同じ便に乗ろうとしていたりすると僕はbumped out、つまり、弾き出されちゃいます。 そうなると次の便まで待たなければいけません。 ジャンプシートはスタンバイベースなので、空きがある時のみ乗れるんです。 そりゃそうですよね、エアラインにしてみれば大して利益を生まない僕なんかを乗せるよりは、チケットを購入してくれる乗客の皆さんを乗せたいでしょうから。 

 ジャンプシートに乗るためにはいろいろマナーがあるらしいんです。 例えば、飛行機に乗り込むのはなるべく他の運賃を払っている乗客の皆さんが乗り終えたあとからとか、降りる時は今度は逆に最後まで待つとか。 他にも、操縦しているパイロット達に挨拶をしてお礼を言うとか。 たしかに安価でフライトできているし、あくまでもジャンプシートは「権利」ではなくて「特権」なので、そういうことはわかってはいるんですが、これが結構面倒くさい! 一度コクピットに挨拶にいったら、スナックを食べているときかなにかで、すご〜く面倒くさそうな対応をされましたし、そもそも降機するのを最後まで待っていたりするとフライトアテンダントの人たちが客室内の掃除をしたりするのの邪魔になります。 乗り込むときもそう。 最後まで待つとバッグを入れるスペースがオーバーヘッドビンになかったりして着席するのに時間がかかるし、窓側の席を与えられたりしたら最後、すでに座っている人たちに立ってもらわないといけません。 マナーも大事だけど、オペレーションに支障が出ない程度でやろうと、勝手に決めました(笑)。

 そんな面倒なこともあるジャンプシートですが、ようやく使い方にも慣れて、快適に通勤できています。 ジャンプシートを利用すれば日本にも帰れるそう。 ただ、カナダに戻ってくるときにスタンバイだと乗れるかどうかでハラハラしそうなので、よほど時間に余裕がある時以外は難しいかな?とも思います。

 今日の写真はカルガリー空港です。 仕事が終わって、クラッシュパッドに戻る前にレストラン街で食事をしていたときに突然人の波がどわっと現れました。 「団体客かな?」って思っていたんですが、近くにいた地上係員の人に聞いたら、空港ターミナル内で停電があって、セキュリティーチェックの安全検査場の一つがダウンしてしまったらしく、そこで並んでいた乗客の人たち全員が他の検査場に回されたということでした。 オイル・ガスで潤っているカルガリーなのに停電だなんて・・・(笑)。 検査場の入り口はこの写真の人の列の一番前(黄色のバナーの下)よりもさらに奥です。 そして最後尾はこの列と同じくらいの長さで写真の後ろ側につづいていました。 フライトに乗り遅れた乗客とかがいたんじゃないかな〜?




(つづく)

2014-06-11

Line check終了!

 エアラインパイロットのスケジュールは僕が働いている会社では「pairing=ペアリング」って呼ばれています(他の会社でもきっと同じだと思います)。 ペアリングの中には1-day pairing(1日で仕事が終了するシフト)から、4-day pairing(4日間に渡って基本的に同じクルーと一緒にフライトするシフト)まで、いろいろなものがあります。 Line indocが始まって、僕の最初のペアリングは3-dayで、次が4-day、そして昨日までが2-dayペアリングで仕事をしてきました。 

 ペアリング中は仕事が終わったらホテルにチェックインして、次の日の仕事が始まるまで休息の時間となります。 今回のペアリングではほとんどがエドモントン泊で、エドモントンのダウンタウンにあるホテルと、エドモントン空港の近くにあるホテルに泊まりました。 朝が早くて、4時起きとかっていうのが多かったです。 さすがリージョナルエアラインの朝は早いです。 でも、仕事が終わるのも早くて、正午過ぎとか午後2時位までには仕事終了っていう感じが多かったかなと思います。 ホテルにチェックインした後は天気が良ければホテルの周りを歩いたり、朝食を買いにスーパーに行ったりして、リラックスして時間を過ごせました。 パイロットの中には運動靴をいつもかばんに忍ばせていて、滞在先のホテルのジムで毎日運動をする強者もいるらしいです。 僕も見習ってこれからはランニングシューズを持ち運んで運動不足を解消しようと思っています。 毎日のように外食せざるを得ないので、運動は必須のようです・・・。

 さて、訓練が始まっていよいよエアラインパイロットになったな〜と思うシチュエーションが多々ありました。 搭乗ゲートから乗客の皆さんがぞくぞくと飛行機に向かって歩いてくる姿を見ていると緊張感が高まります。 コクピットのドアはフライト前は当然開いているので、チラッと後ろを振り返ると着席した50名近い乗客の目がこちらを見ているのに気が付きます。 バッグの数、追加された燃料、乗客の数などをFMS(Flight Management System=飛行管理装置)と呼ばれるコンピューターに打ち込んでいざ出発!っていう感じです。 

 そのFMSっていうのは、こんな感じのキーパッド付きの原始的なシステムです。

 
(写真はwebより拝借)

  これで燃料のモニタリングからナビゲーションからアプローチまでいろんなことをやっちゃいます。 これの操作が慣れないうちは大変で、やりたいことがなかなかできないんです。 特にACARS(Automatic Communications Addressing and Reporting System=エイカーズ)っていうシステムは訓練中に使っていたシミュレーターにはない仕組みなので、line indocが始まって「はい、どうぞ! これがエイカーズですよ〜!」って紹介された感じで、いきなり実戦で学ぶ羽目になりました(笑)。 幸い、最初に飛んだトレーニングキャプテンがめちゃくちゃいい人で、すべてを手取り足取り教えて下さいました。 2日目からはFMS, ACARSのデータ入力も慣れてきて、今ではとりあえず扱えるようになってきました。 

 訓練で習ったことと実際のラインフライングはいろいろ違うことがあって戸惑うこともありますが、だいたいの流れがつかめてきて、ようやく楽しいと思えるようになってきました。 スケジュール通りに出発・到着できたときにはちょっとした満足感がありますし、お客さんにありがとうと言われるとうれしくなります。 機長たちも皆さん「プロ中のプロ」って感じで、マニュアルを熟知していて、会社のSOPs(Standard Operating Procedures)を忠実に守って安全に飛行しています。 前の会社ではSOP以外のことを機長の度量で自由にやっていたところも多くて、飛ぶ機長によって飛び方が違ったりして紛らわしかったのであまり好きじゃなかったので、エアラインの「100%マニュアル通りのオペレーション」っていうのはいいな〜と思っています。 

 そんなこんなで一昨日、line checkが行われ、無事に合格しました。 いろいろ細かなミスも相変わらずしていますが、ミスから学んで次のフライトで直す!っていう感じで毎日のフライトをこなしています。 まだまだ慣れるのには時間がかかりそうです。 これで一応は副操縦士として正式デビューっていうことだと思いますが、試用期間が1年間あるので、それが終わるまでは下手なことはできません(笑)。 まぁ、ちゃんとやっていれば問題はないとは思うんですけどね。 とりあえずエアラインパイロットとしてなんとか一歩を踏み出せたことには満足しています。


(つづく)