2020-08-09

過去ログ:2006年11月10日〜2006年11月11日

ビクトリア27日目:サーキットをしました。
2006年11月10日金曜日


 今日は午後2時からのフライトでした。 今朝は少し遅くに起きました。 起きてみると外はまた雨です(涙)。 METARを確認すると、雲が少しだけ1000ft以下にありましたが、TAFという予報を見ると、フライトをする予定の午後2時頃には少しは回復していそうな感じでした。 雲はFEWということで1/8-2/8程度の雲なので、サーキットにはさほど影響はないようです。 

 今朝はまずForced landing approachとPrecautionary landingのイメージトレーニングをしました。 床に2枚の紙を縦に置いて、フィールド(または滑走路)に見立てます。 その周りを歩いて無線コール、トランスポンダーコードの変更、メーデー(またはパンパン)コール、乗客への説明、コクピットの確認などをやってみます。 他人が見たら明らかにおかしな人ですが、実際こういうイメトレが結構役立ちます。 その後、サーキットのイメトレをやりました。 離陸して、そのまま500ftまでは滑走路の延長線上を飛び、500ftを越えたところで90度ターンしながら上昇をつづけます。 1000ftに到達したらそこでレベルオフ(水平飛行へ移行)します。 滑走路と逆向きに平行に飛びながらタワーにコールします。「Tower, DLB, downwind, touch & go」(タワー、DLBは今ダウンウィンドを飛んでいます。 タッチアンドゴーをリクエストします)と言います。 コールの後はコックピットのチェックをします。 プライマー(後日説明します)、マスタースイッチ、マグニート(後日説明します)、オイル温度とプレッシャー、カーブヒート(後日説明です・・・)、ミクスチャー(後日・・・)、燃料タンクスイッチ、ブレーキのプレッシャー確認などです。 そのまままっすぐ飛び続け、カーブヒートを入れ、エンジン回転数を落としながらベースターンをします(今日説明します! 後述参照)。 ベースターンで高度を落としながら、最後にファイナルターンです。 速度は70ノット、最後に必要であればフラップを落とすという感じです。 ここまでがイメトレです(笑)。 イメトレのお陰で、今日のサーキットはそれなりにうまく行きました。 離陸前にはすぐそばをボーイング737がタクシーして離陸していきました。 あんな大きな(セスナ152に比べるとの話ですが)機体がたった2つのエンジンで空に上がるなんて未だに信じられません。 離陸後1000ftまで上昇すると、とても気流が悪いです(汗)。 英語で言えばbumpy(バンピー)という感じです。 上に上がったり、下に落ちたり、右や左に振り回されたり。 その中を一生懸命コントロールします。 最初は下降のタイミングやエンジン回転数セッティングに手こずりましたが、2回、3回、4回とサーキットを繰り返すうちに少しずつ落ち着きました。 着陸もすべて自分でやりましたが、1回だけちょっと高い位置から落ちて「ドスン」という感じで着地しましたが、それ以外はそれなりによかったと思います。 でも横風があるときの着陸はやっぱり難しいです。 これもこれから離着陸を繰り返せば少しずつ慣れてくるものだと思います。

 今日のフライトの後、インストラクターに次はソロに行っていいという許可をもらいました(許可っていうのもおかしなもんですが。 お墨付きってとこですかね?)。 明日は11月11日でこちらではRemembrance Day(戦没者慰霊日)という休日なので、僕も1日ゆっくりしたいと思い、フライトは入れませんでした。 今までのフライトで復習したことを自分でじっくり消化したいからです。 今はまだまだ4年前の復習が必要なので、しっかりリビューしていきたいと思っていますし、そのためには習ったことを消化する時間が必要です。 いずれは毎日1-2時間ソロで飛べる余裕が出てくると思います(そう祈ります!)。 明後日の日曜日にいよいよソロに出ます。 慣れない空域ということで少し不安もありますが、しっかり慎重にやろうと思っています。 最初は多分サーキットだけになるとは思います。 今日の写真はサーキット後の空港の様子です。 雲が低いでしょ?
 
 さて、今日はようやくサーキットの説明をしようと思います。 上の図を見てください。 グレーの部分が滑走路で、風は右から左に吹いていると仮定します(オレンジ色のwind sockの向きを見てください)。 離陸後にまっすぐ飛んで行き、そこで左に曲がります。 曲がった後の直線のことをcrosswind legと言います。 その後また左に90度曲がります。 この、滑走路と平行で逆向きに走るlegのことをdownwind legと言います。 なぜdownwindかというと、風下(down=下、wind=風)に向かって飛ぶからだと思います。 その後また90度ターンをします。 ここをbase legと言います。 その後さらに90度ターンをするといよいよファイナルアプローチです。 なお、無線では通常「leg」という言葉は省略します。 ですから、「DLB, cleared to base 27」(DLB、滑走路27のベースレッグまで進入を許可します)というふうに管制官に言われたりします。 なお、今日の図では左回りのサーキットを示しました。 サーキットは特別な指示がない限り左回りです。 理由ははっきりとは知りませんが、パイロットの座席がコクピットの左側にあるので、左回りのほうが視界がいいからじゃないかと思います。 ときどき右回りのサーキットもあります。 その場合はright-hand circuitと呼び、すべてのレッグに「right」という言葉がつきます(例:right base 27, right downwind 09など)。 ここビクトリアでも滑走路09は左回り、滑走路27は右回りのサーキットになることが多いです。
 
 さて、これでサーキットは分かっていただけましたよね?(笑)。 次回からはもう少し違うことにも触れようと思います。
 
 今晩はぐっすり眠れそうです。 昨日などは無線で話していてトラブルになった夢を見てましたからあんまりよく眠れませんでした(笑)。 今夜はビールでも飲んで、おいしいご飯(自炊ですが・・・)でも食べてリラックスして就寝するつもりです。
 
 ではまた!
 
(つづく)
 
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ビクトリア28日目:久しぶりの休息日
2006年11月11日土曜日


 今日はこちらはRemembrance Dayということで休日でした。 別にそれとは関係ないですが、僕もフライトはお休みにしました。 毎日違うフライトテクニックをリビューしていたので、頭が少しオーバーヒート気味だったので、消化する時間が欲しかったからです。 

 今朝は少し遅く起き、まず散歩に出かけました。 予報では時々雨ということでしたが、朝はなんとか晴れていました。 休日ということもあってか街はとても静かです。 毎日散歩の時間には犬を連れたおばあちゃんとかによく逢いますが、今日はほとんど誰とも会いませんでした。 今日は新しいビーチを見つけました。 砂浜を見ていると、青サギのような大きな鳥が獲物を狙っています。 日本では河川でよく見かける青サギですが、捕食している光景はあまりみたことがありません。 「どうせ獲物は取れないだろうな〜」と思ってみていたその瞬間! 「シャパーン!」っとその鳥のくちばしが水中に突き刺さりました。 すると、なんと小魚をしっかり捕らえているじゃないですか! どうやらカナダの鳥は獲物を捕らえるのがとても上手なようです(笑)。 その後もその鳥は次から次へと獲物を捕らえていきます。 結局、僕が見ていたたった数分の間に、4匹の小魚をおいしそうに飲み込みました。 誰も見ていないところでも動物は一生懸命生きているんですね(笑)。 僕も負けちゃいれません。
 
 散歩が終わって家に戻るくらいになるとすこしずつ通りを歩く人が増えてきました。 恐らく教会やらで戦没者の慰霊イベントが行われているようです。 僕は部屋に戻って着替え、ジョギングに出かけました(日本からジョギングシューズとジョギング用のジャージを持って来ました)。 家を出てダウンタウン方面に向かうと、イギリス(スコットランド?)の笛(名前は分かりません)の音が聞こえてきました。 その周りには軍人やら、退役した軍人がいっぱいです(汗)。 歴史は詳しくは分かりませんが、カナダが参戦した戦争に朝鮮戦争があるようで、以前に行った州議事堂にもKorean Warの戦没者の名前が刻まれた石盤がありました。 同じアジア人ということで、気持ちが高揚している人々の周りにいるのはちょっと嫌だな〜と思ったので、あまり立ち止まらず、そのままハーバーのほうに走って行きました。

 海岸沿いにウッドデッキのハーバーがあります。 観光地らしく、朝市のようなものもやってるみたいです。 そのそばを軽快に走りました。 心拍数は最大心拍の80%付近を維持します(ちょっとマニアックですね・・・)。 久しぶりに走っていきなり走りすぎると走るのが嫌になると思ったので、30分程度の軽いランにしておきました。 

 帰宅後、シャワーを浴び、セスナ152の離陸前からエンジンシャットダウンまでのチェックリストを見直しました。 VFCのセスナ152の場合は、サンバイザーをぱたっと降ろすとそこにチェックリストが貼付けられています。 以前のサスカトゥーンのスクールの場合はラミネートされたチェックリストがコクピット内に置いてありました。 どちらでもいいんでしょうが、僕は手元にある方が好きです。 手元にあれば、指で押さえながら一項目ずつ確認できますし、1枚ずつが違う場面(エンジン始動前、エンジン始動後、離陸前、着陸後、など)のチェック項目になっているので、Oリングで束ねておけば済んだものは一番最後に回して、次に使うチェック項目が自ずと一番前に出てくるようになるからです。 バイザーのところでも手で押さえれるんですが、毎回上にあるリストを見てから下の計器盤を見てというふうにしていると、いつのまにか同じ項目を2回やってしまったり、気づいたらとなりの項目に飛んじゃってたりすることがあります(笑)。 なので、自分のチェックリストを作ってラミネートしようと思っています。 今日作ったリストには、インストラクターの方から指摘を受けた重要事項なども書き込みました。 ウェブに近いうちに公開できるよう、和訳も付けてみました。 カスタマイズされたチェックリストは果たして使いやすいのかどうか!? 近いうちに試してみます。 なお、少し形は違いますが、VFCのウェブサイトからCessna 152のチェックリストがPDF形式でダウンロードできますので、興味がある方は見てみてください。(リンク)

 今日は他には航空無線ブログを更新したり、明日のソロフライトのイメージトレーニングをしたりしました。 晩ご飯はハンバーガーを作りました。 パン、タマネギ、トマト、ハンバーグ、目玉焼きなどを豪勢にトッピングしたスペシャルバーガーです。 でか過ぎて食べるのには苦労しましたが、味は抜群でした! 

 さて、今午後11時前で、外は結構な量の雨が降っていますが、明日のフライトはどうなることか。 サーキットをするくらいの天気には回復してもらいたいと思います。 少しずつソロで飛んで自信を付けて行きたいと思います。 今の僕に足りないものはずばり「自信」です! 今日リラックスできたぶん、明日はしっかり頑張ります。
 
 今日の写真はセスナ152のスロットル部分です。 黒いヤツを押し込むとフルパワー、引っ張るとアイドルです。 写真の状態はスロットルも、その横にあるMixture(赤いやつ)も引っ張られてありますので、エンジンが切られた状態です。 スピンの時には間違ってもスロットルを押し込んじゃだめですよ(笑)
 
 ではまた!
 
(つづく)

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【編集後記】

 ご覧の通り、僕は結構自分なりの資料などを手作りするのが好きなんです。不器用なので、資料やチェックリストを読んだだけでは頭に入りませんでした。そのため、暗記カードを作ったり、図面を書いたり、自分にしかわからないようなものを作る傾向にあります。それでちゃんとここまでこれたんだから間違ってなかったのかと思います。勉強が苦手な人は頭が悪いとかではなくて要領を得ていないだけかもしれません。目的地に到達する道は一つではないので、脇道に逸れてそこから目的地を目指すという方法もアリだと思います。

 航空無線の内容ですが、ここで書いているものが必ず正解というわけではありません。慣れてくると余計な言葉を入れたりする余裕も出て来ます(笑)。厳密に言えばパイロットも管制官も決められた標準的なフレーズで会話することになっていますが、そこはやはりどちらも人間、つい日常会話のように話をしてしまうこともあります。そのため、やはり英語力は必ず必要です。日系フライトスクールなどが「英語が苦手ですがパイロットになれますか?」的な質問の答えとして「大丈夫です、航空無線は暗記でオッケーです」みたいに書いているのを見かけることがありますが、あれは半分正解で半分は嘘で、盛っています(営業トークですね)。

 そういえば前回の過去ログで説明するのを忘れていました。離陸待ちをしているとき、以前であれば管制官から「Taxi to the position and hold(滑走路内に進入して待機せよ)」という指示フレーズがありました。僕がビクトリアで訓練を再開したころはまだこれが使われていましたが、たしかこれはカナダ独自の言い回しで、のちに「Line-up and wait」という分かりやすい世界標準のフレーズに改定されました。一度、アメリカ籍の飛行機のパイロットにビクトリアの管制官が「Taxi to the position and hold」という指示を出したところ、そのパイロットはこのフレーズが理解できず、「Say again?」「I don't understand that」等の返答をひたすら繰り返していた場面に遭遇したことがあります。この時はLine-up and waitが導入される移行期で、管制官もそのことをすっかり忘れていた感があり、最終的には管制官が「Line-up and waitっていうべきだったね」と言ったらパイロットもすぐに理解できたということがありました。時間が経つとルールも少しずつ変わりますね。


(つづく)

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