2018-10-04

初ポルトガル。

 先週、初めてポルトガルの首都リズボン/リスボンに行ってきました。 ヨーロッパのもっとも西にある国で、スペインのお隣です。 ポルトガルは日本ともいろんな歴史的接点があった国で、そういう意味でも今回のリスボン行きはかなり楽しみにしていました。

 リスボンまではトロント空港から約7時間と、他のヨーロッパ諸国と比べるとカナダから比較的近い国です。 この日のチェックインは午後10時(汗)。 出発時刻は午後11時過ぎでした。 ヨーロッパ行きのフライトの多くはカナダ時間の夕方から夜遅くになる場合が多いです。 夕方に出発することで午前中、または午後の早い時間に目的地に到着します。 そうすることでその日のうちに乗り継ぎができますので便利なんだと思います。 一方、我々クルーたちは夜中じゅう仕事をすることになります。 僕が乗務するルートでは今回のリスボン行きやバルセロナ行きが特に夜遅い時間の出発です。
 
 リスボンまではいつも通り北大西洋ルートを飛行します。 カナダ側のGander Oceanicという空域を通り、そこから少しずつ南下を始めます。 西経30度を超え、イギリスのShanwick Oceanic空域に入りますが、そこからちょっとすると今度はSanta Maria Oceanicという空域にも入って行きます。 通常はGander->Shanwickでおしまいなのですが、この日は3つもOceanic空域を通過します。 そのためいつもよりもちょっとだけ忙しいかったです。

 リスボン空港近くに差し掛かるとスペイン語・ボルトガル語訛りの強い管制官と交信します。 Rの音が超巻き舌です(笑)。 笑いを少しだけこらえながら交信し、リスボン空港に差し掛かります。 リスボンアプローチと交信をする頃になると高度も下がり、リスボンの街並みが見えてきます。 

 リスボン空港はかなり市街地から近い場所に位置しています。 日本で言えば大阪伊丹空港のような感覚でしょうか。 多くの国際空港は日本の成田空港のように市街地からはかなり離れた場所に存在することが多いので、この空港は珍しいです。 この日は滑走路03に北向きに着陸。 風も穏やかでスムーズな着陸となりました。 

着陸後はオープンランプの駐機スポットに到着。 ジェットウェイと呼ばれるターミナルに接続された搭乗ブリッジではなく、昔ながらのタラップ(昔ビートルズが日本に来た時に日航機からおりて来たときを想像してください)を降り、バスに乗ってターミナルに移動するスタイルです。 ヨーロッパでは結構多く見かける方式です。

 飛行機を降る際に外を見ると多くのTAPポルトガル航空の飛行機が数多く見えます。 多くはエアバス330や340。 340をカナダで見かけることはあまりないので新鮮です。 エアカナダも昔は340を運航していましたが、今はもう既に退役しています。 330は今でも人気の機種で、最近になってまた数機買い足されたようです。 いつかはエアバスにも乗ってみたいと思う理由の一つはこの330です。 767よりは少し大きい飛行機で、離着陸時の姿はとても優雅です(個人的感想)。

(写真上:TAPのエアバス340型機)

(上:ターミナルへの移動中に見えた飛行機達)

 ホテルは空港から10分ほどの所にあります。 どうやら世界中のエアラインクルーが泊まるホテルのようで、我々が到着したときにはちょうどカタール航空のクルーがロビーに集まっていました。 FAさんたちはばっちりメークに帽子というスタイル。 なかなか素敵です。
  
 ホテルはちょっと古い感じですが、中にはにはプールもあり、なかなか良い雰囲気。 なによりこの日の気温は30度と、カナダ・トロントとは20度近い差があります。 こう暑いと持ってくる私服もTシャツ・短パンでオッケーなのでとても楽です。 

(上:ベランダから見えたプール)

 いつものようにお昼寝を2時間ちょっとし、シャワーを浴び、早速外に出かけました。 ホテルから歩いて10分くらいのところに地下鉄の駅があります。 そこからだいたい20分くらいでリスボン市の中心部に出ます。 今回はFAの一人の勧めでfree walking tourに参加しました。
 
 Free walking tourというのは、ボランティアや小規模ツアー会社が運営する、徒歩で名所を巡るツアーのことで、ここ最近はどの観光都市でも見かけるサービスです。 多くは予約も必要なく、集合場所に行って勝手に参加するスタイルです。 「Free」とはなっていますが、完全無料というわけでもなく、ツアー最後にチップを要求されます。 額は決まっておらず、自分が適切と思う額を支払えば良いというもの。 今回このタイプのツアーには初めて参加しました。

 ツアーの途中や、ツアー前後に個人行動をしている際に見かけた風景を写真でどうぞ!

(上:16世紀に天正遣欧少年使節団が滞在したと言われるサン・ロッケ教会。この日は結婚式のようなものを行っていたので中には入れませんでした)

(上:リスボンもアメリカ・サンフランシスコのような坂があります。ブダペストと同じような趣のある路面電車があちこちに走っています。)

(上:フリーツアーの集合場所だった広場。 この日は政治デモのような集会が開かれていたのでこの人だかり。)

(上:風情のある裏路地。残念ながらこの都市もいたるところに落書きがあります。 汚いという場所はあまりないですが、特段綺麗でもありません。)

(上:コメルシオ広場。 海岸そばの広場で立派な門があります。 周りには観光客を狙った怪しいやつらがわんさかといます(笑)。)

(上:門の反対側はひらけていて、真ん中に銅像が立っています。 その向こう側が海です。)

(上:ツアーではこんな入り組んだ通りも案内してくれます。)

(上:裏路地を抜け、高台にある広場からは夕暮れ時の海岸沿いの街並みが見えます。)

(上:ツアーが終わったのが午後7時過ぎ。 薄っすら暗くなって来たところを再び中心部に向けて歩きました。 路面電車の線路に沿って歩くと迷いません。)


(上:街中には多くのオート三輪が観光客向けタクシーとして走っています。)

(上:この日の晩御飯は地元料理。 イワシのオリーブオイルグリルです。 リスボンはイワシ料理が有名なんだそうです。 これは美味でした。)

 初めて参加したウォーキングツアーでしたが、内容はまずまずでした。 ガイドの人がどうも歴史にかなり詳しい人だったようで、いろいろ説明はしてくれてはいたのですが、途中から参加者全員がかなり飽き始めているのにも気がつかず、詳細な歴史情報をバンバンぶち込んで来ました(笑)。 途中でツアーを離脱しようかとも思いましたが、せっかくだから、と最後まで残りました。 約4時間弱のツアーが終わり、チップを払って退散。 20ユーロ払いました。 正直な感想を言えば、ツアーには参加せずに自分一人で回った方がもっと多くの場所を観ることができたと思います。 でも、ツアーに参加したからこそ見れた景色などもあったので、それはそれでよかったと思います。 初めて訪れる都市は一人で回った方が僕にはあっていますが、2回目以降、見所に困った時にはツアーに参加しても良いかなと思いました。

 翌日は午前11時過ぎにホテルを出発しました。 ヨーロッパはユーロコントロールというベルギーに本部を置く航空管制局がヨーロッパ全体のフライトの流れを管理しているそうです。 出発予定時刻10分前にカナダトロントまでの飛行許可(IFR Clearance)をもらおうと思ったのですが、「遅れが生じている」と告げられました。 幸い、30分ほどの遅れだったので大きな問題はありませんでしたが、時には1時間以上も離陸が遅れることもあります。 これはユーロコントロールが交通量の流れに制限をかけるからで、その場合はどうしようもありません。 大幅な遅れが生じている場合には、「出発時刻が早まる可能性がある場合には連絡するから、無線聞いておいてね〜」とだいたいの場合は言われます。 

 この日は僕の操縦でトロントまで戻りました。 離陸直後に目の前に大きな鳥が飛んでいるのが見えたので、仕方なくそれを避けるために進路を少しだけ右にずらしました。 本当は離陸直後は滑走路の延長線上をまっすぐ2000フィートまで上がることになっていたのですが、少しだけ逸脱しました。 おかげでバードストライクになることもなく無事リスボンを離れました。 フライト中は計器に集中することもありますが、やはり外にも目を向けておかないといけません。 飛んでいる鳥は計器では見えませんので(笑)。 東向きに離陸し、ぐるっと西向きに進路を変えます。 そうするとリスボンの街並みが見えます。 とても綺麗な都市です。 やはり海のそばの都市はいいですね。 しばらくするとヨーロッパ大陸の最西端の海岸線が見えて来ました↓


 巡航高度に入り、少し落ち着いたところでお土産に買って来たエッグタルトを食べました。 
(上:Pastel/Pasteis de Nataと呼ばれるリスボン名物のエッグタルト。 美味!)

(上:太陽がちょうど我々の後ろ側にあり、エンジンからの水分が凍ってできる飛行機雲の影と、丸い虹が雲に写っていました。)

 トロントに戻ってくると、雲底が低く、気温も10度ちょっとでした。 夏は終わり、これからはこういう天気が多くなります。 もう少しすると気温が10度以下になり、いよいよ霜が降りたり雪が降ったりしてきます。 もうそろそろ頭を冬のオペレーションモードに切り替え、de-icingの作業などのことを考える必要が出て来ます。 夏の積乱雲や雷雲を避けながらのフライトは厄介ですが、冬のde-icing等も同じくらい面倒です(笑)。 カナダで飛ぶということは1年中なんらかの気象条件と戦うということを意味します。 気温も+30度以上からマイナス20度以下の場合もありますから、そういうオペレーションを体験できるのはカナダ特有です。


(つづく)