2020-11-25

エアバス訓練後半戦終了 → 型式証明取得しました。

 前回の書き込みの後でトロントに戻り、フルモーションシミュレーターでの訓練が始まりました。計7回のセッションがあり、その後で3回の審査を受けました。訓練は前回書いたとおり朝早い時間のスタートが何回かあったため夜はなかなか眠れず、慣れたタイムゾーンを出ていないにもかかわらず時差ボケをしているような感覚になりましたが、なんとか乗り切りました。

 シミュレーターは最初の数回はエアバスのシステムに慣れるためのセッションが続きましたが、シミュレーター訓練が進んでくると毎回システムが故障した場合の手順を学ぶことが主になりました。なんども書いているかと思いますが、エアバスは自動化が進んだなかなかのハイテク機で、すべてが正常に機能している限りはとても飛ばしやすい飛行機だという印象です。ただ、なにかが故障するとすべてのプロテクションが解除され、いきなりすべて手動操作のような感じになることがあります。この状態での操縦はなかなか難しいと思いましたが、実際にはこういう最悪の場合になることは極めて稀だと思います。でも、そういう場合に備えて訓練をしておくことは大事です。

 訓練は本来であれば1週間早く終わる予定でした。最終審査の1日目が始まる前日、シミュレーター訓練のプランを立てる担当者からメールで、「審査官が病欠のため、明日からの3日間の審査はすべて一旦キャンセルになります」と連絡が入りました。せっかく勉強もしっかりして準備万端だと思っていたのにがっかりでした。その後、予定が決まるのに数日かかると言われ、その間はとりあえずトロントのホテルで待機したのですが、結局は一旦モントリオールに戻ってと言われ、仕方なく自宅に2日間だけ戻ってきました。そしてまたトロントに戻り、ようやく審査を受けることができました。

(写真上:一時帰宅した際のフライトはエアバスでした)

 昨日の最終審査終了後、審査官が僕のライセンスにサインをしてくれ、エアバスA320シリーズ(A319/320/321)の型式証明(タイプレーティング)を発行してもらいました。今回でタイプレーティングを取得したのは5機種目となりますが、ライセンスに新しい機種のタイプレーティングが加わる瞬間は何度目であっても嬉しいものです。
 
 振り返ってみると、今回の訓練が始まったのは10月上旬でしたので、今回の訓練は2ヶ月弱だったということになるかと思います。3月からフライトがなく、自宅待機が長く続いた後での訓練はなかなか刺激的でした。半年以上もフライトしていないと忘れてしまっていることも多かったです。普段のフライトで当たり前にやっていたことがすっかり頭から消え去っていたりもし、そういうことを復習する良い機会にもなりました。それと同時に、脳のどこかには昔の記憶がしっかりと残っていることを思い知らされる機会も多くありました。エアバスの操縦中に767の操縦で行うことや口にするフレーズがふとした時に出てくることもあります。これはこれからもしばらくは続くと思います。

 今回の訓練は僕にとって初めての機長・副操縦士ペアでの訓練となりました。これには良い点・悪い点があるように感じました。良い点は、僕は副操縦士としての操作に集中することができましたので、学習速度が速かったように思います。当然ながら機長が行う操作も頭には入っていますが、それを副操縦士としてオブザーブするのと実際に自分がやるのはまた違ったものです。また、パートナーだった機長は機長経験が豊富で常に状況を冷静に判断する目を持っています。今までの訓練ではいつも副操縦士2名での訓練だったため、一人が機長役をやることになり、あまり効率の良い訓練では必ずしもないということもありました。こういった良い点があった一方、機長(特にベテラン)との訓練ではあまりよろしくないこともあるえるなと感じました。一つだけ挙げるとすれば、ベテランであればあるほど、過去に乗務してきた様々な乗務経験が新しい機種の操縦学習の邪魔をすることがあるということです。「767ではこうやっていた」とか、「3年前まではこうやって飛ばしていた」という言葉がなんどもパートナー機長の口から出てきました。パイロットという仕事は常に日々変わる法律、会社のポリシーやSOP、導入される最新テクノロジーへの対応が求められる仕事です。過去にとらわれているとあっという間に取り残されてしまいます。定年間近になればなるほど仕事に対するモチベーションが下がることもあるでしょうし、過去の知識が邪魔をすることもあると思います。今回の訓練ではそういうことを考えさせられました。

 今日、訓練中の食事手当の申請をするためにホテル滞在期間を数えてみたら、30日を軽く超えていました。今回は2つのホテルに滞在しましたが、どちらもコロナ禍ということもあって、とても空いていました。滞在中に隣の部屋に誰かが泊まっていたのは1日だけで、あとはとても静かでリラックスした時間を過ごせました。一つのホテルはコロナ対策がしっかりされていたようで、ちゃんと消毒済みというステッカーが貼られていましたが、もう一つはそういう対策は一切ないようでした。そのため、自分で買ってきたアルコール消毒布でスイッチやドアノブなどをすべて消毒しました。ちょっとやりすぎでないかとも思いましたが、コロナに罹って訓練が中断するのは嫌でしたし、パートナーやインストラクターなどに迷惑をかけたくもなかったので徹底しました。トロント滞在中にはほとんど人と会うこともなかったので残念でしたが、今は仕方がありません。食事の多くがUber Eatsの出前でした。皿洗いをしなくてよかったので楽でしたが、栄養バランスはあまり取れていなかったように思います。


 訓練最終週に入ってトロントは雪が降りました。一日中降って結構積もりました。またこの季節がやってきましたね。これから始まる(であろう)路線訓練もおそらくはde-icingをしないといけない日もあると思います。なにかと面倒な時期です。

 その路線訓練(line indoc)ですが、まだ予定は未定です。いつになったら実機で飛べるのか。とりあえずは長い訓練が終わったので、モントリオールの自宅でのまったり時間を少しだけ楽しもうと思います。


(つづく)

2020-11-02

エアバス訓練後半戦スタートへ。

 訓練前半が終わってモントリオールに戻ってきてから早くも1週間近く経ちました。やっぱり休みはいいですね。だらだらと終わりがない休みが続くのは精神的に辛いものですが、仕事(訓練)があっての休みなのでメリハリがつき、とても満喫できました。とはいえ、自宅に戻ってきたからなにか特別なことをしたというわけではないのですが、やっぱり心の余裕を取り戻すのにはやはり自宅が一番です。

 休みの間は久しぶりにオールドモントリオール(旧市街地)に散歩に行ったり、今季初の鍋を作ったりしてまったりと時間を過ごしました。ほんの2週間留守にしていた間に街はあっという間にクリスマスの雰囲気に包まれています。街路樹は葉がほとんど落ちてしまって、紅葉ももう終盤という感じがします。モントリオールの季節の移り変わり(秋→冬)はとても早く感じます。また、気温がグッと下がってきまして、既に夜間は氷点下の時もあります。明日は降雪の予報が出ています。




 さて、明日からまたトロントに行きます。火曜日からFFS(シミュレーター)を使っての訓練が始まります。IPTでは操縦桿などの操作はありませんでしたし、スイッチ類のほとんども画面上でのタッチ操作でしたが、シミュレーターの場合はすべてが実機そのもので、また、操縦桿を使っての操縦も行います(=フルモーション)。IPTではあまり現実味のなかった訓練項目(例えば急減圧の際の急降下)はシミュレーターでやることによってかなり現実と近い状態で再現することができます。また、これからは離陸直前にエンジンが停止したり火災が起きたりする、もっとも危険な緊急事態の再現もでき、その手順も練習できます。今回が初めて航空機をサイドスティックを使って操縦することになるので、今までの操縦桿を使っての操作とどのくらい違いがあるのかを体験できることが楽しみです。

 一方で、ホテルにまた2週間住むことになるので、その点はあまり楽しみではありません。ただ、今回のホテルは前回のホテルよりもちょっと格が上がるようですし、キッチン付きの部屋らしいので、前回よりはUber Eatsを使わなくても健康的な食事ができるのではないかと思うので、その点は楽しみです。

 明日、正午のフライトでトロントに移動し、ホテル到着後はスーパーにいって食材を購入する予定です。それからは勉強を少しして、IPTで習ったことを復習する予定です(自宅滞在中も少しは勉強をしていて、大切な項目を完全に忘れないように努めてはいました)。

 今回の訓練のもっとも大変であろうこと。それは「早起き」。シミュレーターパートナーは睡眠障害・無呼吸症候群を患っているのです。そのため、本来は夜の訓練が続くスケジュールだったのですが、「俺はその時間帯は生理的に機能できない」と会社に言って、訓練スケジュールを変更してもらったのです。その結果、ほぼ全てのシミュレーター訓練が超早朝スタートとなっています。朝4時前からブリーフィングって考えられますか?(笑)。このパートナーとは767時代に一緒に仕事したことも何度もあるんですが、睡眠障害がありながら深夜のヨーロッパ便とかどうやって飛んでたの?って思ってしまいます。まあ、僕は朝方の人間なので、最初の数日を乗り越えれば問題ないとは思うのですが、なんだか解せません(笑)。結局のところ、言ったもん勝ち的な雰囲気です(爆笑)。



 それではまた。


(つづく)

2020-10-28

エアバス訓練前半戦終了。

 昨日、トロントでのエアバス型式証明取得訓練の前半部分であるIPT訓練を終え、2週間ぶりにモントリオールに戻ってきました。今回は今の会社での2回目の型式証明取得訓練になるので、その過程と感じたことをまとめようと思います。

 そもそもですが、パイロットのライセンスはそれ自体では飛ばせる飛行機が限られていて、旅客機クラスになると機種ごと(例えばボーイング777, エアバス350等)に操縦資格が必要になります。その資格のことをtype rating(型式証明)と呼びます。

 前回、ボーイング767の型式証明を取得するために訓練を受けたのが2017年のこと。その時は会社のマニュアルなどの勉強のために最初のしばらくはトロントでの座学があり、その座学が終わるちょっと前に乗務する機材が発表になりました。座学が終わると機種ごとの訓練に入るという形で、僕の767訓練のすべてがバンクーバーの訓練施設で行われました。今回と同様、まずはIPTでの訓練、それが終わるとIPT訓練で学んだことをちゃんとできるかを確認するためのテストがありました。それに合格するとフルモーションフライトシミュレーターでの訓練に入りました。それが2週間ほどあり、また確認のテストがありました。それに合格して、いよいよ実機での実地訓練(line indoc)に入っていき、最終的にはline checkというテストのようなものがあって、それに合格して晴れて型式証明を取得という流れになります。

 ということで、乗務する機種が変わると僕の会社の場合は4つのステップを経て資格を取得します。

     1. System knowledge(自宅での勉強期間)-> テスト
     2. IPT -> テスト
     3. Simulator -> テスト
     4. Line indoc -> テスト(ラインチェック)

 今の僕はステップ2のIPTを終了したところです。なのでちょうど折り返し地点というところでしょうか。

 今日はIPT終了までの経緯と感じたことなどについて書きます。

 IPT訓練が始まる前日にトロント入りしました。モントリオールからトロントまでは飛行機で一時間ほど。飛行機に乗ったのは半年ぶりでした。空港は閑散としていて、人はほとんどいませんでした。フライトは新型機であるエアバスA220-300(旧ボンバルディアCS300)。主にビジネスジェットやリージョナル機を製造しているボンバルディアがデザインしたとは思えないほど機内は広く、スクリーンや窓も近代的なサイズで快適な旅となりました。コロナの影響でマスク着用が義務付けられていて、機内アナウンスもマスクやCOVID19についてのことが繰り返し説明されます。やややりすぎでないかい?とも思いましたが、時期が時期なので仕方ないでしょう。いつもは機内持ち込みバッグのみで旅行することがほとんどですが、今回は2週間滞在で服や持ち物も多くなるので大きめのスーツケースを持っていくことにしました。空港ではタッチレスで荷物タグを発行でき、自分でバッグのドロップオフエリアに持っていきます。手順がシンプルでいいです。



(モントリオールを離陸してすぐの景色。空港が左上に見えます。)

 ホテルは空港側のホテルでした。おかしな話ですが、仕事をしているときにレイオーバーで泊まるホテルは結構格が高いホテルが多いのですが、訓練期間は2流以下のホテルです。そこはケチっているのか、なんなのか。部屋は狭いし、ベッドもなんだかなぁ〜という感じ。半年ぶりに自宅以外で時間を過ごすことが予想以上にストレスに感じました。っと同時に、モントリオールの自宅がいかに快適だったかということを再確認させられました(やっぱり自宅が一番)。このような感じでホテル滞在初日は不満がありましたが、自分の適応能力はこれまた予想以上に高かったようで、二日目以降は特に不満もなく、快適に過ごすことができました(改善できる点はたくさんありましたが・・・)。

 僕の訓練パートナー、そして同時期に訓練を開始する別のペアは全員モントリオールベースのパイロットで、彼らはモントリオールから車で約五時間かけてやってきました。トロント滞在中に車があることはかなり便利なのでそうしたのだと思います。僕も考えましたが、これから天候が悪くなることもありますし、実は訓練開始前に腰を痛めてしまったこともあって、五時間の運転は腰に悪いと思って素直に飛行機で移動してきました。パートナーの車があったおかげで毎日の訓練所までの行き来は彼の車でできたので楽でした(本来であればクルー用タクシーを毎回呼ばなければならず、待ち時間などが無駄になります)。


 訓練は毎日正午から、ブリーフィングから始まりました。ブリーフィングはだいたい1.5~2時間ほど。その日に学ぶことの詳細や知っておかなければならない手順についての説明があります。僕たちのインストラクターは自社で働いたことはなく、グループ系列のリージョナルで働いた経験やチャーター会社で働いたことがある契約インストラクターでした。ブリーフィングは2ペア同時に行い、IPT訓練ではまずは最初のペア(ペア1)が訓練を受けます。その間、ペア2の二人は後ろで観察するという形が我が社のIPT訓練では普通になっています。IPT訓練は各ペア2時間ほどです。

 IPTはこんな感じです↓



 真ん中にある出力をコントロールするスラストレバーのブロック以外は複数の大きなタッチスクリーンで構成されています。スイッチをON/OFFするときは画面上をタッチするとスイッチの動きを擬似再現できます。これがかなり繊細かつ不正確で、ONにしたいのにOFFになったり、真ん中の位置に移動させたいのに上にいったり下にいったりと、なかなかイライラする精度です(笑)。

 エアバスA320は古い機体なのでIPT自体も古いものです。もっと新しい飛行機のIPTはテクノロジーが発達しているので、もはやシミュレーターじゃね?と言いたくなるほど進化しています。

 ボーイング787ドリームライナーのIPTはこんな感じ↓


操縦桿、ラダーペダル、スラストレバーに座席などは本物、さらにはHUDを再現した画面などが備え付けられています。


HUD/外の景色の画面ではマーシャラーまで見えます(笑)


 そしてエアバスA220-300のIPTはこんな感じ↓


こちらは通称ペデスタルと呼ばれる機長席と副操縦士席の間のスイッチ類やスラストレバー等はすべて実機通りです。


サイドスティックもラダーペダルも当然完備。ここまでくるとモーションのないシミュレーターです。

 ということで、A320のIPTは他の最新鋭機と比べると見た目はかなり乏しいですが、ちゃんと機能します。ときどきエラーが出てコンピューターを再起動しなければいけないなんてこともあります。

 このIPTを使って一通りの訓練を行いました。最初の日は僕と機長ペアがグループ1。そして翌日は我々がグループ2という風に交代して訓練を受けます。グループ2はグループ1が終わるまで待たなければいけないので、訓練が全て終わるのは日が暮れた時間帯になります。

 IPT訓練はここ6ヶ月の自習のおかげで予想以上にスムーズに進みました。本で学んだことを実際にIPTでやることでカラダで覚えることができます。また、間違いや失敗をすることで、そこから学ぶこともできます。習うより慣れろという感じで、なかなか楽しい訓練となりました。

 今回の訓練中で一番大変だったのは毎日の食事です。ホテル暮らし、かつ今はコロナウイルスの影響もあり、トロントのレストランはすべて持ち帰りのみとなっています。そのため、今回の滞在中の夕食の多くはUber Eats(出前)を利用しました。本当に便利でよかったのですが、手数料や配達料がバカにならないし、当然ながら栄養が偏った食事になってしまいます。2週間の間、栄養バランスの悪いものを食べても死ぬわけではないでしょうが、今までずっと自宅でバランスの良い食べ物を食べていたのに、ここにきていきなり脂っこいものや塩分の高いものを食べると体がなかなか受け付けませんでした。それも最初の週が終わるころにはすっかりなれ、「料理しなくていいし、皿洗いもしなくていいから楽やなぁ〜」と前向きに考えるまでになりましたが(笑)。

 このような感じで2週間の訓練はあっという間に終了。毎日部屋からトロント空港に到着したり出発していくフライトを見ながら過ごしました。


部屋からの眺めはこんな感じ。滑走路がすぐそこにあります。

 今回初めてエアバスの操縦を習っているのですが、今のところとても楽しんでいます。ボーイングやボンバルディア機とはかなり違う航空機で、戸惑うところもありますが、今のところの感想はこんな感じです:

 オートメーションがすばらしい
 操縦(オートパイロットの扱い)はわかりやすい
 767と比べると速度が遅いし、速度を速やかに落とせる
 767と比べて上昇能力がかなり低い(高度を稼ぐのに時間がかかる)
 とはいえ、767に似ているところも多い(結局、飛行機はどれも似ている)
 FMS(FMGS)はかなり違って使いにくい(慣れるのには時間が必要)
 操縦の「フロー」はわかりやすい&覚えやすい(そもそもスイッチ類が少ない)
 コクピット内のスイッチの位置が理にかなっている(80年代の設計とは思えない)
 コンピューターが飛行制御することが多く、なにやっているかわからなくなることがある
 緊急時の手順がECAMという画面に表示されるので、それに従えばよく、かなり楽チン

 という感じです。ちょっとマニアックな内容ですが、総合的に言えば「楽な飛行機」という印象です。楽ということは安全ということ。今まで操縦してきた飛行機の中でもっともわかりやすい飛行機というか、理にかなったデザインの航空機という好印象です。これがシミュレーター訓練が始まっても同じような印象かどうかが楽しみです。

 11月2日にまたトロントに行き、翌日3日からシミュレーター訓練が始まります。今度は実際にサイドスティックを操作して操縦する手順なども学ぶ機会があるのでとても楽しみです。


(つづく)













2020-10-10

過去ログ:2007年1月3日〜2007年1月4日

ビクトリア81日目:飛び初め。
2007年1月3日水曜日

 今日は今年初のフライトとなりました。 天気はあまり良くないかと思いきや、結構雲も開けて来ているようです。 ということでディスパッチャーに電話をして12時からソロフライトに行くことにしました。 

 12時ちょっと前にクラブに着き、セスナ152のZSCの鍵と書類等が入った書類ケースを受け取ります。 書類ケースの中には保険に加入している証明、ウェイトアンドバランスの情報、飛行機の登録の証明、耐空証明など、いろんな書類が入っています。 パイロットは飛行前にこれらの書類を確認して、飛行機が飛べる状態であることを確認する必要があります。 とはいっても、クラブ所有機の場合は特に問題はないでしょうから、いつもはジャーニーログブックを確認して、今までのフライトで問題がなかったなどを確認する程度です。 神経質な人はすべて念入りに確認してもいいんでしょうけどね。 ちなみにサスカトゥーン時代はこれらの書類を確認したことは確か1回くらいしかなかったと思います。 それでも大丈夫だったサスカトゥーン、恐るべしです(笑)。 

 今日は久々のソロフライト。 今年初めてのフライトをソロフライトで迎えられるのは気分もいいですし、今年のやる気を象徴しているようで心地よいです。 機体は久しぶりに152で、ウォークアラウンドをしているときに、「小さっ!」っと思いました。 やっぱり172と比べるとかなり小さく感じます。 プロペラも薄くて短いです。 でも、こじんまりしていて僕は好きですけど。 コクピットに入って用意をすると、タコメーターの位置が違うのでちょっとやり難いです。 152では右席の前、172では左席についています。 ですから、172の感覚で正面を見ても計器がなく、あれれ?っとなってしまうわけです(笑)。 それでも、最初の10分くらいで慣れましたが。 離陸のときから思いましたが、やっぱりパワーが少ないです。 152で110馬力、172で160馬力ほどだったと思いますから、結構パワーの違いは大きく、離陸後の上昇速度などはかなり違いを感じました。

 今日はローカルウエスト側から天気が崩れているようだったので、ローカルイーストに行きました。 いつものSan Juan Islandという島(ワシントン州)の辺りを飛行します。 なにをしようかな〜っと思っていたのですが、とりあえずは不時着の練習をしました。 San Juan島の南東のほうに今はもう使われていない滑走路があります。 その滑走路を着陸ポイントと見立ててエンジンが停まった場合にどうするかという手順のおさらいです。 1回目はフィールドと高度の関係で位置関係がうまく掴めませんでしたが、2回目にはうまくいきました。 その後はPrecautionary landingという手順をおさらいしました。 これもそれなりにうまく行きました。  その後はPower-off stallというエンジンをアイドルにして飛行機を失速させて、そこからの回復の練習をしました。 1人で聞くストールホーンの音といったらとても不気味です(笑)。 そして最後にスティープターンを1回して空港に帰りました。 1人で飛ぶと時間が経つのが遅く感じます。 結局今日はかなり飛んだつもりでしたが、0.9時間の飛行でした。 ローカルイーストが空港から近いというのも要因かもしれません。 今日のソロはなかなか落ち着いてフライトできたので満足しています。 無線も難しいことは言われなかったですし、着陸もやや横風に流され気味ではあったものの、それなりに綺麗に降りれたと思います。 

 今日の写真というか動画は滑走路09からの離陸待ちの時に撮りました。 離陸準備ができたら、「ready for take-off」と管制塔に告げますが、他の飛行機が着陸してくるときは「Hold short」(待機せよ)と言われます。 待機している間は特にすることがなく、今日はカメラを持って行っていましたので、その間に撮影しました。 なお、着陸してくる飛行機が通り過ぎたらすぐに「Taxi into the position」(滑走路内に進入せよ)という指示が出たのですぐにカメラを畳んだために最後は慌ただしく写っています(笑)。 他にも今日はムービーを撮りました。 ご心配なく、落ち着いた気流で、安全なときにしか撮影はしていませんから。 危険なときに撮影をするほどの根性と腕はありません(笑)。

 今日は夜はグランドスクールに参加しました。 前回の続きでナビゲーションのやり方です。 実際にルートを決めてプランニングをするという内容です。 今日の内容もほとんど既に知っているものばかりでしたが、それでもいくつか知っておいて損のない内容がありましたので、今日も行ってよかったと思います。 次回は6日で、それでナビゲーションはすべてカバーしたことになるようです。 それが僕の無料グランドスクールの最後のセッションとなりそうです。

 明日の天気も微妙です。 夜は風が強くなる予報が出ているので、明日もナイトクロスカントリーフライトは無理かもしれません。 日中の天気が良ければまたトレーニングエリアに行こうと思います。 次はストールを数回やって、スピンでもやってやろうかと思います。 1人のスピンは怖いですが、慣れないといけませんから。 

 最後に、日本にいるパイロット仲間のために152の計器パネルの写真(高画質)を撮影しました。 ここから観れます(サイズ:約2.5MB)ので、イメトレなどにご利用ください。

 

 ではまた明日!

 

(つづく)
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ビクトリア82日目:天気の勉強。
2007年1月4日木曜日

 今日のトップ動画は昨日のソロフライト時の映像です。 見えている島々はすべてアメリカです。 空港を離陸して10分も経たない間にアメリカに入ります。 繰り返しますが、安全を確認して撮影していますのでご心配なく。 良い子は真似しないでください・・・ 途中でおかしな音が入りますが、これは編集の時に入った音です。 なんでこうなったかはわかりません。 ご容赦ください。

 さて、今日は天気はそこそこよかったものの、やはり雲が低く、クロカンフライトとはなりませんでした。 いい加減、このことを書くのも嫌になってきました。 明日からは書きませんから、クロカンのことが書かれていなかったら、「あ、今日も無理やったんや」と推測してください(笑)。  せめてソロフライトに行こうかとは思いましたが、METARにはgustの文字があったり、SN(雪)の文字があったりして、さらにGFAを見たらTS(雷)という文字までありましたので、今日はおとなしくしておこうと思いました。 Gustくらいなら経験を積めばある程度は問題なく飛べるとは思いますが、雷雨が相手ではどうしようもありません。 マイクロバースト、マクロバーストと呼ばれる突風に巻き込まれたら軽飛行機なんかあっという間に吹き飛ばされてしまうそうです。 機体がばらばらになっちゃったりもするそうです。 西の空を見ると大きくて黒い雲(CB=Cumulonimbus)が出ていて、METARによればTCU(Towering Cumulous)が隠れているようです。 ということで、今日は僕の技量ではどうしようもないと判断してフライトしないことにしました。 自分の能力をよく理解して、飛ばない決断をすることも重要です。

 天気のせいで飛べないことを嘆いても仕方ないので、この機会に天気の勉強を再度おさらいしました。 まずはトランスポートカナダのサイトにあるビデオクリップをすべて観ました。 ここからアクセスできます。 「Weather to fly」と題されたショートムービーが26個あります。 どれも単純な内容ですが、注意を喚起する内容で為になりました。 それをすべて見た後は教則本である「From the Ground Up」を持ってカフェに行きました。 今日は昨日、おとといと行ったSerious Coffeeの横にあるカフェに行きました。 2軒のカフェが隣同士にあります。 競争はあるのかどうかという余計なことを気にしながらカフェに入りました。 Serious Coffeeとは違ってサンドイッチやサラダなどがあるどちらかというとデリに近い感じのおしゃれなカフェです。 昼ご飯は食べてから家を出たのでカプチーノだけを注文しました。 テーブルに持って来てくれたカプチーノには花のシンボルがミルクで描かれていました。 「うぉお〜!」っと感動したのもほんの数秒間で、すぐにすすってやりました(笑)。 味はまあまあ。 おいしいのはおいしいですが、特に驚きはありません。 もともと僕は食べ物に対するリアクションが小さいほうなので・・・ リアクションがないということはおいしいということです。 まずいときは大げさにまずいと言いますから。

 カフェではFrom the Ground Upの天気のセクションを読み直しました。 なかなかためになります。 前線のこと、水が凝固したり気化したりするときの現象や特徴について、空気の流れや風の仕組みなど、パイロット以外の人でも知っておくと便利な内容ばかりです。 小一時間本を読んでカフェを後にしました。

 その後はジムに行きました。 今日はスピニングマシーンを30分、トレッドミルを30分、ウェイトトレーニングを30分ほどしました。 いつものとおりいい汗を流しました。 iPod Shuffleにはアンジェラ・アキの曲なんかを入れてみました。 彼女の声はいいですね。 ハーフの顔と徳島弁のミスマッチも面白いですし(笑)。 皆さんのお勧めの音楽などがあれば教えてください。 

 今夜の食事はこの前にも1回作ったアルフレッドソースのフェットチーニです。 今回はチーズの量を減らし、さらにパルメザンとアジアーゴという種類のチーズを混ぜてみました。 さらに牛乳の量を多くし、パスタはアルデンテよりも固い段階でお湯きりをして、沸騰した牛乳とバターの中で最後の茹で上げをしました。 そしてチーズを投入。 黒こしょうをいっぱいいれて、マッシュルームとベーコンのみじん切りを入れればできあがり。 今日のはおいしかったです(自己評価:94点)。 スープで茹で上げるというのがポイントです。 ぜひお試しください。 

 明日も天気は悪いみたいです。 晴れ間が出ればソロに行きたいです。 雨なら、From the Ground Upを読んだり、チャートを読んだり、Canada Flight Supplementを読んだりする予定です。 時間はあっても、やることはいくらでもあることに気がつきました。 しっかり勉強しようと思います。 明日は違うカフェに行こうかな〜。

 

 ではまた明日。

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【編集後記】

今回は写真がなくてすみません。当時の動画はどこにいったのかわかりませんのでお蔵入りです。当時はコンデジの動画機能を使って撮影していました。今のようにGoProのようなアクションカムはまだ発明されていなかったので、画角は狭かったですし、ひどい時にはカメラを口にくわえて撮影したこともあってブレブレだったります。 今だったら絶対アクションカムを2個ほど機内にマウントして撮影すると思います。自分の操縦を客観的に見ればミスをしたところも上手くできたところも見れて、予習復習に最適だと思います。

今、自分が新しい飛行機の操縦を勉強するにあたって、文字で説明されるよりも実際の映像を動画で観た方が圧倒的に記憶に残りやすいと思っています。うちの会社のトレーニング部門が訓練ビデオをいくつか公開しています。イメージを掴むという目的では良い動画ですが、やっている内容も編集もなんだかいまいち・・・。また、運航手順(SOPs)は比較的よく変わるので、その度にビデオを撮り直すというのもきっと面倒なんだとは思います。

 

(つづく)


2020-10-07

覚書可決と自習期間開始。

  前回書きました覚書ですが、いろいろな憶測を裏切り、圧倒的多数に可決される運びとなりました。これで向こう半年間はパイロットの解雇はなくなり、さらにはお給料も少し改善されることになりました。失職する可能性がとりあえず6ヶ月間はなくなったので生活の安定という意味ではよかったよかったとなりますが、一方で既に解雇されてしまったパイロットたちに対する手当などはなく、なんとなく腑に落ちない内容となりました。

 この覚書が可決されたことと同時に会社は僕が以前所属していたLCC部門の再開を発表しました。その部門はパンデミック発生直後に一旦運行停止状態になっていました。そんな中でequipment bidが行われ、LCC部門のポジションは一時的に消滅しました。ところが今回のLCC再開の発表を受けてLCC部門のパイロットが再度必要になったため、またもや今月equipment bidが行われています。僕は前回同様エアバスA320のポジションに残りたいと思っていますが、モントリオールベースにもともとあったメインラインのA320ポジションはすべて消滅してLCC部門のA320に取って代わられることになったため、そのままLCCのA320ポジションに移動できるようにビッドしています。訓練が今月13日から開始される(予定)ため、今の段階で他機種に移動したいとも思いませんし、長期的キャリア計画の観点から鑑みても今はエアバスのナローボディーに移動するのが引き続き最善の策と考えています。これでLCC部門の勤務条件やスケジュール等が元どおりになればうれしい限りですが、向こう6ヶ月は覚書に基づいてLCC部門であってもメインラインと同じ勤務条件・お給料ということになっています。

 今日はエアバス訓練開始日からちょうど1週間前になり、今日から5日間の「self-study days」が始まりました。我が社では機種変更トレーニングの場合はまずは5日間の自習期間から訓練が始まります。この期間に最低限暗記しなければならない緊急時の手順と、飛行機のシステムを学ぶためのモジュールをこなすことになっています。1日に5~6項目のシステムを勉強し、最終的に試験に合格する必要があります。勉強時間は1日6~7時間ほどです。

 とはいうものの、実際にはこのモジュールや勉強カリキュラムには訓練開始よりもだいぶ前にアクセスできます。そのため、なるべく早く暗記ものは暗記してしまうのが訓練をスムーズに進めるための秘訣だと思います。このブログでもなんども書いているとおり、航空会社の訓練は「Drinking out of a fire hose(消火ホースから吹き出す水を飲む)」という表現で比喩されるとおり、一旦訓練が始まると毎日次から次へと勉強しなければいけないことを否応無しにどんどん与えられます。ゆっくりと立ち止まって消化する余裕はなく、そのペースに食らいついていかなければなりません。僕は今まで航空会社での訓練を3回経験しています(Dash-8, CRJ, B767の訓練です)が、どれもこの比喩通りのハイペースでの訓練だったように記憶しています。そのため、今回もなるべく早い段階でエアバスの仕組みや操縦手順を学習するように努力してきました。それでも訓練が始まると頭が真っ白になることが多々あるはずです。あのストレスは何回訓練を受けても慣れません。とはいえ、訓練が終わってしばらくするとちゃんと飛べるようになっていますから、訓練カリキュラムはちゃんと機能するように計算されているんですね。

 モントリオールはどんどん秋が深まって来ました。市内にあるモンロワイヤル山には紅葉を楽しむために多くの人が訪れています。残念ながらマスクを装用する人の数は少なく、その影響もあってかモントリオールは現在Red alertが発せられていて、レストランやバーなどはテイクアウト以外は閉鎖されています。それでもマスクをしようとしない人がいるのは理解に苦しみます。今日はそんな紅葉の写真と、マスクをしない人がいることに絡んでフェイスブックで見かけた写真をシェアします。

(和訳)コロナウイルスの教訓

 この写真は第二次世界大戦中にロバを担いでいる兵隊の写真です。なにもこの兵隊はロバが好きというわけではありません。この野原には地雷が埋められているため、ロバを自由に歩かせるとおそらく地雷を踏んでしまって部隊の全員が死んでしまうためロバを担いでいるわけです。つまり、パンデミックのような非常事態に直面した際、危機の深刻さが理解できないおバカさんたちをまずはコントロールしなければならないのです。




(つづく)

2020-09-28

過去ログ:2007年1月1日〜2007年1月2日

ビクトリア79日目:寝正月。
2007年1月1日月曜日

 皆様、新年明けましておめでとうございます。 今年もYouHaveControl.netをよろしくお願いいたします。

 さて、元旦の今日は日本風に寝正月となりました(笑)。 昨日の夜は日付が変わる瞬間は外に出て、いろんなところから聞こえてくるロケット花火の音で新年を迎えました。 結局午前2時まで起きていたので、今朝はゆっくりとしたスタートでした。 ベッドに横たわったままテレビでやっていた映画を観ていました。 新年のスタートにこれではいけないと思い、シドニーのダウンタウン(Beacon Avenue)にあるSerious Coffeeという雰囲気がよさげなカフェに行きました。 正月だから休みかなとも思いましたが、この前のクリスマスの日でもスタバは開いていたので、カフェは正月でもやっているのではないかと思い、家を3時過ぎに出ました。 今日はあいにくの雨です。 それも比較的多めの雨が降っています。 METARを見てみますと、「SHRA」となっています。 SHはシャワー、RAは雨(rain)という意味です。 ここで注意しなければいけないのは、SHの前になにも付いていないことです。 弱い雨の時は「-SHRA」というふうに頭にマイナスが付きます。 マイナスはlightという意味です。 同じような感じで、強い雨の時は「+SHRA」となります。 なにもついていないときはmoderate rain showerというふうに解釈します。 つまり、弱いと強いの間の雨ということです。

 カフェにつくと、やっぱりOPENとなっています。 よかった〜と思って中に入ると、人だらけです。 「貸し切りか?」と思わず思ってしまったくらい人がいます。 中はスタバなどとは違ってとても広く、ソファーがたくさんおいてあります。 ラテ(3.75ドル)を頼み、席を探します。 どこにも空いているテーブルはなかったので、おばあさんが1人で座っているテーブルに相席をさせてもらおうと思って、「その席空いてますか?」と聞くと、「友達がいたんだけど帰ったから空いてますよ」との返事が返って来ました。 あ〜よかった、と思い腰をかけます。 そのおばあさんはとても感じの良い人でずっとおしゃべりをしました。 彼女はもともとイギリス人で、カナダに兄弟が住んでいたから旅行で訪れたらカナダが好きになったのでそのまま移民したそうです。 今でもイギリスには2年に1回くらいは帰省するそうです。 今は僕の家の近くのResthaven Streetに住んでいるそうです。 彼女はコーヒーを飲みおえたらスーパーに行ってくるといって立ち去りました。 おしゃべりは楽しいひとときでした。 彼女が帰ったあとはいよいよ今日の目的である「ログブックの書き写し」を始めました。 今使っているログブックはサスカトゥーン時代に購入したカナダ式のログブックで、それに書いてある内容をすべて日本から持って来たJCAB(日本の航空局)が監修して発行されているログブックにずっと前から書き写したいと思っていたのです。 昨年やっておけばよかったのですが、結局今日になってしまいました。 日本のログブックは飛行時間を時間と分で書きます。 カナダのログブックは時間のみで書いています。 例えば、1時間30分のフライトは、日本のログブックでは「1時間30分」となりますが、カナダのログブックでは「1.5時間」となるわけです。 なので、すべて日本式に換算しながらログを付けて行きます。 それにしてもとても日本らしいログブックです。 毎回、フライトごとにインストラクターにサインを貰うようになっています。 離陸した時刻、着陸した時刻までこと細かに書くようになっています。 当然、今までそんな細かいログは付けていなかったので、そんなデータはありません。 ですから、データがないところは空白のままにしておくつもりです。 これから記入する箇所だけでもちゃんと書けばいいかなと思っています。 日本のログではPIC(Pilot-in-Command)時間の定義がカナダとは違うようです。 カナダでは、訓練中であってもソロフライトをしたらその時間はPIC時間となりますが、日本の場合はそれはSolo時間であって、PIC時間ではないようです。 僕の解釈が正しければ、PIC時間は免許を取得してからでないとログできないようです。 他には、「機長見習い時間」とかといった、カナダの場合には存在しない時間のカテゴリーがいくつか存在します。 ややこしいですね。 もう少し調べなければいけないかもしれませんが、カナダのログブックがある限り、日本のログブックに間違って記入していても後で訂正すればすむ話でしょうからあまり深く考えないようにしようと思います。 明日も雨のようですから、明日は今日記入した内容があっているかどうかを確認する作業をするつもりです。 今日の写真は、下が今まで使ってきたカナダのログブック、上が日本のログブックです。 よく見るとカナダのログブックのウイングのマークの中心はカナダらしくカエデになってますね(笑)。 

 昨日は去年を振り返りましたが、今日は今年の抱負を発表しようと思います。 今年はいよいよソロフライトの年となります。 事業用免許取得に必要な機長時間100時間を貯めるため、ソロで飛ぶことがほとんどになりそうです。 最初はトレーニングエリアに行くことから始め、トレーニングエリアでエアワークをすることに慣れ、そして近いところからクロスカントリーフライトに行けるようにするつもりです。 フライトテストまでには300海里(約540km)のクロスカントリーフライトもしなければ行けません。 あせることなく、自分の能力を客観的に見極めて、自分にぴったりかそれよりもちょっとチャレンジングなトレーニングを常に心がけて行こうと思っています。 苦手なことがあったり、自信がないこともたくさんあります。 でも、なるべく苦手意識を持たないようにポジティブに訓練を進めて行きたいです。 また、今年はいよいよグランドスクール(座学)のほうも始まります。 フライトに勉強にと忙しくなると思いますが、頑張りたいです。 また、4月頃にはカナダに入国して6ヶ月が過ぎます。 6ヶ月を過ぎると労働許可書(Work Permit)を申請することができ、法的に仕事をすることができるようになります。 僕はVFCでのラインクルーの仕事に申し込みたいと思っています。 ラインクルーは飛行機の給油や格納庫への格納、オフィスの掃除やライブラリの整頓などの雑務をする仕事です。 今働いているラインクルーは皆トレーニングを受けている学生です。 飛行機やパイロットの近くで仕事ができるようなので、空きがあればぜひ働かせてもらいたいと思っています。 空きがなければビクトリア空港のターミナルのほうでの仕事がないかを模索しようと思っています。 他には、アクロバット飛行のお試し版に挑戦したいと思っていますし、スカイダイビングもやってみたいと思っています。 「挑戦の年、2007年」ということで頑張りますので、今年もよろしくお願いいたします。

 それではまた明日。 

(つづく)

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ビクトリア80日目:ログブック完成。
2007年1月2日火曜日


 今日も引き続き雨が降ったりやんだりの天気です。 今日も昨日行ったカフェに行きました。 昨日はラテを注文しましたが、今日はドリップコーヒーを注文しました。 昨日とはうってかわって全然混んでいませんでした。 僕の他にお客さんが3、4人いたくらいです。 今日は入り口近くにある低い感じの赤いソファーに腰をかけて作業を開始しました。 昨日書き終えた内容を確認してみると、ところどころ数字が合わない箇所があります(笑)。 んまあ、少しくらいはいいかな〜なんても思いましたが、これからも数字はどんどん増えて行くので、今のうちにしっかり帳尻があうようにしておかないと後で取り返しがつかないことになるかもと思って、どこで間違いをしたかをすべて確認しました。 1つ間違いを見つけて、「あ〜よかった」と思っていると、またどこかに間違いがあるようで、やはり計算があいません(汗)。 ということで、また細かく見ていくことに。 結局2時間近くかけてすべての計算をやり直し、数字を見直してようやく完成しました。 ログブックは間違いをしても修正液や修正テープの使用は禁止されているので、横棒を引いて訂正しなければいけません。 なんども間違えると面倒なことになります(写真参照)。 今日までで、僕の総飛行時間は91時間06分、ソロで飛んだ時間が16時間24分となっています。 事業用免許取得には総飛行時間が200時間、ソロ(PIC)時間が100時間必要ですから、少なくともこれから1人で84時間ほど飛ぶことになります。 1日1時間飛ぶと84日、つまり3ヶ月近くかかります。 当然毎日飛べることはないでしょうから、やっぱり4、5ヶ月はかかると思います。 目標は6月までに免許を取得することとなりそうです。 さて、どうなりますことやら。

 今日はカフェの後はそのままジムに向かいました。 ジムは今日からオープンしています。 ジムにつくといつもよりやや人が多い気がします。 やっぱり皆さん休暇中に溜め込んだカロリーを消費しようと目論んでジムに来ているようです。 今日はスピニングマシーンを30分、その後、心拍が計れる歩行マシーンのようなもので心肺機能を高めるための運動を30分しました。 マニアックな話ですが、この歩行マシーンの心拍測定機能はPolar製です(分からない方は気にしないでください・・・)。 その後は上半身を鍛えるための器具のサーキットを行いました。 心地よい汗をながせましたが、お昼ご飯を食べていなかったのでふらふらになりました。 いわゆる「ハンガーノック」状態でした(汗)。 

 今夜はコロッケを作りました。 よく考えたら初めて作ったと思います。 もともと、小麦粉、卵、さらにはパン粉まで使うというのが面倒で、今まで一度も試したことがありませんでした。 時間がある今ならやれると思っての挑戦でした。 ジャガイモを蒸かして潰したり、ひき肉やタマネギを炒めるまではよかったのですが、油で揚げる段階でぐちゃぐちゃになりました(笑)。 どうもジャガイモがやらか過ぎたようです。 あと、油の中にフライ返しを入れていたら、プラスチックが溶けてふにゃふにゃになりました(涙)。 まさか熱に負けるとは・・・。 っということで、初めてのコロッケは見事失敗となりました。 味見をしたら味はそれほど悪くはなかったんですけどね。 

 さて、明日は少し晴れ間が出るかもしれませんので、そうであればソロフライトに行こうかと思っています。 ここで少しお勉強です。 下は今出ているビクトリア空港のTAFです。 内容を解読してみましょう。

 

TAF CYYJ 022338Z 030024 22012G22KT P6SM SCT030 SCT060 TEMPO 0024 P6SM

-SHRA BKN030

BECMG 0406 27010KT

RMK NXT FCST BY 06Z=

 

答え: 「CYYJのTAFです。 今月02日目の23:38時(GMT)発表、 03日目の00時から24時の予報です: 風向220度、風速12ノット、Gust 22ノット、視界6マイル以上、 雲:Scattered 3000ft, Scattered 6000ft, 一時的に00時から24時の間は視界6マイル以上、軽いシャワー(雨)で雲はBroken 3000ft。

04時から06時の間に風向270度 風速10ノットになるでしょう。

注意:次の予報は06時(GMT)までに発表します。」

 

 ではまた明日!

 

(つづく)

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【編集後記】

今回の過去ログに出て来た日本式のJCABログブックですが、今はどこにいったか定かではありません。おそらく貴重品や書類が入った箱のどこかにあるとは思いますが、結局日本の航空会社に申し込む機会に恵まれなかったため、一度も陽の目を見ることはありませんでした。日本のログブックは押印が必要だったりして、なにかとお堅い印象です。一方、こちらで使うログブックはとてもシンプルです。最近では電子ログブックを使う人も多くなっていますし、僕自身も電子ログを利用していました。電子ログだと飛行時間の計算を自動でやってくれますし、印刷する必要がある場合でもいろいろなフォーマットで出力できるので便利です。ここで正直に告白しますが、ログブックはここしばらくつけていません。今の航空会社に入社して以来、これから転職するつもりもないのでログブックをつける習慣がだいぶなくなりました。いざ必要になればいつでも会社のウェブサイトやスケジュール用アプリなどから詳細なデータを入手できますので問題はありません。総飛行時間はおそらく7000〜8000時間の間なのではないかとは思いますが、正直わかりません。エアラインに入ってからは1年間にだいたい600〜700時間くらい飛んでいるのではないかと思います。ベテランの機長などでもログブックをつけるのをやめた人が多くいます。「飛行時間が1万時間以上あったら、それが1万2千なのか、1万5千なのかの違いはほぼないでしょ?」という人がいます(ごもっともだと思います)。ですが、中には今でも毎フライトごとにちっちゃいログブックに几帳面に記録する人も見かけます。「君の名前のスペルは?」って聞かれることがあります(ログブックに同乗者の名前を記録するからです)。そういうパイロットの自宅にはあのちっちゃいログブックが一体何冊積み上げられているんだろう?とふと思うことがあります。


(つづく)

2020-09-27

組合と覚書その2。

 僕が働く航空会社にはパイロットの乗務員組合(pilot union)というものが存在します。組合の役割はいろいろあるのですが、乗務員と会社の間での取り決めや交渉ごとをまとめる(パイロットグループを代表する)というのが主な役割です。パイロットの労働条件に不具合が出た場合などには状況を改善するために労働契約に基づいて状況改善のために動いてくれたりもします。基本的には「パイロットを守ってくれる存在」という立ち位置だと思います。

 組合がどういうときに役立つかということを説明するために以前に僕の知り合いパイロット(副操縦士)が経験した話を一例としてあげます。

 このパイロット、フライト中に気分が悪くなり、一時的に乗務が不可能な状態に陥ったそうです(pilot incapacitationといいます)。 具体的なことは知りませんが、貧血のような状態になり、一時的に業務続行が不可能となったため機長が飛行機の操縦すべてをこなすことになったそうです。この便は緊急事態を宣言しましたが、目的地に近かったこともあり、機長の操縦で目的地の空港に無事着陸し、ゲートに到着したそうです。着陸するころにはこの副操縦士は意識を取り戻したそうです。

 何事もなかったかのように乗客が降機し、この副操縦士はここで乗務を終えることになりました。飛行機を降り、携帯電話の電源を入れるとすぐさま電話がかかってきたそうです。その電話は乗務員組合の担当者だったそうです。電話に出ると、

 「フライト中に起きたことについて連絡が入りました。なにも心配いりません。医者の手配もすべてやります。とにかく今は安静にしてください。」

 と言われたそうです。それからしばらくは病欠扱いになったのですが、精密検査なども組合が手配した病院で受け、数ヶ月後には無事に職場復帰したそうです。

 こんな感じで組合は親身になっていろいろお世話してくれます。そういう待遇を受けるために毎月組合費を支払っているわけです。

 現在、コロナ禍でパイロットの待遇にもいろいろな変化が出て来ています。当然ながら良い変化というものではありません。一般企業と同じで、経済が影響を受けている限りはパイロットの諸待遇も当然ながら悪くなる傾向にあります。しかし、それを食い止めるために組合が労働者側といろいろ交渉をしてくれているというわけです。

 航空会社によってはこういった組合が存在しない場合も多くあります。例えば中東の大手航空会社。そういうところは会社の独断でいろんなことが決定します。パイロットの雇用を守ってくれる組合が存在しないので、会社がパイロット削減を決めればすぐに決行され、あっという間に大勢のパイロットが職を失います。これはパイロットのみに限らず、客室乗務員も同じです。ちなみに僕の会社には客室乗務員の労働者組合も存在します。手厚く守られているという感じです。
 
 組合に入るのは半ば強制で、入らないという選択肢はありません。毎月お給料の数パーセントを組合費として支払っています。今の会社に入社直後の研修中に組合のオフィスビルにも行きましたが、それはもう立派なオフィスで、多くの人が働いていました。組合というものの存在をよく理解できていなかった僕はなんだか不思議な印象を受けたことを覚えています。「この人たち、どうやってこんな立派なオフィスで仕事しているんだろう?運営原資はどこから出ているんだろう?」と思いました。

 その組合ですが、今、我が社ではコロナ禍の影響による一時的な労働契約の覚書を締結しようとしています。覚書その1は既に締結されていて、それの効力が今月末に切れるため、延長の手続きを進めているという感じです。この覚書その2にまつわるいろいろな憶測や噂が絶えません。組合の情報提供方法にもやや問題があったりもしたせいで組合の信憑性が問われる事態にもなりました。

 パンデミックのせいでいろいろなところで醜い部分が露呈させる事態になっているように感じます。人々は憎みあい、マスクをする・しないで口論するなど、人間の醜い部分が露わになっているように感じざるを得ません。やっぱり性善説よりも性悪説を信じるべきかと思ってしまいます。覚書その2の草案がパイロットグループに提示された直後は大喜びだった人たちもしばらくすると疑いの目で組合のことを見るようになったりもしています。組合は実は会社とグルで、我々パイロットたちをはめてやろうとしているのではないかと勘ぐる人たちまで出始めました。意見がコロコロと変わる状況は滑稽だなと俯瞰しています。
 
 覚書その2はパイロットの投票で否決・可決が決まることになっていて、来週の月曜日が投票の最終日です。僕も先日投票しました。どうなるのかはわかりません。結果次第では一時帰休(レイオフ)のパイロットがまた増える可能性もあるため、気が気ではありません。


モントリオールは紅葉が進んで来ました。




(つづく)