2024-12-20

2024年を振り返り。

今年も残すところあとあと2週間弱となりました。今年は昨年を下回る更新頻度となりましたことをお詫びいたします。家族との時間を大事にしていると自ずとブログ更新などに割ける時間がなくなってしまうのです。はい、言い訳です。

2024年は娘が2歳になり、長いフライトにもある程度耐えられるようになったと判断し、初めて日本に連れて帰りました。僕自身日本に帰国するのは本当に久しぶりで、また、妻にとっても久しぶりの日本になりました。娘ともども楽しい時間を過ごすことができ、いい思い出がたくさんできました。家族や親族をはじめ友人にも娘を披露することができ、きっと娘は大きくなる過程で忘れてしまうでしょうけれども、初めての日本を満喫しているように見えました。

仕事はいたって順調に進みました。これと言って昨年と違うことは起きませんでしたが、今乗務しているエアバスの副操縦士リストの中ではかなりシニアになってきたこともあり、毎月のスケジュールはほぼ希望通りでもらうことができ、飛びたいルートや時間帯も選ぶことができるおかげで家族との時間を優先した生活をすることができました。9月と10月には娘と妻がモントリオールに滞在し、家族水入らずの時間を過ごすことができました。

最近は僕と歳が近い機長や、年下の機長とフライトすることが多くなってきました。カナダ人の年齢というのは我々日本人にはなかなか推測しづらいものがあります。若いのに老けて(大人びて)見えたり、逆に結構な歳なのに若く見えたりすることもあります。こちらの生活ではあまり年齢のことは話題に上がらないのですが、フライト中の日常会話でふと歳の話になって、「え?僕より年下?」とか、「うそ、僕とほぼ同い年?」っていうことがよくあります。年齢は仕事をする上で全く関係ないのですが、それでも年下と仕事をすると自分が歳を食ってきたなぁとつくづく実感します。以前乗務していた767の場合は機長連中は皆シニアだったため、年齢がそこそこいっている年上のおっちゃん(時々おばちゃん)と飛ぶのが普通でした。一方で今のエアバスはジュニアなポジション(=767の方が高給なポジションなので、セニオリティが高くないとそのポジションに就けない)なので、乗務するパイロットの平均年齢が低くなる(比較的入社時期が最近)という仕組みです。自分よりも若いパイロットと仕事をしていると今の自分のいる環境が果たして年相応なのかと考えることもあります。

僕はカナダ人パイロットたちと比べると約10年ほど遅れて飛び始めているという実感があります。最近の現地パイロットは20代前半で飛び始め、20代後半から30代前半にはメジャーエアラインに辿り着くことができるようです。僕はパイロットとしてのキャリアを始めるまでに日本で働いてカナダ移住とパイロット訓練に必要なお金を貯めるというプロセスを踏んでいるので、飛び始めたのが30代、メジャーに到達したのが40代始めという感じで、典型的なカナダ人パイロットと比べるとちょうど10年遅れている感じです。他人と比べることは無意味であることはわかってはいても、何せ僕は未熟者なのでそういうことを考えてしまうことも時々あります。子供の頃に思っていた40代って結構なおっさんだったと記憶していますが、実際自分がその歳になってみると意外とまだまだ若いじゃんなんて思うこともある反面、鏡で自分の顔を見るたびに確実に歳を喰っているという実感が湧いてきます。そんな思い描いていたおっさんらしい大人な生き方ができているのだろうか、と。

僕はパイロットになることが子供の頃からの夢で、今はその夢の仕事をしている幸せ者です。収入がいくらなのかなんて考えたことは一度もないままパイロットになるための道をひたすら歩んできた結果、今では毎日の生活に困らないお給料をもらいながら仕事ができているので本当にラッキーです。一方、さまざまな犠牲を払っているからこそ今の生活ができていることもまた事実です。20代から30代前半にかけては一生懸命働いてもフリーターと同じようなお給料しか稼ぐことができず、毎月のお給料は生活費として溶けていきました。周りの友人たちが結婚したり子供ができたり、家を買ったり出世している間も僕はせっせと低賃金で酷い環境で働かざるを得ないという時期もありました。そんな経験があったからこそ今の生活の有り難みが増すのだと思っています。

歳はとったし、周りのパイロットに比べると遅咲きではあるけれど、冷静に考えればとても幸福な人生を送れています。周りと比べてもキリがない。上を見てもキリがない。自分がとことん納得できるまで仕事でもプライベートでもさらなる飛躍ができるよう来年も頑張っていこうと思っています。

最後に今年の写真を何枚か。


家族で行ったケベックシティーの夕暮れ。意外にも初めて訪れましたが、とても美しい都市でした。楽しかった!


今年もカンクン(メキシコ)によく行きました。好きな空港の一つです。


マイアミによく行った一年になりました。いつ行っても温暖で過ごしやすくて好きです。


古巣ビクトリアからも見えるマウントベーカー。今年は数回だけビクトリアにも行けました。いつ行っても第二の故郷のように感じます。


朝早い時間に仕事に行くことが多いのですが、朝方人間の僕にはもってこいの時間帯です。それがネックとなり、長時間飛ぶワイドボディ機のポジションに戻ることは躊躇してしまいます。


ロッキー山脈が冠雪し始めた頃にアリゾナ州フェニックスまで行きました。来年はフェニックスでレイオーバーしてみたいと思ってます。


今年も多くの日没を空から見ました。いつ見ても自然は美しい。


自宅側の橋です。日の出とともに出勤することが多いですが、朝は渋滞もなく嫌いではありません。年々渋滞が酷くなっているので、マジで空港側に引っ越そうかとすら考え始めています。


今年は夜中中飛ぶ「レッドアイフライト」は1回だけやりました。景色はいいけど身体への負担が大きいので普段はやりません。夜中中飛ぶってことは誰にとっても得にならないと思うんですけどね。





以上です。2025年が皆様にとって良い年になりますように。



つづく