2020-01-30

リラックスペースな1月。

 早いもので1月ももうまもなく終わりですが、みなさまどうお過ごしでしょうか。 僕は今月のリラックスしたスケジュールを楽しんでいます。 一度仕事に出かけると翌日は休みというペースはとても楽です。 体力的にというのもありますが、それよりも精神的な余裕がうまれるように感じています。 たとえ仕事でうまくいかないことがあったり、嫌な人と働くことがあっても、「明日は休み♪」という気持ちでいるとかなりストレスの度合いが低くなります(笑)。 って言ってはいますが、今の所モントリオールベースの機長たちはいい人が多く助かっています。 

 今月はフロリダにばっかり行っています。 フロリダはいいですね。 1月だというのに暑い日には気温が25度以上になります。 半袖短パンでジョギングにでも行こうものなら汗だくになります。 いつかはプライベートでしばらく滞在したいと思うようになりました。

(写真上:1月なのに夏です。)

(写真上:ヨットやクルーザーが通れるように跳ね上げ式の橋が多いです。)

 今月は基本的に早寝早起きのスケジュールで生活しています。 シングルデーペアリングの場合、フロリダ・フォートローダーデール行きの早朝便は朝6時過ぎに出発です。 チェックイン(日本では「ショーアップ」って言いますね。 あれ、なんでだろう・・・)が早いときには午前5時半頃で、離陸が午前7時頃という感じです。 そのため、前日は夜8時〜9時にはベッドに入り、朝3時過ぎに起きるという生活をしています。 僕はもともと朝型の人間なので、早起きは得意なので問題ありません。 子供の頃から朝は早く起きて釣りに出かけたり、テレビで午前6時からのアニメ一休さんの再放送を毎朝欠かさず観ていたので、その頃から早起きは得意だったようです(笑)。 逆に夜遅くまで起きているのは苦手です。 若かりし頃もオールナイトで飲み歩くなんてことは片手で数えきれるくらいしかしたことがないような人間なので、夏の時期のヨーロッパ方面のフライトで夜中じゅうフライトするのは拷問以外の何物でもないというのが正直なところです。 そういう理由でいわゆる「レッドアイ」のような夜中のフライトも大嫌いです。

(写真上:早朝一発目のフライトでは多くの場合de-iceをしなければなりません。 これはde-icing bayでのお隣の飛行機。)


 先日、フォートローダーデールで一泊し、翌日モントリオールに向けて出発する日の朝の事。 午前4時35分にホテルを出る予定だったので、午前3時半頃に起床し、シャワーを浴び、身支度を整えているとホテルの部屋の電話がなりました。 「あれ? モーニングコールはお願いしていなかったんだけど?」と思って電話に出ると、クルースケジューラーからの電話でした。 

 「今朝のフライトだけど、昨夜モントリオールを出発する予定のフライトが機材故障でキャンセルになったから、今朝の君たちのフライトもキャンセルになってね〜。」

 ということでした。 本当はその日にモントリオールに戻ってペアリング終了のはずだったのですが。 クルースケジューラーは続けて、

 「悪いけど、フォートローダーデールにもう一泊できる? 残業っていう扱いにするからさ〜」

 とのこと。 天気もいいし、お給料も追加でもらえるなら悪くない!ということでそのままもう一泊することに。 

 っとなると、まずやることは洗濯です(笑)。 1泊分の下着は持ってきていても、2泊分はありません。 幸い、気温が高く風もあるフロリダ。 洗濯をしたあとは部屋のバルコニーにあったパティオセットの背もたれで下着を乾かす事ができました(笑)。

 っという感じのこともあり、また、別の日にもマイアミまでのフライトを休日出勤で行い、なかなか幸先の良い2020年のスタートの月となっております(笑)。

(写真上:フロリダを離陸するのはまだ暗いうちです。)

(写真上:時たま帰りが夕暮れ時になることがあります。)

(写真上:日中モントリオールに戻ってくると雪景色。)

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 つい先日、我が社のセニオリティリスト最新版が発表されました。 僕が今の会社に入ったのはちょうど3年前。 最新版リストによると僕のセニオリティ番号は昨年よりも100番ほどあがりました。 つまり、僕よりも勤続年数の多い人が100人ほど減ったということです。 ほとんどは定年組だと思いますが、なかにはいろいろな理由で会社を去った人の数も含まれています。 これ以外に特筆すべきは、僕よりも勤続年数が低い人が1000人ほどもいるということ。 1000人ですよ、1000人! 3年間の間に我が社は新しいパイロットを1000人も採用したということです。 毎月30人ほどパイロットが採用されてきていたので1000人ということで数の辻褄が合います。 僕の上には3000人ほどパイロットがいて、下には1000人ほどいるという感じです。 これからもパイロットグループの若返りはますます進むことと思われます。 

 今の現状を見て思うことがあります。 それは、なるべく早く目標の航空会社にたどり着く事がいかに大事かということです。 パイロットのなかにはキャリアプランをかなり緻密に考え、「まずはこの会社に行って、次はこの会社で〇〇を飛ばして、そして次の会社ではこんなルートを飛んで、いずれはこの会社で機長になって・・・・」と詳細なプランを立てる人が多くいます。 それはそれで良い事です。 しかし、航空業界はかなり未知数なファクターが存在していて、プラン通り進むこということはなかなかありません。 現状の例をあげると、ボーイング737Maxの件もそうですし、最近問題になっている中国で発生したコロナウイルスによる中国への渡航禁止などがあります。 こういった未確定な事例が起こりうること、そしてそれらが我々の職業に大きな影響を与えることがあるのが現実です。 フライト数が減ると最悪の場合にはレイオフ(解雇)が始まります。 そうなった場合、まず切られるのはセニオリティ番号の大きい人(=勤続年数が低い人)ということになります。 一昔前に起きた9.11やSARSの際には我が社でもパイロットがレイオフされました。 そういう先輩の話を聞くたびに、「セニオリティが大事」ということを思い知らされます。 こういうことを総合的に踏まえ、僕はあまり遠くのことは深く考えず、直感でどういう仕事がしたいか、そのためにはどういう舵取りをすれば良いかを考えることを最優先しています。 次の次の一手を考えるほど頭が良いわけではありませんし、前述のとおり、予定通りいかない場合もあるので、そうなった場合にも後悔しないように今やりたいことをやるようにしようと心がけています。 (とはいっても、もちろんいろいろ考える事はあります・・・笑)。



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仕事について

これはどこの国でもおなじですが、ライセンスを取得してもパイロットの仕事にたどり着ける保証はどこにもありません。 昨今の世界的なパイロット不足の影響もあり、今のところはフライトインストラクターの資格を取ればかなり高い確率で仕事がもらえると思います。 そこでしばらく経験を積み、その間に永住権を取得できれば次のステップにスムーズに進むことができると思います。 これまでは僻地での過酷な条件での仕事などを通して時間付けをする必要がありました。 ところが今ではそういう仕事をしなくてもリージョナルエアラインに採用される道筋もできつつあります。 下積み経験は操縦スキルの上達にも役立ちますし、人間的にも成長できるとは思いますが、現状ではパイロット不足の影響で次から次へと低い経験値のうちに航空会社に引き抜かれているような状態です。 


(つづく)

2020-01-13

2020年仕事始め。

 皆さま、あけましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしくお願いします。

 2019年の最後は予定より1週間ほど遅れてフランスに入り、そちらで年越しをしました。 ジュネーブから車で1時間ちょっとのところにあるモルジヌ(Morzine)というスキーリゾートで有名な場所です。 夏と冬の間は主にイギリスやヨーロッパ諸国からの観光客で賑わいます。 ジュネーブからのアクセスが良く、周辺には他にもアヴォリア、レ・ジェ、などなどといった大規模スキー場が多く存在しているため、ヨーロッパでは人気のスポットだそうです。

(写真上:大晦日の夜にはスキー場で花火が打ち上げられていました。)

 僕はスキーを少しだけやります。 子供の頃はよく父親にスキーに連れていってもらいました。 夕方からのナイトスキーによく行った覚えがあります。 ロッジ内の熱気と湿気が篭った感じ、リフトに乗っていると聞こえてくるFMラジオ。 スキーのあとの心地よい疲れ、などなど、子供の頃の良い思い出です。 父親が亡くなってからはスキーに行く機会がほぼなくなり、学生時代にもほとんどスキーには行きませんでした。 それがフランスに行くようになり、スキーがとても身近になったこともあって、またスキーを始めようと思うようになりました。 今年の目標はなるべく多くスキーに行くこと。 月に数回行けたら良いなと思っています。 

(写真上:遠くの山間部には雲海が広がり、空は真っ青。最高のスキー日和でした。)

(写真上:レ・ジェという村の一部。 右上に見える頂がモンブラン。)

 フランスに行かなくても、モントリオール周辺には結構な数のスキー場があります。 以前に行ったモン・トロンブランというところが一番有名で、モントリオールから車で1時間半くらいでしょうか。 他にも低い山でもよかったら選択肢が多くあることがケベックの冬の魅力かもしれません。 ただ、マイナス数十度の中、全身をスキーウェアで覆い、顔も目出し帽のようなものを被って、とにかく肌を露出しないようにしてこちらの人たちはスキーを楽しむそうです。 そこまでしたくはないかな〜、というのが正直なところで、今の所はスキーはフランスに行った時のみ楽しむ予定です。 今回はスキーブーツやウェアも購入しました。 本気です(笑)

 フランスでの休暇が終わりカナダに戻ってきまして、昨日が少し遅い仕事始めとなりました。 3日間のペアリングでフロリダのフォート・ローダーデールまで行ってきました。 片道3時間前後の楽チンフライトです。 ここ数ヶ月ずっと片道8時間前後のフライトばかりやってきたので、3時間は本当にあっという間に感じます。 モントリオールはマイナス10度でも、フロリダはプラス23〜25度。 カナダ人たちがこぞって冬にフロリダに行きたがる気持ちもよくわかります。 久しぶりにアメリカに行きましたが、やっぱりアメリカはなんでもでかいな〜と再確認させられました。 人々の体格、食事の量、なんでもビッグ。 たまにはこういうのも悪くありません。 

 初日は午後8時過ぎにモントリオール空港を離陸。 幸いde-iceする必要もなく、スムーズに出発できました。 巡航中も大きな揺れはなく、あっという間にフォート・ローダーデールに到着。 ホテルは昨年とは違うホテルで、空港から6分ほどで到着。 ホテルに着き、シャワーを浴び、少し落ち着いたら午前0時すぎくらい。 生活リズムが狂わなくて最高じゃないですか(笑)。 こんな仕事は久しぶりです。

(写真上:ホテルのバルコニーより。跳ね上げ式の橋がかかっています。)

(写真上:フロリダにはパームツリーがよく似合います。)

 翌日は丸1日レイオーバーだったので、久しぶりに外をジョギングしました。 8キロほど走り、近くのビーチまで。 あいにく強風で曇りだったのであまり綺麗ではありませんでしたが、気温20度以上で短パンTシャツで外を走れるのは気持ちがよかったです。 

(写真上:ホテルはマリーナに隣接していて、ボートが多く見えます。 遠くにはフォート・ローダーデールのダウンタウンの高層ビルが見えます。)

(写真上:ホテル近くのショッピングエリアへ。)

(写真上:フロリダは雪が降らないから車が綺麗。 高級車もよく見かけます。 このフェラーリ、冷却水漏れを起こしていました。 笑)

 3日目は朝4時35分ホテル出発(汗)。 これが今回のペアリングの一番大変だったところです。 前日は夜8時過ぎにはベッドに入って就寝。 それなりによく眠れたので、朝3時半頃にすっきりと目が覚めました。 フライトは午前6時頃プッシュバック。 こんな早いフライトなのに満席でした。 乗員乗客300名弱を乗せ、一路モントリオールに向けて暗闇の中を離陸しました。 北に舵を取り、離陸後1時間ほどで東の空が明るくなってきました。 モントリオールには午前9時過ぎに着陸。 久しぶりのフライトでしたが着陸も綺麗に決まり、楽しいフライトとなりました。 

(写真上:フロリダ半島東側の洋上から見えた朝焼け)

 仕事を終え帰宅したのが午前10時過ぎくらい。 僕が住んでいるのはモントリオールのダウンタウン東部ですが、ラッシュアワーを避けることができると空港から車で20分ちょっとです。 これが渋滞していると1時間近くかかります。 午前8〜9時頃と夕方4〜6時頃が主なラッシュアワーで、その時間は仕事に行く以外にはなるべく車に乗らないようにしています。 今回はちょうどラッシュアワーを避けた感じで帰宅できたのであっという間に自宅に到着しました。

 今月は今回と同じようなフロリダ3日間ペアリングが3回、あとはすべてシングルデーのペアリングで、行き先はほぼすべてフロリダです。 今月は久しぶりの同じタイムゾーンに丸々1ヶ月留まることができそうです。 これで睡眠障害が少しは緩和されると良いなと思っています。 また、今月は1回働いたら最低1日休みが取れるようにしました。 これも同様に体調を考えてのことです。 今までは1週間ぶっつづけで仕事をして、法律上必要な休息日を入れ、またぶっ続けで働くというのをここ数年やってきていたのですが、体調が少しずつしんどく感じることも増えてきたので、今年はなるべく体をいたわったスケジュール調整を心がけようと思っています。 やはり歳には勝てませんね(苦笑)。

 今年もがんばろうと思います。 みなさんにとっても今年が良い一年となりますように。


(つづく)