2015-06-29

フライトバッグ。

 パイロットが通常の運航で使う道具を入れるためのかばんを「フライトバッグ」とか、「フライトケース」と呼びます。 だいたいの場合が長方形のかばんで、革製のものが多いです。 エアラインパイロットになったらいつかは一つ欲しいなぁとずっと思っていました。 

 実際、エアラインパイロットが持っているかばんを見ると、普通のラップトップケースを使ったり、中にはバックパックを使っている破天荒なパイロットもちらほら見かけます(笑)。 もちろん本皮製の使い込まれたバッグを使っているベテランパイロットも多いです。 ボーイングやエアバスといった飛行機のステッカーを貼ってカスタムしているパイロットも結構います。 中には訳の分からない、飛行機やエアラインとはまったく関係のないステッカーをベタベタ張っている方々もみかけます(苦笑)。 

 僕は今までずっとローラーが付いた一般的な旅行かばんを使っていました。 それはそれでポケットもたくさんあるし、軽いし、ローラーとハンドルもあるので便利だったんですが、日々の仕事で酷使したためかジッパーが逝かれてしまい、いよいよ買い替えをしないといけないことになりました。 

 偶然、同じ会社で働いている先輩FOが僕が前から気になっていたフライトバッグを売りに出していることを知り、中古品ということで割安で譲ってもらいました。 それがこれです↓

 






 本当は本皮製の一生ものを買おうと思ってずっと悩んでいたんですが、一生使える品質のかばんになると5万円以上もしますし、そもそもカナダではなかなか買えません。 アメリカからの輸入になるので関税や送料もかかります。 また、雨や雪にさらされることが多い季節もあるので、革にとってはよくない環境で酷使することになります。 また、いずれは今みたいに分厚いバインダーを何冊も持ち歩かなくてもよくなる日が来るようですので、そうなると大きなカバンは不要になるかもしれません。 とはいえ、ステッカーなどを貼ることができるのはかっこいいなとは思ったんですが、結局いろいろ考えた末、革製のバッグは諦めました。 

 今回買ったバッグはコンポジット素材で、外側をバリスティックナイロンで覆ってあります(なので残念ながらステッカーチューンはできません・・・)。 持ち手ストラップが両側にあり、かなり頑丈に出来ています。 ピアノヒンジで蓋が開閉するので便利です。 蓋部分にもポケットがあって便利です。

 よく、「パイロットのかばんの中には何が入っているの?」なんて興味を持つ人がいるようですが、本当にそんなことに興味があるの?という気がしてなりません。 まっ、本当に知りたいのであれば僕の場合は写真三枚目のような感じです。 アプローチプレートが入ったバインダーが2冊、ヘッドセット、機体の点検の際に着るセーフティーベスト、メガネ(予備)、サングラス、懐中電灯、免許証やパスポートの類、書類が入ったファイル、などなどです。  これがぜんぶ入るとずっしりと重いです・・・。 近い将来、バインダー類がiPadなどのいわゆるEFB(Electronic Flight Bag)にとって代わられるそうで、そうなると一気にかばんもだいぶ軽くなると思います。 

 まだこのかばんを使い始めて数日ですが、使いやすいですし、旅行かばんよりはパイロットらしいかな〜と思って、結構気に入っています。 まあ、使いやすくて長持ちさえしてくれればどんなんでも別に構わないんですけどね。

 昨日まで休日出勤も含めて9日間連続で家を留守にしていました。 今朝早い便でビクトリアに戻ってきました。 ここ最近、どこにいっても気温が高く、夏本番という感じです。 今日から4連休。 しばらくだらだらしようと思います。 


(つづく)


 

2015-06-17

いつものパターン。

 だいぶカナダも夏っぽくなってきました。 下の写真は今日のバルコニーからの眺めです。 前の通りは「アンティーク・ロゥ(アンティーク通り)」と呼ばれる通りで、ビクトリアのガイドブックなどにはよく出てくる有名なストリートです。 遠くにはアメリカ・ワシントン州のオリンピック山脈も見えます。 半袖でも気持ち良い気温です。 先ほどまでサイクリングをしてきました。 アームウォーマーもレッグウォーマーも要らないので気軽にサイクリングできて嬉しいです。


 今日は3日連休の1日目でビクトリアにいます。 昨日まで6連勤で、仕事が終わってからすぐにビクトリア行きの飛行機に乗って帰ってきました。 

 いつも通勤の際には他社便を使っています。 ほとんどの場合、某W社のフライトでビクトリアとカルガリーの間を通勤しています(フライト時間はだいたい1時間強)。 僕が働いている会社とW社の間には「reciprocal jump seat agreement」という相互ジャンプシートの取り決めがあり、お互いの会社が運航しているフライトに空席があれば格安で乗れるということになっています。 

 「ジャンプシート」っていうのは、コクピット内にある、主に監査パイロットなどが座って機長・副操縦士の運航を監査する場合などに使われる折りたたみ式の椅子のことです。自社便の場合には、客席が満席の場合にはコクピット内の「ジャンプシート」に座ることもありますが、他社便の場合にはだいたいの場合はコクピット内に座ることは安全上・規則上の理由で禁止されており、その場合には通常の乗客と同じように客席に座ります。 この取り決めの恩恵を受け、ビクトリアーカルガリー間を毎月3〜4回行き来しています。 格安とはいえ、一応お金がかかるので、これがコミューター(通勤族)にとってはつらいところですが、その代わり、ベース空港の近くに引っ越す必要がないし、お休みのときには自宅に戻ってこれるので、それが言ってみればバカンスのような感じでもあるので、今のところは苦になっていません。 パイロットや客室乗務員の中には海外に自宅を持っていて、そこから通勤してくる強者もいるようです。 

 昨日まで3連勤で、機長は初めて一緒に飛ぶ機長でした。 そうなると、当然ながら自己紹介から始まるのですが、僕の場合はまずは名前でトラブります。 僕はこちらでは苗字で読んでもらうようにしています。 理由は、前の職場でも外国人の教授などから僕の苗字(コイデ)で読んでもらっていたので、名前(ヤスヒロ)で呼ばれることには抵抗があることと、日本の場合は通常苗字で呼ばれますよね? あと、コイデのほうがヤスヒロよりも短くて覚えやすいかな〜っていうふうに思って。 なので、こちらではコイデと名乗ることにしています。 そうすると、だいたいのカナダ人に「どうも、僕の名前はコイデです」っていうと、ほとんどの場合には「は?なに?」って聞き返されます。 どうも英語が母国語の人には「コイデ」っていう響きが聞き取りにくいみたいで、だいたい追加説明が必要になります。 「あのぅ、魚の鯉と同じ、コイ・デです」っていうと、「あ〜なるほど〜」って言われます(笑)。 そして、そこからいろいろ聞かれます。 聞かれる内容は毎回だいたい同じパターンで、
  • どこから来たの?
  • 日本のどこから?
  • あれ、もしかして、「コイデ」ってファーストネームじゃなくて、ラストネーム?
  • どうしてラストネームで名乗るの?
  • 日本のどこから来たの?
  • etc...
  という感じです。 日本のどこから来たの?っていう質問がなかなか困ります。 「福井県です」っていっても、「はぁ?」って言われるのが99.999%です。 そりゃそうです、カナダ人が知っている日本という国は「Tokyo」と「Kioto」がほとんどです。 なので、毎回、「福井はキオト(京都)から電車で北東に2時間くらいのところにある都市です」っていう説明をしなければいけません。 これが毎回となると結構面倒臭いです。 いっその事、

 「どうも、僕の名前はマイケルです。 日本の東京から来ました。」

 って言えたらいかに楽か、って毎回思います(笑)。 まぁ、それでも、これが僕の個性であり、僕が僕たる理由だと思うので、これからも一生懸命説明を続けようと思います。

 
(つづく)