英航空大手1万2000人解雇へ 新型コロナで業績悪化(https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000182845.html)
そしてこれが昨日のニュース↓↓↓
BA、パイロット1130人解雇へ 乗務員大幅削減も検討 (http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKBN22D44G.html)
このように世界中で大手・中堅・小規模を問わず航空会社の多くがパイロットの解雇を始めています。 僕の会社も例外ではありません。 この場合の解雇は一時的レイオフで、仕事量が増えてくればまたリコール(呼び戻し)されるというものだと思いますので、一般企業での人員整理で首切りされるというのとは少しニュアンスが違うかとも思います。
航空会社がパイロットの首を切るというのはかなりの状況です。 これまでの業界の流れや自社のレイオフの順番などをみていると、だいたい次のような順番で事が進んでいるように見受けられます。
- 早期退職希望者を募集
- バケーション・LCC部門の客室乗務員を解雇
- 新入社員(トレーニング中)を解雇
- 客室乗務員を解雇
- 事務職員・地上職員を解雇
- パイロットを解雇
少し順序が前後したところもありますが、おおまかな流れはこういう感じでした。 パイロットの解雇は最後の砦という感じ。
パイロットを解雇するということはエアラインとしての運航を完全に諦める、お手上げ状態ということです。 客室乗務員や事務職員はこういうことをいうのは嫌ですが、現実問題として取り替えが可能なリソースです。 欠員が出ても、募集をかけて採用し、1~2ヶ月の訓練を受けさせればとりあえずはすぐに飛べる・勤務できるようになります(経験値は度外視)。 つまり、数ヶ月でリプレイスできるということです。 一方、パイロットはそういうわけにはいきません。 1人の人間をパイロットに育て上げるには莫大な時間と労力、そしてお金がかかります。 この点において、こちらでは「パイロットは医者や弁護士と同じ社会的立場である」と主張する人もいるほどです(個人的にはそこまではどうかな?と思わざるを得ないところもありますが・・・)。 こういう理由もあり、客室乗務員・地上係員の方々と比べるとどちらかというとちやほやされる、ということになってしまいます。
繰り返しますが、これが職種の貴賎について話しているのではありません。 オペレーションの立場から見た事実論です。
コロナ禍における不景気、また各国の国境封鎖によって今は全体で10%以下のフライト便数しか運航していませんので、大手を含む多くの航空会社が、エアラインにとってはもっとも大事な人材である、パイロットの解雇に手をつけ始めているのが現実です。
さて、こうなると世界中にパイロットが溢れるわけで、今までは有名エアラインで働いていたパイロットがすごく規模の小さい会社で薄給で働くなんていうことも出て来ると思います。 悲しいかな、これが現実です。
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僕が最後にフライトをしてから1ヶ月以上が経ちました。 今回の自宅待機はいろいろと考えさせられるところがあります。 悪い事や不安も当然ありますが、良いこともあるように思います。
今考えているのは人生は流動的であって、動きを止める事はできないし、してはならないということです。 ネットなどを見ていても顕著だと思いますが、今までしていた仕事とは少し志向が変わったことを仕事にする人も増えて来ています。 お笑い芸人がYouTubeデビューするとか、高級レストランがテイクアウトを始めるとか、学校の授業がすべてオンライン授業に取って代わるとか。 良い悪いは別として、こういうことができている人は「流れに乗っている人」であり、「流れに逆らっていない人」だと思うようになってきました。 世の中は常に動き、変わりつつあるわけですから、仕事の種類ややり方もこの流れによって変わっていくのが当たり前なんですね。 なのに、流れに逆らおうとすると収入が減ったり、いずれは倒産したり失業したり、新しい波に取って代わられて忘れ去られていくということになります。
僕の職業で考えてみると、パイロットという職業は近い将来なくなるか、形態が大きく変わるはずです。 今は2名で運航している旅客機もちょっと前までは3名で運航していたんですよね。 それが1人がコンピューターに取って代わられました。 いずれはパイロットは1人になってもう1人分の仕事がコンピューター制御になったり、全操縦がリモート操作になったりしていくはずです。 AR、VR、5Gなどのテクノロジーがますます進んでいくわけですから、こうなる流れは当然だと思います。
いずれリモート操作で飛行機を操縦する新しいパイロットの仕事が確立されはじめたら、僕はすぐにそちらに移ろうと考え始めました。 自宅、またはコントロールセンターのようなところで旅客機をリモート操縦するという仕事がいずれできるはずです。 リモートであればウイルスを怖がる必要はない。 時差に悩まされることもない。 機種ごとのライセンスの違いもない。 操縦の途中で他のオペレーターと入れ替えるのも簡単。 こう考えるといい事がとても多いです。 悪い事といえば信号を傍受されてハイジャックされるとか、コンピューターの誤作動によって事故に繋がるとかという点。 あとは乗客が暴れ出したりした場合や、乗客が倒れたり急病になった場合の対処法でしょうか。 他にもきっとリスクはあると思いますが、解決策はきっと見つかると思います。
今回の経験を元に、今後は時代の流れに取り残されないで生きていけるようになりたいものです。
(つづく)
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