2018-09-27

CPDLCとスコットランド。

 今日までスコットランドの首都エディンバラに行ってきました。 エディンバラに行ったとはいうものの、厳密には「グラズゴーに行って、それからエディンバラに行った」というのが正しいです。 というのも、着陸はグラズゴー空港、離陸はエディンバラ空港というペアリングだったからです。 

 以前グラズゴーに行った時は、エディンバラに着陸し、車でグラズゴーに移動、そこで一泊して翌朝グラズゴーからトロントに戻ってくるというものでした。 なので、今回はそのでした。

 エディンバラのグラズゴーは距離にして70キロほど、車での移動は渋滞にもよりますが、1時間弱といったところです。 ではなぜ離陸と着陸が違う空港かというと、それはそれぞれの空港からトロント空港までのフライトは毎日運航していないからだそうです。 そのため、着陸した都市でレイオーバーとなると、次の便がある数日後までクルーはその都市に滞在することになり、労力の無駄になるのです。 そのため、グラズゴーまたはエディンバラに着陸したクルーはもう一方の都市に陸路移動し、翌日発の便でカナダに戻ってくることになります。 こうすることで労力を無駄にせず、しかも1週間数本の便を少ないクルーで回すことが可能になるそうです。 よく考えられています(笑)。

(写真上:印があるのがグラズゴー。)

(写真上:グラズゴーとエディンバラは70キロほど離れたところに位置します。)

 この日はNAT Trackの北から2番目のルート(Track S)をリクエスト。 申請通りのOceanic Clearanceが下り、そのルートに沿ってイギリスに向かいました。

 大西洋上ではうっすらですがオーロラを見ることができました。 下の写真の真ん中あたりにぼんやりと緑色に写っているのがオーロラです。 携帯のカメラでは暗所撮影に限界があるため、あまり綺麗には見えませんが、実際にははっきりと緑色が確認できました。

 グラズゴー空港へはSTARを飛ぶこともなく、途中からレーダーベクターされ、ILSアプローチにて着陸となりました。 同じ英国でもロンドン・ヒースロー空港とは違い、グラズゴー空港もエディンバラ空港もどちらかといえばリラックスした、あまり忙しくない空港です。 つまりは僕好みの空港です(笑)。

 空港到着後、入国審査を通過し、待ち受けているハイヤーで陸路エディンバラの滞在先ホテルに向かいます。 この日は朝の通勤ラッシュアワーにぶつかっているので結構な時間がかかりました。 幸い車はこんな感じ↓で、後部座席はかなり快適。 おかげで少しだけ目を閉じることができました。 運転手は現地の人ですが、英語がかなりスコットランド訛りのおかげでわかりにくく、彼が言っていたことの6割くらいしか理解できませんでした(笑)。


 ホテル到着後はいつも通りお昼寝です。 今回のホテルはベッドも快適で、ぐっすりと仮眠を取ることができました。 起きたらシャワーを浴び、早速外へと繰り出しました。

 あいにくこの日のエディンバラの天候は曇り。 気温は10度前後。 強風しかも小雨が時折ぱらつくという感じの天気でした。 まずはホテル裏にあるカールトンヒルへ。

(写真上:カールトンヒル。 ここからエディンバラが一望できます。)

(写真上:市街地と逆の方向を見ると、いかにもスコットランドといった感じの風景。)

(写真上:エディンバラの街並み)

 カールトンヒルのあとはエディンバラ城に向かいました。 

(写真上:ホテル付近の景色。 面白い建物がいたるところに存在します。)

(写真上:エディンバラは丘に囲まれたような地形なので、建物が段々に建っています。)

(写真上:エディンバラ城。 強風です。)

 エディンバラ城は入場料が必要です。 この日は時間もあまりなかったので、入場は諦めました。 周りを歩いただけでもなかなか楽しかったです。 

 あとは適当に街中を歩き、カフェで眠気覚ましのエスプレッソを嗜み、自転車屋さんに立ち寄ったりしてホテルに戻りました。 ホテルにはジムがあったのでそこで少しだけ運動。 夜は機長と夜ご飯に出かけました。 イギリスはインド料理が人気で、この日はパブでインド料理をいただきました。 なかなか面白い組み合わせですが、地ビールもインド料理もなかなか美味しくて満足できました。

(写真上:食後のホテルまでの帰り道で見かけた別のホテル。 雰囲気があります。)

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 翌朝は現地時間の午前5時起きです。 カナダ・トロント時間だとちょうど午前0時ですから、やっていることはレッドアイフライトと変わりません。 空港を午前6時過ぎに出発し、空港には車で30分ほどで到着します。 空港内のカフェでカプチーノ(トリプルショット)を機長に奢ってもらい、それで眠気を覚ましました。

 エディンバラ空港は今日も強風でした。 滑走路24を西向きに離陸。 この日は離陸重量が比較的軽かったため、離陸後すぐに高度36000ftまで上昇しました。 イギリスはカナダから比較的近いため、燃料もあまり多くは積みません。 今日のフライトで搭載された燃料は40トン未満でした。 飛行機は燃料や貨物を多く積めば積むほど離陸重量が増えます。 重量が増えると飛行機のパフォーマンスが落ち、それが上昇できる高度に反映されます。 機体が軽いとそれだけ簡単に高度をあげることができますが、逆に重いと高度をあげることができません。 その場合、燃料を燃やして機体が軽くなるのを待って、それから少しずつ高度をあげることになります。 

前回の投稿でCPDLCについて書きましたので、今日はその写真を載せます。 CPDLCとは「Controller Pilot Datalink Communications」の略で、航空管制とパイロットが通信に使うシステムです。 通常、国内線の場合などはVHF周波数の無線を使って航空管制官と通信をしますが、洋上などではVHF無線が届かない距離まで飛ぶこともあるので、今までは主にHF無線を使っていました。 いまでもHF無線はバックアップ的に使ってはいますが、洋上のコミュニケーションの多くはCPDLCに取って代わられました。 カナダやヨーロッパでは国内でもCPDLCを使えます。 
 
 では、CPDLC(シーピーディーエルシー)とはなにかというと、簡単に言えば携帯でメールを送るのと同じようなものです。 パイロット側からのリクエストなどがある場合にはコクピット内のキーパッドを使ってメッセージを送ります。 また、航空管制からのメッセージもこの端末に送られてきます。 

 ↓の写真はこのフライトで送られてきたメッセージです

「西経30度に到達する前までのあなた方の最高高度はなにかを教えてください」という内容です。 おそらく、他の飛行機が我々と同じ高度で我々のルート付近を通過するか、または気象条件などによって我々に高い高度を指示してくるのではないかと推測できました。 このリクエストに了解しましたと返事をしましたので、端末画面下半分にはROGERと記されています。 VHF/HF無線は誰かが話している間は他の人は話せないため、処理できる情報には限界があります。 このCPDLCを使うことにより無線での会話の量を減らすことができるので、無線の混雑を防止することができます。 また、英語を母国語としない国際線を飛ぶ外国のパイロットの場合には文字で指示を見ることができ、指示を間違って理解する可能性も下がるので、空の安全にとってはとても有益なシステムだと考えられます。 今後はますますいろんなところでCPDLCによる航空通信が主になってくると思われます。 

 

(つづく)










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