2018-08-28

バルセロナに2度行きました。

 ここ2ヶ月ほどでスペイン・バルセロナに数回行ってきました。 初めて行ったのはIROPSで、

1日目:トロント→バルセロナ。 9時間の滞在。 

2日目:バルセロナ→モントリオール。 空港側のホテルで9時間ほどの滞在。 

3日目:朝早くの便でモントリオール→トロントのデッドヘッドでペアリング終了。

という感じでした。 せっかくバルセロナにいったのに、なにも観ずにこの回は終了となりました。 朝早く起きてサグラダファミリアを観に行こうと意気込んでいたのですが、疲れと時差にやられてギブアップ。 今回の滞在で唯一楽しんだのがホテル付近の通りにあったレストランで食べたパエリア。 いや〜、本場のパエリアややっぱりおいしい! 行ったのはこんな感じのところです↓


 ヨーロッパはこういった風に通りに置かれたテーブルで食事できるのが気持ちよくて好きです。 ここで注文したのは下の写真のパエリア。 機長、FAさん、そして僕の3名でちょうど良い大皿サイズでした。 


 これで初めてのバルセロナは終了となりました。

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そしてまたまたやってきましたバルセロナペアリング。 今回はIROPSではない普通のオペレーション。 おかげでレイオーバーは22時間ほどありました。 
 
 バルセロナまでのフライトはトロント空港を午後10時半過ぎに出発します。 飛行時間は8時間弱。 いつも通り北大西洋を東に横断します。 

 大西洋上はほとんどの場合天気もよく、何時間もまったく揺れないスムーズなフライトになることが多いです。 しかし、ジェット気流の関係で揺れることもあります。 飛行計画を立ててくれるフライトディスパッチャーはジェット気流の風速、高度、位置、さらには既にそのエリアを飛んだ自社便や他社便からの揺れの報告などを考慮に入れて飛行ルートを決めます。 

 例えば、下の写真はちょっと前に行ったマンチェスターからの帰りのフライトのルートです。 この日は大西洋南側にハリケーンが発生していて、それを避けるためにもっとも北側のルート(Track B)を選択して飛行計画書が作成されていました。 もちろん、この通りOceanic Clearanceをもらえれば良いですが、ときどきre-route(ルート変更)や高度、速度を変更させられることもあります。 他のトラフィックとの兼ね合いのためです。 
(写真上:Track Bを西に飛行中。 ちょうど西経030度を通過してカナダ側のGander Oceanic Airspaceに進入したところです。)

 ちなみにこの北大西洋上のルートは毎日、そして時間帯によって変わります。 ヨーロッパ時間で午前中は主に西向きのルート、そして午後以降は東向きルートになります。 理由は簡単で、北米からヨーロッパ方面へのフライトのほとんどは北米時刻の午後〜夕方発(ヨーロッパ時刻の午後遅く〜夜中)で、逆にヨーロッパから北米方面へのフライトの多くはヨーロッパを午前中に出発するからです。 

 我々が大西洋を横断するのはだいたい夜間です。 そして、ヨーロッパ上陸ちょっと前の頃に少しずつ空が明るくなってきます。 そして日の出が見えます。

(写真上:この日の日の出)

バルセロナ空港へのアプローチは空港付近に差し掛かると右へ左へとジグザグに飛ぶルートを指定されます。 これは最近導入された「RNAV Initial Approach」というもので、こうやって距離を稼ぐことでアプローチしてくる飛行機をうまく裁こうという航空管制の魂胆のようです。 実際には我々の前には2機ほどしかアプローチをしていた飛行機はいなかったので、途中からレーダーベクターされました。 

(写真上:この日は緑色の線に従って飛び、滑走路25Rへの着陸となりました。)

 このアプローチでは途中からバルセロナの街や海岸線がとても綺麗に見えてきます。 よく目を凝らすとサグラダファミリアも見えます。 着地数キロ前にはタンカーや大型客船が停泊しているエリアも見えます(当然ながら、飛行機の操縦と安全運航に集中しつつ外をちらっとだけ見ていますのでご安心を。 ぼ〜っと観光しながら飛んでいるわけでは決してありません笑)。

 着陸後はゲートに到着し、機長がパーキングブレーキをセット。 そしてエンジンを停止してこの日のフライトは終了です。 フライト後はParking Checklist, Termination Checklistというチェックリストに基づいてスイッチ類を正しい位置に戻したりして次のフライトへ備えます。 また、ログブックに今回のフライトの内容(離陸時刻や着陸時刻、燃料残量等)を記録します。 最後に機長が署名をし、コクピットを整理整頓してから飛行機を後にします。

 飛行機を後にしてジェットブリッジを歩く頃には、既に地上係員の人や貨物係、燃料係の人たちが慌ただしく折り返しトロント行きのフライトの準備をしているのが見えます。 下の写真は燃料を給油しているところ。 左主翼の下側にホースを2本繋いで給油します。 燃料は圧力をかけて一気に流し入れます。 ボーイング767-300ER型機は飛行機の重量によっても変わりますが1時間あたり約5トンほどの燃料を消費します。 今回のフライトでは40トン強の燃料を搭載していました。 


 我々の滞在先ホテルは空港から送迎バスで30分ほどの所にあります。 これがなかなか良いホテルで、海に近く、プールが二つもあります。 地下鉄の駅にも近く、なかなかの好立地。 ホテルチェックイン後はいつも通り仮眠を取り、それから観光へと出かけました。 ここからは写真で雰囲気をお伝えします。

バルセロナの地下鉄はわかりやすいです。 今後もバルセロナに来ることがあるので、回数券を券売機から購入しました。 クレジットカードが使えるし、英語表示に切り替えられるので特に困ることはありません。

地下鉄駅構内は綺麗で安全です。

電車は結構頻繁に来るようでした。

まず向かったのがサグラダファミリア。 今もなお建築中です。 地下鉄の駅を出るとそこにど〜ん!と建っています。 圧倒的な存在感!

反対側からも。 周りをぐるっと歩きました。 細部をみながら歩き回るとなかなか面白いです。 この日はめちゃくちゃ観光客がいました。 中に入るチケットは予約しないといけないようです。 次回入りたいと思います。

こちらはスペイン版の凱旋門。 赤い色なのが印象的です。

細い路地がいたるところにあり、歩き回るだけでも1日は楽しめます。

こちらは名前は忘れちゃいましたが、サグラダファミリア同様ガウディーによる設計の教会だったと思います。

とある教会の中を歩きました。 入り口では服装チェックがあり、女性の肩を出した服装などはご法度のようです(宗教上の理由)。 そういう格好をした来場者のためにショールのようなものを貸し出している場合が多いです。

広場のようなところでは露店が出ていたり、パントマイムをするパフォーマーがいたりとなかなかの活気でした。 写真の通り、ほとんどの人はTシャツ短パンです。 気温は30度ほど。 カラッとしているので気持ちが良い気候でした。 

 夜は途中で機長と落ち合い、オススメのスペイン料理バーに行きました。 いわゆるタパス料理という小皿料理で、小さい分量のものをたくさん頼み、お酒と共にいただくというスタイルです。 合計8品ほど注文しましたがどれもめちゃくちゃおいしかったです。 地ビールもおいしかったです。 ヨーロッパの食文化は最高です。

 ホテルに戻り、夜11時頃就寝。 翌朝は7時前に目が覚めたので、屋上にあるプールの側にあるフィットネスルームで少し運動しました。 朝日が地中海から上ってくるのはとても綺麗です。  今回は泳ぎませんでしたが、次回は泳いでみたいものです。


これで今回のバルセロナは終了です。 ここも僕のお気に入りのレイオーバー先となりました。 このペアリングのあと、またバルセロナペアリングがありました。 その時の内容はまた次回。


(つづく)




2018-08-18

連休後最初の仕事でアテネ。

 長い休みのあとには忙しい仕事の日々が待っていました。 7月は20日連休だったので、残りの10日ほどはほぼ毎日働いていました。 予定ではフロリダ往復やメキシコ往復などが毎日入っていて、1回だけギリシャ・アテネへのフライトが入っていました。

 パイロットの中にはSingle-day pairing(朝出勤して、夜帰ってくるペアリング)を好む人がいます。 小さい子供がいるとか、自分のベッドで眠りたいとか、いろんな理由があるようです。 一方、single-dayよりはmulti-day pairing(レイオーバーありのペアリング)を好む人もいます。 理由は、通勤に時間を割くのが苦痛だったり、レイオーバーがあればper diemと呼ばれるお手当が増えるのでお給料が上がる可能性があったりなど、様々です。 僕はmulti-dayが好きで、理由は毎日の通勤が嫌いだからです。 電車で通勤しているのですが、ユニフォームを来て電車に乗るといろんな人にジロジロ見られるような気がして、なんだか落ち着きません(笑)。 

 話を戻します。 ギリシャ・アテネは今回で2回目。 行きのルートは大西洋横断後はフランスのBrest周辺(一番北西の尖ったところ)を通過し、フランス南部、コルシカ島、イタリア最南端部あたりを通過してギリシャの空域に入るという感じでした。 

 ヨーロッパの航空管制はなかなか面白いです。 まずは英語のアクセント。 イギリス訛り、スペイン訛り、フランス訛り、イタリア語訛り、ドイツ訛り、ギリシャ訛り、どっかわからん国の訛り、等々が次々に出現します。 効率が良い管制をしているなという印象で、毎回周波数を変える度に近道ルートを許可してくれます。 無線周波数が与えられ、チェックインすると近道ルートを指示され、しばらくするとまた次の周波数へハンドオフされます。 毎回無線通信をするのはその程度。 この点は北米を飛んでいるときとさほど変わらず、リラックスした雰囲気の中で飛行を続けます。 

 今回は僕がアテネまでの操縦を担当。 アテネ空域に入るとこれまた近道を指示され、そのおかげでアライバルルート(STAR)を飛ばなくなるので一気に予定していた距離よりも短い距離を飛ぶことになります。 こうなると、心算していた下降プランがめちゃくちゃになることが。 通常の降下にはVNAV(Vertical Naviation)という自動操縦システムの一部を使ってどこで降下を始めて、どのスピードで降りれば良い塩梅で降りれるというのを計算します。 しかし、飛ぶ距離がいきなり短くなるとVNAVは突然めちゃくちゃな指示を出して来たり、「あ、あかん、この下降率では無理」みたいなことを言ってくることもあります。 この日も結構な高度からスピードブレーキ(翼の上にある板で、揚力を落としてスピードを下げやすくする装置)を全開にして降下を続け、ようやくアプローチに必要な高度までおろすことができました。 飛行機が高度を下げ始め、途中から機体が小刻みにブルブルブルブルと震え始めるときがありますが、それがスピードブレーキを使っているときです。 翼周辺の窓側に座っているお客さんにはスピードブレーキのボードが上がっているのが見えると思います。 着陸はいつも通りで無事に到着。 10時間弱でトロントからアテネに到着しました。

 今回もまずはホテルで数時間の仮眠を取りました。 勤務したのはトロント時間でいうところの夕方4時くらいから深夜2時過ぎくらいで、さほど悪い時間帯ではありません。 短い仮眠後は今回もアテネ観光に出かけました。 

アテネの中心部を歩いて古代のアゴラへ向かいました。 丘の上に見えるのはアクロポリス。

途中、こんな雰囲気の街並みを歩きました。

歩いて30分ほどで古代のアゴラに到着。 アクロポリスから少し外れたところにある遺跡です。

パルテノン神殿によく似た神殿がありますが、サイズはだいぶ小さいです。 

古代ギリシャ人はジェンガが得意だったようです(笑)。

結構広い遺跡で、入るのは有料です。 たしか9ユーロ? 十分価値があると思いました。

古代のアゴラのあとは違う道を散策しながらホテルに戻りました。 坂にレストランがたくさんあるゆったりとした雰囲気の街並みが素敵です。

なんともギリシャらしい色のドアの前に寝そべる白猫。

 夜は前回同様クルーと食事に出かけました。 ギリシャの食事は安くて美味しく、ヘルシーなサラダなどもあって最高です。 地ビールもなかなかのもの。 これだけでも来る価値があると思います。

 翌日の帰りのルートはこんな感じです。

今回はバルカン半島方面へ抜けるルート。 帰りはアイスランド・グリーンランド上空を通るルートでプランが立てられていたため、ヨーロッパを抜けるのもスコットランド北部から抜けるルートになりました。 帰りには毎回augument pilotがいるので、フライトの途中でそれぞれ3時間ほど仮眠を取ることができます。 今回も客室の一席でゆっくりとできました。 

 これでギリシャは終了。 それからまたしばらくシングルデーが続く予定でしたが、クルースケジューラーからの電話で急遽バルセロナ行きに変更になりました。 それはまた次回。


(つづく) 

ヨーロッパでの夏休み。

 日本で働いてた頃の夏休みといえば長くても1週間くらいの休みしか取れなかったように記憶しています。 日本ではそれが当たり前。 だからお盆やゴールデンウィークの連休が続いたときに日本人はこぞって海外に繰り出し、短い期間になるべくたくさんの場所を見たりいろんなことを経験しようと努力します。 その結果が「日本人はせっかく旅行に来ても、カメラで写真だけとってすぐに去って行く」という世界での評判に繋がるのだと思います。 そりゃそうですよね、海外の人たちは長いときには夏の間にまるまる1ヶ月ほどバカンスに出かけます。 そういう文化の人には勤勉な日本人がいかに大変な思いをして1週間未満の海外旅行に出かけようとするのかは理解できないと思います。 

 海外に出てパイロットになって本当によかったなと思うのは長い休暇がもらえるときです。 会社や飛ばす機種にもよりますが、月の半分が仕事、残りの半分が休みということも多いです。 しかも、休みをある程度まとめて取得することも可能な場合があります。 カナダの場合、CARsという航空法に連続勤務は何日までで、何日働いたらどれだけ休みを取らなければならないということが書かれています。 その法律に違反することなく、しかも連勤での疲れがフライトに影響を及ぼさない程度であれば連続勤務させてもらえることもあります。 海外でパイロットを目指す皆さん、海外のエアラインでは長い休みをとることも比較的容易な会社も多いようですので、それだけでも海外で働くことのメリットは大きいと思います。 海外でばりばり働き、休みは世界中を旅行したり日本に帰国したり、というメリハリのある生活も悪くありません。 

 実を言うと、今までは日本便に乗れる機体に乗務したいと思っていました。 以前のメインラインでの767乗務の時にはその可能性があったのですが、なにぶんセニオリティが低くリザーブパイロットだったため、成田に行けたのは1年半で1回のみ(涙)。 しかも、10時間ほどのフライトのあとで疲労困憊だと、せっかくの日本もそれほど楽しめません。 ましてや、実家の福井に帰ろうと思っても、24時間のレイオーバーでは限りなく不可能に近い感じでした。 だったら、働く間は行き先など考えずなるべくばりばり働いて、休みを長く取って休みの間に帰国したほうがよっぽど有益なのでは?と思うようになりました。 実家が関東圏だったりしたらまた話は別だと思いますが、それでも24時間日本にいてもできることは限られています。 今は長い休みが毎月もらえる感じなので、必要であれば毎月帰国できます。 本当にラッキーです。 

 7月と8月はそれぞれ20連休と10連休をもらえましたので、今回もヨーロッパ・フランスに行って来ました。 長い連休があると、その代償として月の残りはめちゃくちゃ働かされます・・・笑。 7月はほぼ10日間連続で仕事。 しかも毎日が長いシングルデーばっかり。 行き先はフロリダかメキシコ。 この時期は雷雲がめちゃくちゃ発生しているので、毎日雲を避けながらのフライト。 しかも往復なのでこれを毎日2回! 結構疲れました。 でも、連休がもらえたから不満は言いません・・・。

 話は前後しましたが、ここからはヨーロッパでの夏休みについてです。 この時期のヨーロッパは暑いです。 特にフランスの市街地は暑く、気温は30度を軽く超えます。 日本のようにエアコンがすべての家に付いているというわけではないので、酷暑で死者が出ることもここ数年は多いようです。 昨年だったか、フランスのリヨンに夏の時期に行ってAirbnb(いわゆる「民泊」)に泊まったのですが、エアコンはなく、しかも酷暑で、小さい扇風機一つで数日間我慢しなければいけませんでした。 今回は山間部での滞在だったため、日中はカラッとした心地よい暑さで、夜は気温も25度以下まで下がってくれたため、快適なバケーションになりました。

ジュネーブ近郊。 

こんな湖畔でピクニックをしたり、

モンブランが望めるハイキングコースを歩いたり、

ハイジの世界のような景色を堪能したり、

湖でレンタルボートを漕いでみたり、

歴史のある街並みを散策してみたり、

夜には花火を楽しんだり、

久しぶりにツール・ド・フランスをテレビでライブ観戦してみたり、

 と、本当にいろんなことを楽しみました。 フランスの夏はいろんなイベントがそこかしこであり、本当に楽しいです。 食べ物も美味しいし、空気は綺麗。 あんまり理解できないけどフランス語に触れる機会があるのも新鮮です。 ちょうどW杯でフランスが決勝進出を決定したので街はどこもお祭り騒ぎ。 それでも、騒ぎ方が北米や日本とは違い、そういう文化の違いを直に体験できることがとても楽しいと感じる今日この頃です。 


(つづく)