2020-07-26

コロナ禍から学ぶリスクマネジメント。


最近どなたかがフェイスブックで引用していたことばに、


大切なのはトラブルをすべて回避しようとすることよりも、トラブルが起きたら対処できる能力を身につけることである


みたいなことが書かれていました。 あ〜、なるほどなぁ〜と思いました。 


だいたい誰でもトラブルは起きて欲しくないからいろいろ考え、トラブルに見舞われないようにする方法を考えると思います。一方、あまり深く考えてしまうと行動に移すことができなくなり、「なにもしないことがもっとも安全」という後ろ向きの結論に至ることもあるように思います。


SNSやインターネットでパイロットになる方法を探している人で僕に直接メッセージをくれる方々の中にはなるべくトラブルに遭わない最善の方法を模索する人が多い印象です。どうすればなるべく早くパイロットになれるか、仕事に辿り着けるかなど、いかに壁に打ち当たらないようにするかに注力する方が多いです。


でも、今回のコロナウイルスが航空業界やパイロット採用に及ぼした影響を見ても分かるとおり、いくらトラブル回避の準備を前もってやったところですべてが予定通り行くことはないかもしれません。そうであれば、トラブルを全回避する努力をよりも、パイロットになる過程で起こり得るトラブルの対処法を考えた方が良い場合もあると思います。


国内航空会社のいくつかのように自社養成パイロットの採用が見送りになった場合、他になにか仕事ができる資格や能力、経験があると強いなぁと今回のコロナで痛感しているところです。万が一、体調不良でパイロットの仕事ができなくなった場合でも他職種であれば引き続き収入を得ることができるのも安心です。実際、僕の会社のレイオフされたパイロットのなかには園芸会社で働き始めたり、車のディーラーで車のセールスを始めた人もいるようです。


それじゃ、なにをバックアッププランとしての能力や経験として身に付けるか。それは今の僕が日々考えていることでもあるのですが、これを今から(40代)から探し始めるのはなかなか至難の技です。できないことはもちろんありませんが、フットワークが20代と比べると衰えていますし、変なプライドも邪魔をすることもあります。そもそもこの歳になると人格形成が良くも悪くも概ね終了している感があり、今からいろんな経験をしよう!という気持ちにはなかなかなれません。だからこそ、20代最初の多感な頃までにいろいろな経験をしておくと良いと思うのです。だって今からプログラミングを始めようとなって思えませんもん(笑)。


僕は倹約家の親に育ててもらったこともあってか、昔からお金の使い方には慎重な方だったように思います。パイロット訓練を受ける前に必要な費用を全額貯金してから行動に移したのもお金で困りたく無かったし、「借金はリスク」と捉えていたからです。それは間違いではなかったと今でも思っていますが、仮に借金をして4年早く訓練を始めていたら、今の会社でのセニオリティも4年分上がっていたかもしれません。4年分のセニオリティは海外エアラインでは生活の質やお給料に大きな影響を及ぼします。時間はお金をいくら出しても買えないわけで、セニオリティも買うことはできません(とはいえ、4年早く今の会社に採用されていた保証はどこにもないのですが)。


例を挙げると、僕は高校生の時に独学でギターの弾き方を学びました。ひたすらビデオテープやカセットテープに録音した音楽を耳コピして同じように弾けるようになるまで練習しました。これが実は今の英語力に影響しているのでは?と最近思うようになりました。音を聞いて真似る。まさに英語の勉強と同じようなプロセスです。発音が良くなるための近道はネイティブスピーカーの発音を真似ること。最近取り組んでいるフランス語の勉強でもこの能力が生かされているように感じます。


つまり、なにが将来役立つかは、若い頃にはわからないんですよね。だから、なるべくいろんなことを経験しておくと良いと思います。例えそれが何の役にも立ちそうでなくても。


じゃあ、どうやっていろんなことに挑戦するか。それはおそらく友達や知人を増やすことが近道だと思います。友達が増えれば、その中にはロッククライミングが趣味な人がいるかもしれないし、歌舞伎鑑賞が好きな人もいるかもしれない。自分では進んでやらないことでも友達に勧められればやってみようかという気持ちになる。そしてそれがあなたに様々な経験をさせてくれる可能性がある。そう思って友達付き合いをするのも良いと思います。実際、僕のギターはまさにそんな感じで友人の影響でした。


ということで、若いうちは色々やった方がいいです。やることは何だっていいんです。やらないよりはやった方がいい。親御さんは可能な限り応援してあげてください。




暑さが心地よい日が続いています。日本ほど湿度が高くないため、過ごしやすいです。コロナさえなければ良い夏といえるところなんですが、残念ながらそんな気持ちにはなれませんね。



(つづく)

0 件のコメント: