2015-01-06

年末から年始にかけての仕事。

 あっという間に2015年になってしまいました。 明けましておめでとうございます。 今年も超不定期ですが、時々ブログを書き続けようと思いますのでどうぞよろしくおねがいします。

 昨年末はクリスマス当日から仕事でした。 幸いイブの日までは自宅だったんですが、そこからしばらく仕事でした。 僕みたいに新人で、セニオリティーの低いパイロットは他の人が休んでいるときにお休みを貰えるということはあんまりないみたいです。 でも、そういう感じのスケジュールでここ数年仕事をしてきたので、苦にはなりませんでした。

 
 (上:クリスマス当日のエドモントン市内。誰も歩いてません。)

 クリスマスの日から始まったペアリングが今までで一番大変なペアリングになりました。 初日は特に問題なく進んだのですが、2日目にはバンクーバーを出発してキャスガー空港まで向かっている途中、機長側のEFIS(飛行機の姿勢や進路を示す「電子飛行計器システム」)が故障。 この日のキャスガーは天気が悪く、雲の中を下降してアプローチをしなければいけない状況でした。 しかもこの空港、4方を山に囲まれた谷底にあるような空港です。 万が一、雲の中を谷底に向けて下降している途中に副操縦士側の計器表示まで壊れてしまった場合、その時点で我々の位置がわからなくなり、ものすごく怖い状況に陥ります・・・。 そこで、無線を使って会社の運行管理者とメンテナンスの部署の人と協議した結果、着陸は試みず、バンクーバーに引き返すことになりました。 

 バンクーバーに到着後、別の飛行機にすぐに乗り換え、荷物、お客さんも乗り換えてもらい、再び離陸。 ところが!今度はキャスガー空港の天候悪化のため、アプローチは試みたものの、降りれる一番低い高度(minimum descent altitude 通称MDA)まで行っても空港が見えなかったため、着陸やり直し(missed approach)、再び上昇、そして燃料も余分に搭載していなかったため、すぐにそのままバンクーバーに引き返しました。

 再びバンクーバーに到着し、今度はカムループス空港行きの便を運航しました。 カムループスまではバンクーバーから一時間弱です。 空港近くに差し掛かると、カムループス空港の視程が雪のため悪く、我々が法的にアプローチを試みても良い視程が得られない状況(approach ban)でした。 そのため、滑走路の延長線上のローカライザーの上でぐるぐると上空待機(ホールド)。 30分ほどホールドして天候回復を待ちましたが、結局視程は回復せず、燃料もバンクーバーに引き返すのに必要な最低限の燃料量近くまで減ってしまったので、仕方なくバンクーバーに引き返しました。 バンクーバーで燃料を補給し、再度出発! 今回カムループスに差し掛かるころには幸い視程も回復していて、なんとか着陸できました。 これでこの日は終了。 今までで一番長く感じた一日でした。

ーーーーーーー

 12月31日からまた別の4日間のペアリングがスタートしました。 初日はビクトリア泊だったので、日付が変わる前に自宅に戻ってくることができました。 そして元日の朝は嫁さんとおせちとお雑煮を食べてから仕事に向かいました。 

 1月2日にはBC州の北西にあるテラスというところまでフライトしました。 この日もBC州の天候は荒れ模様で、テラス空港に着陸できるかどうか微妙でした。 テラスまではバンクーバーから片道およそ2時間の、我々リージョナルエアラインパイロットにとっては長時間のフライトです。 頻繁に変わる天気の情報をその都度確認しながら、暗闇の中を飛行し続けました。 天気が悪かったのと、夜間のフライトということもあって外の景色は見えませんが、山岳地帯の上空を飛ぶルートです。 そろそろアプローチを開始するために降下を始めようとしたところで最新の天気情報がとどきました。 風が予想・予報以上に強くなり、風速20ノット、ガスト35ノットという状態でした。 しかも降りる予定の滑走路とは180度違う方向から風が吹いていて、雲底も低いという状況。 今回もmissed approachになるかもと思いながらもアプローチを開始。 グライドスロープに乗って約3.5度の進入角で降下を続けていると、その間も風は約40ノットの追い風。 結局、着陸するか着陸をやり直すかを決めなければならないdecision height (DH)に到達しても地面が見えなかったので、またもやmissed approach、着陸をやり直すために再び上昇しました。 テラス空港も4方を山に囲まれている空港です。 暗闇と強風の中のmissed approachはかなり緊張します。 こういう経験は、ジェット旅客機などでILSからILSに飛んでいるパイロット達は恐らく経験することがないのではないでしょうか。 エキサイティングといえばそうですが、とても気を使います。 そういうときに限ってFMSとオートパイロットが変なことをしでかしたりするので、気を抜くことができません。  

 結局、バンクーバーからテラス、テラスから引き返してバンクーバーに到着しました。 これだけで約4時間のフライトになりました。 この後、また別のクルーがテラス空港への着陸を試みましたが、彼らも結局降りれず、この日はテラスに着陸できたのは朝の一便だけだったそうです。 この時期のBCの山岳地帯にある空港へのフライトは気象条件が悪く、なかなか降りれない日が多いようです。 仮に降りれても、今度は離陸に必要な気象条件が揃わず、そのまま地上で待機を強いられるケースもあるみたいです。

 これらの他にも、オートパイロットがうまく動作せず、久しぶりに1時間ほどのフライトをすべて手動で飛んだりした日もあったりしましたが、話が長くなるのでこの辺でやめておきます(笑)。

 といった感じで、なにかと忙しく2015年がスタートしました。 今年も安全に仕事ができるように日々精進しようと思います。 



 (今年もつづく )

2 件のコメント:

祐樹 さんのコメント...

こんにちは。いつも楽しいブログ読ませて頂いています。オートパイロットの話も是非聞かせてください。長い投稿大好きです。

Youhavecontrol@gmail.com さんのコメント...

祐樹さん

コメントありがとうございます。 今度はオートパイロットについて少し書いてみようと思います。