2017-12-06

アイルランド・ダブリン。

 先週4日間、アイルランドの首都ダブリンまで行って来ました。 いつも通りリザーブだったのですが、午前中にクルースケジューラーから電話があり、「ダブリンまで行ってきてね〜」と言われました。 またもや初めての空港です。 電話を切ってからダブリン空港のチャートなどを確認しました。 滑走路は2本で見た感じ大して忙しい空港ではないように見えました。 その他の注意事項なども確認し、昼寝をし、夜9時過ぎに空港へ向かいました。 出発は午後10時過ぎ。 ヨーロッパ方面へのフライトはほとんどがトロント時間の夜から深夜にかけて出発します。 なので、昼寝をちゃんとできないと辛いです。 今回は4時間ほど昼寝できたおかげで体調的にはすこぶる快調でした。 個人的な意見ですが、長距離の国際線を飛ぶパイロットはどこででもいつでも寝れる人か、ちゃんと昼寝・仮眠ができる人に向いているように思います。

 ダブリンまでは7時間ほどのフライトです。 ルートはこんな感じです↓


 ヨーロッパへのフライトでは通常NAT(北大西洋航路)と呼ばれる決められたルートを飛びます。 NATはNorth Atlantic Track の略で、毎日ルートは天候や風向きにより決められます。 今回はWというルートを飛びました。 高度は37000フィートです。 特に揺れることもなく、快適なフライトになりました。

 写真に見える紫色の◯はETOPSの代替空港です。 ETOPSはExtended-range Twin-engine Operational Performance Standards、イートップスの略で、万が一エンジンが停止した場合でも残りの一つのエンジンで3時間以内に飛べる距離に代替空港があれば良いというルールです。 ETOPSでない場合には飛行時間1時間以内に代替空港がある必要があり、飛べるルートがだいぶ陸寄りになり、目的地まで洋上をまっすぐ飛ぶことが難しくなり、ジグサグのルートを飛ぶことになります。 そうなると燃料も余計に消費しますし、飛行時間も伸びてしまいます。 僕が乗務するボーイング767はETOPSの180分ルールで飛ぶことがほとんどなので、かなりまっすぐなルートを飛ぶことができます。 今回の代替空港はカナダのグースベイ空港、アイスランドのケプラヴィーク空港、アイルランドのシャノン空港でした。 飛行前、飛行中もこれらの空港の天候を確認しながら飛びます。 海の上で緊急事態(エンジン停止、急激な気圧低下など)が発生した場合にはこれらの代替空港のうちの最寄り空港までダイバートします。 どこが最も近いのかはETP(Equal Time Point)を元に判断します。 今回は代替空港が3つあるため、ETPは二つありました。 ETP1に辿りつくまではグースベイ空港、ETP1からETP2まではケプラヴィーク空港、ETP2を通過した後はシャノン空港に向かう、という感じです。 

 西経30度(030W)がカナダとヨーロッパの境目となっています。 ここが「バドワイザーとギネスの境目」と冗談ぽく呼ばれているそうです。 030Wを通過するまではカナダのガンダー、それ以降はイギリスのシャンウィックが航空管制を行っています↓


 ダブリンはいつも行くイギリス・ヒースロー空港よりもカナダ寄りにある空港です。 アあまり忙しい空港ではないようで、アプローチ中は我々の他に数機いるくらいで、アライバルもアプローチもかなりリラックスしていました。 

 着陸後ゲートに到着するとアイルランドの航空会社エアーリンガス(Aer Lingus)に囲まれました↓

 ターミナルも静かな印象で、建物はやや古い印象を受けました。 空港到着後は税関審査にすすみました。  アイルランド人はフレンドリーとは聞いていましたが、入国審査官もかなりフレンドリーでした。 「しっかり休んで疲れを取って、楽しい滞在になりますように!」と言われ、パスポートにスタンプを押されて無事に入国しました(笑)。 最初からかなり印象いいです!

 今回の滞在は珍しく48時間ありました。 午前11時頃にダブリンに到着し、カナダに戻るのは2日後の午前11時頃でした。 なので、今回は観光を満喫することができました。

 初日はしばらく仮眠を取って、バーやパブが多くある「テンプルバー」と呼ばれるエリアに機長と一緒に行きました。

 




 アイルランド人は本当に陽気です。 午後6時過ぎには酔っ払って歌って踊るアイルランド人がバーの中を埋め尽くしました。



 翌日はまずはホテル周辺を散策。 ちょっとしたことも今まで僕が見てきたものとは違い、とても興味深いです。


 
(写真上:アイルランドといえば緑色。 ポストも緑色です)

(写真上:アイルランドの言語はゲール語と英語。 標識などはすべて両国語で書かれています)

(写真上:とてもヨーロッパ的で印象的な砦)

 ホテルのすぐ側に刑務所跡がありました。 そこのガイドツアーに参加しました。

(写真上:刑務所博物館が隣接しています)

(写真上:刑務所内部)

(写真上:独房)


(写真上:天井はガラス張りで日光が指します。 これが真っ暗闇の独房から出てきた囚人には「暗黒の牢獄と外の世界」の違いに見えたそうです)

(写真上:アイルランドの国旗は緑<アイルランドの色>、白<平和>、オレンジ<プロテスタント派>を表しているそうです)

(写真上:刑務所内部)

 刑務所ツアーの後は、アイルランドといえばウイスキー(アイリッシュウイスキー)ということで、ジェームソン蒸留所(Jameson Distillery)でのウイスキーツアーに参加しました。 ツアーの雰囲気を写真でどうぞ〜。

(写真上:ツアー会場入口)

(写真上:ウイスキー樽)


(写真上:ウイスキーボトルで出来たシャンデリア)


(写真上:ツアーではウイスキーの製造工程の説明があります)


(写真上:ツアーの最後ではジェームソンウイスキーとスコッチ、アメリカ製ウイスキーの飲み比べができます)

(写真上:蒸留施設)

 ウイスキーツアー参加費は20ユーロ。 これでウイスキードリンク1杯とツアー中の試飲が含まれます。 これはなかなか楽しかったです。 自分へのお土産にギフトショップでウイスキーグラスを一つ購入しました。 

 ツアーの後は街中を散策しました。

(写真上:日中のテンプルバー界隈)

(写真上:教会がいたるところにあります)

(写真上:繁華街)

(写真上:英文学で有名なオスカー・ワイルドの像)

(写真上:大飢饉の記念碑)

(写真上:街はクリスマスの雰囲気でいっぱいです)

(写真上:ダブリンは港町で、海が直ぐ側です)

(写真上:教会、サイケな建物、そして近代的な建設物が隣接します)

(写真上:クリスマスショッピングで街は賑わっていました)

(写真上:国の教会、セント・パトリック大聖堂)

(写真上:クライストチャーチ大聖堂)

(写真上:これまたユニークな教会です)


(写真上:日が暮れ始めてギネスビールの工場)


(写真上:ダブリンといえばギネスビール。 でも、今回はギネスビール工場ツアーはパスしました)

(写真上:一日中歩き回り、近代美術館の通りを抜けてホテルに戻りました)


 48時間滞在の後は乗客としてトロントまでデッドヘットしました。 7時間強のフライトでしたが、幸いビジネスクラスに乗せてもらえたので快適にトロントまで戻りました。

 初めて行ったダブリンでしたが、人は優しく、街は小規模ながら見どころ満載。 また行ってみたい都市の一つになりました。


(つづく)




2 件のコメント:

oni-taicho さんのコメント...

この記事を読んで、ダブリン訪問したくなりました。
個人的には‎ James Joyceの『Dubliners』を読んでダブリンに惹かれました。
記事にあるようにフレンドリーとなれば、本当に魅力ありますね。

Youhavecontrol@gmail.com さんのコメント...

oni-taichoさん

ぜひ一度訪問なさってください。 寒い季節はあまりよろしくないかもしれませんが、夏のダブリンはきっと素敵だと思います。