2016-08-12

ホワイトホース。

 カナダ北部にユーコン準州という州があります。 下の地図の赤い線で囲まれたところがユーコン準州です。 


 ユーコン準州の州都がホワイトホースです。 バンクーバーから2時間ほどで到着します。 アラスカ州の一部が海岸線に沿ってユーコン準州よりも南まで伸びていますから、アメリカの一部の北部に位置する都市です。

 最近の仕事ではここに行くことが多くなりました。 フライトの途中、航空管制レーダーが届かない空域を飛ぶこともあり、ポジションレポートをすることが義務付けられています。 また、126.7Mhzのtraffic advisoryでもポジションレポートをします。 周りは山・山・山(笑)。 途中で氷河も見えるとても綺麗な場所を飛ぶフライトです。 無線も忙しくないし、交通量も少ない空域なので僕は好きです(笑)。

 このホワイトホースは昔、「ゴールドラッシュ」で賑わった都市だそうです。 今でも川に行って砂金採りをすることができるそうです。 街はなんともいえない独特の雰囲気です。 原住民の人も多いですし、アラスカへ向かう途中に立ち寄る人も多いです。 アラスカから比較的近いということもあってか、山岳部ながらシーフードが美味しいレストランが多くあります。 

 では写真をどうぞ!

空港を出ると交通博物館があり、そこにこのDC-3の風見鶏があります。 風向きに応じて実際に回転します。 こんな大きい風見鶏は始めて見ました。

ユーコン川は川幅が細いところになるとかなりの迫力です。

ホワイトホースで有名なレストラン「Klondike Rib & Salmon」の中はこんな雰囲気です。

僕が頼んだfish & chips。 今まで食べたフィッシュアンドチップスの中で最も美味しかったように思いました。

冬は犬ぞりも体験できるようです。

川沿いをこんなトローリー列車が走っています。

川幅が広くなると雄大な景色が広がります。

さらに上流に行くと堰があります。 迫力がすごい!

この急流を利用してカヌーを楽しむ人も。

ビートルがパトカーに(笑)

翌日は早朝出発です。

お隣にはこんな飛行機も。


 これからもまだまだホワイトホース泊があるようなので、次回は自転車でもレンタルして川沿いのトレイルを走ってみようと目論んでいます。


(つづく)

2016-08-01

カナダ製だけど日本製。

 先日、フライト前の点検をしているときに見つけました。


CRJ705シリーズの主輪(main landing gear)です。 これをよく見ると、


 なんと、日本の三井物産系列の会社が部品調達(製造?)をしているようです。 いや〜、まさかカナダ製の飛行機に日本の三井が関わっていたとは! 驚きました。 さらに、

飛行機後部のお尻部分にある、「尻もち防止装置」も三井製のようです。 

 ボーイング787ドリームライナーの製造にも多くの日本の企業が関わっていると聞きますから、CRJも実は日本製のパーツが多く使われているのかも知れません。 なかなか興味深いです。


(つづく)

2016-07-22

7連勤。

 昨日まで7日間連続で働いてきました。 今月は月の始めに長い休みがあったので、後半は結構長い連勤が続きます。 3日間のペアリングのあと、すぐに4日間のペアリングがあり、合計で7日間連続で働きました。 法律上はもっと長く連続勤務することもできますが、普段は7日以上の連続勤務のスケジュールになることは滅多にありません。

 最初の3日間はとても大変でした。 カルガリーの天気はここ最近あまりよくなく、冷夏とまではいきませんが比較的寒い日が多かったように思います。 毎日積乱雲が発生しまくり、午後には嵐が来て夕立があるというような日が毎日続きました。 こういう日に飛ぶのはとても大変です。

 二日目は特に大変でした。 我々が運航する予定の機体がヒューストンから20分遅れて到着しました。 その20分の遅れの間にカミナリ雲がカルガリー上空に次々と到達し、我々がプッシュバックするころにはあたりは真っ暗になってしまいました。

(ランプから見えるカルガリーのダウンタウン。 黒い雲が近づいてきています。)

 20分遅れて飛行機が到着し、さらにいろいろあって結局は40分くらい遅れてゲートを出発しました。 滑走路に向けてタクシーし、滑走路の端っこまで到着するころになると離陸待ちの飛行機が前に6機ほどいました。 どの飛行機も天候が悪すぎるので離陸するのを拒んでいる様子。 それもそのはず、そこら中に雷が落ちています。 滑走路脇のほんの1キロほど離れたところにある電波塔みたいなところにも稲妻が走っています。 やばいな〜って思いながら無線を聞いていると、ほとんどの飛行機がエンジンをシャットダウンしてしまって、天気回復まで待機することになった状態。 これが1時間近く続きました。 おかげでますます離陸が遅れました。 

 しばらくするとだいぶ雷雲が空港から離れていくのが分かりました。 レーダー画像を見てもカミナリ雲の中心は空港を通過して、空港の北に移動したのがわかりました。 落雷の頻度もだいぶ落ち、管制塔からの報告ではもっとも近い落雷は約7キロ北とのこと。 機長と相談の上、「これならいけるんじゃない?」ってことになりました。

 管制塔に離陸できるなら離陸したい旨を伝えました。 依然、我々の前に居るエアバスも、他の飛行機も離陸する様子はありません。 誰かが離陸するとそれに続いて離陸するというパターンです(笑)。 管制塔は我々の前にいて道を塞いでいたエアバスに「あんた達の後ろにいるCRJが離陸するって言ってるんだけど、エンジン始動して移動するまでに何分くらいかかります?」って聞きました。 「5分位」という返事があり、「じゃあ、エンジン始動して移動する用意をしてくださいね〜」っていうことになり、我々もエンジンをスタートして再度タクシーの準備をしました。

 近くにカミナリ雲があるので、離陸前に滑走路上でレーダーをつけて天気を確認したい旨を管制塔に伝えました。 さらに、離陸後、すぐに右旋回をして雲を避けることを許可してもらいました。 機長とは万が一wind shearに入った場合の事や、離陸後の進路についての再確認をし、いざ離陸となりました。

 そしていざ離陸開始です。 地上にいる多くの飛行機が見守る中、我々は滑走を始めました。 風は思ったよりもひどくなかったですが、離陸後は結構揺れました。 着氷はなく、ただただ揺れました。 でも、レーダー画像も悪くなかったし、想像していたよりは酷くなく、想定の範囲内の乱気流でした。 離陸後すぐに右旋回。 エアスピードが乱気流の影響であがったりさがったりしましたが、安全に上昇。 離陸後5分ほどで雲を抜け、真っ青な空に出ました。 この瞬間がたまりません(笑)。

 フライトの後、ホテルに向かっているシャトルの中で機長と話をしたら、彼が経験した天気のなかでも1,2を争う悪天候だったとのこと。 この機長、アメリカで戦闘機を操縦していた元軍人パイロットです。 いろいろな経験をされてきたと思いますが、そういう人がストレスフルなフライトだったというのですから、かなりのものだったと思います。 そういう経験が出来てよかったな〜と思いました。 

 こんな天気で飛んでいると神経をつかいますし、とても疲れます。 おかげでペアリングの最終日から次のペアリングが始まるまでの間はとても疲労していました。 今までエアラインで働いてきて一番つかれていたかもしれません。 それでも、残りの4日間は天気もよく、楽しいフライトができました。

 ということで7日間の仕事を終え、今日から3連休です。 最近また自転車に乗ることが多くなってきました。 今日もサイクリングに行って来ましたが、サイクリングロードにはポケモンGOをやっていると思われる人たちが多くいて、かなり奇妙でした(笑)。


(つづく)


2016-06-13

ヒューストン。

 CRJに乗務するようになって僕が結構好きなルートの一つがカナダ・カルガリーからアメリカ・テキサス州ヒューストンへのフライトです。 


 ルートは上の写真のような感じです。 カルガリーから一気に南下するような形で、距離は約2700キロメートル。 なんだかそう言われても漠然としかわからないかもしれませんが、どうやら北海道から沖縄位の距離のようです。 

 この時期のヒューストンはメキシコ湾あたりで頻繁に起きるカミナリ雲の影響で嵐の日が多く、行く前には必ずレーダー写真などを見るようにしています。 アメリカの航空管制はカナダと違ってかなり精度の高い天気レーダーを使っているそうで、ヒューストンあたりに嵐の日に行くと、安全なルートになにも言わなくてもレーダーベクターしてくれるらしく、実は結構楽チンなフライトなんだそうです(笑)。 幸い、僕は今のところ嵐が酷い日には行ったことがないのでわかりません。 

 CRJ-705でこのルートを飛ぶと、その日の風向きやフライトルートなどにもよりますが、だいたい4時間ほどかかります。 離陸後20〜25分で巡航高度に到達し、目的地到着の30分くらい前になると降下を始めます。 なので、3時間程度は巡航高度でクルーズしていることになります。

 巡航高度は日によって変わりますが、だいたい34000フィートから39000フィートあたりを飛ぶことが多いです。 アメリカのデンバー周辺ではロッキー山脈からの風で揺れることもありますが、比較的気流が安定している日が多いように思います。 フライト中は計器類をチェックし、燃料の確認などをします。 CRJには「オートスロットル」がないため、フライト中も結構頻繁にスラストレバー(出力レバー)をいじって安全なスピードから逸脱しないようにしています。 時間があるときには緊急事態の手順の復習をしたり、飛行機のシステムに不具合が発生していないかなどを確認したりします。 ラッキーなときにはビジネスクラスで提供している食事の余ったものをフライトアテンダントがコクピットに持ってきてくれたりすることもあります。 
 
 このヒューストン、空港の中にはこんな牛がいます:


 ヒューストンにはNASAのジョンソン宇宙センターがあるんですね。 宇宙服を来たテキサスの牛です(笑)。

 この時期のヒューストンは暑くて、海からの湿気がたっぷり。 日本の夏を思い出します。


(つづく)

2016-06-10

新しいブログ。

この度、当ブログとは別に新たにブログを始めることにしました。


カナダでエアラインパイロットになるためのヒント
http://airlinepilotcanada.blogspot.ca/


当ブログをはじめてから、海外(当然ながら主にカナダ)でパイロットを目指したいという多くの方から直接メールをいただきました。 時間が許す限りメールにはお返事をするようにしていますが、せっかく僕が知っている情報をシェアするのであったらより多くの方と共有したほうがいいのではないかと思うようになりました。 

こんなに偉そうなことをいっている僕もこれまでに知人、友人、諸先輩方からいろんな情報をいただいて今のポジションにいることを自覚し、感謝しています。 ですので、僕もこれからパイロットを目指す方になるべく多くの情報を残していきたいと思うようになりました。

不定期更新ですが、メールやコメントでいただいた質問に答えたり、僕が勝手に「知っておいて損はない」と思うような情報を書き連ねるつもりです。 個人的なことや、カナダでの生活に関することはこれまで通り当ブログで報告していこうと思っています。


(つづく)

2016-05-30

訓練とiPad。

 先月はCRM(Crew Resource Management)の訓練とPPC訓練があり、バタバタとした一ヶ月でした。

 CRM訓練はカルガリーにある格納庫の一室で朝から夕方までの丸一日をかけて行われました。 これは年一回受講することが義務付けられているもので、聞いたところによるとうちの会社は他の会社に比べて特にCRMに力を入れているようで、朝から夕方まで結構みっちりと講義を受けます。 途中でグループディスカッションがあったり、最後のほうでは客室乗務員達も加わって機体のシミュレーターを使った緊急時の脱出手順の訓練があったり、救命胴衣や消火器の使い方の復習をしたりと、いろいろ学べて楽しい講義でした。 
 PPC (Pilot Proficiency Check)は今乗務しているCRJという飛行機を飛ばすための資格で、半年に一度訓練を受けます。 訓練はトロントの施設で三日間にかけて行われました。 訓練の一日目はLOFT(Line Oriented Flight Training)で、普段乗務しているようなルートをフルモーションシミュレーターを使って飛行し、その途中で起こる機体トラブルや緊急事態への対処を訓練しました。 二日目はRecurrent Trainerで、stall (失速)からの回復、ニアミス時の回避、エンジントラブルや火災の場合の手順などの復習をしました。 そして最終日にはフライトテストがあり、これに合格して無事に資格更新となりました。 CRJの資格を初めて取得したのが昨年の12月で、実際に乗務してたった4ヶ月で今回の資格更新訓練を受けました。 これでまた半年間乗務できます。 そしてまた半年後には訓練です。 今後もこういった訓練が、僕がパイロットである限り半年に一度続きます。 学ぶことも多くあり、良い経験になりました。

 普段のフライトでは通称「Jepps(ジェップス)」と呼ばれる航空図を使って飛行しています。 これはJeppesenというアメリカの会社が発行している航空図やアプローチプレートの総称で、世界中のエアラインパイロットが使っています。 今までは電話帳よりも太いバインダー2冊をかばんに入れて持ち歩くことが義務付けられていました(重さ約4.2キロ)。 ところが、今月に入り、ようやくEFB(Electronic Flight Bag)が本格的に導入され、これからはバインダーを持ち歩かなくてもよくなりました。 その代わりにパイロット全員にJepps Appが入ったiPad miniが会社から支給されました(重さ約660グラム)! 

 これで様々なチャートやマニュアルの管理が容易にできるようになりました。 また、通常1ヶ月程度に一度チャートが更新されるのですが、これからはボタンひとつでインターネットから新しいデータをダウンロードして更新することができるのでとても便利です。 GPSセンサーを使って自機の位置もマップ上に表示させることもできるのでsituational awareness向上にも役立ちます。 便利な世の中になりました!


(つづく)

2016-02-27

ニューファンドランド島・セントジョンズ。

 CRJに乗務するようになって、今までのダッシュ8での乗務と大きく違う点の一つが「飛ぶルート」です。 ダッシュ8ではカルガリーを起点にして、アルバータ州内、お隣のブリティッシュコロンビア州、そしてサスカチュワン州に飛ぶことが多かったです。 
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/14/Political_map_of_Canada.png
 (地図:Wikipediaより)

 地図上の左下の緑っぽいところ3州がアルバータ州、ブリティッシュコロンビア州、サスカチュワン州です。 見ての通りカナダの西側半分っていう感じです。 

 ところがCRJではいっきに東海岸まで乗務ルートが広がります。 マニトバ州のウィニペグ、オンタリオ州のトロント、ケベックのモントリオール、ノバスコシア州のハリファックス、そしてニューファンドランド・ラブラドール州のセントジョンズなどなど、カナダ国内を横断する形でフライトします。 また、アメリカにも飛ぶことが多く、かなり今までの仕事の内容とは違います。

 先日、初めてカナダの最東端のセントジョンズに行って来ました。 セントジョンズはニューファンドランド・ラブラドール州にある市です。 ウィキペディアによると、1497年に探検家ジョン・カボットが初めて上陸したそうです。 ここの地層は世界でもっとも古いものの一つとのことで、展望台(下の写真1枚目)にある説明書きにはいろいろ面白いことが書いてありました。 セントジョンズには主な湖が4つあり飲水に困らず、薪燃料として重宝された森林資源も豊富、港は写真のとおり入り組んだ形になっているので戦時中には敵の艦隊の目に触れないように隠れることもできる。 こういう理由で発達していった港町なんだそうです。 ちなみに写真1,2枚目に見えるのは入江ですが、その昔はここも淡水の湖だったそうです。 それが地球の気温があがり、海面が上昇したせいで湖に海水が流れ込み、今のような海水の入江になったんだそうな。 なかなか興味深い街です。

 
 (上:シグナルヒル近くの展望台からのセントジョンズ湾のパノラマ写真)

 (上:セントジョンズ市街地)

 (上:セントジョンズの町並みはこんなカラフルな家々がいっぱい)

 (上:坂の上に建っているタウンハウス)

(上:郵便受けまでカラフルな町並み風)

  同じ港町でも西海岸のビクトリアとはだいぶ趣が違います。 ニューファンドランドに住む人達の話す英語は強い訛りがあり、話をしていても数字以外はなにを言っているのかわからないこともしばしば(笑)。 そういう理由もあって、とてもエキゾチックな街です。 今回初めて行きましたが、町並みは綺麗だし、海もあるし、丘も坂もある。 パブやバーが多くあり、レストランも多い。 なかなか楽しい街です。 タクシーの運転手の話ではアメリカの映画俳優も多く訪れる避暑地だそうで、ラッセル・クロウ、ジュリア・ロバーツがセントジョンズに別荘を所有しているそうです。 

 

(つづく)