2020-09-17

過去ログ:2006年12月27日〜2006年12月28日

ビクトリア74日目:今日も無理。
2006年12月27日水曜日


 いや〜、今日も天気があまりよくなく、カナダのメインランドのほうにはフライトできませんでした。 朝起きてTAFを確認したら、行く予定のアボツフォードのシーリングがかなり低く予報されていて、さらに朝の時点ではかなり雲が低いところまで降りて来ているようです。 GFAを見てみると、低気圧が通過したあとのようで、その低気圧から伸びている前線の名残のような雲が停滞しているようでした。 さらにはナナイモや北西の市では強風警報が出ています。 っということで今日もクロカンフライトは取り止めとなりました。 これが訓練でなければ一か八か(ってほどではないでしょうが)行ってみて、もし天候が悪ければ途中で出発空港まで引き返すということも可能だと思いますが、訓練であれば途中で引き返してしまうのではなんにもなりませんし、第一、お金の無駄です(笑)。 天気予報によれば明日は今日よりもよい天気になりそうなので、明日フライトすることになりました。 っということで、今日は風のデータが必要な箇所を除くプランニングを済ませておきました。 使用機材はC-172PでFMEKというセスナ機です。 これにはGPSがついています。 とはいえ、現在地を緯度や経度で表すだけの初期型のようです(使ったことがないのであまりよくは分かりません。 本当は凄い機能がついているかも・・・)。 たとえGPSがあっても、VFRで飛ぶ以上は地上の地形とチャートを照らし合わせて飛ぶ方法で飛行します。 今日の写真は明日用に用意したVNC(VFR Navigation Chart)と呼ばれる500,000分の1の縮尺の地図です。 写真真ん中の一番下にあるのがビクトリア国際空港で、SHPと書かれているのがヘディングを決めるSet Heading Pointと呼ばれる地点で、僕が勝手に選びました。 ちょうどStuart Islandという島の上空が本土方面に飛ぶときの出発ルートに充てられることが多いコールアップポイントということなので、その島の上空にさしかかったらアボツフォードに向けて風の角度などを計算に入れて弾き出された角度(Magnetic Heading)に飛行機の進行方向を合わせます。 海を超えるので、万が一のことを考えて5500ftまで上昇します(これだけあれば万が一エンジンが停まってもどこかの陸地に辿り着けます)。 TOCはTop of Climbで、巡航高度まで上がり終わるポイントです。 巡航高度に上がるのに必要な時間と距離のデータはPilot’s Operation Handbook (POH)に書かれていますのでそれを参照します。

 さて、今日はプランニングの後は家に戻り、ジムに行ってきました。 今日は昨日の疲れを取るために30分だけスピンバイクに乗りました。 その後は筋肉隆々になるための器具を一通り試しました。 先は長そうです(笑)。 

 ジムの後は久しぶりにスーパーに行きました。 今日はいろいろお菓子などを買ってしまいました。 最近自分で作ったものばっかり食べていたので、チョコレートなどのお菓子が恋しくなったからです(笑)。 僕が好きなCadburyというメーカーのチョコレートやBeer Chedder(ビールとチェダーチーズ味)という味のポテトチップスなどを買いました。 あとは今夜のお好み焼きのためのキャベツなども購入しました。 Beer Chedderは怪しいなと思いながらも、意外にもおいしかったです(笑)。 怪しいブランドのポテトチップスであることには変わりないのですが。 他の味も試してみようと思います。

 今日は郵便が2通届きました。 1つは前職時代のアルバイトの子から。 もう1通は今マウイで休暇中のアメリカ人の友人一家からです。 海外に居るときに受け取る郵便はとてもうれしいです。 そういえば実家から送られてくるはずのTransport Canadaからの手紙はまだ届いていません。 母親に転送してもらってかれこれ2週間近く経つような気がします。 そろそろ届いてほしいものです。 中身は恐らく僕のCategory 1 Pilot Medical Certificateのようです。 もしどうしても年内に届かなければTransport Canadaにコンタクトしてみようと思います。

 さて、明日こそいよいよ本土に行けそうです。 とっととこのクロカンフライトとナイトクロカンを済ませてしまいたいものです。 イメトレはしっかりしましたので、あとは本番を頑張るのみです。

  

 ではまた明日!

  

(つづく)

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ビクトリア75日目:ようやく本土へ。
2006年12月28日木曜日


 今日は天気予報通りの快晴でした。 朝起きてみると霜が降りています。 アボツフォードの滑走路の状況をNOTAMで確認すると、やはり滑走路には霜が降りているようです。 それでも特に問題はないようでしたので、予定通り10時過ぎにクラブに向けて出発しました。

 予定ではFMEKというセスナ172を使う予定でしたが、クラブのコンピュータ(VFCはPCで飛行機のブッキングをすべて管理しています)を見るとMEKの箇所にDISPの文字が。 何のことかと思ってディスパッチャーのブライアンに聞くと、「MEKはメインテナンスに入っているから使えないよ」とのこと。 なんでも、26日にMEKを使った人がマスタースイッチを入れたまま帰ってしまったらし、いわゆる「バッテリーが上がった」状態になってしまったようです。 ということで、急遽GTQQという172を使うことになりました。 ウェイト&バランスはすべてMEKのデータを使って用意していたので、やり直すハメになりました。 とはいえ、昨日プランニングの多くを済ませてあったので、今日は風の情報を使ってMagnetic Headingなどを計算するだけだったので、だらだらやっても正午までにはすべての用意が整いました。 13時に出発する予定でフライトプランを提出します。 フライトプランは電話でKamloopsというところにあるFlight Information Centerというところに電話をしますが、毎回なぜか緊張します(笑)。 いつまでたっても英語での電話というのは緊張してしまうものです(笑)。

 さて、予定通り13時頃に出発しました。 滑走路09を離陸し、そのまま東に向けて高度をあげて行きます。 今日は海を超えるので5500フィートまで上昇することになっていました。 そのため、いつもは話さなくてよいビクトリアターミナルという別周波数にコンタクトするようにタワーからの指示があります。 言われたはずの周波数に変更すると、今度はすぐさま他の周波数にコンタクトしろと言われます。 なにがなんやら分からずプチパニックです(笑)。 とりあえずターミナルとのコンタクトもでき、そのまま海を超えてカナダ本土(メインランド)に到達しました。 あっという間です。 本当に近いもんです。 今日は風があまり強くなかったおかげか、僕のプランニングでほぼ問題なく進むことができました。 まずは最初の着陸ポイントのアボツフォードに向かいます。 アボツフォードのATISを聞き、その後タワーにコンタクトします。 滑走路07に向かうよう指示され、その通り飛んでいると、「滑走路01に変更できますか?」といわれました。 もう07に着陸するつもりでいたので、「07がいいです」と言うと、「それじゃそこから270をしてください」と言われました。 180(Uターン)や360(ぐるっと一周旋回)は頻繁に聞きますが、270は初めてです。 どうやら右に270度旋回している間に他のトラフィックを先に行かせてしまおうとしていたようです。 なんとか必死にDGを見て270度旋回をし07のベースレッグに進入し、その後07に着陸しました。 今日は着陸の調子がよかったです(笑)。 その後、タワーのそばでエンジンをかけたまま数分間休憩と次のフライトに向けての準備をし、準備が出来たらまた離陸です。 次はチリワックに向かいます。 チリワックまではハイウェイがルート上に走っているため、とても分かりやすいです。 距離も15マイルほどしかなく、離陸してすぐに着陸するような形になります。 チリワックの周辺になったら、チリワックトラフィックの周波数に無線を切り替えます。 すると、次から次へと会話が入ってきます。 チリワックはコントロールタワーがない、「uncontrolled airport」ですので、パイロットは自分のポジションや意思をブロードキャスト(一方的に放送すること)します。 その会話を聞き、他のトラフィックがどこにいるのかを確認しながら飛びます。 まずは空港のサーキットより高い高度で空港をまたぐ形で飛び越え、その間に滑走路そばにあるウインドソックの向きを見てどの滑走路に降りるかを決めます。 その後はサーキット高度(1000ft)まで降下するのですが、そのときに2機の小型機が僕の下を飛んで行きました。 それもその2台はかなり近い距離です。 あれは怖いなと思いながらターンをして着陸する滑走路のダウンウィンドに進入します。 すると先客がいて、二番目に着陸することになりました。 前方の小型機に注意しながら、その間も周りのトラフィックに目をやりながらようやく滑走路に進入です。 前の飛行機は滑走路に進入しているはずなのにかなりの高度があります。 てっきり着陸をやりなおすためにオーバーシュート(再度上昇)しているのかと思ったら、そこからものすごいスピードで着陸していきました(汗)。 僕のほうは今回も綺麗に着陸できました。 やっぱり今日は調子がいいです(笑)。

 レストランがあるエリアに飛行機を駐機して、建物の中に入ります。 僕はここに5年前に来たことがあります。 大学を卒業してすぐの頃にバンクーバーのフライトスクールを視察しにいったときにパイロットの方に連れて来てもらいました。 今日の写真はその建物からの眺めです。 すでにお分かりのとおり、チリワックはuncontrolの空港なのにめちゃくちゃ混んでいます。 空を見上げるとサーキット内とその付近に4、5機もの飛行機が飛び回っているほどです。 その理由の1つはこの空港は空港内にあるカフェレストランのパイが有名で、多くのパイロットがパイを食べに飛来するからです(笑)。 しかも最近は天気が悪い日が続きましたので、今日のような快晴の日には多くのプライベートパイロットがやってきていたようです。 カフェレストランでは我々もパイを食べました。 ブラックベリーパイにバニラアイスが乗っかったやつと、ストロベリーチーズケーキにホイップクリームがどっかり乗っかったやつ、そしてコーヒーを注文しました。 どちらもとてもおいしかったです。 チーズケーキは超濃厚で。 しかもかなりのボリュームで500円ほどです。 好きな飛行機を飛ばしておいしいパイやケーキを食べにくるというのはとても贅沢な楽しみですね。 カナダ人パイロットはお金の有効な使い方を知っています(笑)。 日本でもこういうことが出来たらいいんですけどね。 

 さて、デザートを食べた後、出発の前にKamloops FICに電話をしてフライトプランのEET(Estimated En route Time=巡航予定時間)を延長しました。 デザートを食べるとは思っていなかったので、その分時間が必要になったからです(笑)。 でも、延長するだけの価値はありました!

 チリワックを出てからはずっとビクトリアに向けてひたすら来たルートを逆に飛んで行きます。 予定していたSHPが山と山の間にある湖のようなところだったのですが、インストラクターの指示で違うポイントを使うことに。 谷のようなところは結構な幅があるところでないとフライトするのは危険との判断からでした。 なるほど、また1つ勉強させてもらいました。 っということで突然SHPが変わったため、予定の距離も微妙に変わってしまいました。 そのため、グランドスピードのチェックなどはアドリブで行うことに。 必死にやってなんとかできました。 帰りはコントロールゾーンなどをほとんど通らずにビクトリア圏内までいけましたので、無線は楽でした。 ビクトリアでは着陸してくるボーイング737が一機いたためダウンウィンドを延長せざるを得ませんでしたが、それでも到着予定時間から少し遅れただけで無事に帰投できました。 クラブの駐機場に戻り、飛行機をシャットダウンをしてクラブに入り、まずはフライトプランを閉じます。 提出したときと同じようにKamloopsに電話をし、プランを閉じてもらいました。 

 今日のフライトをおさらいすると、前回の反省点を生かすことがかなりできたのと、用意をしっかりできたのでかなりリラックスしてフライトすることができました。 前回のクロカンフライトよりはかなり楽しめました(パイのせいでもあるかも・・・)。 それでも最初の無線で手こずった点は次回はもう少しスムーズにできるようにしたいと思います。 いい経験になりました。 またパイを食べにチリワックまでフライトしようと思います。 

 明日は特にフライトはいれていませんが、天気がよかったらソロでトレーニングエリアに行こうと思っています。 その他にはちょっと見たいものがあるのでショッピングセンターに行こうかと思っています。 明後日の土曜日は今日飛んだルートを夜飛ぶ予定です。 これが済めばナイトレーティングの必須項目であるクロカンフライト(2時間)を終わらせることができます。 年内におわれればいいんですが!

 日本は年末モード全開だと思いますが、こちらはそういう雰囲気がまったくありません。 日本では紅白とかの話題で持ち切りでしょうか・・・ どなたかネットで日本のテレビ番組を見る方法(もちろん無料で)などをご存知の方がいらっしゃれば教えてください。 笑いに餓えていますので(笑)。 YouTubeが僕の唯一の笑いのネタになっています!

 

 ではまた明日。

 

(つづく)

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【編集後記】

 今回登場したチリワック空港は僕の好きな空港の一つです。インストラクターになったあともよく生徒を連れていきました。ビクトリアと違って周りには川があり、近くにはロッキー山脈の始まりのような山岳地帯が広がっていてとてもカナダらしい景色の良いところです。Uncontrolled aerodromeということで管制塔がないため、無線が楽といえば楽なのですが、一方で誰も管制してくれないため、めちゃくちゃなこともまかり通ってしまうところなのです。僕が教官になった頃はインドの航空業界がバブル状態でカナダに多くのインド人がパイロットライセンスを取りにやってきていました。彼らの多くはメインランドのバウンダリーベイにあるスクールで訓練をしていたようです。チリワックはバウンダリーベイからも近いので、インド人パイロットがtime buildingなどでしょっちゅう訪れていました。そうすると彼らはルールを無視した飛び方をすることがとても目立ち、危ない印象でした。サーキットへの進入方法もルール通りではないし、挙げ句の果てには空港付近にいる飛行機の大多数がインド人パイロットの飛行機なため、無線でもインドの言葉で話し出すようなありさまでした。地元のカナダ人生徒や教官などからもかなり多くの苦情が寄せられていたという話を聞いたことがあります。そんなインド人達、今頃どうしているんでしょう。インドの航空会社に甘い言葉でパイロットライセンスを取るよう言われてカナダまでやってきたのに、実際にインドでパイロットの仕事をもらえたのはごく少数と聞きました。

 そんなチリワック、一旦はパイを提供するレストランが閉鎖に追い込まれたんじゃなかったかな?あれからどうなったのか気になります。

 

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