パイロットの中にはSingle-day pairing(朝出勤して、夜帰ってくるペアリング)を好む人がいます。 小さい子供がいるとか、自分のベッドで眠りたいとか、いろんな理由があるようです。 一方、single-dayよりはmulti-day pairing(レイオーバーありのペアリング)を好む人もいます。 理由は、通勤に時間を割くのが苦痛だったり、レイオーバーがあればper diemと呼ばれるお手当が増えるのでお給料が上がる可能性があったりなど、様々です。 僕はmulti-dayが好きで、理由は毎日の通勤が嫌いだからです。 電車で通勤しているのですが、ユニフォームを来て電車に乗るといろんな人にジロジロ見られるような気がして、なんだか落ち着きません(笑)。
話を戻します。 ギリシャ・アテネは今回で2回目。 行きのルートは大西洋横断後はフランスのBrest周辺(一番北西の尖ったところ)を通過し、フランス南部、コルシカ島、イタリア最南端部あたりを通過してギリシャの空域に入るという感じでした。
ヨーロッパの航空管制はなかなか面白いです。 まずは英語のアクセント。 イギリス訛り、スペイン訛り、フランス訛り、イタリア語訛り、ドイツ訛り、ギリシャ訛り、どっかわからん国の訛り、等々が次々に出現します。 効率が良い管制をしているなという印象で、毎回周波数を変える度に近道ルートを許可してくれます。 無線周波数が与えられ、チェックインすると近道ルートを指示され、しばらくするとまた次の周波数へハンドオフされます。 毎回無線通信をするのはその程度。 この点は北米を飛んでいるときとさほど変わらず、リラックスした雰囲気の中で飛行を続けます。
今回は僕がアテネまでの操縦を担当。 アテネ空域に入るとこれまた近道を指示され、そのおかげでアライバルルート(STAR)を飛ばなくなるので一気に予定していた距離よりも短い距離を飛ぶことになります。 こうなると、心算していた下降プランがめちゃくちゃになることが。 通常の降下にはVNAV(Vertical Naviation)という自動操縦システムの一部を使ってどこで降下を始めて、どのスピードで降りれば良い塩梅で降りれるというのを計算します。 しかし、飛ぶ距離がいきなり短くなるとVNAVは突然めちゃくちゃな指示を出して来たり、「あ、あかん、この下降率では無理」みたいなことを言ってくることもあります。 この日も結構な高度からスピードブレーキ(翼の上にある板で、揚力を落としてスピードを下げやすくする装置)を全開にして降下を続け、ようやくアプローチに必要な高度までおろすことができました。 飛行機が高度を下げ始め、途中から機体が小刻みにブルブルブルブルと震え始めるときがありますが、それがスピードブレーキを使っているときです。 翼周辺の窓側に座っているお客さんにはスピードブレーキのボードが上がっているのが見えると思います。 着陸はいつも通りで無事に到着。 10時間弱でトロントからアテネに到着しました。
今回もまずはホテルで数時間の仮眠を取りました。 勤務したのはトロント時間でいうところの夕方4時くらいから深夜2時過ぎくらいで、さほど悪い時間帯ではありません。 短い仮眠後は今回もアテネ観光に出かけました。
アテネの中心部を歩いて古代のアゴラへ向かいました。 丘の上に見えるのはアクロポリス。
途中、こんな雰囲気の街並みを歩きました。
歩いて30分ほどで古代のアゴラに到着。 アクロポリスから少し外れたところにある遺跡です。
パルテノン神殿によく似た神殿がありますが、サイズはだいぶ小さいです。
古代ギリシャ人はジェンガが得意だったようです(笑)。
結構広い遺跡で、入るのは有料です。 たしか9ユーロ? 十分価値があると思いました。
古代のアゴラのあとは違う道を散策しながらホテルに戻りました。 坂にレストランがたくさんあるゆったりとした雰囲気の街並みが素敵です。
なんともギリシャらしい色のドアの前に寝そべる白猫。
夜は前回同様クルーと食事に出かけました。 ギリシャの食事は安くて美味しく、ヘルシーなサラダなどもあって最高です。 地ビールもなかなかのもの。 これだけでも来る価値があると思います。
翌日の帰りのルートはこんな感じです。
これでギリシャは終了。 それからまたしばらくシングルデーが続く予定でしたが、クルースケジューラーからの電話で急遽バルセロナ行きに変更になりました。 それはまた次回。
(つづく)
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