2020-04-23

プランB。

 ちょっと航空業界の行方とはちょっと話がそれ始めたので、タイトル変えました(笑)。

 さて、前回からの続きです。 パイロットになるのがプランAだとして、それに問題があるときに発動するのがプランBです。 

 パイロットというのはそもそもリスクが高い職業だと思っています(実際に今になってますますそうだと実感しています)。 リスクといっても、命を落とすリスクというものではなく、仕事を失うリスクです。 交通事故にあって体の機能を失ったり、病気になったり、会社が倒産したり、ウイルスが蔓延したり。 僕が明日、一生飛べないような状況になる可能性もゼロではありません。 他の職業でもきっと同じだとは思うのですが、パイロットという職業は専門性が高いため、潰しがききません。 今日パイロットの仕事を失ったから、明日からは今までの経験を生かしてバスの運転手に転職する!なんていうわけにはいきません。 オフィスで働く方々だったら、他の職種に移るのももう少し融通が聞くと思います。 指一本なくしてもなんとか仕事を継続することも可能かもしれません(極論です)。

 こんな仕事ですから、これからパイロットを目指す方々で将来が不安な方は、なにかバックアッププランを考えれば良いと思います。 例えば、なにか自営業を始めるとか、不動産投資をするとか、いろいろ方法はあると思いますが、パイロットをしながらもできるもう一つの仕事があったら強いでしょうね。 

 実際、今まで飛んだことがある機長連中の中には自営業をしていたり、不動産運用をしている人がたまにいました。 最近飛んだ人の中には株取引で1日で1000万円以上も動かしているというツワモノまでいました。 当然ながら、そのもう一つの仕事がうまくいかなくて、パイロットとして働く際の精神衛生上の問題になるのでは元も子もありませんが。

 ようするに、僕が理想的だと思うのでは、パイロットとしてしか生きていけない人間にはならないようにすることの重要性です。 今現役で飛んでいるカナダ人のなか(特に年配のパイロット)には、生まれてこれまでパイロットとしてしか働いたことがない人が多くいるように見受けられます。 10代のうちに父親や祖父の影響でパイロット訓練をはじめ、その後もパイロット畑をひた走って来た方々です。 パイロットとしては立派な経験の持ち主ですが、中には高校卒業後の教育は受けておらず、他の職種を経験したこともない人がいます。 こう言う人が悪いと言っているわけではなく、こういうひとは他の仕事の経験がある人に比べると「リスクが高まる可能性がある」と思っているのです。

 僕はまだ40代前半なので、ま〜なんとかなるかな?とは思いますが、万が一、これから僕が仕事を失ったらどうでしょう。 今から他の業種に移るにはかなりの労力が必要になります。 今まで培って来たものが崩れ去り、また一からのスタート。 辛いですが、不可能ではないと思います。 ところが、もし僕が今50代後半とかだったらどうでしょう。 現実的にここから再スタートをするのは厳しいはずです。 今までの生活を捨ててゼロに戻る。 簡単ではないはずです。

 こんな状況になった場合に、パイロットと同時進行でなにかもう一つのプランBを進めて来ていたとしたら。 プランBをプランAにすり替えて、そこから進んでいけばいいんですよね。 そう考えるとまったくのゼロから始めるよりは断然精神に及ぼすダメージは少ないはずです。

 将来設計は株取引などの基本と同じだと思います。 「リスクの分散」。 これが大事で、そのための努力はいつやるか。 問題が起きる前にやっておくか、問題になってから考えるか。 そこを考える必要があるように痛感しています。

 パイロットを目指しているみなさんには、個人的にはこれからもパイロットを目指して進んでいってもらいたいと思っています。


(つづく) 

 

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