2020-05-10

余剰航空機のゆくえ。

 コロナの影響が出始めてから、多くの航空会社は減便や欠航をはじめました。 英語では「grounded」という表現をしますが、文字通り、地上(グラウンド)に飛行機を駐機しておくことを指します。 きっとみなさんも新聞やネットで多くの飛行機が空港の誘導路や閉鎖された滑走路にずら〜っと駐機されている姿を見かけたことがあるのではないでしょうか。
 
 とはいえ、航空会社が所有する航空機の数は膨大です。 我が社で300機弱(でした)。 アメリカの大手ともなると1000機に限りなく近い数の航空機を運航しています。 それほど大量の飛行機がgroundedとなると、どこに駐機するのか。 気になりませんか。

 我が社の場合、大規模欠航が始まってからも飛行機が飛ぶことがありましたが、それの多くは駐機スペースがある空港への片道フライトでした。 行き先は様々ですが、多くはアメリカのアリゾナやカンザスシティなどの駐機場だったようです。 いろんな条件があるとは思うのですが、気候が良く、乾燥しているところが多いのが普通で、アリゾナなどはまさにそれにぴったりな場所です。 長期間ドアを閉めたまま、エンジンを切ったままにしておくとなると、湿気がある場所では機械にとっては悪環境となります。 また、駐機代(1機あたり一月20~30万円という情報も)も関係してくるので、大都市部というよりは、やや離れた場所にあるところを選ぶようです。 詳しくはわかりませんが、今回のように大量の航空機を駐機する必要が出る場合に結成される斡旋企業なんかが存在するんでしょうね。 誰かが損失を被れば誰かが甘い蜜を吸うという感じでしょうか。 

 SNSを見ていたら興味深い記事を発見しました。


 とある写真家がヘリコプターに乗り込み、2週間かけてアメリカ中の空港に駐機された航空機の写真を撮り回ったという記事です。

 ここで僕が乗務した飛行機の写真も発見!


 良く見ると767以外にも787も駐機されているようですね。 これはミズーリ州のカンザス・シティ空港だそうです。 

 
 こちらはアリゾナのピナル・エアパーク空港。 主にエアバス機が多いようです。(写真:@brianlosito インスタグラムより)
 
 これらの飛行機の中には、今後再び乗客を乗せて飛ぶことは2度とない機体も含まれているので、なんとも寂しい気持ちになります。 

 航空会社が運航する飛行機には主に「リース」と「所有」という違う形態が存在しています。 このうち、リースの場合はリース会社が所有する飛行機を航空会社が借りて運航しているわけで、そういう飛行機はリース会社に返却されると思います。 一方、「所有」している機体は航空機製造会社(ボーイング、エアバス等)を通して売却したり、他社に売却したり、いろいろな形で処分されるそうです。 こうやって飛行機は生涯いろんな会社を渡り歩いたりするわけです。 古い機体の場合は次の運航会社が決まらず、ボーンヤードと呼ばれる飛行機の墓場に送られ、使えそうな部品だけを抜き取られ、残ったものはスクラップされるそうです。 そして、そういう機体の胴体からキーチェーンを作る会社なんていうのも存在します↓↓↓
2018年に退役したエアカナダの767(登録番号C-FCAG)の胴体部を使って作られたキーチェーン(Aviationtagより)

 こうやってマニアの方や実際に操縦したパイロットに形を変えてでも覚えていてもらえるだけ、飛行機にとってはましなのかもしれませんね・・・。 いや〜、それでもやっぱり寂しい。

 なんか暗いニュースばっかりで疲れますね(苦笑)。



(つづく)

 


 

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