2018-11-10

休暇前のプンタカナ。

 10月はギリシャ・アテネに2回とスペイン・バルセロナに1回、そしてカリブ海に浮かぶドミニカ共和国にあるプンタカナまでの日帰りフライトでした。 今日はそのプンタカナまでのフライトをご紹介します。

 トロントからは4時間ちょっと。 「バミューダトライアングル」で有名なバミューダ諸島の西側を飛びます。 天候によってはアメリカのフロリダ周辺を南下し、キューバ周辺を経由してドミニカまでというルートもあるのですが、今回はほぼまっすぐのルート。 行きも帰りもアメリカの首都ワシントンDC上空を通過しました。 

 アメリカの海岸線を離れてしばらくするとNew York Oceanicという航空管制と無線会話をします。 以前になんどか大西洋を横断する際の手順について書きましたが、アメリカの東海岸沖を南下する際にもよく似た手順でOceanic Airspaceを通過します。 大西洋横断の場合にはそれ専用のOceanic Clearanceが必要になりますが、アメリカのNew York Oceanicの場合には特別なOceanic Clearanceは不要です。 離陸前にもらうIFR ClearanceがOceanic Clearance部分も含む、という概念のようです。 アメリカ・カナダの西海岸からハワイに飛ぶときも同じようにOceanic Airspaceを飛びますが、Oceanic Clearanceは不要です。 

(写真上:プンタカナの位置)

 この日は僕の操縦でプンタカナまで飛び、帰りは機長の操縦でした。 天気もまずまずで大きなルート変更なども必要なく、特記することのないフライトでした(笑)。 前回ここに来た時はむちゃくちゃ嵐で天気が荒れていて、レーダー画面が真っ赤になるような大きな積乱雲(CB)の横で空中待機をさせられました。 今回はそれがなく、ラッキーでした。
 
 この空港の面白いところはターミナルを含め、建物がとてもリゾートっぽいところです。 また、世界各国のレジャーエアラインがここに就航しています。 前回もそうでしたが、お隣はドイツのThomas Cookでした。 機材もワイドボディが多く、アメリカなどの短距離からの場合はボーイング737やエアバス320などのナローボディ機も多く見かけました。 では写真をどうぞ!





(写真上:お隣にはロシアからやってきた747が停まっていました。)

 プンタカナ、モンテゴベイ、などなど、いろんなカリビアンにある空港に行っていると、果たして今自分がどこにいるのかがさっぱりわからなくなることがあります。 もともと南米やカリブ海周辺の地理には興味がなく、詳しくないことが原因だと思います。 会社に行ってこいと指示されれば行きますよ、という感じです。 本当であればバケーションなどでこういうところにくるのも悪くないのかな?とは思いますが、個人的にはこういう比較的貧しい国でのバケーションにはあまり興味がありません。 また、水道水が飲めない都市にも興味がないので、そういった理由からカリブ海にはあまり興味がないのです。 もともと出不精な人間がパイロットになっちゃったもんですから大変です(笑)。 仕事でなければ一生見ることがなかったであろう景色を見させてもらっています。 しかもそれでお給料までいただけるのですから、ありがたい話です(笑)
 
 プンタカナからの復路では前述通りワシントンの上空を通過しました。 このワシントンDC、僕にとっては特別な場所です。 というのも、大学生の時に1年間ワシントンにある大学に交換留学で通っていた経験があるからです。 なにも知らない若造が、なんとか苦労しながら1年間アメリカ人と机を並べて勉強しました(ちなみに心理学と社会学を主に勉強しました)。 大変なことも多かったですが、その経験が今の仕事や人生の大きな手助けになっているのは間違いありません。 英語力が伸びたのも、北米文化を学んだのも、そして今でも連絡をとっている友人に会えたのもこのワシントンDCです。 そして、留学から18年経ち、その都市の上空をエアラインパイロットとして300名近いお客さんを乗せて飛んでいるのです。 人生というのは本当に不思議なものだな〜とよく思うようになりました。 歳をとって来たせいだと思います(笑)。

 (写真上:画面真ん中あたりのRoslynというのが最寄駅でした。 厳密にはワシントンではなく、ポトマック川を挟んで西にあるバージニア州に住んでいました。)

 10月は16日から今月のまとまった休みと、12日間の有給が始まりました。 合計で25連休となりました。 日本で働いていたらこんなに長い休みを取れることはほぼないでしょう。 海外でパイロットになる魅力の一つがこういった長い休暇を取れることだと思います。 

 休暇では日本に10日ほど戻りました。 それからトロントに戻って来て、今度はケベック州のモントリオールに5日ほど滞在してきました。 これがまた面白い経験でした! 詳しくはまた次回。


(つづく)