ここ最近色々ありました。
まずは先日のキューバ・バラデロ行きのフライトにて。巡行高度を順調に飛行してワシントン周辺に差し掛かった時、突然「ピーン!」という警告音とともに警告灯が点灯。理由は油圧システムのポンプがオーバーヒートを起こしていたからです。エアバスはECAM(イーキャム=電子式集中化航空機モニター)というシステムが航空機のあらゆるシステムの状況を監視していて、問題があるとパイロットに警告及び処理手順を表示してくれます。我々はそのECAMに従って手順をこなし、最終的には緊急着陸をするのか、それともそのまま飛行を続けるのかなどを決定します。この日の問題は油圧系。3つあるシステムのうち1つが使えなくなりました。不幸中の幸い、使えなくなったのはバックアップ的な位置付けの油圧システム。ECAM手順が終わったあと、ディスパッチャー及び整備部門に無線通話で状況を報告し、今後のプランを決定。この日は残念ながらバラデロまで飛行を継続せず、モントリオール空港に戻る決定を下しました。航空管制にシステム故障の状況を告げ、モントリオールに目的地変更の意思を伝えました。そこからは目的地変更の手順を一つ一つ、訓練で行うのと同じ方法でこなし、約1時間半後に無事モントリオール空港に着陸となりました。
こんなルートで引き返しました。
こういうことがあると、色々報告書を書いたり、チーフパイロットから電話がかかってきたりと色々忙しくなります。この日は他にも銀行から住宅ローンのことで電話がかかってきたり、一緒に飛んでた機長からフライトの内容の確認を求められたりしてバタバタした1日になりました。この日のフライトはこれで終了。原則的にこういうイベントが起きるとその日の他のフライトは全て免除になって、家に帰って休息を取るように言われます。やはり精神的な面を考慮してのことだと思います。
そしてそれから数日後。今度はラスベガスまでのフライト。飛行機は問題なかったのですが、今度はお客さんが泥酔で色々トラブルを起こしている模様。行き先がラスベガスの場合、お客さんもパーティー気分で乗ってくることも多くあり、空港で搭乗前に既にかなり酒を飲んでいる場合があります。そういう場合、安全上の理由から搭乗拒否となる場合もあります。この日はその乗客には警告を与え、フライト中はお酒を提供しないということに同意をしてもらった上で搭乗を許可しました。ところが、フライト中に一緒に旅行している他の乗客が注文した酒を、問題の乗客にこっそり手渡していたことが判明。そこでそのグループは団体責任ということで酒を提供しないという決定に至ったのですが、それに不満を示し、声を荒げて騒ぎ出しました。周りの乗客のみなさんは本当に迷惑だったことでしょう。結局、フライトはラスベガスに無事到着したのですが、到着後すぐに警察官が4名ほど乗り込んできて事情聴取。そんなことがあってかなり後味の悪いフライトになりました。
ラスベガスはイースターの時期のせいか、めちゃくちゃ混んでました。プールもオープンしてました。
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先日、本年度の有給休暇を決めるバケーションビッドがあったのですが、それで5月後半から2週間お休みを取ることができました。なので、娘と妻を連れて実に4年ぶりに日本に一時帰国します。主な目的は娘を日本の家族や親族に紹介することです。今はそのためのフライトやらホテルやら行き先の選定など色々手順を進めています。独身の頃は日本に帰ってこのブログなどで知り合った方々とお会いしたりオフ会を開いたりもしたのですが、今は時間がなく無理です。それにそもそもそういう需要も最近ではもうないのかなとも感じています。友人たちに会える時間があるのかすら微妙なところです。とはいえ、久しぶりの日本をとても楽しみにしています。
(つづく)