ビクトリア66日目:初めてのジム
2006年12月19日火曜日
今日もビクトリア空港周辺は天候はあまりよくありませんでした。 朝のMETARにはDRの文字が。 Drizzleの略で、「霧雨」という意味です。 外に出てみると確かに霧のような雨が降っています。 Ceilingも2000ftほどで、さらに時間が経てば経つほど下がってくる様子です。 12時からのフライトということでしたが、インストラクターに電話をして、「天候が悪いみたいなんでどうしましょう?」と相談をしました。 「とりあえず1時まで待ちましょうか」ということで、1時にクラブに行きました。 どうせ飛べなくても172のPOH (Pilot’s Operating Handbook)を見て確認しなければいけない点が数点あったのでクラブにはいくつもりでした。 家を出た頃は霧雨だった雨も、少しずつ大きな水滴になり、クラブに到着するまでには小雨ほどになりました。 愛車のMTBも今日は泥よけを付けての走行となりました。
クラブではインストラクターと話をし、今日のフライトはとりあえずキャンセルということになりました。 仕方ないので、172のPOHを借りて、必要なデータを書き写します。 172のチェックライドに先立って答えなければいけない問題シートを渡されていますので、それに答える形でデータを確認・理解していきます。 燃料のグレードやタンクの容量などを確認します。 スピードはだいたい暗記できましたが、完璧ではありません。 でも、ほとんどのスピードはASI(Airspeed Indicator)を見ればマーキングがされていますので、それを目安にすればよいようです(赤、黄色、緑、白といったカラーでメーターにマーキングが付いていて、それぞれに意味があります)。 ややこしいことに、172でもクラブ所有機には172R, N, Pと3種類あるようで、僕が乗る予定の機体は172Pということです。 それぞれEmpty weight(機体重量)やairspeedが若干違うようですが、とりあえずはPのデータを覚えておけばそれを他の機種でも利用できるようです。
クラブから帰って来てランチをすませ、初めてのフィットネスジムに行きました。 会員証の代わりにキーホルダーのようなプレートをもらっていて、それにバーコードが付いています。 それを受付のPCでスキャンすればチェックイン完了です。 そのあとロッカールームにいって着替えをし、早速エアロバイク(スピニングマシーンという本格的なやつです)にまたがります。 僕の前に2人先客がいました。 1人はいかにもフィットネスジム大好きな年配のムキムキ女性(笑)。 もう1人は、運動はそんなに好きじゃないけど医者に勧められてジムに入ったに違いない、さらに年配の男性(笑)。 その2人を横目で見ながら軽くペダリングをはじめますが、思ったよりも負荷が重いです(笑)。 いかに足がなまっているかが分かります。 それでも最初の10分をすぎた辺りからは軽快なリズムに乗ってペダルを回し続けます。 となりのおっちゃんはいきなりスパートしたり、いきなり超低速になったりしますが、僕は同じ回転数を保ったままクールに装います(笑)。 今日は初回ということであまり無理はしたくなかったのと、ジムの後に予定があったので、1時間ほどの運動で切り上げました。 なかなか好調な滑り出しです。 ジムの中はなかなかいい感じのラジオがかかっているので、iPodなどがなくても十分楽しめます。 テレビもあるのでそれほど退屈しません。 さすがにスピニングマシーンに乗りながら172のエアスピードの暗記などはできそうにもありません(笑)。 なにごともメリハリが大切だと思うので、運動のときくらいは飛行機のことは忘れようと思います。
今日の写真はVFCの入り口に突如現れたクリスマスツリーです。 その横には天気情報を確認するためのキオスクターミナルと呼ばれるパソコンが設置されていて誰でも自由に使うことができます。 いつもここで天候を確認してからそのすぐ横にあるドアを通ってエプロンエリアに出て行きます。 ドアには鍵がかかっていて、数字ボタンのコンビネーションを押して鍵を解除して外に出て行きます。 部外者は機体がおいてあるエリアには立ち入れない仕組みです。 僕はその「部外者立ち入り禁止エリア」にいつも自転車を持ち込んでいます。 そうすれば鍵をかけなくてもよいので安心です。 クリスマスツリーの話に戻ると、そのツリーの下には既にプレゼントなどがおかれています。 果たして誰が、誰のためにおいたのか・・・ 謎です(笑)。 少なくとも僕のためではないでしょう(涙)。
明日も12時からのフライトの予定ですが、天候次第ですね。 夜は7時からクラブで毎週月・水曜に行われているPPL(自家用免許)を目指している学生対象のグランドスクールに参加させてもらいに行きます。 勉強の内容がナビゲーションということで、昔の知識をさらにしっかりと思い出すために参加する予定です。 本当はグランドスクールに参加するには授業料が発生しますが、僕はディスパッチャーに話をし、「1つのトピックだけならいいよ」という許可をもらったので無料で参加させてもらえます(とはいえ、CPLの方のグランドスクールが始まればその分のレッスン代はしっかり払いますけどね)。 VFCでは一度レッスン料金を支払えば、その後は一生、なんどでもグランドスクールを受けることができるそうです。 1回のレッスンは午後7時から10時までの3時間とかなりintenseな感じです。 明日から3回に分けてナビゲーションカバーされるようです。 明日、1月3日、8日の3回だけ参加させてもらう予定です。 PPLのグランドスクールの最後にはコントロールタワーへのツアーも企画されているらしく、ためになるだけではなくて、楽しい内容のグランドスクールの構成になっているように思います。
ではまた明日。
(つづく)
===========================
ビクトリア67日目:セスナ172でのフライト
2006年12月20日水曜日
今日も相変わらずの天気です。 風速12ktで、gustが17ktほどありました。 プライベートではこれくらい風があると飛ばないこともあるのではないかと思います。 コマーシャルでは20ktくらいまでは飛ぶとのこと。 なかなか過酷です(笑)。
今日はようやく172でのフライトとなりました。 152との違いはまずシートが遠いこと。 明らかにアメリカ人向けに作られた飛行機です(笑)。 胴長短足の日本人体型のことなどまったく考えてないような飛行機です。 インストラクターが、「クッションいる?」と聞いてくれましたが、最初はシートを最前までスライドさせれば大丈夫だと感じていましたのでクッションは使いませんでした。 ところがrun-upのときにエンジンを1700rpm(そこそこのハイパワーです)に設定したとき、ブレーキを踏んでいたにも関わらず少しずつ前に進んでいました(汗)。 やっぱりシートがもっと前でないと踏ん張れないようです。 そこでインストラクターにコントロールをとってもらい、クッションを背もたれに1つ入れてようやく落ち着きました。 細かな違いを上げると、例えば152では燃料タンクはONかOFFしかありませんが、172では右タンクのみとか左タンクのみというふうに選択できるようです。 また、無線などのavionicsの電源を一括管理するavionics switchというトグルスイッチが付いています。 今日飛ばしたLJRにはADFもVORも付いていますので、そこも152とは違う点だと思います。 その他にはフラップが40度まで降りるとかの細かい違いはありましたが、飛ばし方はさほど違わないようです。
離陸許可をもらって滑走路の進入してフルパワーにしますと、操縦桿が152よりも重く感じます。 そろそろ前輪を上げて離陸というときに操縦桿を引っ張ってもなかなか上がりません。 152に比べると結構な力がいるように感じました。 機体の癖というのもあるとは思いますが。
機体が少し大きいため、風に対する安定性は152よりはあるように感じました。 今日の風のコンディションであれば152でのフライトはかなり不快だったんじゃないかと思います。 風であっちこっちに振り回されてあまりトレーニングにならないんではないかと思います。
今日は172のチェックライドということで、ローカルイーストに行ってまずはslow flightからスタートです。 チェックライドをするとは聞いてましたが、何をするかまでは聞いていなかったので、気持ちの準備が出来ていませんでした。 slow flightも1回目は不安定でしたが、2回目からは何をすればいいかを少しずつ思い出して来たので集中できました。 Slow flightの次は久々のストールです。 まずはpower-off stallから。 ここでも操縦桿が重くてなかなかストールしません。 かなり操縦桿を引っ張っているはずなのに、さらにそこから引きしろがある感じです。 ようやくストールさせ、ノーズを降ろしてフルパワーです。 Power-off stallのあとはpower-onストールやフルフラップでのストールなどをやりました。 ストールをやっているときはyaw(ヨー)という機体が右や左に自然と曲がろうとする力をラダーペダルを使ってコントロールしなければいけません。 失速間近で右とか左に曲がってしまうとスピンに陥ってしまいます。 久々のストールはスピンに入らないようにラダーで必死にyawをコントロールしました。
ストールとスローフライトの後は空港に戻りました。 今日のランディングはかなり大変でした。 風力も強く、クロスウィンド気味でした。 さらに、172は152よりもかなりの揚力を発生させるようで、グランドエフェクトに入ってもなかなか落ちて行こうとはしません。 その結果、風の力も加わってふわっとうきあがってしまいました。 パワーを足して再度落ち着かせて、っということを吹き荒れる風のなかでやりました。 インストラクターのヘルプがあったのでよかったです。 強風時のランディングの練習も必要だと思います。 172のランディングの癖にも慣れる必要があるようです。
今日の天気は地上での風はひどい状態でしたが、一旦空に上がって2000フィートほどになると驚くほどスムーズでした。 風は強いものの、風力はコンスタントだったので飛びやすかったです。 自然って本当に不思議ですね(笑)。
今日のフライトの後、部屋に戻って携帯を見たら、「Welcome to the US」というメールが携帯会社から自動で送られて来ていました。 「なんで今頃? 前のコロラドの旅行のメールの誤送信かなんかかな〜?」って思っていたら、よく考えたら今日のフライトはアメリカ上空で行っていたので、携帯が勝手に僕がアメリカに入った(んまあ、入ったんですけど・・・笑)と勘違いしていたようです。 またしても国境なんてないんだな〜って感じた出来事でした(笑)。
今夜はまた嵐が来ていて強風警報が出ているので明日はどうなるかわかりませんが、天気が許せばforced landing approach(不時着)とprecautionary landing(天候が悪化したときなどに近くのフィールドを選んで安全を確認して着陸すること)の練習を172で行います。 久々なのでこれまた復習が必要だと思います。 もともとあまり得意ではない項目なので、152でソロに出て練習を近いうちにする予定なので明日はあまり高い期待は持たないでおこうと思います。 これが終わればチェックライドは終了となるかと思います。 金曜日は久々に天気予報に晴れのマークが出ていますので、恐らくデュアルでアボツフォードとチリワックというカナダ本土にある空港に行くと思います。 久々のクロカンフライト、緊張しますが楽しもうと思います。
今日もフライトの後はジムで1時間汗を流しました。 その後はまたバナナブレッドを焼き、7時からのグランドスクールに行ってきました。 8人ほどの小さなクラスでしたが、教官の教え方がうまく、ユーモアも交えて教えてくれるので楽しく勉強できました。 ほとんどは既に知っている内容でしたが、忘れていたこともあったので、行ってよかったと思います。 来年1月の3日と7日にも今日と同じくナビゲーションの項目をカバーするグランドスクールがあるので、その2つにも参加の予定です。
明日は2時からのフライトです。 朝は洗濯をしなきゃ・・・。 今日のグランドスクールの帰りはgust37ktの中を雨に打たれながら、ヘッドウィンドを楽しみながら自転車で帰ってきましたので服が砂まみれのずぶぬれになりました(笑)。 ジムで使った服も洗濯しなきゃいけません。 パンも焼かないと食パンがないし・・・ 少しずつ忙しくなってきました!
ではまた!
(つづく)
===============================
ビクトリア68日目:172チェックライド修了
2006年12月21日木曜日
今日は天気予報(METARとTAF)を見たところTSの文字があります。 TSはThunder stormで嵐という意味です。 天気予報では正午頃TSが通過することになっていましたが、実際はそれほど天気は崩れませんでした。
朝は散歩をしにビーチに行きました。 遠くの沖にいつも数台のヨットが停泊していますが、そのうちの1台がどうやら転覆しているようです(笑)。 遠くだったのではっきりとは見えませんでしたが、眼鏡を斜めにして度を強くして見てみたところ、船体の後方部が水に沈んでいて、帆先だけが水面から顔を出している感じです。 この前の嵐のせいかもしれません。 そういえば、以前にこのブログで紹介した、空港で嵐に吹き飛ばされた飛行機ですが、どうやら保険には入っていなかったそうです。 かわいそう・・・
さて、今日は2時からのフライトでした。 天気が崩れ始めたので今日も飛べないかなと思っていましたが、クラブに着いていつものNav Canadaのキオスク(PC)でMETARをチェックすると、意外にもシーリングは高いようです。 風も5ノットほどと問題なさげです。 インストラクターによれば、他のパイロットがローカルイーストに行ったら、とりあえずは飛べる状態だったそうです。 Bumpyだったという報告もありましたが、とりあえず出発する方向で用意をはじめました。 いつものようにコードをもらうために電話をします。 今日のコードは「5555」。 ゴーゴーゴーゴー!っと、なかなか勢いがある番号です(笑)。 今日の機体はFMEKという172P型機です。 昨日飛ばした172Nよりもシートがしっかりとしていて厚みがありました。 そのお陰で今日はクッションなしでも十分ラダーペダルを踏み込むことができました。
久しぶりに27からテイクオフし、まずは1500ftまでクリアされます。 他のトラフィックがいなくなったところで2000ftまでクリアされ、そこでまた他のトラフィックとのコンフリクトがなくなり、コントロールゾーンを抜けた辺りでようやく2500ftまで上がれました。 気流のコンディションもややバンピーではありましたが、とりあえずはコントロールできる範囲内です。 まずはアメリカのFriday Harbourの近くでforced landing approach(不時着)の練習です。 インストラクターが「Sorry!」といってパワーを引っこ抜きます(アイドルになります)。 172は65ktでグライドしますので、65ktにセットアップし、エンジン停止の理由を探すcause checkをします。 マスタースウィッチ、プライマー、カーブヒート、オイル温度&圧、燃料、ミクスチャなどを確認し、エンジンを再始動する真似をします。 それでもダメということでengine failureを想定します。 ちょうど前方右下あたりにある、もう使用されていないエアストリップ(細くて短い滑走路)に降りる用意をします。 乗客への説明、MAYDAYコール、着陸前チェックなどを行ってフィールドに到達できたことを確認してオーバーシュートという流れです。 今日はばっちりできました。 少し高度が高かったですが、低いよりはましということで、合格点だったようです。
そのあとはsteep turnと呼ばれる急な角度でのターンを練習です。 180度ターンを2回やりました。 どちらも高度をちゃんと保てたと思います。 インストラクターは特に言うことはないというふうに言ってくれたのでご満悦です。 その後は久しぶりにフードを付けての計器飛行です。 それをしながら空港に戻ります。 空港に戻ると我々の他に3機ほど飛行機が空港に向かって来ているような感じでした。 1回目は滑走路27のファイナルアプローチまで進入したものの、ちょうど正反対の09からDash-8が着陸するところだったため、タワーに「MEK, Pick up and go around」(上昇して着陸をやり直してください)と言われます。 仕方なくフルパワーでオーバーシュートです。 サーキットを1周してきて今度こそ降りれると思ったら、今度も他のトラフィックのおかげで着陸できませんでした。 今度は20のダウンウィンドに行けと言われ、その手順を確認していたら、またそのまま27の上をまっすぐ飛べと言われます(怒)。 そうこうしているうちにようやく着陸できました。 最初はサーキットを何回かしてからフルストップにする予定でしたが、結局1回だけタッチアンドゴーをして終了となりました。 2回の着陸は横風で少し流されたものの、グランドエフェクトでしっかりレベルを保ったので、きれいに着陸できたと思います。 僕的には満足な着陸でした。
フライト後、インストラクターには「もうソロで行ってもらっていいと思います」と言ってもらえましたので、172のチェックライドは修了となりました。 これで1人でも172と152を飛ばすことができます。 少し大人になった気がします(笑)。 172は乗客を3人のせれるので遊覧飛行などには良いと思います。
明日は朝10時にクラブに行ってフライトプランを立てます。 その後、本土へのクロスカントリーフライトとなる予定です。 天気が予報通りよくなってもらえるとうれしいのですが。
今日はフライトのあと、またパンを焼いています。 今オーブンの中で焼かれているところです。 今回はどうなることやら。 うまく焼けたら明日のブログの写真で紹介できるでしょう!
今日の写真はこの前ビクトリアのダウンタウンに行ったときにハーバーで見かけたフロート機です。 シドニー上空をよく飛んでいるのですが、間近で見たのはこのときが初めてでした。 フロートプレーンの離着陸シーンは迫力があって面白いのですが、今回はまだ見ていません。 もう少し暖かくなったら飛行機ウォッチングを兼ねてダウンタウンまでサイクリングしたいと思っています。
ではまた!
(つづく)
===============================
【編集後記】
今から10年以上前はインターネットに繋がったコンピュータがクラブにあって、それを使って気象条件を確認したりしていましたが、今では誰もそんなことはせず、おそらくはスマホでささっと天気を確認すると思います。便利なアプリがたくさんありますし、なんならフライトプランもネットで提出できるようにもなりました。地図もタブレットで見れるし、GPSが搭載されているから自分の居場所もわかります。僕が訓練していた時にもこんなガジェットがあったらきっと便利だったと思います。僕はハイキング用のGPSを買ってクロスカントリーの時には持って言っていました。なかにはテクノロジーを利用するのはだめだとか、万が一それが壊れたらどうする?っていう人もいて、昔ながらの地図を見ながら飛ぶことにこだわる人もいます。それはそれで学ぶ必要があるのも理解できますが、信頼度の高いツールはどんどん使っていけば良いと個人的には思います。
(つづく)
0 件のコメント:
コメントを投稿