2020-01-13

2020年仕事始め。

 皆さま、あけましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしくお願いします。

 2019年の最後は予定より1週間ほど遅れてフランスに入り、そちらで年越しをしました。 ジュネーブから車で1時間ちょっとのところにあるモルジヌ(Morzine)というスキーリゾートで有名な場所です。 夏と冬の間は主にイギリスやヨーロッパ諸国からの観光客で賑わいます。 ジュネーブからのアクセスが良く、周辺には他にもアヴォリア、レ・ジェ、などなどといった大規模スキー場が多く存在しているため、ヨーロッパでは人気のスポットだそうです。

(写真上:大晦日の夜にはスキー場で花火が打ち上げられていました。)

 僕はスキーを少しだけやります。 子供の頃はよく父親にスキーに連れていってもらいました。 夕方からのナイトスキーによく行った覚えがあります。 ロッジ内の熱気と湿気が篭った感じ、リフトに乗っていると聞こえてくるFMラジオ。 スキーのあとの心地よい疲れ、などなど、子供の頃の良い思い出です。 父親が亡くなってからはスキーに行く機会がほぼなくなり、学生時代にもほとんどスキーには行きませんでした。 それがフランスに行くようになり、スキーがとても身近になったこともあって、またスキーを始めようと思うようになりました。 今年の目標はなるべく多くスキーに行くこと。 月に数回行けたら良いなと思っています。 

(写真上:遠くの山間部には雲海が広がり、空は真っ青。最高のスキー日和でした。)

(写真上:レ・ジェという村の一部。 右上に見える頂がモンブラン。)

 フランスに行かなくても、モントリオール周辺には結構な数のスキー場があります。 以前に行ったモン・トロンブランというところが一番有名で、モントリオールから車で1時間半くらいでしょうか。 他にも低い山でもよかったら選択肢が多くあることがケベックの冬の魅力かもしれません。 ただ、マイナス数十度の中、全身をスキーウェアで覆い、顔も目出し帽のようなものを被って、とにかく肌を露出しないようにしてこちらの人たちはスキーを楽しむそうです。 そこまでしたくはないかな〜、というのが正直なところで、今の所はスキーはフランスに行った時のみ楽しむ予定です。 今回はスキーブーツやウェアも購入しました。 本気です(笑)

 フランスでの休暇が終わりカナダに戻ってきまして、昨日が少し遅い仕事始めとなりました。 3日間のペアリングでフロリダのフォート・ローダーデールまで行ってきました。 片道3時間前後の楽チンフライトです。 ここ数ヶ月ずっと片道8時間前後のフライトばかりやってきたので、3時間は本当にあっという間に感じます。 モントリオールはマイナス10度でも、フロリダはプラス23〜25度。 カナダ人たちがこぞって冬にフロリダに行きたがる気持ちもよくわかります。 久しぶりにアメリカに行きましたが、やっぱりアメリカはなんでもでかいな〜と再確認させられました。 人々の体格、食事の量、なんでもビッグ。 たまにはこういうのも悪くありません。 

 初日は午後8時過ぎにモントリオール空港を離陸。 幸いde-iceする必要もなく、スムーズに出発できました。 巡航中も大きな揺れはなく、あっという間にフォート・ローダーデールに到着。 ホテルは昨年とは違うホテルで、空港から6分ほどで到着。 ホテルに着き、シャワーを浴び、少し落ち着いたら午前0時すぎくらい。 生活リズムが狂わなくて最高じゃないですか(笑)。 こんな仕事は久しぶりです。

(写真上:ホテルのバルコニーより。跳ね上げ式の橋がかかっています。)

(写真上:フロリダにはパームツリーがよく似合います。)

 翌日は丸1日レイオーバーだったので、久しぶりに外をジョギングしました。 8キロほど走り、近くのビーチまで。 あいにく強風で曇りだったのであまり綺麗ではありませんでしたが、気温20度以上で短パンTシャツで外を走れるのは気持ちがよかったです。 

(写真上:ホテルはマリーナに隣接していて、ボートが多く見えます。 遠くにはフォート・ローダーデールのダウンタウンの高層ビルが見えます。)

(写真上:ホテル近くのショッピングエリアへ。)

(写真上:フロリダは雪が降らないから車が綺麗。 高級車もよく見かけます。 このフェラーリ、冷却水漏れを起こしていました。 笑)

 3日目は朝4時35分ホテル出発(汗)。 これが今回のペアリングの一番大変だったところです。 前日は夜8時過ぎにはベッドに入って就寝。 それなりによく眠れたので、朝3時半頃にすっきりと目が覚めました。 フライトは午前6時頃プッシュバック。 こんな早いフライトなのに満席でした。 乗員乗客300名弱を乗せ、一路モントリオールに向けて暗闇の中を離陸しました。 北に舵を取り、離陸後1時間ほどで東の空が明るくなってきました。 モントリオールには午前9時過ぎに着陸。 久しぶりのフライトでしたが着陸も綺麗に決まり、楽しいフライトとなりました。 

(写真上:フロリダ半島東側の洋上から見えた朝焼け)

 仕事を終え帰宅したのが午前10時過ぎくらい。 僕が住んでいるのはモントリオールのダウンタウン東部ですが、ラッシュアワーを避けることができると空港から車で20分ちょっとです。 これが渋滞していると1時間近くかかります。 午前8〜9時頃と夕方4〜6時頃が主なラッシュアワーで、その時間は仕事に行く以外にはなるべく車に乗らないようにしています。 今回はちょうどラッシュアワーを避けた感じで帰宅できたのであっという間に自宅に到着しました。

 今月は今回と同じようなフロリダ3日間ペアリングが3回、あとはすべてシングルデーのペアリングで、行き先はほぼすべてフロリダです。 今月は久しぶりの同じタイムゾーンに丸々1ヶ月留まることができそうです。 これで睡眠障害が少しは緩和されると良いなと思っています。 また、今月は1回働いたら最低1日休みが取れるようにしました。 これも同様に体調を考えてのことです。 今までは1週間ぶっつづけで仕事をして、法律上必要な休息日を入れ、またぶっ続けで働くというのをここ数年やってきていたのですが、体調が少しずつしんどく感じることも増えてきたので、今年はなるべく体をいたわったスケジュール調整を心がけようと思っています。 やはり歳には勝てませんね(苦笑)。

 今年もがんばろうと思います。 みなさんにとっても今年が良い一年となりますように。


(つづく)










2019-12-21

リマ・風邪・仕事納め。

 先月に引き続き、今月もペルーのリマに行ってきました。 この日一緒に飛んだのは日系機長。 日本で生まれたそうですが、育ちはカナダ。 親御さんは日本語を教えなかったようで、日本語は全くはなさないそうです。 なんだかもったいないな〜と思いましたが、よそ様の子育てに異議申し立てをする筋合いはございません(笑)。 

 今回は久しぶりに僕がモントリオールからリマまでの操縦を担当。 フロリダを抜け、キューバ上空を飛び、パナマを通って南米大陸にと進んで行きます。 パナマ周辺はほぼ一年中大きな積乱雲や雷雲が発生していて、パイロットの間ではThe Wall(壁)と呼ぶ場合もあるようです。 この日は満月ということもあり、雲の位置をある程度目視確認しながら飛ぶことができたので楽チンでした。 月が出ていないとレーダーに頼ることになるのですが、レーダーには映らない雲というのもあり、ぎりぎりにならないとどこに雲があるのかわからない場合もあるので注意が必要です。 

 約8時間のフライトの末、いつもどおりのアプローチを行って無事に着陸。 リマに自分の操縦で下ろすのは久しぶりだったので楽しい着陸となりました。

 ホテルに到着したのは午前2時過ぎ。 シャワーを浴び、少しゆったりとしてから就寝。 こういう生活リズム、絶対健康には悪いです(笑)。

 翌朝、マーケットでも観に行こうとロビーに降りたらフライトアテンダントの子が二人いて、ちょうどこれからマーケットに行くというので一緒に連れて行ってもらいました。 マーケットではアルパカの毛で作られた毛布やセーターを扱うお店に立ち寄り、僕はアルパカ毛布を2枚購入。 初めてアルパカ製品を買いましたが、現地では安いですし、柄もモダンでおしゃれ。 お土産やプレゼントには最適です。 

(写真上:ここでアルパカ毛布を買いました。)

(写真上:公園にはやはり多くの猫が。)

(写真上:リマは夏。 気温は20度ちょっと)

(写真上:ここにも猫が)

(写真上:今年もこの箱でいろいろな緊急事態の対応をおさらいしました。)

(写真上:今年は離着陸が40回ほど、飛行時間が750時間ほどとなりました。)



 ホテルを出発したのは午前1時過ぎ。 フライト出発時刻は午前3時過ぎ。 こんな時間に旅行に出かけるってものすごいですよね(苦笑)。 なのに、こんな時間でも空港は大賑わい。 これは毎回のことなので、リマというのはなんとも不思議な都市だと毎回思わざるを得ません・・・。

 フライトの途中から体調に異変が。 なんだか悪寒がします((((;゚Д゚)))))))。 業務には影響はありませんでしたが、家に帰ってくるころには完全に熱がある感じがしました。 検温すると38度以上の熱が。 これはきっとインフルエンザ? ということで、次のお仕事は病欠となりました。 今月はシミュレーター審査もあるので、なるべく早く体調を治すために安静にしていました。 久しぶりに高熱が数日続き、かなりしんどかったですが、ようやく体調も回復してきて、シミュレーター訓練も無事に終え、仕事納めとなりました。

 今年一年を振り返ると、昨年よりも働いたなという印象です。 実際に飛行時間をみても今年は昨年よりも100時間ほど多く飛んでいます。 これはすべてドラフト(自主的休日出勤)のためで、その分お給料が増えました(笑)。 来年はもうちょっとセーブしても良いかなとも思いますが、今年は引っ越しなどでいろいろと物要りだったため、お給料が増えたのは助かったというのが正直なところです。 

 今年は海外便を主にビッドして働いていたため、時差ボケに悩まされ、睡眠障害にも悩まされる一年でした。 飛行機には慣れ、訓練でも落ち着いて対処できるようになっているのが自分でもわかるので満足しています。 でも、健康な体があっての仕事ですから、来年は体調優先のスケジュールで仕事ができるといいなと思っています。 

 というわけで、明日から冬季休暇となります。 今年一年このブログにお付き合いくださりありがとうござました。 皆さま、良いお年を!


(2020年もつづく)



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年齢の問題

 僕にメールをくださる方はだいたい2パターンに分かれます。 今、大学生(または高校生)で、パイロットになりたい人と、今は社会人で、昔パイロットになりたかったが何らかの理由で諦めざるを得なかったが、今になってパイロットへの憧れが再びぶり返したパターンです。 

 今まだ20〜30代の方は年齢なんか気にする必要はありません。 どんどん挑戦することをオススメします。 

 今、既に40代またはそれ以上の方にはいろいろ考えてもらわなければならないことが増えて来ます。 そもそも海外でパイロットになるのに年齢は関係ありません。 40歳から訓練を開始してもエアラインパイロットになることは可能だと考えます。 海外では日本のように履歴書に写真を貼ることもなければ、生年月日を書くこともありません。 容姿や年齢で差別してはならないからです。 しかし、海外でのパイロットの給料は最初のうちはとても低いです。 さらにエアライン前の仕事のお給料となると、それこそ日本の大卒初任給レベル(またはそれ以下)です。 それが時には数年間続きます。 仮に今、日本でばりばり仕事をしていて、お給料も家族を養っていくのに困らないくらいもらっているあなた。 そのお給料と地位・名誉を捨て、初任給レベルの生活に戻れますか。 それを数年間続ける覚悟はありますか。 しかもその後の仕事の保証はどこにもありません。 それが不安になって夜眠れなくなったりはしませんか。 もし答えがイエスなら海外でパイロットを目指すのはもう一度よく考えた方が良いかもしれません。 

2019-12-12

今年最後のバルセロナ。

 ここしばらくはモントリオールではあまり雪が降っていません。 時々数センチ積もっては溶け、積もっては溶け、といった具合です。 気温もマイナス10度以下にはあまり下がりません。 雪が降ってもリスたちは元気に走り回っています。

 昨日まで今シーズン最後になるバルセロナに行ってきました。 今回はレイオーバーが丸二日だったのでゆったりと街を歩き回ることができました。 さすがのバルセロナもこの時期になると気温が結構下がり、最高気温が15度ほど、最低気温は5度ほどです。 

 今回のバルセロナ行きは最近よく一緒に飛ぶ元空軍の機長 この人の経歴がすごく、アメリカ空軍でF16、カナダでF18を飛ばしていて、教官までやった方です。 あと一年ちょっとで定年ということもあり、かなりリラックスした方です。 僕はこういうおじいちゃん機長との相性が良いです() 

 バルセロナに向けて降下中、バルセロナアプローチのATCから指示が出ましたが、スペイン語訛り強すぎて何を言っているかわかりません。そもそも英語が第二言語の僕は外国語訛りの英語を聞き取るのが苦手です。 機長ならわかったかな?と思って横を見ても首を横に振っています() Say again?」と言って再度指示をリクエスト。 それでも聞き取れません。 機長は「もしかしてヘディングって言ってる?」っていうので、「なんですか、ヘディングですか?」と管制官に言い返すと、「ソーデス、へデング110,レダーベクタ フォー ファイナル」的な、訛り大盛りで指示が出ました() その後は無事にアプローチを続け、無事に着陸しました。 スペイン語圏の管制官は本当に何言ってるのかさっぱりわからないときがあります。 スペインはまだましですが、南米の方はもっとひどい 緊急時のときに意思疎通ができるのか、大きな疑問が残ります。

 今回のバルセロナレイオーバーでは初日は機長のタパスバーに出かけました。 ワインと突き出しで3ユーロと格安のバー。 これがなかなかよろしくて気に入りました。 



 街はすっかりクリスマスの雰囲気に包まれていました。 街は買い物客と観光客でごった返していました。 街のイルミネーションがきれいで良い雰囲気でした。 こういうスペインも悪くありません。


(写真上: クリスマスマーケットが開かれていました。)









 レイオーバー二日目はバルセロナでも人気のピザ屋に行きました。 最近ピザをゼロから作ろうと目論んでいて、研究を兼ねて行ってきました。本格的なナポリピッツァでおいしかったです。 皿よりもでかいサイズにビビりました()



(写真上:こちらもガウディが設計した建物)

(写真上:巨大なクリスマスツリーが飾られていました。)

(写真上:バルセロナらしい広場)

(写真上:バルセロナはとにかく犬が多いです。)



(写真上:クリスマスマーケットでは木が売られています。)



 最終日は朝8時過ぎ(モントリオール時間で午前2)に起床。 フライトは正午ごろ出発でしたが、フローコントロールの影響でプッシュバックが少々遅れました。

(写真上:お隣は魔法のレッドカーペット号。)

 離陸後はスペイン北部に向かって飛び、そこから北西に舵を切り大西洋を横断しました。 途中、大きな揺れが予想されるエリアがありましたが、特に揺れることもなく通過できました。 カナダに上陸すると、そこからモントリオールまでさらに3時間程かかります。 カナダという国は本当にスケールがでかいです。 しばらくするとジェット気流の影響でかなり揺れるエリアに入りました。 向かい風が190ノット(340キロ/)にもなりました。 おかげで地上速度を稼ぐことができず、プロペラ機のような速度で飛ばざるを得なくなり、モントリオールに到着したのは予定よりも1時間近く遅くなりました。 天候の影響とはいえ、お客さんには申し訳なく思いました。

 明日からまたペルーのリマに行ってきます。 今回飛ぶのは日系カナダ人機長のようで楽しみです。



(つづく)

2019-12-05

今年初のde-iceと、de-icingの説明。

 11月最後のペアリングでは久しぶりに南米ペルーのリマに行ってきました。 モントリオール出発が午後5時すぎ。 この日は今年初の大雪だったため、いろいろなハプニングがありました。 

 カナダは雪には慣れっこと思われがちですが、そうでもないことが多いです。 カナダでも西海岸のバンクーバーやビクトリア周辺はあまり雪が降りません。 そのため、ちょっとでも雪が降ると街はパニックに陥りがちです。 その点は日本の関東地方と似ているでしょうか。 一方、カナダ東海岸は雪深い地域として知られています。 そのため雪には慣れているはずなのですが、雪が降り始めるシーズン初旬はややパニック気味になります。 街では車がスタッドレスを履いておらず、事故が多発します。 そもそもケベック州はスタッドレスの着用が義務付けられているのですが、雪が降るのはまだまだ先だと悠長に構えている人達はいきなり雪が降るとあたふたするという始末です。 空港でも同じような感じで、初雪の日は飛行機を牽引・プッシュバックするトラックのタイヤにはチェーンがまだ巻かれていない場合もあり、ゲートからプッシュバックしようとしてもタイヤがスリップしてどうにもならない、という光景が多発します。 こんな光景を毎冬見てきました(笑)。 今年が東海岸で冬を過ごす3年目になりますが、ほぼ毎冬同じ光景を見ています。 小型機であれば問題ないのかもしれませんが、ボーイング767は時には180トン近い重量になります。 ちょっとでも雪が降っていたり、地面に氷が張っていると小さなトラック、ましてやノーマルタイヤのトラックではプッシュバックができません。 この日も同じ状態になりまして、結局、チェーンを履いた大型のトートラックが到着するまで待つ羽目になりました。 

 この日飛ばすことになった機体はモントリオールに1日以上前に到着していたものだったため、夜の間に霜が降りていたためde-iceをする必要がありました。 今年初のde-ice。 しかもモントリオール空港では初めてとなる経験でした。 De-iceのためのスポットに移動するも先約が何機もいて、我々の順番が来るまで長い間待つ羽目になりました。 モントリオール空港の夕方は出発ラッシュで、主にヨーロッパ方面に向かう機体で忙しくなります。 この日もエアフランス、ルフトハンザなどのワイドボディ機が我々の先に待機していました。 

 ワイドボディ機の場合はいろいろ面倒なことがあります。 De-icing Bayのスポットの中には大型機の翼幅に対応しきれないスポットもあるため、必然的に我々が入れるスポットの数が少なくなります。 そのため、先約があるとそのスポットの空きがでるまで待つことになります。 これが小型機の場合ならどこでも入れるのでさっさとde-iceして出発できるのだと思います。 

 今までde-icingについて詳しく書いたことがなかったので、今回は一般的な手順を説明します。

 まず、気温が下がった日にはゲートに到着した段階でde-iceの必要があるかどうかを目視確認します。 飛行機によって違いますが、ボーイング767の場合は客室内から翼を見てチェックします。 また、外に出てエンジン内に雪や氷が付いていないかを確認する場合もあります。 翼に雪が積もっていたり着氷がある場合にはde-iceが必要ということになります。 出発前の点検でde-iceが必要な場合には会社からデータリンクで「de-iceが必要です」というメッセージが届く場合もあります。

 De-iceが必要な場合にはゲート出発約30分前にDe-icing Coordinatorという役割の人にde-icingが必要な旨を無線で事前連絡しておきます。 

 出発準備が整うとプッシュバックとなりますが、その際にde-icing bayに向かう旨を管制官に伝えておきます。 

 De-icing padに近づくと、Pad Controlというde-icingエリアを総括する人と無線会話します。 大抵の場合、入って良いスポットナンバーを伝えられ、「Stop at the red bar, and conform when brakes are set」というようなことを言われます。 言われた通りスポットにタクシーし、ブレーキをかけます。 そして無線で「Brakes are set.」と連絡します。 そうすると、「Contact Iceman on 1XX.XX」(XXは周波数)と指示されます。
 
 Icemanは実際のde-icing spray業務を総括する人のことで、この人が実際にde-icingトラックを操作する作業員に無線指示を出しています。 Icemanと話す前にはde-icing checklistを読んで飛行機の支度をします。 De-icing中には機内にde-icing fluid(液体)が入ってこないようにしたり、トラックの作業員に危害が及ばないようにライトを消したりいろいろやることがあります。 チェックリストに沿ってそれらを行い、準備が整ったらいよいよIcemanと無線会話します。

 「Iceman, (コールサイン)、brakes are set, aircraft configured for spray, requesting Type 1 and 4, wings and tail」(訳:”Iceman, (コールサイン)、ブレーキはかかっています。 飛行機のde-ice準備は整いました。 タイプ1と4の液体を翼と尾翼にかけてください”)といったような指示を出します。 

 タイプ1という液体はオレンジ色の温められた液体で、これをかけて雪や氷を溶かします。(=de-ice)

 タイプ4という液体は黄緑色の液体で、これをかけることによって翼の表面を覆い、雪や氷が機体表面に届かないようにします。(=anti-ice) この液体は100ノット前後のスピードになると風圧で吹き飛ばされ、翼から剥離するように粘度を調整されているそうです。 

 スプレーが終わるとIcemanから無線で呼ばれます。 返事をすると、どのような液体をかけられたか、そのスプレーが何時何分に開始されたか、トラックや作業員がすべて安全エリアに移動したこと、de-ice後のチェックが済んだことなどが伝えられます。 そしてde-icing padを離れるためには再びPad Controlに連絡するようにと指示されます。
 
 タイプ4の液体にはHold Over Time(HOT)という時間があります。 これは、この液体が翼を雪や氷から守ってくれる時間の計算に必要になるものです。 細かい説明は省きますが、de-ice/anti-iceスプレーをした際の気象条件によって〇〇分以内に離陸しなければならない、といったように離陸までの時間が決められる場合があります。 万が一この時間内に離陸できない場合には再度スプレーすることになります。

 Pad Controlに無線コールする前に再びチェックリスト(post de-cing)を行います。 De-ice前に切ったエアコンやいろいろなスイッチ類の位置を再び離陸のための位置に戻します。 それが終わったらPad Controlに連絡し、de-icing padを離れて滑走路に移動するための許可をもらいます。

 っというふうに、お客さんにはわからないところで我々はいろいろやっているんです(笑)。 この日は初雪ということもあり、てんやわんやで、ゲートを出発してから離陸するまでに1時間以上かかりました。 その間もエンジンは回っているわけで、それだけ余分に燃料を消費します。 そのため、de-iceの必要があるときにはディスパッチャーは普段よりも少し多めに燃料を搭載するようにフライトプランを立ててくれます。

 
(写真上:de-icing中にお隣にいたB787が夕日の中スプレーされていました)


 今月はバルセロナ、リマ、プンタカナに行きます。 また、半年に一度のシミュレーター訓練もあります。 また勉強しています。

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訓練費用について

僕が訓練を受けたのは2006年頃です。 もう10年以上も前です。 従いまして、物価の上昇に伴って訓練費・生活費は上がっているはずです。 具体的な額はフライトスクールのウェブサイトに書いてあるか、問い合わせをすれば教えてくれます。 

参考まで、Victoria Flying Clubのウェブサイトにある情報によれば、PPL, CPL, Multi-IFRまで取得するには今日現在で最低でも60,000カナダドルほどかかるようです。

カナダでの生活費は日本(都市部)での生活費と大きく変わることはないと思いますが、場所によって差があります。 したがって、資金は余裕を持って用意することが望ましいです。 1ヶ月あたり最低でも1000~1500ドルは見積もった方が良いでしょう。 水準の高い生活をしたい、車を持ちたい、などのリクエストがあれば当然ながら生活費も上がります。 




(つづく)

2019-10-16

久しぶりのバルセロナと、カナダに来て13年。

 昨年の夏によく行ったスペイン・バルセロナですが、今年の初夏は他社便での就航となっていました。 いろいろな理由があるとは思いますが、主な原因はボーイング737MAXが運航禁止になっているためです。 本来737MAXで運航すべきルートを他機種でカバーしているため、本来のルートを飛ばす機材もクルーも足りていないため、会社は他社数社とチャーター便の契約をしました。 夏の繁忙期も終わりに近づき、自社便のみでカバーできる能力を取り戻しつつあるためか、チャーター契約も概ね終わったようで、ようやくバルセロナ便が我々自社便クルーに戻って来ました。 今月は7日間連続でバルセロナに行くペアリングがありました。 最初は4日間のペアリング(レイオーバー2日)と3日間のペアリング(レイオーバー1日)でした。 

 久しぶりのバルセロナまでのフライト。 モントリオールを出発するのは深夜11時前。 殺人的なスケジュールです(笑)。 現地到着は現地時刻の正午ごろ。 モントリオール時間で言えば、夜11時頃から飛び始め、午前6時頃までの約7時間のフライトです。 一般の方々が眠っている間、我々は飛んでいます。 これだけ遅い出発となると、我々は北米からヨーロッパ方面に飛ぶフライトのほぼ一番最後のグループという感じで、ヨーロッパに到達する頃にはヨーロッパから北米に飛ぶ西向きルートの便が飛び始めています。 

 フライト自体は穏やかで、途中で少し揺れるところもありましたが順調なフライトとなりました。 これまで頻繁に乗務したフランス・マルセイユ/ニース便とは違い、着陸したらすぐにホテルに直行できますし、ホテルまでもシャトルで20分弱なので快適です。 

 ホテルにチェックインすると今回は海が見える側のお部屋。 外には自然科学博物館のようなものがあり、どうやらVIPが来ているようで警察がうようよいる景色が見えました。 すぐにカーテンを下ろし、3時間ほどの仮眠を取りました。 

(写真上:部屋から地中海が少し見えます。ちなみに写っているボトルはレモネードです。)

(写真上:FAさんにルマンドをもらいました笑)

 さて、今回は珍しく48時間のレイオーバー。 初日は市街地を歩き回りました。 主な観光地はだいたい見尽くした感があるので、今回は綺麗な街並みを観ながら、なるべく裏道などの今まで行ったことがないところを歩き回りました。 約10キロ、15000歩ほどあるきました。 これが僕の海外レイオーバーの常となりつつあります。 疲れたところでレストランに入り、パエリアとタコサラダを堪能しました。

(写真上:本場のパエリア/パエーヤはやっぱり美味。)

(写真上:ゴシック地区。 気温も上がり、夏のようでした。)

(写真上:カタルーニャ広場)

(写真上:コロンブス像)

(写真上:夜はまた雰囲気が変わって素敵です。)

(写真上:公園には卓球台があり、若者たちが熱戦を繰り広げていました。)

 この日は歩き回ったおかげでぐっすり眠ることができました。 

 翌日、偶然バルセロナにいた旧友に会い、昼食を一緒に取りました。 その後、サグラダファミリアに行きました。 今までなかなか入場チケットが取れなかったサグラダですが、今回は前もってチケットを購入しておきました。 タワーに上がれるチケットも購入しました。 ちょっと高かったですが、一生に一度の経験ですから良しとしました。

 
(写真上:入場口から観た全景)

(写真上:めっちゃ混んでます。)

(写真上:ガウディは柱を樹々に見立てたそうで、上を見上げると森の中にいるように感じます。木の節も再現されています。)

(写真上:中は想像以上に広いです。)

(写真上:ステンドグラスから入ってくる光が鮮やかで印象的です。 朝を連想させる青系と、夕方を連想させるオレンジ色と、壁によってステンドグラスの色が違います。 これは青系の壁。)

(写真上:中を通り越して反対側に出ると、エッジの効いた印象の強い彫刻が。 こちらはキリストの死と復活に関連したストーリーを表現しているそう。)

(写真上:2026年完成予定とのこと。 今でも作業員が建築作業に追われている姿を見ることができます。これは塔からの景色。)

 今までにバルセロナ市内にあるアントニ・ガウディの作品をいろいろ観て来ましたが、サグラダ・ファミリアはスケールが大きく圧倒的でした。 観れてよかった。 人だらけだったのがちょっと残念で、入場料が結構高い(五千円ほど)のがネックですが、訪れる価値は十分にあると感じました。 

 2回目の3日間ペアリングでは観光はせず、機長と一緒に街のタパス・バーに行って来ました。 スペインではタパス・バーでお酒を飲むのが人気があるようです。 タパスというのは小皿料理で、料理がほんのちょっとだけ出て来ます。 それをたくさん注文し、いろいろな味を楽しむというもの。 海に近いバルセロナだけあってシーフード(あさりやエビ)が最高に美味しかったです。 写真撮ればよかった(笑)。

 7日目にカナダに戻って来たのですが、その日のルートがこんな感じ↓

(写真上:茶色の点々線が空域の境界線です。)
 この日はスペインを出発して大西洋に出たあと、まずはイギリスのシャンウィック(Shanwick)が管轄する洋上管制空域に入りました。 そしてその後、ほんのちょっとだけカナダのギャンダー(Gander)が管轄する空域へ。 その後、ポルトガルが管轄するサンタ・マリア(Santa Maria)の空域へ。 そして駄目押しでアメリカのニューヨーク管制空域に入りました。 1回のフライトで洋上管制空域すべてを通過したのは今回が始めてです。 ちなみに写真のオレンジ色の部分は乱気流が予測されているスポットを示しています。 

 7連勤のあと、2連休でした。 最初はカナダの感謝祭の日。 特に何もしませんが、カナダ人で家族がいる人たちはこの日は集まって七面鳥を食べたりします。 ちなみに、フランス系カナダ人のケベックの方々はあまり祝ったりはしないそう。 不思議です・・・。 カナダの感謝祭はアメリカの感謝祭よりも1ヶ月ほど早いのも特徴的です。

 ここ最近のモントリオールはいよいよ秋らしさが増して来ました。 樹々が紅葉し始めています。 写真をどうぞ。


(写真上:F1サーキットがあるジョンドラポー公園。 ジャック・カルティエ橋から。)

(写真上:F1サーキット方面へサイクリングに出かけた時の景色。)

(写真上:モントリオール市内にあるモンロワイヤルの展望台から。)

(写真上:街中の公園にある樹々も色づいています。)




 今日10月15日は僕がカナダに来た記念日です。 あっという間に13年が経ちました。 13年前にバックパック一つと自転車が入ったダンボール箱をもってカナダにやって来ました。 あの日のことは今でもよく覚えています。 若かったので不安も特になく、情熱だけを胸にカナダに渡って来たように思います。 今の年齢だったら同じような決断はできないかもしれません(笑)。 13年が経ち、カナダの主要航空会社のパイロットとして日々フライトできていること、生活の基盤が整いつつあること、健康面でも大きな問題もなく日々暮らしていけていることなど、自分は本当にラッキーだなと思うことが多々あります。 当然ながら努力もしましたが、やはり自分一人ではここまでは来れなかったと思います。 感謝の気持ちを忘れずにこれからも頑張って行きます。


 明日から3日間ギリシャ・アテネに行きます。 これがおそらく今年最後のギリシャ。 楽しみたいと思います。 ギリシャから戻って来たら休暇に入ります。 久しぶりに一時帰国する予定でいます。

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身体的な問題

「僕は〇〇が悪いのですが、パイロットになれますか?」とよく聞かれるんですが、ごめんなさい、僕に聞かないでください(笑)。 僕は医者ではありませんので、答えられません。 不安があれば実際にパイロットになりたい国の航空身体検査を受診してください。 身体証明書が取得できればパイロットになれる身体であることが証明されるわけですから、これを受診すれば不安は一気に解消できますよ。 少々お高いかもしれませんが、いずれどうせ必要になるわけですし、くよくよして時間を無駄にするよりましだと思います。 また、各国の運輸局ホームページには大抵の場合medical standards(身体検査基準)の情報が掲載されています。 僕がパイロットになりたいと思った時、それらを検索して参照しました。 視力や血圧、その他いろいろな不安をお持ちの方がいらっしゃるのは理解できます。 そんな不安はそれらの情報を参照し、実際に身体検査を受けてみれば解消できると思います。 



(つづく)