2022-01-20

宿敵デッドヘッド。

 2022年が始まって初めての投稿となります。皆様、明けましておめでとうございます!本年もスローペースで本ブログをアップしていこうと思いますので、テキトウにお付き合いください。


 今月は久しぶりにトロントからのフライトを担当することが多かったです。3日間のペアリングで、1日目はトロントまでのデッドヘッド、夜ホテル泊。2日目はトロントからフロリダまでの日帰りフライト、夜ホテル泊。最終日はまたフロリダまでの日帰りフライトで、その後モントリオールまでデッドヘッドで帰還という感じです。


 デッドヘッドでの移動は正直嫌いです。そのため、スケジュールのリクエストを出す時には「デッドヘットを避ける」というふうにビッドすることが多いのですが、今月はリクエストが通らず、デッドヘッドのフライトがわんさかあります。


 ここでデッドヘッド(移動フライト)が嫌な理由ベスト(ワースト)3を発表します!

  1.フライト中退屈するから

  2.制服を着て客室で座っているとお客さんにジロジロ見られるから

  3.チェックイン、搭乗、その他諸々が正直面倒くさいから


 という感じです。トロントーモントリオール間であれば1時間ちょっとのフライトなのでさほど大変ではないのですが、これが西海岸までの移動となったりすると軽く4時間以上のフライトになります。食事をして、本でも読んで、映画でも観てればあっという間というのはあながち間違いではないのですが、それが楽しいのはエアラインパイロットになりたての最初のうちだけ。何時間も椅子に座っているのはもはや拷問です。ましてやコロナ禍の今はなるべく他人のそばには居たくないというのが本音ですので、たとえキャビン内の空気は常に循環していようとも、乗客やクルー全員がマスクをしていようとも、やっぱり他人と触れ合わないに越したことはありません。

 

 制服を着て座っていると話しかけられることも多いので、そのお相手をしなければいけない場合もあり、それもなかなか厄介です。そりゃパイロットが座っていれば誰でも興味の眼差しでみたくなるのもよくわかるのですが、既に何時間も乗務してようやくモントリオールに帰るためのデッドヘッドに乗り込んで、さ〜ゆっくりするぞというタイミングで話しかけられようものならどっと疲れが出てしまいます。とはいえ、以前お隣になったイスラエルからの美人女医さんとのお話はとても盛り上がりまして、それはそれで良い思い出になっています・・・笑


 デッドヘッドで搭乗する場合には一般のお客さんと同じように搭乗手続きをします。ほとんどの場合はオンラインでできるので問題ないのですが、最近よくあるのはクルースケジューラーがデッドヘッドの手続きをちゃんとしていなかったり、または他の部署との連携がうまく行っていなくて搭乗者リストに名前が載ってない場合もあったりして、そもそもチェックインできないなんてことがあります。そうなるといちいち電話をして手続きをやり直してもらうこともあり、とにかく面倒です。先日のトロント行きデッドヘッドではクルースケジューラーに6回も電話をかけました。ほんといい加減にして、もぅ。


 そんなこんなで忙しく働いていて、ようやくエアバスにも慣れてきた感じがします。2020年に機種変をして、路線審査を終えたと思ったらコロナの影響でフライトできなくなり、その時は実質2ヶ月ほどしか飛べませんでした。そして今回は今月で3ヶ月目です。ということでまだエアバスに移行して5ヶ月ほどです。さすがに運航のほとんどのフェーズで落ち着いて操縦することができるようになりつつあります。エアバス、ラブ❤️


 そんなこんなで今月は早くもシミュレーター訓練が入っています。昨年10月に訓練を受けて現場復帰したと思ったら、たった3ヶ月ほどで再度訓練に送られるという・・・。しかも今回は機長とペアではなく、僕と同じ副操縦士との訓練です。ということは、お互い機長のパートもやらなければいけないということで、普段の訓練よりもやらなければならないことが増えます。あ〜ん、もぅ。


 今日の写真は先日キューバへのフライトで見えた景色です。




(今年も引き続き、つづく)

2021-12-30

忙しい年末。

  リザーブの月も終わり、12月はスケジュールがもらえました。月初は10日ほど休みをもらえましたが、その代償として残りの三週間はめちゃくちゃ働かされています。思い返せば、767に乗務していた頃はこの時期はオフシーズンであまり忙しくなかったのです。767のピーク時期は夏で、夏の間のヨーロッパ路線が儲けどきだったように思います。冬の間はフロリダやペルーなどの南北に飛ぶルートが多かったのですが、とてもリラックスしたスケジュールだったように記憶しています。ところがエアバスに移り、今月は日本のサラリーマンのようなスケジュールで飛んでいます。最も多いのがラスベガス便。今月で4回も行っています。昨日までラスベガスに行っていたのですが、どうも最近は天候が悪く、毎回気温が低いです。とはいえ、フライト自体は結構楽しくて、特にRNAV Visualというアプローチで着陸するときにはラスベガスのいわゆるストリップと呼ばれる繁華街に並行に進入しますので、FOである僕の右側の外にはピラミッドやらスフィンクスやらエッフェル塔やらが見えます。見えますとは言いながら、当然ながらフライト中は意識と視線は真っ直ぐ前を見ています・・・。


(写真上:ラスベガス空港上空を通過する雨雲)


 オミクロン株が広がりを見せている今、その影響が僕のスケジュールにも少しずつ姿を表しつつあります。今月は残り数日ですが、そのうち1日のフライトがキャンセルになりました。それもいきなり全部キャンセルになったのではなく、まずは往路がキャンセルになり、運航担当の代わりにデッドヘッドになりました。その後24時間以内にさらに変更が発生し、結局はすべてのペアリングがキャンセルになりました。こういう動きをみていると、会社がオミクロンによる旅客数の現象に日毎対応しているのが手に取るようにわかります。来月のフライトでもペアリングの一つがすでに変更になっています。オミクロンは深刻化しにくいとか、アメリカは隔離期間を短縮するとか、色々なことが日々変わりつつありますが、果たして来月からのフライトはどうなるのか。気になるところではあります。


 とはいえ、今月は一生懸命働かせてもらっていて、ずっと自宅待機していた頃とは生活のリズムが全く違います。6日飛んで1日休み、また5〜6日飛んで1日休みというペースで働いていますので、エアバスの運航に慣れるという点では着実に慣れていっているように思います。時たま凡ミスをしては「なにやってんだか!?」と自分自身に落胆することもありますが、それも最近ではだいぶなくなり、心に余裕を持って飛べるようになってきました。なんやかんや行ってもエアバスに移行してからまだ実質4ヶ月ほどなんですよね。僕の場合は機種変するたびに最初の3ヶ月はあたふたすることもありますが、6ヶ月を過ぎるとほぼ慣れて気持ちに余裕が出てきます。なので、あと1〜2ヶ月もすればもっと余裕を持ってリラックスしてフライトできると思います。エアバスで最も慣れないのは慣性モーメントのなさ。767は大きくて重い飛行機だったため、いろんな面で先を読んで飛ぶ必要がありました。減速するにも時間を要する飛行機でした。ところがエアバスは結構小さいので、あっさりと減速できたりします。そのため、767を飛ばしている感覚でエアバスを飛ばすと、予想以上に早く減速してしまうため、降下中やアプローチ中には必要以上に早く減速できてしまい、時間を持て余すというか、エナジーマネジメントがうまくいかなかったりしてヤキモキします。なので、わざと後手後手でアプローチをするとそれが意外とうまく行ったりします。なんだかなぁ〜と思いますが、要は慣れですね。


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 なんやかんやで色々あった2021年でしたが、こうしてまた飛べるようになったことを素直に喜んでいます。来年がどんな年になるのかまだわかりませんが、実はとても大きなイベントが待っているのです。またそれは追々報告させていただきます。


 皆様、良いお年をお迎えください。来年もテキトウに更新していきますので、今後ともよろしくお願いいたします。



(2022年もつづく)

2021-11-09

再び空に舞い戻る。

先週、キューバのサンタクララとバラデロというところに行ってきました。サンタクララ便がline indocのフライトで、その後のバラデロ便がline checkのフライトでした。サンタクララもバラデロもキューバの北部にあるリゾート地です。コロナ前であれば観光客がわんさかと訪れるカリブ海のバケーション地で、特に冬の間はカナダの冬を嫌う人々が大勢で移動するいわゆる「スノーバード」の目的地の一つです。モントリオールからは片道4時間ほどで、距離的にも遠くなく、それでいて気温が温暖なところです。僕が行った時もモントリオールは限りなく0度に近い気温にもかかわらず、サンタクララもバラデロも気温は約30度。僕もプライベートで一度は行ってみたいものです。


最初のサンタクララ行きは約8ヶ月ぶりの実機飛行になりました。久しぶりのフライトプラニングルーム、保安検査場、搭乗ゲートなどなど、何もかもが新鮮に感じました。たった8ヶ月ですが、やはり長い時間が経ってしまったことを実感しました。コクピットに入ってしまえばあとはシミュレーターでの訓練によく似ていますし、体に染み込んでいる(はずの?)エアマンシップが実力を発揮してくれてさほど戸惑うことはありませんでした。シミュレーター訓練では当然のことながらいろんな緊急事態が次から次へと発生し、それの対処をするわけでめちゃくちゃ忙しくなるのが常ですが、実際のフライトでは幸いにもそんなことはなく、いたってリラックスしたオペレーションです。その違いに少し違和感を感じ、上昇中にも「あれ、なんかやることなかったっけ?」と疑心暗鬼になることすらありました。やらなければならないチェック等をすべてやってしまった後も何か他にやるべきことがあるんじゃなかったかと色々考えるのですが、やはりすべてやり終えてしまっています。そこにきてやっとコクピットの音、匂い、そして窓から見える青空や地上の景色を懐かしく思いながら楽しむことができました。やっぱり空を飛ぶのって素敵です。


 サンタクララ空港に到着すると、そこは本当にこじんまりとした空港で、かなりチャーミングでした。ターミナル方面に目をやると、それこそ30人ほどのスタッフと思われる人々が安全ベストを着て待機しています。そうだ、人件費の安い中南米ではこういうことはよくあるんだ、と思い出しながらも、「それにしても多すぎね?」と感じたのも束の間、駐機場に入る手前に消防車が2台スタンばっています。どうやら僕が乗務した便がモントリオールからサンタクララへの今シーズン初のフライトだったようで、消防車からの敬意を込めた放水で迎えられました。これは僕自身初めての経験だったので良い思い出になりました。エンジンを止め、チェック類をすべて終えて外に出るとそこは常夏。陽気なスタッフ達に迎えられ、束の間の休憩をとりました。モントリオールに戻る帰りの便の出発は約1時間後だったので、その間にウォークアラウンドをし、外で写真をパシャパシャ取りました。サンタクララのコロナの状況は知りませんが、グランドスタッフは皆マスクにフェイスシールドという姿でした。島国は医療体制の逼迫が起こりやすいため、どこの都市でも比較的警戒度が高い印象を受けます。


サンタクララを定刻で出発し、一路モントリオールまで飛び帰ってきました。途中揺れることもありましたが、幸い雷雲に行き手を遮られることもなく、スムーズなフライトでした。シミュレーターでは基本的には起きないタービュランスに気を使ったり、天候によって進路変更をしたりレーダーを使って前方の天候を確認したりすることを久しぶりに行い、やっと実機で飛んでいるという感覚が戻ってきました。僕は帰りの操縦を担当したのですが、モントリオール空港での着陸もうまく決まり、我ながら8ヶ月のブランクを感じさせない良い着陸だったと思いました。一緒に飛んだトレーニングキャプテンからもお褒めの言葉をいただき、書類にサインをもらって次のフライトがラインチェックという運びになりました。


それから2日後、ラインチェックでバラデロに行きました。こちらもサンタクララ同様、僕は初めていく空港です。キューバというのは面白く、他の国と違って地上無線施設が充実していないようで、地上で通常使うACARSという無線データ通信ができません。会社支給のiPadに入っている世界で利用できるSIMカードもローミング不可です。そのため、復路のフライトで必要なデータ類(主に離陸時のパフォーマンス計算)は往路の巡航中に入手する必要があります。これを忘れてキューバに降りてしまうと電波がなくて色々面倒なことになるんだとか。こういう今まで経験したことがないことも今回の2回のフライトで体験できました。また、バラデロ行きはエアバスA321というちょっと長めの飛行機です。乗客数はそれこそ以前乗務していたボーイング767型機とそんなに違いません。最大離陸重量も319や320よりは重いです。飛ばし方はほぼおんなじですが、胴体が長いため、離着陸時にお尻を擦ってしまうテールストライクに注意が必要な機体です。とはいえ、767のようなワイドボディの操縦を経験しているパイロットであればそんなに気を使うことはありません。


 今回の監査機長は前回のトレーニング機長同様とても優しい方で、フライト中には色々な話もでき楽しいフライトになりました。ラインチェックフライトはほぼ100%で往路の操縦を担当させられます。そのため、バラデロまでのフライトは僕が担当しました。初めて行く空港だったのですがちゃんと下調べはしてありましたし、監査機長にも色々とバラデロではこういうアプローチをすることが多いといった説明をしてもらっていたので特に困ることはありませんでした。キューバのATCは比較的英語も聴きやすいですし、感覚的にはアメリカのuncontrolled  airportに飛んでいっているような感じです。キューバのアプローチ管制はレーダーがないらしく、音声での通信に基づいて航空管制をしているそうです。そのため、先を飛ぶ飛行機がいない場合には結構遠くにいる段階でアプローチクリアランスを出され、「後はご自由に」という感じでほったらかしにされることがあります。その場合はアプローチチャートに書かれた最低高度や速度制限を守りながらアプローチをすることになります。大きな国際空港では最後の最後まで管制官が高度や速度の指示をしてきますから、われわれパイロットは言われたまま操縦すればいいのでそちらの方が楽です。一方、キューバのようなところに来ると我々で色々考えて操縦しなければ危険につながることもあり、特に、降りていい高度の確認は重要になってきます。今回はアプローチ中の速度や高度のコントロールもイメージ通りに行き、あっという間にバラデロ空港に着陸となりました。バラデロ空港はサンタクララほどチャーミングでなく、いわゆる普通の空港でした。我々以外誰もいない閑散としたターミナルを見る限り、旅客はまだ戻ってきていないように感じました。機長の話では、繁忙期にはターミナルのゲートすべてが飛行機で埋まり、ゲートが空くまで何十分も待機させられることすらあるという話です。また早くそういう状況に戻ってもらいたいものです。


バラデロからモントリオールまでは機長の操縦で、僕はPM(Pilot Monitoring)の業務をやりました。燃料や経過時間のチェック、無線、書類等々をこなします。これが訓練後4レグ目でしたが、もう戸惑うことも無くなっていたので、だいたいの感覚は8ヶ月前のレベルに戻ってきたように感じました。モントリオールに到着後、機長からはお褒めの言葉とおめでとうの言葉をいただき、これで10月中旬から始まったRTS(Return to Service)訓練が無事に終了となりました。仕事ができるっていいですね。なんだか自分には価値があるという感覚になります(笑)。仕事をしていなかった間はなんだか申し訳ないというか、役立たずというか、そんな感覚すら感じていましたから。


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訓練が終わり、今月のスケジュールはすでに発表されているため、僕は今月の最後までリザーブです。電話がかかってくるまで自宅待機です。せっかく訓練していいペースで飛んできたのに、またこれで飛ばなくて自宅待機に舞い戻ってしまいました。なんだかな〜とも思いますが、仕方ありません。色々忘れちゃう前にもうちょっと飛んでおきたいと思っています。


今日の写真はサンタクララで降ろした乗客の皆さんをコクピットから見送ったときのものと、グランドクルーと日暮れの様子です。











(つづく)






2021-10-30

シミュレーター訓練終了。

 ようやく仕事に戻るための訓練が終わりました。訓練はまずはIPTを使っての訓練で、トロントで行われました。そのため、久しぶりに飛行機に乗ってトロントに前入り。ホテルに泊まるのはいつぶりだろう?おそらく前回飛んだとき以来なんで少なくとも半年以上は経っています。空港側のホテルで、前回のエアバス以降訓練でも泊まったホテルです。なにも大したことはない普通のホテルなんですが、なぜか微妙にテンションが上がりました(笑)。


訓練は資料に目を通した限りは今までの手順を思い出すためのおさらい訓練ということになっていたのですが、インストラクターとのブリーフィングではガッツリ知識を試される内容でした。今まで知らなかったことも学ぶことができてなかなか楽しかったです。肝心のIPTではやはり色々忘れいていたことが露呈される形になりましたが、それでもこれまで自習やイメトレしてきたことが役立って、特に困ることはありませんでした。トレーニングのパートナーの機長はエアバス歴10年のベテランです。操縦の手順はさすがベテラン。でも、お互いに色々忘れていたので、お互い様に確かめ合いながら訓練を進めました。


IPTが終わったらそのままモントリオールに戻ってきて、1日だけ休みがありました。そして今度はバンクーバーまで移動してのシミュレーター訓練となりました。バンクーバーに行くのはこれまたお久しぶりだったので結構テンションが上がりました(笑)。


バンクーバーでの訓練はいきなり緊急事態の訓練から始まりました。久しぶりのシミュレーターなんだからちょっとくらい普通の離着陸の練習をしたりするウォームアップの時間をくれてもいいのに〜と思いながらシステムトラブルやらエンジントラブルの手順をやってました。しばらく飛んでいなくてもこういう手順は結構すぐに勘が戻りました。そして次の日には離陸直前のエンジン停止などもやりまして、結構ガッツリの訓練という印象でした。しかも朝4時半からのブリーフィングが連日続き、なかなか大変でした(とはいえ、バンクーバーの午前4時はモントリオール時間の午前7時なので、思ったほど大変ではありませんでした)。


シミュレーター訓練2日目はいわゆるフライトテストで、それも無事に合格。その後は2日間のお休みをもらいました。フライトテストを終えてホテルに戻ってきたのは午前10時過ぎ。少し昼寝をして、さ〜て、これからなにをしようかな〜と思っていたら、僕のブログを見てくださっている方から偶然にもメッセージをもらいました。どうやらバンクーバー近郊で訓練をしているとのこと。ちょうど時間もあるのでコーヒーでもどうですか?とお誘いして、スタバではじめましてとなりました。奥様にも来て頂いて、とても楽しい時間を過ごせました。こういう出会いがあるからブログやFBグループはやりがいがあります。


おやすみ初日は古い友達に会うためにダウンタウンへ。彼女と会うのもなんやかんやで7年ぶりほどでした。僕はおっさんになっているのに友達は7年前と特に変わらず。女性は強いです笑 そしてその日の夜には日本人パイロットのお友達3人と合流して牛角に行きました。バンクーバーにも牛角があるんです。とはいえ、僕は日本でも行ったことがなかったので初めての経験となりました。楽しい食事に話も弾み、とても楽しい時間を過ごしました。


おやすみ二日目は引き続きお勉強。気分転換に長い散歩にも出かけましたが、あいにくお天気はBC州特有の雨でした。BCでは10月から翌年3月頃までは雨季です。雪が降ることがあまりない代わり、雨が連日降り続きます。BC州以外に住むカナダ人の多くはBCの雨季を忌み嫌います。「雨が降るよりも、おひさまが見える日があるなら極寒でも積雪があってもいい」と言って東部の冬季の気候を好む人が多いです。僕はBCに8年近く住んだので、これまではBCの雨の冬の方が雪と極寒よりも良いと思っていました。でも、BCを離れてからかなりの時間が経ってしまったため、今回のバンクーバーの雨はあまり好意的に受け入れることはできませんでした。やっぱりおひさまが出ている方が雨や曇りよりもいいのかも?と思う自分がいました。知らず知らずのうちに東海岸での生活に慣れてしまったようです。


訓練最後の2日はLOFT(Line Oriented Flight Training)と呼ばれる訓練で、実際のフライトで起こりうるトラブルやシナリオに基づいての訓練となりました。1日めのLOFTではバンクーバーから古巣ビクトリア空港までのフライトでしたが天候が悪いためビクトリアには着陸できず、色々考慮した結果、アボツフォード空港(これまた昔よく行った空港)へダイバートするというシナリオでした。簡単そうで色々学ぶことがありました。2日めでは離陸後に機内に爆弾があって25分以内に爆発するというシナリオだったり、客室内が離陸直後に煙でいっぱいになったなどのシナリオでした。冷静に機長とプランを立てて実行するというなかなか面白い訓練になりました。普段は考えないこともこういった訓練で色々考える機会を与えられ、それが普段のフライトを安全に行うための良い経験になります。一週間ほどのバンクーバーでの訓練はとても良い経験になりました。


次は来週にキューバへ2回フライトがあります。これらのフライトを終えれば晴れて仕事に正式復帰という扱いになります。やっぱり何かに取り組むというのは楽しいですね。勉強も楽しいし、訓練も楽しかったです。キューバにはいったことがないので、またいろんなところに飛んでいけるようになることに感謝しながら仕事に復帰して行きたいと思います。


今日の写真はシミュレーターです。久しぶりのシミュレーターでしたが、特に戸惑うこともなかったのが幸いでした。





(つづく)

2021-10-11

やっぱ好きやねん

 前回の投稿から少しまた時間が空いてしまいました。なにかとばたばたしていておりました。元気にやっています。心配してくださった皆様、お気遣いありがとうございます。

 さて、かれこれまた半年以上フライトがない生活をのらりくらりと送って来ましたが、とうとう仕事復帰のための訓練日程の連絡がありました。訓練は今月中旬から、トロントとバンクーバーでの訓練になるようです。これだけ時間が空いたんだから何らかのリフレッシャー訓練でもあるのかと思っていたのですが、どうやら大袈裟なものはない模様です。シミュレーターで数回訓練セッションを受け、路線審査を受けてまたラインフライングに戻されるようです。なんだかざっくりしすぎてない?っと思ってしまいます。あ、一応は通常の手順確認のためのセッションは入れてくれたみたいです。

 前回のボーイング767からエアバス320への機種変更訓練が始まったのもちょうど昨年の10月でした。どうやら10月は僕にとっては訓練の月のようです。10月に訓練をすると路線飛行に送り出されるのがちょうど冬シーズンになり、カナダの冬は滑走路が雪で覆われていたり、出発前にde-icingをする必要があったりとちょっと面倒な時期です。そういえば、どなたかに「日本では滑走路に雪がある場合は機長のみが離着陸を許されている」と聞きました。カナダでは副操縦士でもばんばん離着陸しますから、ちょっと不思議です。

 ということで、訓練の日程が決まったのでここしばらくは毎日マニュアル類を読んでいます。色々忘れていてちょっと焦ることもありますが、以前やっていたことの記憶が少しずつ戻ってくる感覚はなかなかどうして楽しいものでもあります。実際の操縦感覚は自転車と同じですぐに戻ってくるはずですからそれほど心配はしていません。細かな手順や知っておかなければならない数字等を中心に勉強し直しています。一度頭がスッキリしてから再度復習をやり直しているせいか、結構いろんなことがしっかり頭に入ってきます。また、前回の訓練では余裕がなかったからか、はたまた実機操縦経験がなかったからか、よく理解できていなかったことも多々あったように記憶していますが、今回はそういうことも具体的に理解できたりもしています。飛行機の勉強はもう15年以上なんらかの形で継続してきましたが、やっぱり楽しいと感じます。仕事に対する不満などでストレスが溜まることはあっても、やっぱりこういうのが好きなタチのようです。

 実は7月中旬からしばらくフランスに滞在していました。フライト中はマスク2枚重ねで、手指消毒も頻繁にやりました。カナダ帰国の際にはPCR検査が求められるのでやや面倒ではありますが、それでも以前のように行き来できるようになって嬉しいです。日本にも仕事に戻る前に帰りたかったのですが、14日ないしは10日の自宅待機がネックになり、結局帰れませんでした。年内に帰ることも今の調子では難しそうなので残念です。

フランスではハイキングをたのしみました。

牛の後ろに見えるのがモンブラン山

タイトルは今聞いているやしきたかじんの影響です(笑)。



(つづく)

2021-07-03

熱波とワクチン2回目。

 日本でも報道されていたとおり、カナダは数日前まで熱波に襲われていました。特にひどかったのが西海岸の山間部で、教官時代にマウンテンチェックライドで飛んでいた谷沿いの町リットンというところでは気温が49.5度まで上昇したそうです。それだけでもひどいのに、その直後に今度は山火事に見舞われ、町のほとんどが焼滅してしまったという報道もあります。まさに泣きっ面に蜂です。夏のカナダの山間部では森林火災がよく起きます。そのため、こちらでは夏の間だけ飛ぶ森林火災専門の消火作業パイロットという職業まであります。日本のようにヘリコプターでちんたらちんたらと火を消すのではなく、大型のエアタンカーを使って消化剤を含んだ水をどば〜っと落とします。危険を伴う仕事ではありますが、1年のうち数ヶ月だけ働けばよいので、夏だけ必死に飛んで、あとは国外でのんびり暮らすなんていうパイロットもいるそうです。

 我々が飛んでいるときに森林火災を目撃することがあります。大きいものであれば既に通報されている場合がほとんどですが、今、まさに発火したばかり!というようなものである場合には我々パイロットが航空管制官への無線会話を通して通報することもあります。「あの〜、今、我々の真下で煙があがってるんだけど〜?」と管制官に言うと、「あ〜、それね〜、既に報告済みですよ」っと言われる場合が多いです。でも、時たま、「え?どこ?だいたいの緯度・経度はわかる?」と聞かれることもあります。そういう場合にはコクピット内のフライトマネジメントコンピュータに表示されている位置情報を伝えます。その後、どういうプロセスで消火作業につながるのかまではわかりませんが、通報できた場合はちょっと良いことをしたような気持ちになります。

 今日現在、カナダではワクチン接種1回目を終えた人が実に6割を超え、2回接種完了した人が3割を超えています。今までは死んだ町のようだったモントリオールの目抜き通りでもレストランやバーなどが再び営業を始めました。イギリスでまたも感染者数が2万人を超えているということですが、カナダにもおそらくインド株がいずれは広まってくるでしょうし、今後どういうことになるか注視していく必要があると思っています。

 僕自身は明日7月3日に2回目のファイザーワクチンを接種する運びとなりました。1回目を接種した段階では「2回目は8月後半」と言われていましたが、ここに来て前倒しして2回目を受けることができるようになりました。最初の頃はそれこそワクチン接種開始に出遅れた感のあったカナダですが、今では世界でも有数のワクチン接種率となっているようです。2回目は1回目よりも副反応が強くでるという話なので、少しだけビビっています(笑)。

 カナダの航空業界は少しずつ勢いを取り戻し始めている兆候が見えるようになってきました。リージョナル航空のほうではレイオフされていたパイロットの呼び戻しが始まったようですし、我が社のほうでも客室乗務員が夏シーズンを見据えて呼び戻されています(まだまだ少数ではあります)。国際線の需要も少しずつ回復してきてはいますが、パイロットを呼び戻すほどの需要はまだないようです。しかし、最近になってカナダ政府はワクチン接種済みの国民や永住者が国外から帰国する場合のホテル隔離措置を条件付きで免除するようになったため、海外にバカンスに出かける人の数は確実に増えています。僕もときどき暇な時に自社便の搭乗者数を調べたりするのですが、ヨーロッパ方面へのフライトでは搭乗者数が8割を超えるフライトも出始めています。ワクチンを打ったからもう平気だ!というわかりやすい態度の変化をするのがこちらの方々の傾向のようですが、これからもしばらくはマスクや手洗いに気をつけ、ソーシャルディスタンスを保っての移動を心がけてもらいたいものです。僕自身はまだレストランに行って屋内で飲食するのにはやや抵抗があります。先週末に始まった世界最大の自転車ロードレースであるツールドフランスのテレビ中継を観ても、フランスの沿道の観戦者数の多さとマスク着用率の低さには強い違和感を感じます。

 自分のブログを見直して見て、改めてしばらくフライトしていないということに気がつきましたが、それでもまだ半年ほどなんですね。この半年間でフライトのことはすっかり頭から消え去ってしまいました。折を見て自分がどのくらいエアバスのことを覚えているかを自問自答すると、本当にいろいろ忘れてしまっているので驚きます(笑)。とはいえ、職場復帰が決まったら1週間もあれば十分に以前の知識レベルに戻せる自信があるため、さほど気にはしていません。今までも2週間働いて2週間休むというような、ダウンタイムが長いパターンで仕事をしていたため、少し時間があいても問題ないことも確認済みであるため、今はあまりむやみに復習などしないようにしています。してもすぐに忘れちゃいますから。

 先日までの熱波はようやく去り、今日からモントリオールはまた気温が20度前後となっています。半袖短パンでは肌寒いので夏らしく感じませんが、毎日体感気温35度くらいの日が続いたあとなのでひんやりして気持ちが良いです。ワクチン接種を完了して早く移動できる日が来ることが待ち遠しくてなりません。

 今日の写真は川沿いの夕暮れです。





(つづく)

2021-06-03

懐旧。

  6月が始まりました。こちらカナダのワクチン接種はだいぶ進んでおり、国内感染者数の数も軒並み減少傾向にあります。ここモントリオールではこれまで実施されてきた夜間午後9時半以降の外出禁止令が解かれました。今は子供対象のワクチン接種を進めながら、高齢者の2回目の接種が始まろうとしているところです。ケベック州だけを見ると、州民の75%が最低1回ワクチンを接種していることを当面の目標にしています。そのレベルを超えれば多くの制限が解かれることになるようです。今週末からはモントリオールも警戒段階が1レベル緩められ、レストラン内での食事もできるようになるそうです。気候もよくなってきたので、テラスで飲食を楽しむ人々の姿を見かけることが多くなってきました。

 先日、藤原正彦著の「この国のけじめ」を読み終わりました。この方の本を読んだのは初めてでしたが、いろいろと祖国やその歴史について考えさせられることが多かったです。コロナ禍で国の弱さが露呈されてしまった感が否めませんが、その理由のいくつかがこの本に書かれていたことに関連しているように感じました。

 僕自身は5月8日に1回目のワクチン(ファイザー社製)を接種してもらいました。インターネットでの予約はスムーズで、当日の大規模接種会場も動線がしっかりと確保されていて混乱はまったくありませんでした。入り口ではヘルスカードをスキャンして予約を確認し、その後会場内に通されました。まずは問診から始まり、その後に接種、そして15分ほど会場内の待合スペースで待機してから解散という流れでした。僕に接種してくれたお医者さんは歯科医の方でした。副反応は特になく、腕に痛みを感じたくらいでした。接種から約1ヶ月経った今日、接種証明がメールで届きました。QRコード付きの接種証明なので、おそらくこれらがいずれ発行されるワクチンパスポートなるものに利用されるのだろうと思います。

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 モントリオールはだいぶ夏らしい日が多くなってきました。気温が20度後半になることも多く、嵐が過ぎていく日も時たまあります。そういえば、飛んでいた頃はこの季節は入道雲を避けながらのフライトだったな〜なんて思いながら毎日散歩をしています。雲の避け方にはいろいろあって、経験値が物を言うと思うのですが、ときどき自分が決めたルートで飛んだら結構揺れたり、結局逆方向に行っていたほうがよかったかも?なんてがっかりすることもあったのが今では懐かしい思い出です。最近は引き続き時間があるので時々車でモントリオール郊外に散策に出かけたりもしています。この1年ちょっとでモントリオールの道路事情にはだいぶ詳しくなったと感じています。今なら大体の場所はGPSを使わなくてもいけるようになりました。

 こういう夏の気候になると、夏によく仕事で行っていたギリシャ・アテネを思い出します。外に立っているだけで汗がにじみ出てくるような日差し、なのにカラッとしていて気持ちがよい気候が夏のアテネです。『失ってみて初めてその大切さに気づく』なんてことがよくありますが、ギリシャに行けていたことはまさに自分にとってのそれで、夜中じゅうフライトしたり時差ボケに悩まされることもあって大変ではありましたが、それであってもギリシャをはじめとしたヨーロッパのリゾート地に仕事で飛んで行けていたことはとても幸せだったと思っています。そんなことを考えながら、ここ最近はグリークサラダをよく作ります。材料はきゅうり、トマト、フェタチーズ、パプリカ、お好みで玉ねぎ、オリーブ、塩胡椒少々とオリーブオイルです。オレガノを入れるとさらに良いです。本場ではサラダの上にフェタチーズが切られていないままの板状でど〜んと乗っかって出されます。それでいて格安。「仕事で行ったところで一番のお気に入りは?」と聞かれるとだいたいの場合はアテネと答えます。あれ?これは以前にも書いたかな?

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 相変わらず飛んでいませんが、昨日になって航空身体証明書の更新をしました。去年は確か会社のクリニックに出向いて通常通りの診察を受けましたが、今年はtelemedicalということで遠隔での診察(Zoomのようなもの)のみになりました。こんなんで大丈夫?とも思いますが、なにか問題があったりする場合にはクリニックに呼ばれるとのことです。僕は特に体調の変化もないし、「はい、オッケー」と言われて30分弱の診察のあとで無事に第1種航空身体証明が更新されることになりました。来年は通常通りの診察でもいいな〜と感じたり、感じなかったり。


海みたいですが、川です。右側の車が僕の日産マーチ(北米名:MICRA)です。


大きな嵐雲が通過することがあります。


これはもう2年前のギリシャ・アテネです。コロナ後にぜひまた行きたい場所の一つです。


グリークサラダは簡単、美味しい、日持ちする、といいことばかり。


夜間外出禁止令が解除された日の夕方、公園ではお祝いのライブ音楽が。


ほぼ毎週のようにパレスチナ人のデモ活動が行われています。


モンロワイヤル山は新緑が綺麗で、散歩がてらの簡単なハイキングに最適です。





(つづく)