2014-05-26

“とりあえず”エアラインパイロットになりました。

 昨日、フライトテスト(とはいっても、シミュレーターでのテストですが)に無事合格して、晴れてエアラインパイロットの端くれになりました。 4月上旬に訓練を開始して、5月下旬に一応の訓練が終了ということなので、まるまる2ヶ月間に渡って訓練していたことになります。 いや〜長い道のりだったな〜っていうのが率直な感想ですが、同時に結構早かったな〜とも思います。 ただ言えることは、「我ながらよく勉強した!」っていうことですかね(笑)。 それでもまだまだ知らないことが山のようにあるというのがなによりも恐ろしいです・・・。 今月下旬からカルガリーで通常の運行ルートをお客さんを乗せて飛びながら訓練をする「Line indoc」が始まり、その後の「Line check」に合格したらやっと一人前の副操縦士ということになります。 なので、まだまだリラックスできないのですが、とりあえずはひとつの関門をクリアしたということでちょっと安心しています。

 



 これが訓練で使ったシミュレーターです。 Level Dシミュレーターという種類で、実機を飛ばすことなく旅客機の操縦に必要な資格を取得できるというすぐれものです。 中は実機とまったく同じコクピットのレイアウトで、景色がプロジェクターを通して映しだされます。 これが結構リアルで、しばらく飛んでいると現実と仮想の境目が曖昧になってきます(笑)。 油圧式のアームみたいなのがコクピットがある箱(?)の下についていて、飛行機の姿勢の変化や加速・減速などに合わせて動きます。 ディズニーランドとかUSJとかにある仮想系の乗り物と同じような原理なんでしょうけど、これはもっと正確です。 噂では1時間あたりの使用料はかなりな額だそうです・・・(もちろん会社負担です!)。

 僕が飛ばす飛行機はDash-8っていう飛行機です。 詳しくはこちらを御覧ください。 残念ながら多くの一般の人に言わせると「小さい飛行機」に分類される飛行機です(笑)。 ターボプロップ機で、ジェット機ではありません。 地方路線を飛ぶために作られた飛行機で、僕が飛ぶのも地方路線です。 日本でも飛ばしている会社がいくつかあるみたいで、僕が訓練をしていたバンクーバーのエアカナダの施設には日本人のパイロットの方々が数名来ていました。 少し話をしたかったんですが、時間がなくて出来ませんでした。 シミュレーターは数が少ないので予約がみっちり入っていて、朝4時からとか、夜中の12時から訓練を始めるっていうクルーも結構いるみたいです。 そういう時間じゃないとシミュレーターが空いていないからだそうです。 僕とトレーニングパートナーは幸い遅くても夕方5時スタートで、11時過ぎには訓練が終了していました。 他の同僚達は早朝スタートが多かったみたいです。  

 今回の訓練は東部の都市トロントで始まり、トロントのホテルに約1ヶ月間滞在しました。 それからちょっと休みがあったのでビクトリアに戻ってきて、そのあとは今滞在しているバンクーバーに来ました。 ホテル暮らしっていうのも悪くはないですね。 コーヒーはあるし、部屋の掃除もしなくていいし(笑)。 でも、やっぱり家に帰ってくつろぎたいものです。 今日、ビクトリアに戻って、数日間休みで、その後はカルガリーに移動します。 僕のベースがカルガリー空港に決まったので、これからしばらくはまた通勤生活が始まります。 「ジャンプシート」と呼ばれる仕組みがあって、同じ組合に加盟している航空会社間なら無料または格安でお互いの航空便を乗客として利用できるという制度があるので、僕はそれを使ってビクトリアからカルガリーまで通います。 通うとはいっても毎日ではなく、最初のうちは月に1〜2回帰ってこれればいいほうだと思います。 前の仕事のときは10日間連続休みがあったのでよかったですが、今回の仕事はそういう感じになるのにはしばらく時間がかかりそうです。 いずれはビクトリアに近いバンクーバーのベースになりたいな〜とは思いますが、いろいろと大変な面もありそうなので、とりあえずはカルガリー空港ベースでがんばるつもりです。

 昨日は試験終了後に試験官と僕のトレーニングパートナーの3人でホテル近くのパブに行ってお祝いしました。 試験官には「よく出来た!」と褒められました。 今は朝の5時。 どうやらアドレナリンが出すぎてあまり眠れなくて起きてしまったのでこれを書いています。 ホテルを出るまであとちょっと時間があるので、そろそろベッドに戻ろうと思います。


(つづく)