2014-07-17

ホテル暮らし。

 って書くと、なんだか芸能人とか物書きの人たちが集中して作品を仕上げるためにホテルに缶詰になるように聞こえてしまいますが、エアラインパイロットの生活も概ねホテル暮らしが多いです。 

 実は、僕はエアラインパイロットになるまではホテル暮らしになることについては特に気にもかけていませんでした。 今でも特に苦にはなっていませんし、むしろちょっと楽しいくらいです。 いつも部屋は整頓されているし、ベッドシーツもパリ〜っとしていますし。 でも、やっぱり自分の家にかえってくつろぐのとは少し勝手が違いますね。

 滞在するホテルは会社が選んだホテルで、各都市に一つ、または二つあることもあります。 詳しいことは知りませんが、クルーが利用するホテルとして選ばれるには有る一定の条件をクリアしないといけないようです。 例えば、「ホテルの周りで工事をしていないこと」とか。 騒音が多いと必要な休息が十分に取れず、それが次の日の安全運行に支障をきたす可能性があるからのようです。 他には、「部屋の中に冷蔵庫があること」とか。 クルーの多くは何らかの食料品を持ち歩いて仕事をしているので、ホテル滞在の間は食品を冷蔵庫にいれておきたいからのようです。 そんなこんなの条件をすべてクリアしたホテルのみがエアラインクルーの滞在先に選ばれるんですって。 なかなか面白いです。

 そのおかげで、だいたいのホテルはとても快適です。 そこそこ綺麗だし、中にはリゾートホテル?って思ってしまうくらいモダンなものもあります。 都市のダウンタウンに近いホテルなんかはふらっと散歩がてらダウンタウンを歩くこともできます。 フィットネスルームはどのホテルにもあるので、時間があるときは運動をするように心がけています。 

 そのホテルでどうも許せないことがいくつかあります。

 その1。 ベッドに余計な飾りがあること。 これです↓



正式な名前は知りませんが、多分飾りですよね? もしくは、靴を履いたままベッドに上がった時にシーツが靴で汚れないようにするもの? 朝起きるころにはべろ〜んってなって床に落ちてます。 超無意味。 やめて欲しいです。

 その2。 枕が多すぎ。 これです↓


 1ベッドに枕が6個位あって、しかもそれぞれが超分厚い枕なことが多いです。 さらに、北米特有の「使わない、ベッド装飾用のクッション」がベッドにあるときなんかは最悪です(笑)。 使う枕はせいぜい1つか2つなので、残りの4つは床に置くか、隣の空いているベッドに放り投げることになります。 これまた超無意味だと思います。 (どちらの写真も朝起きてから撮影したもので、見苦しくてすみません)

 どこのホテルでも石鹸やシャンプー、リンスなどを当たり前のように使いますが、どれもちょっと使って、あとは残してしまうことになり、それらはきっと廃棄されているんだと思うので、ちょっとこころが痛みます。 でも、だからといってマイシャンプーとか、マイ石鹸をバッグにいれて持ち運ぼうと思うほどエコな人間でもありませんから、これはこれで仕方がないですね。 でも、タオルとかはなるべく少ない枚数を使って、洗濯される枚数を減らすことに協力しているつもりです。 せめてものエコです。


(つづく)

2014-07-02

クラッシュパッド。

 僕のベースはカルガリー国際空港(CYYC)です。 エアラインパイロットは皆、どこかのベース空港に所属していて、そこから仕事(ペアリング)を開始し、どこかへ飛んでいきます。 カナダの航空会社のベース空港の多くはバンクーバー、カルガリー、トロント、モントリオールといったところだと思います。 当然ながら、自宅とは全然違う都市のベース空港に配属になることもあります。 例えば、僕のトレーニングパートナーだったフランス系カナダ人のパイロットは、ケベック(東海岸)出身なのに、西海岸寄りのカルガリーベースに配属になりました。 大手航空会社のいいところは、自宅がある都市に比較的近いベース空港への配属を希望することができるところです。 そうでない航空会社の場合はベース空港が限られていて、その都市への引っ越しを余儀なくされることもあります。  僕の友人の独身パイロットの場合には「引っ越しはむしろ楽しみ♪」なんていう強者もいますが、家族やお子さんがいるパイロットにとっては引っ越しは楽ではないと思います。

 僕は引っ越しはせず、ビクトリアからカルガリーに通うコミューター(通勤組)です。 ビクトリアには1ヶ月に数回、計10日ほど帰ることができます。 この点は以前のmedevacの仕事の時とそんなに変わらないので、それほど苦にはなりません。 カルガリーにいる間はなるべく生活費を抑えたいので、アパートを借りたりはせず、クラッシュパッド(crashpad)に滞在しています。

 クラッシュパッドというのは、“ベッドに倒れこむ(crashする)”ためだけの滞在先のことです。 詳しくはわかりませんが、きっとエアライン業界独特の仕組みじゃないでしょうか。 クラッシュパッドは一軒家のベッドルームに相当な数のシングルベッドを入れて、多くのパイロットで家をシェアするという形態が多いようです。 よくあるのはひとつのベッドルームに二段ベッドを2つ入れ、そんな部屋が2〜3部屋くらいあって、計8〜12人のパイロットが一度に滞在できるようになっているみたいです。 もちろん、トイレ・バス、キッチンなどはすべて共有です。 そんなかんじなので、家賃はアパートを借りるよりもかなり格安です。 

 僕のクラッシュパッドは空港から10分ほどのところにあり、近くにスーパーやカフェ、酒屋などの生活に必要なものがすべて揃った、立地条件のとても良い閑静な住宅街にある一軒家です。 下がその写真です。

 クラッシュパッド外観

 キッチン・ダイニング・リビングルーム

 ベッドルーム

 このクラッシュパッドのオーナーは僕が働く航空会社の機長さんです。 とてもいい人で、line indoc中に一緒にフライトしたキャプテンです。 さすが自身もパイロットということもあって、クラッシュパッドはパイロットがステイする間になるべくストレスがたまらないような工夫がされていて、一般的なクラッシュパッドに比べたら質が高く、とても快適です。 二段ベッドは上(または下)にいる人に気を使うことになるだろうから、っていうことで、ここのクラッシュパッドの場合にはシングルベッドを採用し、ベッドの間にはクローゼットを置いて簡易的な壁になっていて、ある程度のプライバシーが保てるようになっています。 ベッド・マットレスもすべて新品で、各自ベッドが充てがわれているので、他の人とベッドをシェアするということはありません。 衛生的です。

 このクラッシュパッドには8人のパイロットが滞在しています。 「8人と暮らす」と聞くと「え〜っ、まじで〜!?」って感じですが、クラッシュパッドを利用する人は皆、通勤組なので、ほとんどの場合はペアリングでどこかの都市のホテルに滞在しているか、もしくは自宅に帰っています。 ペアリングが早朝出発の場合で前日にカルガリー入りしないといけないときや、ペアリング終了後に自宅に戻るための最終フライトに乗り損なった場合などに仮眠を取るためにクラッシュパッドを利用します。 なので、8人全員がここに滞在するということはほぼ100%ないみたいです。 実際、僕が今まで他の人と鉢合わせたのは数日しかなく、最高でも僕以外にもう一人のパイロットがいる(一軒家にパイロットが計2名のみ)っていうくらいです。 なので想像以上に超快適です(笑)。 

 そして驚きのお家賃は・・・・$250/月! カルガリーで部屋を間借りしようとしても最低でも600ドルくらいはかかるみたいなので、この家賃は格安です。 これで通勤の費用も抑えられます。 

 それにしてもカルガリーは新興都市なので、住宅がどれもおんなじに見えます。 英語でクッキーカッターハウス(cookie cutter house=クッキー型で切り抜かれたみたいにどれもおんなじに見える家々)という表現がありますが、まさにそんな感じです。 やっぱりビクトリアみたいに歴史がある都市のほうが散歩中のお宅ウォッチングは楽しいです。 


カルガリーらしい住宅街、そしてピックアップトラック(笑)



(つづく)