今日現在、僕が働く会社は昨年度に比べて運航便数が9割ほど減っている状況です。 ほんの数ヶ月前にはコロナウイルスが武漢で発生し始めていましたが、他人事のように思っていました。 今までの9.11やSARSがパイロットや航空業界に及ぼした影響についても同じく、「自分には起きないこと」となぜか思っていました。 それが今では航空会社の倒産やパイロットレイオフなどがとても身近なところで起きていて危機感を抱いています。
っと、ニュースを見る限りは航空業界は完全に停滞しているように見受けられますが、中には潤っているところもあるようです。
一つ目は航空貨物の分野です。 世界的に有名なところでいえばアメリカのFedEx, UPS、アマゾン、あとはDHL系列の貨物を運搬する航空会社です。 カナダにも貨物専門の航空会社がいくつかあります。 普段であれば旅客機であっても搭乗客の荷物に加えて一般貨物を載せて運航するのがほとんどです。 それが今回の運航停止や便数激減の煽りを受け、普段だったら旅客機でカバーできていた分が航空貨物会社に回されているようです。 実際、そういう会社では今のような状況であっても(もしくは、こんな状況だから)パイロットを採用しているようです。
二つ目の例はチャーターの分野です。 武漢の都市封鎖が解除され、今までロックダウンされていた富裕層がまた移動を始めています。 そんな中、ウイルス感染を恐れ空港の人混みを避けたい金銭的余裕がある人たちは小型ビジネスジェットをチャーターして動くことが増えているそうです。 そのフィールドで働くパイロットも局地的に忙しく飛んでいるのだとか。
正直言って今まで貨物専門の航空会社にはあまり良い印象を持っていませんでした。 大手のUPS/FedExお抱えパイロットならともかく、下請け会社のパイロットともなると数年毎の契約更改などに多大な影響を受ける可能性があります。 どの会社もコスト削減を目指しますから、今までは〇〇航空で運搬していたものを次年度からはコストが低くて済む△△航空に鞍替えする、なんていうことが実際に起きます(いわゆる「race to the bottom」です)。 運航規模が縮小されれば当然ながらパイロットの数も減らされますから、レイオフの可能性が出てきます。 また、カーゴの多くは夜間のフライトが多いようで、「太陽の光を見てフライトしたのはもう何年前になるかな〜?」なんていうコメントを聞くこともあるそうです。 そうなると体調管理も大変そうです。
でも、今回の件があって、なるほど、貨物専門もそれなりのメリットがあるということに気付き、印象が変わりました(単純です・・・笑)。 かといって、今から貨物の会社に移るなんていうことは考えてはいませんけど。
モントリオールは現在、都市封鎖とまではいきませんが行動を制限されていますし、お店やサービスなども営業停止を余儀なくされているところがほとんどです。 失業率も上がってきていますが、カナダ政府は失業者や営業できない店舗への経済支援が本当に早いです。 失業保険に申し込むと翌週にはお金が振り込まれているようです。 また、各州が独自の支援を数々打ち出していて、言葉は悪いですが、下手したら今失業保険を受給した方が儲かる人もいるんじゃない?と思ってしまうほどです。 財源がなになのか、どのくらいの余力があるのか些か不安はありますが、スピード感はすこぶる良いので感心します。
レストランは今はイートインは出来ず、デリバリーやテイクアウトのみ営業が許可されています。 スーパーは開いています。 前述の通り失業者は多いですが、スーパーなどでも人が足りない状況なんだそうです。
コロナウイルスの影響で潤っているのは「航空貨物業界」と「スーパーマーケット」です(笑)
そんなスーパーマーケット。 僕の近所のスーパーでは入場人数が制限されていて、入り口でカチカチと人数を数える人がいます。 中に入ると商品が陳列されているエリアに入る前にまずは石鹸で手を洗わされます。 その後やっと入店。 中に入っても買い物カゴを消毒してもらうのを待たなければなりません。 貼り紙には「必要がないものには手を触れないように」と書かれています。 ここまでを聞くと「カナダはしっかりしてるな〜」と思われるかもしれませんが、従業員はマスクはしていませんし、買い物カゴを消毒している若者従業員なんかは消毒用の布(?)が地面に落ちても平気でまた使いまわしているのも見かけますし、清潔さの度合いというのは本当に人それぞれなんだなと思い知らされます。 と、同時に、ウイルスが世界中に広まるのはこういった個別の感覚に大きな違いがあるからなのだろうとも思います。
スーパーではほとんど今まで通りなにもかわりません。 唯一困っているのは小麦粉がどこに行っても売り切れなことくらいでしょうか。 時間があるからパンでも作ろう!と思い立った人(僕を含む)が急増したのか、そもそもケベック人の食卓には小麦粉は欠かせないのか、そのところはよくわかりません。
といった感じで日々は過ぎていきます。 自宅待機はまだまだ続きそうですが、ロックダウンしているわけでもありませんし、ヨーロッパ諸国のように厳しい外出制限があるわけでもないのが不幸中の幸いです。
(小麦粉の棚はほぼ空っぽです。)
(つづく)
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