2014-06-27

ジャンプシート。

 エアラインパイロットになってよかったな〜と思うことの一つは、「ジャンプシート」っていうのを使って旅行ができることです。 僕が働いている航空会社と相互ジャンプシートの取り決めに合意をしている他の航空会社なら、このジャンプシート制度を使って飛行機に乗れます。 以前フォートマクマレーで働いていたころは、毎月ビクトリアに戻るために自腹で航空券を買っていました。 毎月5〜6万円の出費でした! あれは本当に痛かった。 でも、フォートマクマレーに休みの間ずっといてもすることがないし、毎月バケーションのつもりで、と自分に言い聞かせて毎月それだけのお金を使っていました。 今はジャンプシートのおかげでだいぶ安く飛行機に乗れます。 詳細な額は話してはいけないことになっているので言えませんし、聞かないでください(笑)。 

 このジャンプシートというのはもともとはコクピット内にある補助席のことで、監査官が座ってパイロットの仕事ぶりや技量を観察したりするときのための席のことです。 航空会社によっては自社パイロットならコクピット内のジャンプシートに座らせてもよかったりします。 僕がいつも利用しているWestjetはコクピット内ではなく、普通に乗客としてキャビン内に座ります。 カウンターのおねえさんの機嫌が良くて、僕も丁寧に笑顔で対応して、それで席に余裕があるとキャビン内の席を用意してくれます。 満席だったり、空席があっても他の僕よりもシニアなパイロットが同じ便に乗ろうとしていたりすると僕はbumped out、つまり、弾き出されちゃいます。 そうなると次の便まで待たなければいけません。 ジャンプシートはスタンバイベースなので、空きがある時のみ乗れるんです。 そりゃそうですよね、エアラインにしてみれば大して利益を生まない僕なんかを乗せるよりは、チケットを購入してくれる乗客の皆さんを乗せたいでしょうから。 

 ジャンプシートに乗るためにはいろいろマナーがあるらしいんです。 例えば、飛行機に乗り込むのはなるべく他の運賃を払っている乗客の皆さんが乗り終えたあとからとか、降りる時は今度は逆に最後まで待つとか。 他にも、操縦しているパイロット達に挨拶をしてお礼を言うとか。 たしかに安価でフライトできているし、あくまでもジャンプシートは「権利」ではなくて「特権」なので、そういうことはわかってはいるんですが、これが結構面倒くさい! 一度コクピットに挨拶にいったら、スナックを食べているときかなにかで、すご〜く面倒くさそうな対応をされましたし、そもそも降機するのを最後まで待っていたりするとフライトアテンダントの人たちが客室内の掃除をしたりするのの邪魔になります。 乗り込むときもそう。 最後まで待つとバッグを入れるスペースがオーバーヘッドビンになかったりして着席するのに時間がかかるし、窓側の席を与えられたりしたら最後、すでに座っている人たちに立ってもらわないといけません。 マナーも大事だけど、オペレーションに支障が出ない程度でやろうと、勝手に決めました(笑)。

 そんな面倒なこともあるジャンプシートですが、ようやく使い方にも慣れて、快適に通勤できています。 ジャンプシートを利用すれば日本にも帰れるそう。 ただ、カナダに戻ってくるときにスタンバイだと乗れるかどうかでハラハラしそうなので、よほど時間に余裕がある時以外は難しいかな?とも思います。

 今日の写真はカルガリー空港です。 仕事が終わって、クラッシュパッドに戻る前にレストラン街で食事をしていたときに突然人の波がどわっと現れました。 「団体客かな?」って思っていたんですが、近くにいた地上係員の人に聞いたら、空港ターミナル内で停電があって、セキュリティーチェックの安全検査場の一つがダウンしてしまったらしく、そこで並んでいた乗客の人たち全員が他の検査場に回されたということでした。 オイル・ガスで潤っているカルガリーなのに停電だなんて・・・(笑)。 検査場の入り口はこの写真の人の列の一番前(黄色のバナーの下)よりもさらに奥です。 そして最後尾はこの列と同じくらいの長さで写真の後ろ側につづいていました。 フライトに乗り遅れた乗客とかがいたんじゃないかな〜?




(つづく)

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