2021-03-02

2月のリザーブ。

  あっというまに3月になりました。今日までがリザーブのシフトで、先月はほぼ毎週末飛んでいたようです。週2日働き、5日休みという感じのパターンを繰り返していました。リザーブの時はフライトがあるとセニオリティ順でクルースケジューラーから電話がかかってきます。

「〇〇行きのペアリングがあるけど、興味ある?」


という感じの電話です。幸い、今月は僕がリザーブFOの中でもっともセニオリティが高いため、僕に電話がかかってくるときにはYESかNOをいう権利があるのです。やりたいペアリングならやればいいし、面倒なペアリングだったりする場合にはパスすることができます。ペアリングをパスするためには僕よりも下にジュニアなリザーブパイロットがいることが条件になりますが、今のご時世フライトの数がそもそも少ないので常に僕の下には数名のFOが待機しています。とはいえ、今の時期はある程度のフライト数をこなしておかないと、一定期間内に決められた数以上の離着陸やフライト数をこなさなければならない『recency requirements』に抵触してしまいます。ですので、今月は1回だけパスしましたが、それ以外は基本的に電話がかかってきたらフライトに行くということが多かったです。

 ちなみに、僕が今の会社に入社した1年目はずっとリザーブでしたが、その間はずっともっともジュニアなFOでした。そのため、クルースケジューラーから電話がかかってきたら有無を言わさずにフライトに行かされました。それがたとえ朝7時に起床していて、午後3時くらいに電話がかかってきて、夜7時出発のロンドン便(フライト時間6時間前後)であってもです。今はリザーブのルールが変わったのでこういうことはおきにくくはなりましたが、起きている時間が20時間近くにもなって乗務するというのはあまり安全ではありません。疲労による集中力の低下は航空事故の原因の一つによく挙げられるものです。リザーブというポジションは主にジュニア(セニオリティが低い)パイロットが半ば強制的に担当させられるポジションです。僕は1年目の経験がトラウマになっていますので、それ以来、リザーブにならなくて済むポジションをなるべく選ぶように決めました。とはいえ、先月のようにリザーブであってももっともシニアであれば感覚はまったく異なります。とどのつまり、航空会社で働くということはセニオリティが生活の質に多大な影響を及ぼすということです。そういう理由から、僕はパイロットを目指す方々にはどんな方法でもいいからなるべく早く航空会社に入社できるルートを模索することをおすすめしています。

 今月はモントリオールーオタワ間のペアリングを2回やりました。オタワまでは車で2時間ほどですが、飛行機だと25分前後で到着します。それだけの近距離だと通常の巡航高度に上がるまでにはオタワに着いてしまうため、ジェット機ではあまり見かけない13,000~14,000フィートで巡航します。離陸してオタワや代替空港の天候を確認し、着陸に必要な距離を計算し、NOTAMなどを再確認してフライトマネジメントコンピュータを準備してブリーフィングしてとやっているとあっという間に降下を開始するタイミングになってしまいます。そのため、一緒に飛ぶ人の心の余裕(?)にもよりますが、離陸前のモントリオールにいる時点であらかじめオタワへのアプローチのブリーフィングまですべてやってしまいます。(余談ですが、エアバスのフライトマネジメントコンピュータには離陸から着陸までのすべての情報を離陸前にプログラミングすることができますが、767の場合はそれができませんでした。この点はエアバスのほうが優位です)。フライトは夕方に出発し、30分ほどでオタワに着いて仕事終了。離陸前にde-ice/anti-iceスプレーをしなければいけなかったので少しだけ時間がかかりましたが、一度飛び始めるとあっという間です。着陸後はホテルでのレイオーバー。あいにくオタワ滞在時間は14時間ほどで、なにかできるような時間はありませんでしたが、この時期はパンデミックの影響もありますし、そもそも特にすることはありません。

 でも、これまでずっとモントリオールで缶詰になっていた僕にすればたとえ近場のオタワであってもなかなか新鮮に感じます。朝は早起きして人出が少ない時間帯に州議事堂周辺をさくっと散歩して写真を撮りました。




 この時期、気温や降雪の影響もあって木々は樹氷を纏っていて、とても綺麗です。木の種類もモントリオールでよく見るものとは違うようで、それもまた見ていて楽しかったです。


 明日から3月のスケジュールが始まりますが、今月はリザーブではなくブロックホルダーということで予定があらかじめ組まれています。その内容はほぼ働いていないようなものです・・・。詳しいことはまた次回にでも。



(つづく)


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