2017-07-31

ペリカンと飛んでます。

 最近になって仕事道具を運ぶためのフライトバッグを新調しました。 フライトバッグ、またはフライトケースなどとも呼ばれるパイロットが持ち歩く鞄は会社によっては支給されるところもあるみたいです(国内の大手航空会社など)が、僕が働く会社では基本的に自由に好きなものを使えます(いくつか制約があります)。 以前僕が使っていたのは安価なこれ↓

 飛行機によっては操縦席の窓沿いにフライトバッグを入れるための穴があります。 その穴に収まるサイズでないといけないのですが、このバッグはDH8, CRJともに大丈夫だったので重宝しました。 また、以前はアプローチプレートや会社のマニュアルなどの電話帳ほどの厚みがあるバインダーを3〜4つも常時持ち歩かなければいけなかったので、このバッグの大きさは大変役立ちました。 しかし、最近ではそれらのマニュアルのデジタル化が進み、今はiPad一つで済みます。 なので、このようなカバンでは中が空っぽで、あんまり意味がありません。 また、3年ほどの仕様でだいぶボロボロの場所も出てきましたので、思い切って新しいバッグに移行しました。

 今回選んだのがこちら↓

 カメラやドローン、軍事兵器などを運ぶために人気のハードケース「ペリカンケース」の1430というモデルです。 特徴はトップローディング(蓋が上に開く)であることと、防水、耐衝撃性、そして高い機密性などがあります。 天気が悪い日にも最寄りの駅まで歩いて通わないといけない電車通勤のため、防水性能はとても気に入っています。 重さは以前のカバンと同じくらいで気になりませんし、とにかく頑丈にできています。 中の仕切りなどは僕の用途に合わないため、いろいろカスタムしています。 
 色はシンプルな黒で、ハンドルにはラバーが貼ってあるので持ちやすいです。 これをオーバーナイトバッグに引っ掛けて運びます。

  蓋裏側にはCocoonという会社が製造するGRID-IT!というオーガナイザーをネジ止めしてあります。 これによっていつもフライトで使う小道具を蓋裏に留めておくことが可能で、取り出し・収納も楽々です。 ちなみに左側から、ハンドワイプ(お手拭き)、フラッシュライト、iPadのチャージャーとケーブル、スペアのペン、チューインガムを入れています。

  中はこんな感じです。 左上にはライセンスやパスポートなどが入った書類ポーチとヘッドセットポーチ、右上にはメガネ、サングラス、海外滞在用の財布、メモ用紙等、そして下には会社支給のiPadとクリップボードが入っています。 また、見えにくいですが、右端には海外ルートを飛ぶ時に必要なプロッティングチャート(航空図)、下端には税関申告書類の入ったフォルダも入っています。

 ボーイング767に乗務するようになって、カバンに入れるものにも少し変化がうまれました。 それらがこちら↓

  最近では767は縮小計画のために海外路線を飛ぶことが減ってきたのですが、それでもイギリスのロンドンに行くことがあります。 そうなるとレイオーバー中の食事や買い物、運転手へのチップなどでイギリスの通貨(ポンド)が必要になります。 また、日本に行く場合にも円が必要になりますし、ヨーロッパだとユーロが必要ということもあります。 今でもアメリカには比較的良く飛びますので、アメリカドルも必要です。 そのため、僕はダイソーで買った小さなメッシュ袋にそれぞれの国の通貨を小分けして管理しています。

海外に行って困るのは電圧・電源プラグの違いです。 幸い767にはiPadをフライト中に充電できるようにUSBポートアダプタが配備されていますが、個人的な携帯の充電などは禁止されています。 そのため、滞在先のホテルで携帯を充電するためにはアダプタが必要になりますので、このマルチアダプタをバッグの中にいつも入れています。
 このようにはめ合わせると小さいブロックになり、これでバッグ内でも場所を取りません。

 
  もちろんバッグには767のステッカーを貼ってあります(笑)。

 このバッグを持っていると、一緒に飛ぶ機長達にほぼ毎回「なにそれ?」って聞かれます。  普通のバッグとちょっと形が違うから興味を持たれるみたいです。 このバッグは本当に万能で、車に引かれても壊れないほど強靭にできているため、自宅では踏み台として役に立つこともあります。

 以上、バッグのご紹介でした〜!


(つづく)
 

2017-07-06

リトル・ベネチア。

 先日、またロンドンへのフライトがありました。 今回はトロントからハリファックスまで飛んで、そこからロンドン・ヒースロー空港へのフライトで、帰りはロンドンからオタワまでのフライトで、オタワからトロントまではデッドヘットという感じでした。 

 ハリファックスからロンドンまでのフライトは5時間ちょっとと、それほど長くはありません。 ただ、ハリファックスを出発するのがトロント時間のちょうど真夜中くらいで、夜通し飛んで、ロンドンに到着するころにはトロント時間で午前5時過ぎくらいになります。 これがロンドン時間だと午前10時頃。 もうなにがなんやらわかりません(笑)。

 ロンドンからオタワは結構長くて、約7時間のフライトです。 そもそもオタワはハリファックスよりも西に位置し、さらに西向きのフライトになると偏西風のせいで向かい風で飛ぶのがほとんどです。 そのため、飛行時間が長くなります。 この7時間のフライトがが結構きつい・・・(苦笑)。 いっそのことフライト時間がもっと長くなれば規定に則って「オーグメントパイロット」という3人目のパイロットが乗務することになります。

 このオーグメント(augment)とは「増大させる」という意味の言葉で、文字通り、「飛行可能な時間・距離を増大させるためのクルー」という意味になりますでしょうか。 飛行時間が10時間を超えるようなフライトになると必ずオーグメント、または、リリーフパイロットという3人目・4人目のパイロットが乗務し、フライトの途中で交代しながら休憩・仮眠を取ります。 こうでもしないと到達できないところがあるんですね。 例えばトロントから中国へのフライトなどは飛行時間が軽く10時間を越えますから、これを二人だけのクルーで飛んでいるとそもそも法的に乗務できない場合が出てきます(一度に乗務できる時間は制限されていますので)。 

 なにはともあれ、今回のロンドンまでのフライトもいつもどおりスムーズに行きました。 相変わらずイギリス英語の航空無線に苦労させられることもありますが、3度目ともなるとだいぶ慣れてきました。 何事も慣れですね、本当に。 ロンドンは毎回どこかでホールド(空中待機)させられます。 我々がロンドンに到着するころに、同じようにロンドンの空域に入ってくる航空機の数が多すぎて管制官がさばききれなくなるので、どこかで空中待機をさせられます。 今のところ毎回オッカムという場所にある航空無線標識局の上でぐるぐる〜っと旋回させられます。 だいたい時間にして10〜15分ほど。 そして我々の着陸の順番が来るとレーダーベクターとスピード制限で細かくコントロールされ、最終的に着陸ということになります。 ロンドン空港は独特なあるあるが結構あります。 これはまた次回にでも。

 今回のレイオーバーでもいろんなところに足を運びました。 まずはオールドボンド通りなどの商店街を通ってイギリスで有名な靴屋さんを何件か回りました。 ちょうど今はセールの時期なので、いたるところでバーゲンをやっていました。 僕は結局なにも買いませんでしたが、イギリスの昔からの職人が作る革靴というのはとても魅力的で、お店に入るとレザーの匂いに圧倒されます。 そういう体験ができるのも実際にロンドンに行ったからこそ。 良い体験をしました。 それからはピカデリーサーカスやオクスフォードサーカスといった有名な通りを歩きました。 翌日にはランニングで運河沿いに散策してみました。 

 グーグルマップを見ていて気付いたのですが、ロンドンには「リトル・ベネチア」という場所があります。 運河が交わり、ボートハウスなどがあってなかなか雰囲気が良いです。 カナダに帰る数時間前にここを走ってきました。 ワイドボディのパイロットになって海外に来ることが増え、こういう貴重な経験をレイオーバー中にできることがなかなか楽しいです。 時差ボケや夜中中フライトするなど辛いこともありますが、それでもナローボディーで国内を飛んでいるのとは違った楽しみがあると思います。

 では今回のレイオーバーの様子を写真でどうぞ。
 
 ハリファックスで出発前に食べた夕食。 ラザニアでした。

ロンドンのイーストエンド。 テロなどがあったせいか、至る所に「ロンドンはすべての人々を歓迎します」的なメッセージが掲げられていました。 日本語でようこそって書いてあるのもちょっとおちゃめ。

ピカデリー・サーカスと2階建てバス

リトルベネチアにつながる運河とボートハウス。 ボートハウスには実際に人が住んでいて、船の外でモーニングティーを飲んでいる人を見かけることもあります。

リトルベネチア。 船のクルーズなどがあるみたいです。


 ロンドンを出発し、7時間ほどのフライトを経てオタワに到着しました。 それから税関審査・入国審査を経て、30分後にはトロント行きのデッドヘットフライトに乗っていました。 予定では2時間ほど後のフライトでトロントまでデッドヘットの予定でしたが、うまいこと早い便に乗ることができました。 こういうのはベテランパイロットが良く知っています。 今回も一緒に飛んでいた機長がいろいろ知っている人で、「2本早いフライトで帰るぞ!」って意気込んでいて、見事に早い便に乗ることができました。 一般の乗客として旅行していたら30分で入国審査や身体検査場を通過するのはほぼ不可能です。 我々はクルーバイパスと呼ばれる空港で働く職員などが通る特別な入り口を通るので圧倒的に早く身体検査などを通過することができます。

 

(つづく)