2016-05-29

訓練とiPad。

 先月はCRM(Crew Resource Management)の訓練とPPC訓練があり、バタバタとした一ヶ月でした。

 CRM訓練はカルガリーにある格納庫の一室で朝から夕方までの丸一日をかけて行われました。 これは年一回受講することが義務付けられているもので、聞いたところによるとうちの会社は他の会社に比べて特にCRMに力を入れているようで、朝から夕方まで結構みっちりと講義を受けます。 途中でグループディスカッションがあったり、最後のほうでは客室乗務員達も加わって機体のシミュレーターを使った緊急時の脱出手順の訓練があったり、救命胴衣や消火器の使い方の復習をしたりと、いろいろ学べて楽しい講義でした。 
 PPC (Pilot Proficiency Check)は今乗務しているCRJという飛行機を飛ばすための資格で、半年に一度訓練を受けます。 訓練はトロントの施設で三日間にかけて行われました。 訓練の一日目はLOFT(Line Oriented Flight Training)で、普段乗務しているようなルートをフルモーションシミュレーターを使って飛行し、その途中で起こる機体トラブルや緊急事態への対処を訓練しました。 二日目はRecurrent Trainerで、stall (失速)からの回復、ニアミス時の回避、エンジントラブルや火災の場合の手順などの復習をしました。 そして最終日にはフライトテストがあり、これに合格して無事に資格更新となりました。 CRJの資格を初めて取得したのが昨年の12月で、実際に乗務してたった4ヶ月で今回の資格更新訓練を受けました。 これでまた半年間乗務できます。 そしてまた半年後には訓練です。 今後もこういった訓練が、僕がパイロットである限り半年に一度続きます。 学ぶことも多くあり、良い経験になりました。

 普段のフライトでは通称「Jepps(ジェップス)」と呼ばれる航空図を使って飛行しています。 これはJeppesenというアメリカの会社が発行している航空図やアプローチプレートの総称で、世界中のエアラインパイロットが使っています。 今までは電話帳よりも太いバインダー2冊をかばんに入れて持ち歩くことが義務付けられていました(重さ約4.2キロ)。 ところが、今月に入り、ようやくEFB(Electronic Flight Bag)が本格的に導入され、これからはバインダーを持ち歩かなくてもよくなりました。 その代わりにパイロット全員にJepps Appが入ったiPad miniが会社から支給されました(重さ約660グラム)! 

 これで様々なチャートやマニュアルの管理が容易にできるようになりました。 また、通常1ヶ月程度に一度チャートが更新されるのですが、これからはボタンひとつでインターネットから新しいデータをダウンロードして更新することができるのでとても便利です。 GPSセンサーを使って自機の位置もマップ上に表示させることもできるのでsituational awareness向上にも役立ちます。 便利な世の中になりました!


(つづく)