2020-10-07

覚書可決と自習期間開始。

  前回書きました覚書ですが、いろいろな憶測を裏切り、圧倒的多数に可決される運びとなりました。これで向こう半年間はパイロットの解雇はなくなり、さらにはお給料も少し改善されることになりました。失職する可能性がとりあえず6ヶ月間はなくなったので生活の安定という意味ではよかったよかったとなりますが、一方で既に解雇されてしまったパイロットたちに対する手当などはなく、なんとなく腑に落ちない内容となりました。

 この覚書が可決されたことと同時に会社は僕が以前所属していたLCC部門の再開を発表しました。その部門はパンデミック発生直後に一旦運行停止状態になっていました。そんな中でequipment bidが行われ、LCC部門のポジションは一時的に消滅しました。ところが今回のLCC再開の発表を受けてLCC部門のパイロットが再度必要になったため、またもや今月equipment bidが行われています。僕は前回同様エアバスA320のポジションに残りたいと思っていますが、モントリオールベースにもともとあったメインラインのA320ポジションはすべて消滅してLCC部門のA320に取って代わられることになったため、そのままLCCのA320ポジションに移動できるようにビッドしています。訓練が今月13日から開始される(予定)ため、今の段階で他機種に移動したいとも思いませんし、長期的キャリア計画の観点から鑑みても今はエアバスのナローボディーに移動するのが引き続き最善の策と考えています。これでLCC部門の勤務条件やスケジュール等が元どおりになればうれしい限りですが、向こう6ヶ月は覚書に基づいてLCC部門であってもメインラインと同じ勤務条件・お給料ということになっています。

 今日はエアバス訓練開始日からちょうど1週間前になり、今日から5日間の「self-study days」が始まりました。我が社では機種変更トレーニングの場合はまずは5日間の自習期間から訓練が始まります。この期間に最低限暗記しなければならない緊急時の手順と、飛行機のシステムを学ぶためのモジュールをこなすことになっています。1日に5~6項目のシステムを勉強し、最終的に試験に合格する必要があります。勉強時間は1日6~7時間ほどです。

 とはいうものの、実際にはこのモジュールや勉強カリキュラムには訓練開始よりもだいぶ前にアクセスできます。そのため、なるべく早く暗記ものは暗記してしまうのが訓練をスムーズに進めるための秘訣だと思います。このブログでもなんども書いているとおり、航空会社の訓練は「Drinking out of a fire hose(消火ホースから吹き出す水を飲む)」という表現で比喩されるとおり、一旦訓練が始まると毎日次から次へと勉強しなければいけないことを否応無しにどんどん与えられます。ゆっくりと立ち止まって消化する余裕はなく、そのペースに食らいついていかなければなりません。僕は今まで航空会社での訓練を3回経験しています(Dash-8, CRJ, B767の訓練です)が、どれもこの比喩通りのハイペースでの訓練だったように記憶しています。そのため、今回もなるべく早い段階でエアバスの仕組みや操縦手順を学習するように努力してきました。それでも訓練が始まると頭が真っ白になることが多々あるはずです。あのストレスは何回訓練を受けても慣れません。とはいえ、訓練が終わってしばらくするとちゃんと飛べるようになっていますから、訓練カリキュラムはちゃんと機能するように計算されているんですね。

 モントリオールはどんどん秋が深まって来ました。市内にあるモンロワイヤル山には紅葉を楽しむために多くの人が訪れています。残念ながらマスクを装用する人の数は少なく、その影響もあってかモントリオールは現在Red alertが発せられていて、レストランやバーなどはテイクアウト以外は閉鎖されています。それでもマスクをしようとしない人がいるのは理解に苦しみます。今日はそんな紅葉の写真と、マスクをしない人がいることに絡んでフェイスブックで見かけた写真をシェアします。

(和訳)コロナウイルスの教訓

 この写真は第二次世界大戦中にロバを担いでいる兵隊の写真です。なにもこの兵隊はロバが好きというわけではありません。この野原には地雷が埋められているため、ロバを自由に歩かせるとおそらく地雷を踏んでしまって部隊の全員が死んでしまうためロバを担いでいるわけです。つまり、パンデミックのような非常事態に直面した際、危機の深刻さが理解できないおバカさんたちをまずはコントロールしなければならないのです。




(つづく)

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