2020-08-21

過去ログ:2006年12月3日〜2006年12月4日

ビクトリア50日目:VORはばっちりです。
2006年12月3日日曜日

 今日はまずは写真の説明から。 こいつが昨日、おとといと僕のブログに出て来て、僕を丸一日悩ませた憎いやつ、VORです。 左下にあるOBS(Omnirange Bearing Selector)を回すとVOR内の方位が書かれたカードがぐるぐると回ります。 写真ではちょうど真ん中にニードル(CDI= Course Deviation Indicator)がありますが、これが右によったり左によったりします。 上と下に方位を設定するところがあり、オレンジ色のNAV と書かれているところがぱらっと回転してTOになったりFROMになったりします。 これを使うと地上にあるVORステーションから見てどの方角に今自分が居るのかが分かるという仕掛けです。 写真の状態でもしNAVがFROMになっていたら、今VORステーションの060ラジアル上(東北東)に居るということになります(OBS Indexが060にセットされているからです)。 この仕組みを考えた人は偉いな〜って思います。 でも、そろそろGPSだけでナビゲーションできるようにして欲しいとも思います(笑)。 「次を斜め左下、方位120°方向、高度2000ft方面です」とか、「目的空港周辺です。 案内を終了します。」とかってナビゲートしてくれたら楽に飛べるんですけどね〜(笑)。

 さて、今日は12時からフライトでした。 いつものようにローカルイースト方面へ飛んで行き、アメリカのSan Juan Island上空付近のエリアをフライトしました。 景色をほんの数分間楽しんだ後、すぐにフードを付けるように指示されました(涙)。 そとは雪化粧をした山々がとても綺麗に見えました。 フードを付けたら今日もまた計器飛行の練習です。 少しずつではありますが、計器飛行に自信がついてきました。 今までは高度計を見て、高度が下がったらすぐに機首を上げて、高度が上がったらすぐに機首を下げてというふうに計器の針をおっかけるということを無意識にしていたように思います。 そこでサスカトゥーン時代のインストラクター、Deanの口癖を思い出しました:「Don’t chase the needles.  Let the aircraft settle itself first.」(針をおっかけないで、まずは飛行機が自分自身で安定するのを待て) 説明が難しいですが、つまりは飛行機はセッティングを変えなければ放っておけばある決まった姿勢でフライトを続けるから、まずはそれまで待てということです。 しばらく待って姿勢が落ち着いたら、それから必要なことをしてやればいいのです。 どうしても最初は針をおっかけてしまいますが、まずは飛行機が自分自身で落ち着くのを待って、それからアクションを取ることが大切なようです。 今日はこのことを頭に入れてフライトをした結果、とてもうまくいきました。 肝心のVORですが、インストラクターに指示されたとおりラジアルをインターセプトすることができました。 もちろん完璧ではありませんが、指示を受けても落ち着いて方向を変えたりインターセプトに必要なターンをすることができました。 途中でVORからのラジアルをVORステーションから遠ざかるように(FROM VOR Station)インターセプトするように言われたとき、VORをセットしましたが、TO-FROM のサインがFROMにならなければいけないところがTOのままです。 「あれ、FROMにならないですけど」ってインストラクターにいったら、「気にしなくていいです」っていわれました。 う〜ん、納得できない。 そこでVORを指でコツコツ叩いたら、くるっとTOがFROMに変わりました(笑)。 まるでコントのようでした。 なにはともあれ僕の頭で思っていた通りの表示になって安心してフライトできました。 1時間近くフードを付けてフライトし、フードを外して空港に戻りました。 途中でorbit(360°ターン)するようにタワーから指示されました。 Dash-8がビクトリアに飛んで来ていて、その便を先に着陸させるためでした。 昨日もorbitと言われましたが昨日はあまりよく理解できませんでしたが、昨日の経験のお陰で今日はばっちり理解できました。 着陸はsoft field landingというテクニックを使ってフラップを30°使って着陸するのですが、僕はこれが苦手です。 明日はソロで飛ぶ予定なので、主にそれを重点的に練習するつもりです。 今回はオイルが漏れなければいいんですが(笑)。

 今日になってようやく道の雪が融けてきました。 今日はスクールには自転車でいけました。 久しぶりに自転車に乗ったので、チェーンに錆びが(涙)。 潤滑油をしっかり塗って、フロントとリアの変速機を自在に操ってチェーンラインを変更して、わざとチェーンをギア盤にこすりつけたりしてチェーンについた錆びを落とします。 飛行機の操作もこれくらい簡単だったらいいんですが(笑)。 自転車のサドルの上ではかなりの時間を過ごしましたから、コクピットでもたくさん時間を過ごせば自由自在にすべての装置を操れるようになるんだと思います。 はやくその日が来てほしいです!

 今日ひさびさに航空無線ブログを更新しました。 興味がある方は上のリンクからどうぞ。

  ではまた明日!

(つづく)

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ビクトリア51日目:ソロフライト
2006年12月4日月曜日

 今日はあいにくの雨空です。 昨日から喉の調子があまりよくありません。 どうやら、やや風邪気味のようです。 昨日の夜は薬を飲んで寝ましたが、あまり調子は回復していません。 今日は12時から1時間ソロでサーキットに出る予定でしたが、天候もあまりよくないし、体調も完璧ではないので少し悩んでいました。 とりあえず少しずつ天候は回復に向かっているようだったので、11時過ぎにクラブに自転車でいきました。

 クラブ到着後に最新のMETARを見たところ、雲も少し高くなって、雲の量も減って来たようでした。 クラブのチーフインストラクターのグラハムと話をしたら、「だいぶ空の様子はましになってきたから行っておいでよ」と言ってくれました。 っということで、1時間ソロフライトに出ることにしました。 

 バンクーバーのACCに電話をして、いつもの台詞を言います:「Can I get a code please?」(トランスポンダーコードを1つください)。 こういうと、いつも電話の向こうの人は、「Go ahead.」(はい、どうぞ)っといいます。 その後、飛行機の型式、登録番号、出発空港、出発時刻、フライトの種類を言います。 文章にする必要はなく、「Cessna 152, Golf Zulu Sierra Charlie, Victoria International at 22:00, local flight」っというだけで相手は分かってくれます。 これはフライトプランを提出するときも同じ感じです。 向こうの人が欲しい情報を言葉を羅列していうだけでいいんです。 無事にコードをもらい、機体のウォークアラウンドを済ませ、ウェイトアンドバランスもして準備万端です。

 コクピットに入ってエンジンをかけますが1度ではなかなかかかりません。 ZSCを使うのは今日は僕が初めてのようで、エンジンは冷えたままです。 なのでプライマーでエンジンに直接燃料を吹きかけてエンジンがかかりやすいようにしてやります。 いつもは2回程度でいいところを、今日は4回吹きかけ、それでもだめだったのでもう2回かけてやったらかかりました。 クリアランスデリバリーにコールし、グランドにコールします。 滑走路を横切って滑走路09までいくように指示されました。 09の手前でrun-upを行います。 今日は1人なので自分のペースでランアップできるので楽でした(笑)。 いつもは教官が急かすので(笑)。 エンジンが暖まっていないためか、ランアップをする前にはエンジンをアイドルにすると止まりそうになりました。 ランアップ後は大丈夫でした。

 滑走路09に進入する前にタワーに出発準備が整ったことを知らせます。 すると離陸許可が出ました。 フラップを10°降ろしてのsoft-field take-offというテクニックを使って離陸です。 地上ではさほど風はなかったのですが、ひとたび空に上がるとそこは別世界です。 風がびゅんびゅん吹いている感じで、右に左に振り回されます(笑)。 なかなか機体を落ち着かせることができないままサーキットを開始しました。 1回目はsoft-field landingを行うことにしましたが、どうも風に吹き流されてしまってファイナルターンのときに滑走路の中心に機体の進行方向をそろえることができません。 どうしてもオーバーシュートしてしまって、えっちらほっちら滑走路まで戻らなければいけないような感じになってしまいます。 でも、エンジンセッティングとフラップ、エアスピードは揃っていたと思いますのでまあよしとします(笑)。 滑走路に進入してフレアをするのが早すぎるのかすぐにふわっと上昇してしまいます。 失速しないようにパワーを少し足してゆっくり降ろしてやりました。 着陸後、すぐにフラップを10°まで戻し、DGがくるっていないことを確認してフルパワーで上昇です。 こういうことを4回ほど繰り返しました。 1回ものすごく下手な着陸をしました。 一度着陸したのにパワーがありすぎたのかまた宙にういて、そこからストンと着陸してしまいました。 あれはダメです。 悪過ぎです(反省)。 次回はもう少しグランドエフェクトで水平飛行をして、エアスピードが落ちるのを確認してからフレアをかけるように気をつけようと思っています。

 サーキットも終盤にさしかかってきて、滑走路09を離陸して上昇中にタワーからコールがあり、「風向きが変わったから滑走路を27に変えるけど、どうします?」と言われました。 「それじゃ滑走路27に変更をお願いします」と告げました。 滑走路27は滑走路09と同じ滑走路ですが、まったく正反対の方向に着陸することになります。 そのため、「それじゃ、どっかその辺で180度ターンをして、ファイナルに入ったらレポートしてください」っと言われました。 そこで上昇をしながら右に機首を振り、左旋回で180度ターンをします。 180度ターンが終わったところで今日の写真を撮りました。 写真を撮ったポイントは海の上で、空港(白いところ)の右下に見える集落がシドニーの街です。 見て分かる通り、滑走路は正面ですがやや左にあります。 つまり、僕が右に外れていたということです。 まだまだターンの角度とターン終了後の位置の感覚がつかめていないのがよくわかります。 今日は風の影響というのもありましたけど、次回からはこの点も注意して練習したいと思います。 なお、写真の黒い線は多分プロペラの残像です。 携帯のカメラなので変な感じで写ってしまいました。

 今日のフライトは0.9時間でした。 もっと長く飛んでもよかったんですが、風に振り回されていたのと、結構疲れたので早めに切り上げました。

  明日は一日お休みです。 しっかり休んで体調を回復させたいと思います。 

 

 ではまた!

 

 

(つづく)

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【編集後記】

 このあたりから外を見ずに計器のみを見てのフライトに慣れて来ていたようです。こうやって練習を繰り返すと今までできなかったことができるようになるというのがフライトトレーニングの醍醐味のように思います。当然ながらなかなかできるようにならないこともありますし、言葉でどれだけ説明されても自分の体で体験しないとできるようにならないこともあります。自分にあった教え方をしてくれる教官に出会えると良いですが、必ずそうとも限りません。なんとか自分が納得できる方法を見つけ出すための努力も必要なように思います。個人的に一番大事だと思うのは反復練習とイメトレ。イメージトレーニングは想像以上に大事です。今でもシミュレーター訓練をする前日には目を閉じてイメトレをしたりもします。僕なんかは練習でやったことがなければ本番でいきなりできるようになるほどの能力がありませんので、なるべくやったことがないことを減らす努力をするようにしています。

 イメトレと言えば、最近マイクロソフトがフライトシミュレーター(ソフトウェア)の最新版を販売しはじめたようです。気の早いマニアがネットやSNSに情報を載せています。VFCのメンバーがビクトリア空港上空のフライトをフライトシミュレーターで行った動画をあげていましたが、かなりのリアリティに度肝を抜かれました。あれがあればかなりイメトレに役立ちそうです。シミュレーターは経験者にとっては訓練の補佐的に使えると思うのでお勧めです。一方、飛行経験がない方がシミュレーターに没頭すると後々の実際の訓練で我流のやり方と正しい手順の差に戸惑うこともあるとのことなので、あくまでお遊び程度にやることをお勧めします。


(つづく)

 

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