2017-05-15

ボーイング767。

 今日は僕が乗務しているボーイング767型機についてちょっとだけ。 主には以前乗務していた機材との比較になります。 それではどうぞ。

 ウィキペディアによれば、ボーイング767は「セミワイドボディ」という分類に入るそうです。 正直、この呼び方はウィキペディアを見て始めて知りました。 一般的は767は「ワイドボディ」と呼ばれることが多く、実際、フライト中にも無線では「コールサイン+"heavy"」と名乗ります。 

 ワイドボディの反対はナローボディで、違いは機内に通路が1本しかないか、2本あるかというので分類されているようです。 例えば、ボーイング737型機やエアバス320型機は客室内に通路が1本しかないので「ナローボディ」、一方、ボーイング777や787は通路が2本ありますので「ワイドボディ」と呼ばれます。 

 コクピット内には監査官などが座るための「ジャンプシート」が2席あります。 機長、副操縦士、監査官2名の最大4名がコクピットに座ることができます。 コクピット内は普通に立っても頭をぶつけることがないくらい天井が高いです(ただ、先頭に向かってスロープしているので、操縦席付近は当然ながら低いです)。

 客室内の座席数は211席です。 これは会社やオペレーションによって座席アレンジが異なります。 僕が働く会社でも、211席の767もあれば、282席の767もあります。 また、僕が飛ばす機体には前方にJ Class seat、いわゆるビジネスクラス席があります。 ビジネスクラス席は座面がフルフラットになり、各席がブースで囲まれていますのでかなり快適なフライトができます。 

 翼は約47メートルで、僕が飛ばす機体にはウィングレットがありません。 これだけ広い翼ですが、操縦席の窓からは一切見えません。 したがって、出発前には有る一定の外気温以下の場合には客席内の翼が見える座席の窓から翼の状態を確認します。 冬季や気温が低い時期には着氷や積雪があったりし、その場合にはde-ice作業をしてからの出発となります。 幸い、僕が訓練を終えたのはもう春先だったため、訓練以外でde-iceベイに行ったことはありません(笑)。

 一般的には毎フライト前にウォークアラウンド(出発前点検)をします。 安全ベストを来て外に出て、飛行機の周りを歩いて機体にダメージがないか、取れているパネルがないか、油圧系統からの液漏れがないか、タイヤのコンディションはどうか、エンジン内のファンブレードにダメージがないか等々を目視確認します。 767ではウォークアラウンドはほとんどしません。 というのも、特に海外へのフライトの場合にはメンテナンスの人たちがpre-departure check(PDC)という点検をすることが義務付けられているため、この作業の間にウォークアラウンドもやってくれているからです。 実際、僕が外に出てウォークアラウンドをしたのは訓練中を含め二度だけです。 

 今まで飛ばしていた飛行機はどれも胴体が地上に近く、機体の下をくぐるにはだいぶ身を屈めないといけませんでした。 767の場合は胴体下を歩いても頭はどこにもぶつかりません。 外からコクピットを見上げるとものすごく高いところにあることがわかります。 今でもコクピットからの眺めはとても高く感じます。

 767の操縦席の窓は大きく開けることができます。 ハンドルをこきこきを回すと窓枠がスライドし、身体を乗り出すのに十分な空間ができます。 万が一の緊急時にはここからロープを使って脱出します。 これだけ高い窓から外に下りるにはかなりの勇気がいると思います(汗)。

 とにかく重いです(笑)。 最大離陸重量は180トン以上です。 燃料だけでも70トン以上入ります。 CRJ-705の最大離陸重量は40トンほどだったことを考えると767は圧倒的に重いです。

 オートスロットル装置が備わっていますので、コンピューターが自動でエンジン出力を調整してくれます。 手動で操作したり、オートスロットルをオーバーライドすることもありますが、巡航中にはほぼ100%オートスロットルがプログラムされた巡航速度を保つように出力調整します。 これのおかげで巡航はだいぶ楽です。 CRJにはオートスロットルはなかったため、巡航中は常にスラストレバーをちょこちょこといじってスピード調整をしていました。 山岳地帯上空を飛ぶ時には「マウンテンウェイブ」と呼ばれる乱気流の波が起きることがあるのですが、その中を飛ぶときなどは手動スラストではなかなか大変でした。 オートスロットルも万能ではないので結局はパイロットがコントロールしますが、それでもだいたいの場合にはオートスロットルの自動制御で十分事足ります。 そしてスラストレバーはめちゃくちゃデカいです(笑)。 教官いわく、「男のスラストレバー」だそうです(女性差別の意図はいささかもありませんのでご了承ください)。

 なにせ80年代に製造が始まった機体ですのでいろんなところが古いです。 コクピット内の照明、パネルのカラーリングなど、ちょっとしたところに昭和の香りがします(カナダなので昭和ではないかもしれませんが・・・)。 そういった意味ではDash8と似ている感じがします。 CRJは90年代の飛行機だったため、モダンな印象を受けました。

 コクピット内でのクルー同士の会話は肉声です。 今まではヘッドセットをして、インターコムで話しをしていました。 767にはインターコムはあるのはあるのですが、フライト中にはほとんど使うことはありません。 というのも、自分の声を隣にいるパイロットのヘッドセットに流すには毎回発信の度に発信ボタンを押しながらしゃべらないといけないからです。 これは面倒臭い。 したがって、酸素マスクを装着するとき以外は基本的にはマイクを通さずに話をします。 コクピット内は比較的静かですが、機長の中には超ソフトな小声で話す人もいて、そういう人との会話は難儀します(笑)。

 以上が僕がこれまで乗務してきて感じた感想の一部です。 767はなかなか面白い飛行機で、今のところとても気に入っています。


(つづく)
 

2017-05-08

トロントで生活を始めて。

 トロントに引っ越してきて2週間あまりが経ちました。 あまり休みがないのでトロントを満喫しているとは言えませんが、時間を見つけては住んでいるところの近郊を散策しています。
 
 トロントは東海岸で、今まで僕が住んできたビクトリアやカルガリーとはだいぶ感じが違います。 気がついたことを写真でお伝えしましょう。

なぜかトロントには多くの廃墟的教会が存在し、その多くがコンドミニアム・マンションへと改築されています。


 街中にランドロマット(コインランドリー)があります。 どうやらトロントの住宅の中には洗濯設備がない物件が多いようです。 

さすが大都市。 いたるところにグラフィティ(落書き)があります。 個人的には好きではありません。

レンガ造りの住宅が多くあります。 これは地震がある西海岸ではあまり観ない光景です。 レンガ造りの家は素敵だと思います。

 写真はありませんが他に気になったことをいくつか。

  • いろんな人種の人がいますが、特に黒人・アラブ系の人が多いように感じます。
  • 一方、アジア系の人の数は西海岸に比べると圧倒的に少ないような気がします。 こちらでは僕は圧倒的マイノリティー(少数民族)のように感じます。
  • 街を歩いているとホームレスのような人を多く見かけます。
  • カルガリーでは窓ガラスが割れた車を多く見かけました。 それは、冬の間の路面凍結対策として小石・砂を道に撒くためで、それがタイヤに挟まって打ち上げられ、それが窓ガラスにあたってガラスを割ってしまうためです。 トロントの車の窓ガラスは割れていることはほとんどないようです。
  • 絶対的にモノが多い印象を受けます。 欲しいものはすべて手に入るような印象です。
  • エスプレッソバーがいたるところにあります。 
  •  貧富の差が住宅を見れば一目瞭然でわかります。 裕福な家があるエリアがある一方、道を挟むとそこは貧困層の住宅、ということがよくあります。 
  • 地下鉄・路面電車・バス等の公共交通機関の便が良いです。 

 以上がこれまでの観察の結果です。 なかなか面白い都市という印象を受けますが、やはり慣れるには時間がかかると思います。


(つづく)

 

2017-05-02

マウイ島。

 僕は現在のところ、767の副操縦士の中で一番セニオリティが低く、リザーブという扱いになっています。 多くの航空会社では「ブロックホルダー」と「リザーブ」というパイロットのスケジュールポジションがあります。 「ブロックホルダー」のパイロットは当該月のスケジュールが予め決まっていて、いつ、どこに、誰と飛んでいくのかが前もってわかっています。 一方、「リザーブ」の場合は補欠人員的扱いになり、誰かが病欠したり、天候や飛行機の故障などの理由でフライトスケジュールが狂い、どうしてもパイロット追加で必要になった場合に呼び出しされるパイロットのことを指します。 今の会社では僕はリザーブです。 したがって、リザーブである日は決まっているのですが、いつ飛ぶのかは会社から電話がかかってくるまで分からないという感じです。 個人的にはリザーブは嫌いです(涙)。 電話がかかってきて仕事に呼び出される場合、最短で2時間以内に空港に到着できなければいけません。 したがって、リザーブの日には例え仕事をしていなくてもどこか遠くに遊びにいったりすることはできません。 以前やっていたメディバックの仕事とどことなく似ています。
 数日前、本来はお休みであるはずだった日の朝、クルースケジューラーから電話がかかってきました。 「今日の午後からマウイへのペアリングだけど、行く?」って聞かれ、「行く、行く」と二つ返事で仕事をすることにしました。 今はまだ引っ越しが完了しておらず、カルガリーから送った荷物も届いていないため、家にいても特にすることもないし、家財道具がないので生活がしにくい状態です。 仕事に行けばホテルに泊まれるし、余計な心配をすることもない。 さらにはなるべく今のうちに飛んでおかないと新しい飛行機の飛ばし方の勘が鈍ってしまいます。 しかも行き先はハワイのマウイ島! いくしかないでしょ?って感じでいってきました。

 このペアリング、ちょっと不思議な感じで、まずは1日目にトロントからバンクーバーまでのデッドヘッド(移動)。 そしてバンクーバーからマウイ島までまたもやデッドヘッドです。 そしてマウイ島で24時間のレイオーバーがあり、それからやっとマウイ島からカルガリーまでのフライトを担当するという感じのペアリングでした。

 機長も一緒にトロントからデッドヘッドで、彼とはトロントのフライトプランニングルームで落ち合いました。 彼は超カジュアルな普段着で登場(笑)。 一方、僕はばっちりユニフォームでした。 結局、バンクーバーで税関を通過した後に普段着に着替えましたので、バンクーバーからマウイまでのフライトではビールを飲んで、iPadで映画を観て超リラックスムード。 楽チンな仕事だなぁ〜と思っている間に約6時間でマウイに到着。 初めてのハワイです。

 着いたのは午後9時過ぎ。 外は土砂降り。 僕の同僚が数日前までマウイに来ていたのですが、彼がいた時は快晴で、サーフィンなんかを楽しんでいた写真を送り付けてきていたのですが、僕の時は土砂降り。 ついていません。

 それでも次の日には雨はおおかた止み、外に走りに行ったり、ホテル周辺を散歩したりできました。 ホテルも通常泊まるホテルは満室で、空港近郊のホテルに泊まることになりました(ダブルパンチ)。

 雰囲気を写真でどうぞ。

 (写真上:ホテルから見えた火山)

 (写真上:野生の鶏?がたくさん闊歩していました)

 (写真上:咲いている花や生えている木々がやはり南国的)

 (写真上:ハイビスカス?とヤシの木)

 (写真上:アップルバナナという名前のバナナ。 酸っぱいバナナでした(笑))

 24時間の滞在のあと、午後10時頃にマウイ空港を出発。 空港周辺には雷雲もあったり、気流が安定していないところもありましたが、概ね良好なフライトコンディションでした。 初めてのマウイでしたが、特に戸惑うこともなく、快適なフライトを楽しみ、約6時間後にカルガリーに着陸しました。 その後、カルガリーで一泊し、今日朝一番のフライトでトロントまで戻ってきました。

 イギリスに渡るときの大西洋横断に比べ、太平洋横断は手順が楽です。 大西洋横断は交通量が多く、そのためもあってか特別な手順がいくつかあります。 一方、太平洋横断はカナダ国内を飛んでいるのとさほど違いはありません。 僕は太平洋のほうが好きです(笑)。



(つづく)