2019-10-16

久しぶりのバルセロナと、カナダに来て13年。

 昨年の夏によく行ったスペイン・バルセロナですが、今年の初夏は他社便での就航となっていました。 いろいろな理由があるとは思いますが、主な原因はボーイング737MAXが運航禁止になっているためです。 本来737MAXで運航すべきルートを他機種でカバーしているため、本来のルートを飛ばす機材もクルーも足りていないため、会社は他社数社とチャーター便の契約をしました。 夏の繁忙期も終わりに近づき、自社便のみでカバーできる能力を取り戻しつつあるためか、チャーター契約も概ね終わったようで、ようやくバルセロナ便が我々自社便クルーに戻って来ました。 今月は7日間連続でバルセロナに行くペアリングがありました。 最初は4日間のペアリング(レイオーバー2日)と3日間のペアリング(レイオーバー1日)でした。 

 久しぶりのバルセロナまでのフライト。 モントリオールを出発するのは深夜11時前。 殺人的なスケジュールです(笑)。 現地到着は現地時刻の正午ごろ。 モントリオール時間で言えば、夜11時頃から飛び始め、午前6時頃までの約7時間のフライトです。 一般の方々が眠っている間、我々は飛んでいます。 これだけ遅い出発となると、我々は北米からヨーロッパ方面に飛ぶフライトのほぼ一番最後のグループという感じで、ヨーロッパに到達する頃にはヨーロッパから北米に飛ぶ西向きルートの便が飛び始めています。 

 フライト自体は穏やかで、途中で少し揺れるところもありましたが順調なフライトとなりました。 これまで頻繁に乗務したフランス・マルセイユ/ニース便とは違い、着陸したらすぐにホテルに直行できますし、ホテルまでもシャトルで20分弱なので快適です。 

 ホテルにチェックインすると今回は海が見える側のお部屋。 外には自然科学博物館のようなものがあり、どうやらVIPが来ているようで警察がうようよいる景色が見えました。 すぐにカーテンを下ろし、3時間ほどの仮眠を取りました。 

(写真上:部屋から地中海が少し見えます。ちなみに写っているボトルはレモネードです。)

(写真上:FAさんにルマンドをもらいました笑)

 さて、今回は珍しく48時間のレイオーバー。 初日は市街地を歩き回りました。 主な観光地はだいたい見尽くした感があるので、今回は綺麗な街並みを観ながら、なるべく裏道などの今まで行ったことがないところを歩き回りました。 約10キロ、15000歩ほどあるきました。 これが僕の海外レイオーバーの常となりつつあります。 疲れたところでレストランに入り、パエリアとタコサラダを堪能しました。

(写真上:本場のパエリア/パエーヤはやっぱり美味。)

(写真上:ゴシック地区。 気温も上がり、夏のようでした。)

(写真上:カタルーニャ広場)

(写真上:コロンブス像)

(写真上:夜はまた雰囲気が変わって素敵です。)

(写真上:公園には卓球台があり、若者たちが熱戦を繰り広げていました。)

 この日は歩き回ったおかげでぐっすり眠ることができました。 

 翌日、偶然バルセロナにいた旧友に会い、昼食を一緒に取りました。 その後、サグラダファミリアに行きました。 今までなかなか入場チケットが取れなかったサグラダですが、今回は前もってチケットを購入しておきました。 タワーに上がれるチケットも購入しました。 ちょっと高かったですが、一生に一度の経験ですから良しとしました。

 
(写真上:入場口から観た全景)

(写真上:めっちゃ混んでます。)

(写真上:ガウディは柱を樹々に見立てたそうで、上を見上げると森の中にいるように感じます。木の節も再現されています。)

(写真上:中は想像以上に広いです。)

(写真上:ステンドグラスから入ってくる光が鮮やかで印象的です。 朝を連想させる青系と、夕方を連想させるオレンジ色と、壁によってステンドグラスの色が違います。 これは青系の壁。)

(写真上:中を通り越して反対側に出ると、エッジの効いた印象の強い彫刻が。 こちらはキリストの死と復活に関連したストーリーを表現しているそう。)

(写真上:2026年完成予定とのこと。 今でも作業員が建築作業に追われている姿を見ることができます。これは塔からの景色。)

 今までにバルセロナ市内にあるアントニ・ガウディの作品をいろいろ観て来ましたが、サグラダ・ファミリアはスケールが大きく圧倒的でした。 観れてよかった。 人だらけだったのがちょっと残念で、入場料が結構高い(五千円ほど)のがネックですが、訪れる価値は十分にあると感じました。 

 2回目の3日間ペアリングでは観光はせず、機長と一緒に街のタパス・バーに行って来ました。 スペインではタパス・バーでお酒を飲むのが人気があるようです。 タパスというのは小皿料理で、料理がほんのちょっとだけ出て来ます。 それをたくさん注文し、いろいろな味を楽しむというもの。 海に近いバルセロナだけあってシーフード(あさりやエビ)が最高に美味しかったです。 写真撮ればよかった(笑)。

 7日目にカナダに戻って来たのですが、その日のルートがこんな感じ↓

(写真上:茶色の点々線が空域の境界線です。)
 この日はスペインを出発して大西洋に出たあと、まずはイギリスのシャンウィック(Shanwick)が管轄する洋上管制空域に入りました。 そしてその後、ほんのちょっとだけカナダのギャンダー(Gander)が管轄する空域へ。 その後、ポルトガルが管轄するサンタ・マリア(Santa Maria)の空域へ。 そして駄目押しでアメリカのニューヨーク管制空域に入りました。 1回のフライトで洋上管制空域すべてを通過したのは今回が始めてです。 ちなみに写真のオレンジ色の部分は乱気流が予測されているスポットを示しています。 

 7連勤のあと、2連休でした。 最初はカナダの感謝祭の日。 特に何もしませんが、カナダ人で家族がいる人たちはこの日は集まって七面鳥を食べたりします。 ちなみに、フランス系カナダ人のケベックの方々はあまり祝ったりはしないそう。 不思議です・・・。 カナダの感謝祭はアメリカの感謝祭よりも1ヶ月ほど早いのも特徴的です。

 ここ最近のモントリオールはいよいよ秋らしさが増して来ました。 樹々が紅葉し始めています。 写真をどうぞ。


(写真上:F1サーキットがあるジョンドラポー公園。 ジャック・カルティエ橋から。)

(写真上:F1サーキット方面へサイクリングに出かけた時の景色。)

(写真上:モントリオール市内にあるモンロワイヤルの展望台から。)

(写真上:街中の公園にある樹々も色づいています。)




 今日10月15日は僕がカナダに来た記念日です。 あっという間に13年が経ちました。 13年前にバックパック一つと自転車が入ったダンボール箱をもってカナダにやって来ました。 あの日のことは今でもよく覚えています。 若かったので不安も特になく、情熱だけを胸にカナダに渡って来たように思います。 今の年齢だったら同じような決断はできないかもしれません(笑)。 13年が経ち、カナダの主要航空会社のパイロットとして日々フライトできていること、生活の基盤が整いつつあること、健康面でも大きな問題もなく日々暮らしていけていることなど、自分は本当にラッキーだなと思うことが多々あります。 当然ながら努力もしましたが、やはり自分一人ではここまでは来れなかったと思います。 感謝の気持ちを忘れずにこれからも頑張って行きます。


 明日から3日間ギリシャ・アテネに行きます。 これがおそらく今年最後のギリシャ。 楽しみたいと思います。 ギリシャから戻って来たら休暇に入ります。 久しぶりに一時帰国する予定でいます。

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身体的な問題

「僕は〇〇が悪いのですが、パイロットになれますか?」とよく聞かれるんですが、ごめんなさい、僕に聞かないでください(笑)。 僕は医者ではありませんので、答えられません。 不安があれば実際にパイロットになりたい国の航空身体検査を受診してください。 身体証明書が取得できればパイロットになれる身体であることが証明されるわけですから、これを受診すれば不安は一気に解消できますよ。 少々お高いかもしれませんが、いずれどうせ必要になるわけですし、くよくよして時間を無駄にするよりましだと思います。 また、各国の運輸局ホームページには大抵の場合medical standards(身体検査基準)の情報が掲載されています。 僕がパイロットになりたいと思った時、それらを検索して参照しました。 視力や血圧、その他いろいろな不安をお持ちの方がいらっしゃるのは理解できます。 そんな不安はそれらの情報を参照し、実際に身体検査を受けてみれば解消できると思います。 



(つづく)