2018-08-18

連休後最初の仕事でアテネ。

 長い休みのあとには忙しい仕事の日々が待っていました。 7月は20日連休だったので、残りの10日ほどはほぼ毎日働いていました。 予定ではフロリダ往復やメキシコ往復などが毎日入っていて、1回だけギリシャ・アテネへのフライトが入っていました。

 パイロットの中にはSingle-day pairing(朝出勤して、夜帰ってくるペアリング)を好む人がいます。 小さい子供がいるとか、自分のベッドで眠りたいとか、いろんな理由があるようです。 一方、single-dayよりはmulti-day pairing(レイオーバーありのペアリング)を好む人もいます。 理由は、通勤に時間を割くのが苦痛だったり、レイオーバーがあればper diemと呼ばれるお手当が増えるのでお給料が上がる可能性があったりなど、様々です。 僕はmulti-dayが好きで、理由は毎日の通勤が嫌いだからです。 電車で通勤しているのですが、ユニフォームを来て電車に乗るといろんな人にジロジロ見られるような気がして、なんだか落ち着きません(笑)。 

 話を戻します。 ギリシャ・アテネは今回で2回目。 行きのルートは大西洋横断後はフランスのBrest周辺(一番北西の尖ったところ)を通過し、フランス南部、コルシカ島、イタリア最南端部あたりを通過してギリシャの空域に入るという感じでした。 

 ヨーロッパの航空管制はなかなか面白いです。 まずは英語のアクセント。 イギリス訛り、スペイン訛り、フランス訛り、イタリア語訛り、ドイツ訛り、ギリシャ訛り、どっかわからん国の訛り、等々が次々に出現します。 効率が良い管制をしているなという印象で、毎回周波数を変える度に近道ルートを許可してくれます。 無線周波数が与えられ、チェックインすると近道ルートを指示され、しばらくするとまた次の周波数へハンドオフされます。 毎回無線通信をするのはその程度。 この点は北米を飛んでいるときとさほど変わらず、リラックスした雰囲気の中で飛行を続けます。 

 今回は僕がアテネまでの操縦を担当。 アテネ空域に入るとこれまた近道を指示され、そのおかげでアライバルルート(STAR)を飛ばなくなるので一気に予定していた距離よりも短い距離を飛ぶことになります。 こうなると、心算していた下降プランがめちゃくちゃになることが。 通常の降下にはVNAV(Vertical Naviation)という自動操縦システムの一部を使ってどこで降下を始めて、どのスピードで降りれば良い塩梅で降りれるというのを計算します。 しかし、飛ぶ距離がいきなり短くなるとVNAVは突然めちゃくちゃな指示を出して来たり、「あ、あかん、この下降率では無理」みたいなことを言ってくることもあります。 この日も結構な高度からスピードブレーキ(翼の上にある板で、揚力を落としてスピードを下げやすくする装置)を全開にして降下を続け、ようやくアプローチに必要な高度までおろすことができました。 飛行機が高度を下げ始め、途中から機体が小刻みにブルブルブルブルと震え始めるときがありますが、それがスピードブレーキを使っているときです。 翼周辺の窓側に座っているお客さんにはスピードブレーキのボードが上がっているのが見えると思います。 着陸はいつも通りで無事に到着。 10時間弱でトロントからアテネに到着しました。

 今回もまずはホテルで数時間の仮眠を取りました。 勤務したのはトロント時間でいうところの夕方4時くらいから深夜2時過ぎくらいで、さほど悪い時間帯ではありません。 短い仮眠後は今回もアテネ観光に出かけました。 

アテネの中心部を歩いて古代のアゴラへ向かいました。 丘の上に見えるのはアクロポリス。

途中、こんな雰囲気の街並みを歩きました。

歩いて30分ほどで古代のアゴラに到着。 アクロポリスから少し外れたところにある遺跡です。

パルテノン神殿によく似た神殿がありますが、サイズはだいぶ小さいです。 

古代ギリシャ人はジェンガが得意だったようです(笑)。

結構広い遺跡で、入るのは有料です。 たしか9ユーロ? 十分価値があると思いました。

古代のアゴラのあとは違う道を散策しながらホテルに戻りました。 坂にレストランがたくさんあるゆったりとした雰囲気の街並みが素敵です。

なんともギリシャらしい色のドアの前に寝そべる白猫。

 夜は前回同様クルーと食事に出かけました。 ギリシャの食事は安くて美味しく、ヘルシーなサラダなどもあって最高です。 地ビールもなかなかのもの。 これだけでも来る価値があると思います。

 翌日の帰りのルートはこんな感じです。

今回はバルカン半島方面へ抜けるルート。 帰りはアイスランド・グリーンランド上空を通るルートでプランが立てられていたため、ヨーロッパを抜けるのもスコットランド北部から抜けるルートになりました。 帰りには毎回augument pilotがいるので、フライトの途中でそれぞれ3時間ほど仮眠を取ることができます。 今回も客室の一席でゆっくりとできました。 

 これでギリシャは終了。 それからまたしばらくシングルデーが続く予定でしたが、クルースケジューラーからの電話で急遽バルセロナ行きに変更になりました。 それはまた次回。


(つづく) 

ヨーロッパでの夏休み。

 日本で働いてた頃の夏休みといえば長くても1週間くらいの休みしか取れなかったように記憶しています。 日本ではそれが当たり前。 だからお盆やゴールデンウィークの連休が続いたときに日本人はこぞって海外に繰り出し、短い期間になるべくたくさんの場所を見たりいろんなことを経験しようと努力します。 その結果が「日本人はせっかく旅行に来ても、カメラで写真だけとってすぐに去って行く」という世界での評判に繋がるのだと思います。 そりゃそうですよね、海外の人たちは長いときには夏の間にまるまる1ヶ月ほどバカンスに出かけます。 そういう文化の人には勤勉な日本人がいかに大変な思いをして1週間未満の海外旅行に出かけようとするのかは理解できないと思います。 

 海外に出てパイロットになって本当によかったなと思うのは長い休暇がもらえるときです。 会社や飛ばす機種にもよりますが、月の半分が仕事、残りの半分が休みということも多いです。 しかも、休みをある程度まとめて取得することも可能な場合があります。 カナダの場合、CARsという航空法に連続勤務は何日までで、何日働いたらどれだけ休みを取らなければならないということが書かれています。 その法律に違反することなく、しかも連勤での疲れがフライトに影響を及ぼさない程度であれば連続勤務させてもらえることもあります。 海外でパイロットを目指す皆さん、海外のエアラインでは長い休みをとることも比較的容易な会社も多いようですので、それだけでも海外で働くことのメリットは大きいと思います。 海外でばりばり働き、休みは世界中を旅行したり日本に帰国したり、というメリハリのある生活も悪くありません。 

 実を言うと、今までは日本便に乗れる機体に乗務したいと思っていました。 以前のメインラインでの767乗務の時にはその可能性があったのですが、なにぶんセニオリティが低くリザーブパイロットだったため、成田に行けたのは1年半で1回のみ(涙)。 しかも、10時間ほどのフライトのあとで疲労困憊だと、せっかくの日本もそれほど楽しめません。 ましてや、実家の福井に帰ろうと思っても、24時間のレイオーバーでは限りなく不可能に近い感じでした。 だったら、働く間は行き先など考えずなるべくばりばり働いて、休みを長く取って休みの間に帰国したほうがよっぽど有益なのでは?と思うようになりました。 実家が関東圏だったりしたらまた話は別だと思いますが、それでも24時間日本にいてもできることは限られています。 今は長い休みが毎月もらえる感じなので、必要であれば毎月帰国できます。 本当にラッキーです。 

 7月と8月はそれぞれ20連休と10連休をもらえましたので、今回もヨーロッパ・フランスに行って来ました。 長い連休があると、その代償として月の残りはめちゃくちゃ働かされます・・・笑。 7月はほぼ10日間連続で仕事。 しかも毎日が長いシングルデーばっかり。 行き先はフロリダかメキシコ。 この時期は雷雲がめちゃくちゃ発生しているので、毎日雲を避けながらのフライト。 しかも往復なのでこれを毎日2回! 結構疲れました。 でも、連休がもらえたから不満は言いません・・・。

 話は前後しましたが、ここからはヨーロッパでの夏休みについてです。 この時期のヨーロッパは暑いです。 特にフランスの市街地は暑く、気温は30度を軽く超えます。 日本のようにエアコンがすべての家に付いているというわけではないので、酷暑で死者が出ることもここ数年は多いようです。 昨年だったか、フランスのリヨンに夏の時期に行ってAirbnb(いわゆる「民泊」)に泊まったのですが、エアコンはなく、しかも酷暑で、小さい扇風機一つで数日間我慢しなければいけませんでした。 今回は山間部での滞在だったため、日中はカラッとした心地よい暑さで、夜は気温も25度以下まで下がってくれたため、快適なバケーションになりました。

ジュネーブ近郊。 

こんな湖畔でピクニックをしたり、

モンブランが望めるハイキングコースを歩いたり、

ハイジの世界のような景色を堪能したり、

湖でレンタルボートを漕いでみたり、

歴史のある街並みを散策してみたり、

夜には花火を楽しんだり、

久しぶりにツール・ド・フランスをテレビでライブ観戦してみたり、

 と、本当にいろんなことを楽しみました。 フランスの夏はいろんなイベントがそこかしこであり、本当に楽しいです。 食べ物も美味しいし、空気は綺麗。 あんまり理解できないけどフランス語に触れる機会があるのも新鮮です。 ちょうどW杯でフランスが決勝進出を決定したので街はどこもお祭り騒ぎ。 それでも、騒ぎ方が北米や日本とは違い、そういう文化の違いを直に体験できることがとても楽しいと感じる今日この頃です。 


(つづく)


2018-07-26

大西洋往復。

 6月の最後はイギリス・マンチェスターまでのペアリングでした。 マンチェスターはロンドンよりは北部に位置する都市で、サッカーチームのマンチェスターユナイテッドの本拠地としても有名です。 産業が盛んな都市ということで、トロントからは7時間ちょっとのフライトです。

 マンチェスターに行ったのは今回が初めてだったのですが、前回のシミュレーター訓練の舞台がマンチェスター空港だったこともあり、いろいろ手順はその時に勉強していました。 そのおかげもあり、特に今回のフライトにむけて勉強しなおす必要はほぼありませんでした。 今までなんども行ったことがあるロンドンと同じ英国にある空港ということもあり、ロンドンへのフライトと同じような手順が多かったので、特に気構えることもありませんでした。 メインラインにいた頃はロンドン・ヒースロー空港に行く時は毎回緊張しました。 とにかく忙しい空港だし、アクセントは聞き辛いし、独特の手順が多いし。 でも、そこに慣れたおかげで、今はヨーロッパのどこの空港に行ってもさほど困ることがありません。 困った時には「ロンドン・ヒースロー式」の手順をやっておけば大きな問題に繋がるようなことは起きないことに気がついたからです(笑)。 ロンドン様様です。

 っで、マンチェスターはイギリスの小さい都市で、特に目立ったことや有名なところもないように感じました。 レイオーバー中は街中をいろいろ歩き回りましたが、ちょっとだけ有名な図書館があったり、教会がありましたが、そのほかはほとんどはショッピング街だったり、パブだったり、レストランだったり。 そんな感じの中規模都市という印象でした。 特にここでお見せするような「インスタ映え」するような写真を撮ることもありませんでした。

 マンチェスターでは24時間ほど滞在し、トロントに帰ってきたのが午後3時過ぎ。 翌日から20連休が始まります。 本当は次の日にフランスに行こうと思っていたのですが、急げばその日のスイス・ジュネーブ行きのフライトに飛び乗ることができる感じでした。 なので、急いで自宅に戻り、ささっとシャワーを浴び、スーツケースの中身を休暇用に入れ替え、自宅滞在30分未満で空港に行きました。 トロント・ピアソン国際空港からモントリオール行き(ジュネーブ行きのフライトの出発点)のフライトはほぼ満席。 仕方なくダウンタウン側のトロント・アイランド空港からモントリオールに行くことにしました。 このフライトは以前働いていた会社のQ400で運行されているものです。 久しぶりにQ400に乗れるのでちょっとウキウキ。 フライトは予想通り空席がたくさんあり、余裕で乗れました。 

 モントリオールからジュネーブまでのフライトではエコノミークラスの後ろの方の席に座りました。 せっかくチェックイン時に隣に誰もいない席を選んだのに、搭乗してみると横も周りもすべて満席。 まあ席がもらえただけでもラッキーと思ってジュネーブに向かいました。 24時間以内に大西洋を往復するのは今回が初めてです。 フライト自体は快適で、無事にジュネーブに到着しました。 


(つづく)

 

2018-07-19

2度目のダブリン。

 前回のギリシャ・アテネへのペアリングの次はアイルランドのダブリンと、イギリスのマンチェスターへのペアリングと続きました。

 ダブリンへ行くのは今回で2回目。 前回ダブリンへ行ったのはまだメインラインで働いていたとき。 他の機材(おそらくエアバス330)のトラブルが発生し、リザーブだった僕に電話がかかってきて、レスキューフライトでダブリンまで行った時でした。 今回はダブリンまではデッドヘット。 そして、ダブリンからカナダ西海岸のバンクーバーまでのフライトのアーグメントパイロットとして乗務しました。

 DHではビジネスクラスに乗れるのでゆったりと移動。 ダブリン到着後に機長と副操縦士と合流し、ホテルまで移動しました。 ホテル到着後はいつも通り数時間のお昼寝をし、その後は外に出て観光することにしました。

 前回はアイルランドウイスキーの蒸留所の見学をしましたので、今回は世界的に有名なギネスビールの工場見学に行くことにしました。

 ホテルから歩いて20分ほどで工場に到着。 めちゃくちゃ規模がでかい見学施設です。 チケットを購入して早速見学開始。 前回のウイスキー蒸留所ではガイドさんがいろいろ話をしてくれる形式でしたが、今回のギネスの見学は自分のペースで、サインに順って進む形式。 僕はウイスキー蒸留所の方がガイドさんから直接いろんな話しを聞けて楽しかったというのが正直なところです。

ギネスビール独特の香りや色は232度で焙煎することによって生成されます、とのこと。

ギネスの印に使われるハープ。

 ツアー後は館内のパブにてビールを堪能。 正直なところギネスビールはあまり好む味ではありませんが、雰囲気もよかったので楽しめました。 ここで食べたシチューがなかなか美味でした。

 1時間ほどあればツアーは回れると思います。 ギネスの注ぎ方のレクチャーやテイスティングを体験したい場合は2時間ほどかかるかな?

 ギネスのあとはダブリン城などの歴史的建造物をメインに歩き回りました。

ダブリン城

 ダブリン城の隣にあるダブリンガーデン。 ちなみに、「ダブリン」というのはゲーリック語で「黒いプール(水たまり?)」という意味だそうです。

 前回は飲みに出かけたテンプルバー。 今回は時間もなかったので、側を歩いて雰囲気だけ味わいました。


 クライストチャーチ教会。 ダブリンといえばセントパトリック教会が有名ですが、こちらのほうが古い教会だそうです。

ウイスキーの蒸留所(どこかは忘れました)

 翌日は乗務員3名(バンクーバーベースの機長・副操縦士と僕)でダブリンからバンクーバーまでのフライトでした。 僕は補助役だったので、主にクルーズ中の作業のお手伝いをしました。 フライトは10時間ほどと長いフライトです。 途中で3時間弱の休憩を交代でとりました。 ここ最近になってやっとフライト中の休憩時間に仮眠を取れる身体になってきました。 何事も慣れですね(苦笑)。 この日一緒に飛んだ副操縦士の人は僕と同じリージョナル会社出身だったので、いろいろ世間話ができて楽しかったです。

 今回のルートはかなり北部を飛ぶルートで、カナダの最北端周辺を飛びました。 ハドソン湾の北側や、人が誰も住んでいないようなエリアだったので、窓から見える景色もなんだか今まで見たことがない景色が広がりました。 

 それでは写真でどうぞ! (お断り:写真は休憩中に撮影したもので、安全上の問題は一切ございません。)

青空と機体の赤のコントラストが綺麗です。

カナダに到達すると海には流氷が。

なんとも神秘的。


流氷にはエメラルド色の水(氷?)らしきものも見えます。

自然が創り出した不思議な模様。



ハドソン湾北部

うにゃうにゃ〜ってなってます。

 上空からは小さく見えても、これらの流氷はかなりのサイズと思われます。 誰も住んでいないところではこんな光景が毎日広がっていると思うと、自分が住んでいる世界の狭さを痛感させられます。

 バンクーバーに無事に到着後、今度は今飛んできた道のりをトロントまでデッドヘッドです。 なんとも無駄な気もしますが、仕方ありません。 今回はエアバス320型機でのデッドヘッド。 ビジネスクラスシートなので快適ではありますが、ワイドボディ機のビジネスクラスとは違って横になることはできないので、ちょっと辛いデッドヘッドでした(贅沢な話だと怒られるかもしれませんが)。 とはいえ、10時間以上乗務してきてからのデッドヘッドだったので、気がついたら寝ていました。 目が覚めたのはトロントへのアプローチ終盤でした。 これでこのペアリングは終了となりました。



(イギリス・マンチェスター編へとつづく)

2018-06-27

初ギリシャ・アテネへ。(後編)

 この「ウーゾ」というお酒、かなり強く、独特の香りがします。 透明の水みたいに見えるのですが、これに氷を入れたり、水で割ったりして飲むのだとか。 味はヨーロッパ人が好む「リコリッシュ」の味そのもの。 ミントのような味といったらいいのでしょうか・・・。 日本食には存在しない味です。 言葉で表現すらできない味です・・・。 小さいグラス一杯分飲みましたが、それで満足。 店員のお兄さんは「どう、2杯目いっとく〜?!」って聞いてきましたが、丁重にお断りしました(苦笑)。

 夕食後はホテルに戻り、午後10時過ぎには就寝。 そもそもこの日は数時間の仮眠しか取っていなかったのと、午後はずっと外を出歩いていたので結構疲れていたのですぐに寝付けました。 

 翌朝、朝5時過ぎにはお目覚め(笑)。 僕はだいたいいつもこんな感じです。 特に今まで来たことがない新しい土地の場合はなんだかワクワクしてしまって朝は早く目覚めます。 5時はさすがに早いのでベッドでゴロゴロしてまた寝付けるかなと思いましたが、結局6時過ぎには完全に目が冴えてしまいました。 そこで、ホテル内のレストランで朝食ビュッフェを食べに行きました。 クルー割引があるので破格の値段で朝からたっぷりご飯が食べれます。 これがまた美味いのなんのって・・・。 ギリシャ人、グルメを知り尽くしていると思われます(笑)。

 朝ごはんをしっかり食べたあと、ホテルチェックアウトまではまだまだ時間があるので街へ散策に出かけました。 昨日行けなかった、ゼウス神殿オリンピックスタジアムに向かいます。 徒歩20分ほどの距離でした。 朝の街はしずかで、少しだけ空気がひんやり。 昨日と違って空は青空です。 路地には猫が寝そべっていて、なんとも平穏です。 中心街に近づくと通勤ラッシュのように車やバイク、バスなどが往来していて騒々しいです。 

 ゼウス神殿には7時半頃についてしまったのですが、閉門は午前8時となっています。 仕方ないので近くにあったギャラリーのような建物と公園をふらふらしました。 そしてオリンピックスタジアムへ。


 ここは外から見るだけにしておきました。 ここが近代オリンピックの中心地なんだとか。 スタジアムの観覧席はすべて石でできているようです。 なんとも立派なスタジアム。 中央には表彰台が見えます(↓)。


 ここに来る頃には日差しが強くなってきました。 帽子を被って来て正解でした。 日差しがとても強く、肌が焼けるのがわかるかのようです。

 この次に来た道を戻り、ゼウス神殿に向かいました。 入り口には先客がいましたが、2番目に入ることができました。

 

 ゲートをくぐって入園すると、このような光景が広がります(やや逆光だったため、色合いが少しおかしいですが・・・)。 だだっ広い広場にゼウス神殿(Temple of Olympian Zeus)の跡地があります。 誰もいないので写真を撮るのには最高でした。 さらに近づくとこんな感じです(↓)。

 ここに巨大な神殿が建っていたんですね。 残っている柱にはアクロポリス同様、複雑な彫刻が施されています。

 しばらくすると、またもや野良猫がやってきてゴロン。 

 いつもこんなところで日向ぼっこしているんですね、この猫は。 なんとまあ贅沢な・・・。 

 ゼウス神殿の背後の丘には前日にいったアクロポリス・パルテノン神殿が見えます。 なんとも言えないダイナミックな風景です。 奈良の大仏さんもそうですが、昔の人がこれほど大きな建築物を当時の限られた技術や道具で作り上げることができて、しかもそれが今日にも存在しているということがとても信じられません。 なんでも、これらの神殿の柱はまっすぐではなく、やや内側に傾いて作られているんだそうです。 その意図的な歪みが地震などの揺れから建築物が倒壊するのを防いだんだそうです。 すごすぎ〜!

 神殿公園の外にはこのような門の名残も残っています。 この石に見える汚れ、街を走る車の排気ガスによってこのような色になってしまったんだそうです。 確かにこちらの車の排気ガスは汚れている印象を受けました。 ちなみにこの門は公園の外にあるので、誰でも無料で至近距離で見ることができます。

 出発前の観光も終わり、いよいよホテルに戻って出発の準備です。 途中でカフェに立ち寄り、アイスカプチーノとハム&チーズサンドイッチを購入。 コーヒーはアテネの暑い気候にぴったりで最高でしたが、サンドイッチはハズレでした(笑)。 まあ、今までのレイオーバーでは食べ物でハズレはほとんどなかったので、一回くらいは大目に見てあげることにします。

 この日は僕がトロントまでの操縦担当(Pilot Flying)です。 あいにく空港近辺には雷雲がわんさか。 出発前のブリーフィングでは、iPadでお天気レーダーの画像を確認し、離陸後に雲を避けるために進路を変更する必要があることを他のクルーと確認しました。 初めて来た空港からの出発はいつも少し緊張するものです。 どの空港にもいろんな手順があったりしますので、それらを知らないとあたふたします。 アテネ空港は思ったよりもシンプルでよかったです。

 いよいよ東に向かってテイクオフ。 離陸時の重量は180トンを超え、ボーイング767の最大離陸重量(MTOW)ぎりぎりです。 トロントまでの燃料をたっぷりと積載していますし、客室は満員御礼です。 LCC部門に移って来てからは多くのフライトが最大離陸重量に近い重さです。 こうなると、離陸時のローテーション(機首上げ)やフラップの格納時の対空スピードなどにも気を使います。 短距離を飛んでいるときとは違い、これだけ重いといつもはパワフルなボーイング767であってもなかなか上昇率が上がりません。 いつもであれば1分間に4000~5000ftくらいの上昇率が普通に出るのですが、この日は2000ft/minが精一杯という感じ(つまり、普段よりも上昇するのに時間が倍近くかかる感覚です)。 気温が高いこともあり、エンジン効率はかなり悪く、よっこらしょ、よっこらしょ、という感じで上昇を続けます。 雲を避けるため、いつもよりも機首角度を上げ、スピードを抑えながら上昇率を最大にして高度を稼いで行きます。 スピード計を見ると最大速度と失速速度の間がめちゃくちゃ狭くなっています。 いつもよりも慎重に手動操縦で北西に旋回し、ギリシャを後にしました。 ATCのおばちゃんも陽気にさようなら〜ってギリシャ語で言っていました(たぶん・・笑)。 ちなみにギリシャ語では「こんにちは」が「カリメラ」または、「ヤ・サス」「ヤ・ス」というそうです。 「カリメラ」と言われるたびにアニメ・カリメロが脳裏に浮かび、「ヤ・ス」や「ヤ・サス」と言われるたびにちょっとビクッとしました(僕の名前に似ているからです)。 思い出深い場所になりました(笑)。

 

 ギリシャから北上を続け、イタリアのベネチアの東側を通過。 それからアルプス山脈上空を通過します。 途中では有名な山・モンブラン(イタリア風にいえば、モンテ・ビアンコ)が見えました。 その後、フランス・パリ上空を通過してイギリス方面に向かいます。 イギリスではロンドン・ヒースロー空港の真南を通過。 ここまで来ると見覚えのある景色が広がります。 ロンドンの中心部やハイドパーク、ロンドン・アイなどのアトラクションもはっきりと見ることができ、ちょっとした観光気分を楽しみました。 その頃になると北大西洋を横断するための最終準備に取り掛かります。

 あとは今までなんども飛んだロンドンからの帰り道と同じ工程でした。 イギリス側のShanwickからOceanic Clearanceと呼ばれる大西洋横断許可をもらい、それによって決められたルート、高度、速度で大西洋を横断します。 途中でHFラジオの周波数を教えてもらうので、それでSELCAL(セルコール)と呼ばれる無線装置がちゃんと動いているかを確認します。 問題がないと、そこからはしばらくは誰とも交信しない時間が数時間続きます。 途中、西経30度(30W)でカナダ側のATCにコンタクトし、あとはカナダの国内へと飛び続けて行きます。 トロント空港に到着するころはあいにく嵐の予報でした。 そのため、代替空港の天気を細かく精査し、万が一のダイバートに備えた準備とブリーフィングをしました。 ところが、トロントは意外にも普通のお天気。 どうやら嵐雲は進路を南に変え、トロント周辺を逸れていったようでした。 風は強かったですが、無事に着陸。 タッチダウンも満足なものとなり、よいフライトになりました。 

 フライト後にはお客さんにお礼・お別れをいいます。 みなさんうれしそうに飛行機を後にして行きます。 「いいフライトだったよ」と握手フィストバンプ(日本語風にいうとグーパンチ?)を求めて来るお客さんもいます。 これもLCC部門ならではのように思います。 メインラインのお客さんはどちらかというと俯いて、「あ〜、やっと着いた、めっちゃしんど〜」っていう感じで去っていく方々が多かったように思います。 長いフライトで狭い機内に缶詰にされていたのですからそれも仕方ありません。

 というわけで、今回は楽しい初ギリシャとなりました。 来月末にもまたアテネに行きますので、次回はなにをしようかと今のうちからワクワクしています。 

 このアテネの旅から戻って来て、翌日にはアイルランドのダブリンに行きました。 それはまた次回。


(つづく)


2018-06-23

初ギリシャ・アテネへ。(前編)

 以前にも何度も書いたかと思いますが、多くの航空会社では病欠が出たり、悪天候や機材故障の影響で人員不足になる場合に備え、リザーブまたはスタンバイといったパイロットがどのベースにも常に数名待機しているものです。 そういうパイロットは仕事に呼ばれることもあれば、呼ばれないこともあります。 「呼ばれなければ働かなくていいんでしょ?」と思われるかもしれませんが、自宅待機中には遠くには行けず、常に携帯電話とにらめっこしているような感じになります。 当然お酒も口にすることはできません。 リザーブやスタンバイが気にならない人もいますが、大抵のパイロットはリザーブを毛嫌いしている印象です。 っと、今まで1年以上リザーブだった僕が言うのだから間違いありません(笑)

 幸いなことに、現在僕が務める会社にはリザーブという制度がありません。 その代わり、万が一欠員が出て人が足りなくなった場合には「ドラフト」という制度を使って人員を補充します。 この「ドラフト」というのは、仕事が休みのパイロットにクルースケジューラーが電話をかけ、「いつもよりも多くお給料を支払いますから、飛んでくれませんか?」と持ちかける制度のことです。 パイロットの中には休日を返上してでもお金を稼ぎたいという人が必ずいます。 また、予定がキャンセルになってなにもすることがないから、せっかくだからお小遣い稼ぎをしようかというような感じでドラフトを受け入れる人もいるようです。 この制度があるおかげで、働き次第では結構なお給料を稼ぐことができるため、メインラインからこちらのLCC部門に移動して来る人もいます。

 先日、1日にクルースケジューラーから3回もドラフト要求の電話がかかってきました。 どうやら誰かが病欠扱いでおやすみしたようです。 最初の電話はスペイン・バルセロナ行きのペアリング。 これはレイオーバーが短かったので断りました。 数時間後、今度は留守電にイギリス・マンチェスター行きのペアリングのドラフトに関するメッセージが入っていました。 電話を掛け直すと、これはレイオーバーが48時間もあるとのこと。 マンチェスターには行ったことがなかったので、観光がてらいってくるか〜と思ってクルースケジューラーに電話をかけたところ、「ごめ〜ん、そのペアリング、もう他のパイロットにあげちゃった」とのこと。 な〜んだ、と思って電話を切ろうと思ったら、「ドラフトリストに名前載っけとく?」と言われたので、「んじゃあ、お願いします」と言うと、すぐその場で「ちょっと待ってね」と保留にされました。 なんだろうと思って待っていると、「じゃあ、ギリシャ・アテネのペアリングがあるけど、どう?」と提案されました。 このペアリング、働く時間数(クレジット)が3日で20.5時間となかなか効率のよいペアリングです。 しかも、ドラフトなので、この倍以上のお給料がもらえるとのこと・・・。 クルースケジューラーのお姉さんは一気に商売根性を見せはじめ、「これだけのお小遣いがあれば結構いろいろ買えちゃったりするでしょ〜? ほら、父の日も近いし、なにかと出費もかさむでしょ? これはやったほうが得でしょ〜?」とセールストークが炸裂。 「んじゃあ・・・やります」と答える結果に(笑)。

 というわけで、初めて行ってきました、ギリシャのアテネ! トロントから大西洋を東へ横断してイギリス上空を飛び、そこから緩やかに南東に向かって降りて行くルートです。 飛行時間は9時間ちょっと。 出発が午後4時頃というなんともありがたいペアリング。 ギリシャ到着時刻はトロント時間の午前1時。 これなら僕の時差や夜勤に弱いひ弱な体も耐えられます(笑)。

 
ルートは上のような感じです。

 ヨーロッパを横断したのは今回が初めてでした。 これまたちょっと感動的なフライトになりました。 今まで行ったことがある都市の側や上空を、ヨーロッパのパイロット達が飛び回っている同じ空域を飛んでアテネに向かう。 なんだかドラマチックに思えてしまいます。 と、同時に、「ヨーロッパを飛ぶのって、北米を飛ぶのとそんなに変わらないもんだな〜」とも実感。 不思議な感覚です。


 ヨーロッパの航空管制は英語のアクセントが強く、なかなかわかりにくいエリアもありました。 やはり英国周辺が一番わかりやすく、そこからフランスやドイツ、旧ユーゴスラビアあたりまで来るとなに言ってるかほとんどわからないところもちらほら(笑)。 ギリシャの航空管制は比較的はっきりと話してくれたおかげでよく理解できたのでよかったです。 こちらも前回のリマ同様、決まったパターンの英語以外のことはなかなか理解してくれません。 日本の航空ファンや、元海外組のパイロットが日本の航空管制官の英語力不足を批判するようなことをよく聞きますが、実は他の国もおんなじようなレベルだったりすることもあります。 これは仕方ありません。 航空産業に従事するすべての人間にネイティブレベルの英語を求めること自体、無理があるように思います。 当然努力はするべきとは思いますが、語学というのは得手不得手があるものですし・・・。


 ギリシャ・アテネ空港は滑走路が並行に二本あり、今回は西から東へのアプローチで南側の滑走路に着陸しました。 空港周辺には大きな積乱雲が発生していましたが、幸いアプローチには問題なく、いつものカナダやアメリカでのアプローチと全く同じことをして、普通に着陸。 世界中どこに行ってもやることはあまり変わりません

 空港からホテルがある市街地までは車で40分ほど。 さすがギリシャという感じで結構乾いた感じの地形が続きます。 岩がゴツゴツとした山肌が見えたり。 そういうところから採掘した石で有名な建物が建てられたのだろうと想像しながらホテルに向かいました。 さすがに9時間強のフライトでの疲れが出てうとうとしているうちにホテルに到着しました。 

 ホテルにチェックイン後、数時間の仮眠をします。 これもいつもの海外フライトのときと同じルーティーン。 もう儀式のようなもんです(笑)。 数時間眠った後、ここはどこ、私はだ〜れ?状態のところを、たとえもっと眠っていたいと身体が欲していても、無理やりベッドから出てシャワーをあびて眠気覚ましをします。 そして外に繰り出します。 ヨーロッパ方面へのフライトの場合はいつもこんな感じです。 こんなことを繰り返しているんだから、健康には決して良くないと思います。 でも、不思議なものでこういうリズムにも体が少しずつ慣れて来ている実感がここ最近はあります。

 まず向かったのはアクロポリス神殿。 世界史の授業で習ったやつです(笑)。 詳しいことは覚えていませんが、ミーハーな僕は心ウキウキ。 ホテルから歩いて15分くらいの距離なので、途中で街並みを見ながら神殿に向かいました。 

 


 ここであいにくの雷雨。 仕方なく、軽食もかねて角にあった喫茶店に入りました。 

 
 喫茶店ではお水とサンドイッチを購入。 店員のお姉ちゃんに「どこから来たの?」と聞かれ、カナダから来ましたというとなぜか好反応(笑)。 「あなたが僕が今回初めて会話したギリシャ人ですよ」というと、なぜかとても嬉しそうな表情をしてくれました。 ギリシャ人はやさしい印象を受けました。 

 雨が上がったので再びアクロポリスに向かって歩き出します。 ものの5分ほどで到着。 チケットブースで20ユーロのチケットを購入し、いよいよ神殿のある高台へ。

 

 丘を登り始めると右手に劇場の跡が見えて来ます。 ここは今でも劇や芝居をするのに使われているんだそうです。

 
 
 さらに進むといよいよ教科書で習ったような建築物が見えて来ます。

ご覧の通り、周りには雷雲がわんさか。

思ったより混雑していませんでした。


 これがパルテノン神殿です。 あいにく修繕中のようで、足場が組まれていたりしました。 それでもその大きさには圧倒されます。 柱の太さが上下と真ん中では違うとか、そういうのを世界史で習った気がします。 周りには他にもニケ(ナイキ)の神殿やら、いろんな建物があります。


動画で雰囲気をお楽しみください。


ギリシャの旗の色が周りの景色に映えます。

散策中も何度か雷雨が発生し、雨宿りを余儀なくされました。 

 アクロポリスの後にもいくつか行きたいところがあったのですが、あいにくの天候だったのでホテルに引き上げました。 その後、一緒に飛んでいたクルーと近くのバーレストランに行き晩御飯を食べました。 本場のグリークサラダや、ギリシャのお酒「ウーゾ」を楽しみました。 


 
 (後半へ続く)