2019-09-16

マルセイユ・ニース。

 休み明けに休日出勤でフランスのマルセイユニースに行って来ました。 このペアリングによく似たペアリングを以前担当したことがあるのですが、前回はモントリオールからニースに飛び、ニースからマルセイユまで陸路(大型バス)移動、そしてマルセイユからモントリオールに帰って来るというものでしたが、今回は先にマルセイユに着陸し、ニースからカナダに戻るというものでした。

 今回は3日間のペアリングですが、初日は夕方まで自宅にいれますし、三日目も昼過ぎの早い時間に帰宅できます。 そのため、実質留守にするのは二日目丸1日だけという感じです。 また、今回はレイオーバーも短く、ニース滞在時間は19時間ほどでした。 だいたい海外へのフライトの場合には24時間以上のレイオーバーが多いので、今回は短く感じました。 個人的にはだらだら長いレイオーバーよりもサクッと短いほうが好きです

 1日目、出勤時刻は夜8時。 モントリオール空港を午後9時過ぎに出発しました。  他都市からの乗り換えのお客さんを待つ必要があったため出発が少し遅れました。 この日は珍しく滑走路06R(北東方面)からの離陸。 僕がモントリオールベースになってからほとんどのフライトは滑走路24L(南西方面)からの離陸だったので少し新鮮に感じました。 

 ここ最近カナダはすっかりめいて来まして、あまり大きな積乱雲が発生することは少なくなってきたように感じます。 この日も特に避けなければいけない雲はありませんでしたが、上空10キロほどのところで時速300キロ近いジェット気流が存在していて、その影響もあってところどころで乱気流が発生していました。 幸い、長く続くことも、大きく揺れることもありませんでした。 大西洋横断後はイギリスからフランスに入り、パリ周辺を南下してマルセイユがある地中海側に舵を取りました。

 初めてアプローチしたマルセイユ空港ですが、特に忙しくもなく、シンプルなアプローチとなりました。 海側からのアプローチではグライドスロープ角が4度と、一般的な進入降下角度の3度よりも急角度で、降下開始前にフラップや着陸装置を使ってスピードをうまくコントロールしないと、一旦降下を始めると速度調節がうまくいきません。 そのため、そういう点について一緒に飛んだ機長とアプローチ前に確認をしましたが、今回のアプローチはその反対側からのアプローチで、普段通りの3度の降下率でストレートインで下ろせたのでなにも問題ありませんでした。 ちょっと拍子抜けしました(笑)。

 前回行ったボルドーもそうでしたが、ヨーロッパの地方空港に往来する飛行機の多くはヨーロッパ国内を飛ぶエアバス320やボーイング737などの小型機が多いようです。 そのため、空港のインフラがワイドボディ向けではないことも多く、利用できる誘導路や駐機場に制限があったりします。 チャートの注意事項欄には「この誘導路はカテゴリーCの飛行機まで利用可能」とか、「翼幅〇〇メートルの航空機まで通過可能」などと書かれています。 767はカテゴリーDという部類に属する飛行機で、マルセイユ空港にはカテゴリーD機は通れない誘導路が多く存在します。 着陸後、管制官に「滑走路を出るには一番最後か、その一つ手前の誘導路を使ってください」と丁寧に教えてもらい、それにしたがって滑走路を出ました。 

 先に述べたようにジェット気流が強かったおかげで、今回は7時間ほどのフライトになりました。 追い風がずっと吹いていたため、いつもよりも対地速度を稼ぐことができました。 

 そしてここからマルセイユ→ニースの陸路移動です。 なぜ陸路移動するのかは正直詳しく知らないのですが、おそらくはマルセイユ・ニースからモントリオールへのフライトは毎日運航ではないので、無駄にクルーを複数日レイオーバーさせるよりは陸路移動させてでもクルーをさっさとカナダに帰らせようというのが理由なんだと推測しています。 マルセイユとニースは地図上はそんなに離れていないんですけどね・・・(笑)。

(写真上:マルセイユとニースの位置関係)

 ホテルには2時間くらいして到着。 バスの中で1時間ほど目を閉じたこともあり、ホテルでは1時間ちょっとの仮眠で外に出ました。 

 ニース近郊のAntibes(アンティーブ)という都市のホテルに滞在しましたが、ホテルから徒歩数分でビーチに着きます。 気温はまだ30度近くあり、Tシャツ・短パンでオッケー。 しばらく海岸線を散歩しました。 海水浴をしている人々の年齢層は高め(笑)。 年配のフランス人が定年後にニースやマルセイユに移住するケースが多いようです。 日本でいうと熱海とかの感覚でしょうか。 

(写真上:やはり南国的な雰囲気)

(写真上:日光浴している人がいたり、釣りをしていたり)

(写真上:若いギャルよりもベテラン勢が多い・・・笑)

(写真上:おしゃれなビーチレストランがたくさん)

(写真上:洋上には多くのヨットやクルーザーが)

(写真上:こんなところでぼーっとするのもいいなぁと)

(写真上:カナダではもう長袖が必要ですが?)

(写真上:街中の公園でペタンクをしているベテラン達)

(写真上:歴史的な建築物も点々と存在しています)



 夜はクルーと市街地まで出かけ、バーとレストランで楽しい時間を過ごしました。 客室乗務員の子達は若い子が多く、いろいろ面白い話が聞けて楽しいです。 彼らの雇用条件だとか、将来のことだとか、今までやってきたこととか、普段は聞けない話も多いです。 

 翌日は現地時間午前8時前にホテルを出発。 空港までは高速移動ですが、その高速がめちゃくちゃ混んでいました。 フライト2時間前にホテルを出たのに、ゲートにたどり着いたときには出発時刻40分前くらいになってしまっていました。 インバウンドの機材到着が遅かったため、出発時間が遅延していたこともあり特に大きな影響はでませんでしたが、出発2時間も前にホテルを出てるのにぎりぎりってどういうこと?!と思わざるを得ませんでした。

 復路は僕が操縦担当。 北東方面に離陸し、すぐに海上に向かってターンをします。 しかもターンを開始するのは420フィート(下のチャート参照)。 離陸してまさに数秒でターンを開始するような感覚です。 カナダ国内ではこういう離陸はあまりしません(多くの離陸手順は滑走路の方角にまっすぐ上昇します)。 いや〜、この離陸は楽しかったです。 離陸後すぐに管制からさらに右にターンをするように指示され、右手下に離陸したニース空港が見えて来ます。 上空から見えるニースはとても綺麗な場所でした。 その後、グルノーブル、リヨン周辺を通り、ボルドー方面に向けてフライトし、あとはいつも通りに大西洋に出ました。 

(写真上:この日はこのSIDで離陸しました。)

(写真上:白い雪帽子を被っているのがモンブラン)

 モントリオールに戻って来たのは3日目金曜日の正午過ぎ。 そして土日が休みで、明日から6連勤です。 まずはギリシャ・アテネに行きます。 アテネから戻って来たらすぐに翌日またフランスに行きます。 ただ、今回はまずニースに行き、そしてマルセイユから戻ってくるルートです。 今月はこのアテネ・フランスのペアリングを2週に渡り繰り返します。 それで今月の仕事は終わりです。


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訓練の準備
 
「パイロットになるためにどんな用意・勉強をすれば良いですか?」とよく聞かれます。 ずばり、英語力をとにかく高める! これに限ります。 英語さえ問題なくできればあとはなんとかなります(笑)。 海外でパイロットになりたいって思っているなら、英語はできて当たり前。 できないのになろうなんて甘い、っていうと厳しく聞こえるかもしれませんが、つまりはそういうことです。 操縦の腕前は良いのに英語ができないために訓練が中断した生徒さんを今まで何人も見て来ました。 そういうことにならないように、まずは英語を伸ばすことに専念してください。 物理も数学もそんなのは後回しでなんとかなります(笑)。 英語ができなかったら教則本すら理解できません。 どのくらい英語ができたら良いかですか? 日常会話がほぼ問題なくできるくらいはいずれ絶対に必要になります。 エアラインに進むには面接があります。 面接で質問が理解できないような英語力ではお先真っ暗です。 


(つづく)