2020-08-29

過去ログ:2006年12月16日〜2006年12月18日

ビクトリア63日目:ナイトフライト2日目
2006年12月16日土曜日


 今日は昨日に引き続きナイトフライトでした。 午後5時に薄暗くなってきた中を自転車でクラブに向かいます。 クラブにつき、今日もZSCのウォークアラウンドから開始です。 ここ最近ずっとZSCを使っているので、愛着がわいてきました。 最初は、「Zulu Sierra Charlieってなんて言い難いコールサインだ!」っと思いましたが、今ではこの呼び方が結構好きだったりします(笑)。 

 ナイトフライトのウォークアラウンドは日中のウォークアラウンドとほぼ同じですが、違う点が2つあります。 1つ目は、外が既に暗いので、懐中電灯を使って細部をチェックしなければ行けないという点。 エレロンのヒンジ部分などは翼の下から懐中電灯を使ってボルトがちゃんとしまっているかなどを確認します。 もう1つはチェック事項に外部ライティングのチェックが追加されることです。 Cessna 152には数種類のライトが付いていますが、ウォークアラウンドの際には実際にそれらのライトを点灯して目視確認をします。 今日の写真はライト類のコントロールパネルです。 LDGはランディングライト、TAXIはタクシーライト、BCNはビーコンライト、STROBはストロボライトですが、クラブのC-152にはストロボライトはインストールされていません。 NAVはナビゲーションライトです。 LDGとTAXIはどちらもZSCの場合はプロペラの下辺りにあります。 どちらも前を照らすライトですが、LDGはその名のとおり着陸時(あとは離陸時も)に使います。 TAXIはタクシーをするとき(地上で)に使います。 これらのライトの違いは主に照らし出す角度じゃないかと思います。 タクシーライトがロービーム、ランディングライトがハイビームのような感じがします。 ランディングライトのほうが気持ち照度が強いようにも感じます。 ビーコンライトは垂直尾翼のてっぺんについています。 クラブのC-152はビーコンライトのスイッチを入れようが入れまいがマスタースイッチがONのときはビーコンライトが付くようになっています。 ナビゲーションライトは翼の両端(右が緑、左が赤)と垂直尾翼の後ろ側に白色のライトが付いています。 これらのおかげで暗闇でも機体がどの方向に進んでいるかが分かります。

 今日はサーキットを1時間しました。 昨日の経験があるので少し落ち着いてタクシー、離陸と進みました。 ここビクトリアのサーキット高度はお昼は1000ftですが、夜は近くに丘などがあるため、1100ftを飛びます。 1回目と2回目のサーキットはランディングライトを付けて着陸をしましたが、3回目以降はランディングライトなしでの着陸を練習しました。 これがなかなか怖いです(笑)。 ランディングライトなしでは、滑走路上空2〜3メートルまで降りてこないと滑走路の表面が見えません(涙)。 しかも、見えても本当にすこ〜ししか見えません。 滑走路の両端にあるライト(弱い明かりの白いランプ)を見て自分の高度を確かめながらゆっくりとランディングをします。 このときにソフトフィールドランディングのテクニックを使います。 ソフトフィールドランディングは本来は着陸するところの表面が柔らかいことを想定して、なるべく着陸ギア(タイヤ)にいきなり重みがかかってしまわないようにゆっくりと機体を地面に降ろす着陸方法です。 インストラクターに「夜はソフトフィールドで着陸しますから」とずっと言われていた理由が今日初めてわかりました: ランディングライトがないと暗くて、自分が果たして滑走路からどのくらいの高さにいるのかがはっきりとはわかりません。 そのため、ソフトフィールドの着陸方法を真似て、パワーを入れたままじんわりじんわりと高度を下げていって着陸するわけです。 「地面はまだかな〜? 滑走路はまだかな〜?」といった感じで探りながら高度を下げるとテクニックです。 今日は6回離着陸をしたうち、2回はじぶんなりの合格点のランディングでしたが、まだまだ練習が必要です。 お昼に練習したいと思っています。 今日はサーキットだけだったのでビクトリア上空を飛んだりするお楽しみはありませんでした。 少し残念(笑)。 それでもコクピットから見えるシドニーの街並などはとてもきれいでした(でも、あまりよく見すぎると夜間視力に良くないのでちらっと見た程度です)。

 明日は午前中にビクトリアにある日本食料品店「Fujiya」に行くつもりです。 その後、ダウンタウンにある自転車屋さんでロードバイクを物色する予定です。 昼過ぎにはシドニーに戻り、夜のフライトの用意をします。 明日は天気がよければ本土の方にナイトクロスカントリーフライトに出る予定です(デュアルです)。 天気が悪ければクロスカントリーフライトのブリーフィングだけでもしてもらうことになっています(これでNav logなどの仕上げ方やフライトプランのファイル方法を復習できるのでうれしいです)。 また明後日以降天気が崩れそうなので、天気が持ちこたえているうちにナイトのクロスカントリーフライトをやってしまおうという目論みです。 クロカンフライトの行き先はアボツフォード(カナダ本土)に飛び、その後、バンクーバー島(ビクトリアがある島)に戻り、ビクトリア空港の北西に位置するナナイモに行くようです。 ちなみにナナイモは最近人気のジャズシンガー・Diana Krallの生まれ故郷だそうです。 まめ知識でした(笑)。

 今日はフライトから帰って来てからパンを作っています。 今まさにパンがオーブンの中で焼かれています。 分量を間違ったのか、どれだけ練っても生地が手に付きまくります。 あまり良い結果は期待できそうにありません。 ちなみに作っているのは「イギリス式食パン」です。 

 ではまた明日!


(つづく)

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ビクトリア64日目:ナビゲーション計画復習
2006年12月17日日曜日 


 今朝は久しぶりに早起きをしてビクトリアに行きました。 まず70番のバスでダウンタウンまで行き、27番のバスに乗り換えてShelbourneという通りにあるFujiyaという日本食料品店を目指しました。 日曜日ということで開店時間がいつもより遅いです。 日本ならその逆のような気もしますが、こちらは日曜日は遅く開いて早く閉店するということが多いようです。 

 11時ちょっと前について、ちょうど通りを挟んで反対側にあるアジアン食料品を多く扱うスーパー、Fairwayに寄りました。 特になにも買いませんでしたが、アジア系食料品が多く行っていました。 お客さんも中国系の人がたくさん。 店員もアジア系がたくさん。 なんだか不思議な感じでした。 10分ほど店内をふらふらして、Fujiyaに向かいました。 Fujiyaではお好み焼き粉、和風スパゲティーのもと、みそ、ほんだし、お好み焼きソース、餃子の皮などを購入しました。 それにしても日本食料品は高い! 一例を上げると、永谷園のチャーハンの素(日本では多分200円以下)が400円ほどしてしまいます。 ほんだしも大きなパッケージになると2000円とか。 日本のスーパーでは米など以外には2000円もする品はないでしょう!(笑)。

 Fujiyaの次はダウンタウンに戻り、自転車屋を覗きました。 12時開店ということで、到着したときにはドアがしまっていましたが、しばらくすると開店しました。 中には僕ごのみの高級車がたくさん並んでいます。 少し見て回りましたが、やはり円安の影響ですべてのバイクが高く見えます。 中古品もないようですし、仕方ないのでeBayなどで中古品を気長に探すことにしました。 おととい気に入ったバイクがあったので落札しようとしましたが、最後の5秒で他のヤツに競り落とされてしまいました(怒)。 

 午後2時頃にはシドニーに戻って来て、簡単に食事を済ませてしばし休憩。 ベッドで横になって航空無線を聞いていました。 でも、休息を取るときは無線は聞くもんじゃありませんね。 無線から聞こえてくる飛行機が今サーキットのどこにいるとか、エアカナダの飛行機が今どのあたりを通過中とかということを無意識に頭の中で想像してしまいます。 なので、体は休んでいても頭はフル回転です(笑)。 

 午後5時に空港に行き、インストラクターと話をしました。 今日は天気に不安要素があったため、ナイトクロカンは取りやめになりました。 日中であれば天気が少しくらい悪くても飛んで行けるのですが、夜はもっと慎重にならざるを得ません。 例えば雲が低くても、暗い空では雲の位置をはっきりとは確認できないでしょうから、知らないうちに積乱雲に突っ込んでしまうっということも起こりうるわけです。 ということで、今夜はフライトはなし。 その代わり、ナビゲーションのプランニングのやり方とフライトプランのファイル方法をリビューしてもらいました。 クロカンはやっぱり日中に1回やって、それからナイトでやることになりそうです。 そのほうが順序建てて学ぶことができるのでいいと思います。 

 ナビゲーションは本当にいろんなことを忘れています。 自分でもびっくりです(笑)。 今日は2時間ほどかけてブリーフィングをしてもらい、これでようやく自分1人でナビゲーションプランを立てれそうです。 今夜はもう疲れてしまったのでやりませんが、明日は午前中に仮プランを立ててみようと思っています。 これを雨の日などの時間があるときになんどかやって、やり方を完璧に身につけようと思います。

 今日のブリーフィングの後に、「今度172のチェックライドをしましょうか?」という話が持ち上がりました。 僕は今までセスナ150, 152とパイパーチェロキー(PA-28)という飛行機を飛ばしたことがあります。 違う機種を飛ばす場合はチェックライドというフライトをして新しい機体の飛ばし方やその機体特有の手順などをまず確認してもらい、インストラクターが許可を出せばソロでその機体を飛ばすことができるようになります(endorsementと呼ばれるものです)。 セスナ172は152よりも大きく、座席数も4席と増えます。 馬力も50馬力ほど多くなります。 スピードも当然早くなり、クロスカントリーフライトのときなどは目的地に早くつくことができます。 レンタル料は1時間あたり14ドル(約1500円)ほど高いですが、早く目的地につけばそれだけフライト時間は少なくて済みますので、結局同じくらいのコストになるそうです。 っということで、火曜日の日中にチェックライドをしてもらうことになりました。 そのために明日はエアスピードなどを172用に暗記しなければいけません。 計器盤も計器の場所が違ったりしますので、少し慣れが必要だと思いますが、152よりも大きな機体を飛ばすことは魅力的ですし、世界的に152よりも172のほうが多く出回っていると思いますので、今のうちに172を飛ばせるようにしておけば今後のためにもなると思いますので楽しみです。

 今日の写真は今夜のブリーフィングの後のハンガーの様子です。 最近は風が強かったり天気が悪かったりするので、夜間はクラブ所有機をすべてハンガーに格納しているようです。 ハンガーの中にはセスナ152, 172, Citabria, アマチュアビルト、Piperアーチャーなどが所狭しと並んでいます。 その姿は圧巻です。 よくもまあこんなに綺麗に格納したな!っというくらい、飛行機同士の間は10~20cmくらいで、本当にぎりぎりでおさめられています。  

 明日は1日お休みです。 勉強をして、夕方は以前の教会で知り合った人とビクトリアで飲む予定をしています。 ビクトリアのナイトライフは初めてなので楽しみです。

 ではまた!

 

(つづく)

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ビクトリア65日目:仮フライトプラン作成
2006年12月18日月曜日


 今日は午前中に図書館で昨日学んだナビゲーションプランの作り方をおさらいしました。 風の情報には出発空港の風、到着空港の風、それまでの上空の風などといろんな風のデータがあります。 それらをどう使い分けるかがよく分からなかったのですが、昨日のブリーフィングでわかるようになったので今日のプラン作成練習ではスムーズに進めることができました。 仮プランでは昔のサスカトゥーン時代に使っていたRegina(サスカチュワン州)のチャートがありますので、それを使ってサスカトゥーン(CYXE)からリジャイナ(CYQR)までの約130海里マイルをフライトするプランを立てました。 高度3500フィートでのフライトで、今日の風のデータを利用すると追い風が吹いているので対地速度は100ノット(時速185キロほど)まで出る計算でした。 サスカチュワン州は平地なのでナビゲーションが比較的簡単ですが、こちらビクトリアは島々がありますのでその点は少しややこしいように思います。 プランの作り方をおさらいしたあとは自分用の「ナビゲーション作成チェックリスト」を作成しました。 これさえあれば、これからは1人でナビプランを作れると思います。 

 午後からは家でセスナ172のVスピードを暗記しました。 暗記とはいっても、暗記しきれてはいませんが(笑)。 覚えなければいけないのは、take-offの時の速度、climbの速度、best rate of climbの速度、best angle of climbの速度、approachの速度、stallの速度(フラップなしの場合と30度の場合)、glideの速度、などがあります。 どれもセスナ152とはさほど変わりませんが、すべてにおいて5ノットほど速くなるようです。 それだけパワーがあるからですね。 燃料タンクの容量も異なりますので、そちらも暗記。 172のデータを覚えると152のデータを忘れてしまいます(笑)。 なので、明日は午前中に両方のデータを比較するチャートを作成する予定にしています。 

 明日は12時からフライトで、天候次第ではクロスカントリーフライトに出る予定です。 出れない場合は夜間のフライトが出来ればする予定にしています。 

 今日の写真は明日飛ばす予定のセスナ172と同型機のコクピット内の計器盤です。 計器の種類は152と同じですが、配置が若干違います。 エンジンのタコメーターは152の場合は右の席の前にありますが、172の場合は機長席(左側)のほうにあるようです。 こちらのほうが見やすいのかも。

 今日は夕方からビクトリアのダウンタウンにあるパブに行きました。 おいしいビールを飲んできました。 西海岸はブリューワリーが多くあるらしく、地ビールの種類が豊富とのことです。 今日のビールはOkanagan Pine Aleとかなんとかいうビールでしたが、コクがあるのにあっさりとしていておいしかったです。 缶ビールでもあるんだろうか・・・ あれば今度買ってみたいものです。 ちなみにパイロットはフライトの8時間前からはアルコールを飲んではいけません。 飲んじゃダメというだけではなくて、たとえ8時間が経過してもアルコールの影響下にあってはフライトはできません。 つまり、二日酔いでのフライトは御法度ということです。 当たり前ですけどね!

 
 ではまた明日!

(つづく)

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【編集後記】

 勉強の方法って人それぞれですよね。僕はひたすら書いたり暗記カードを作ったりして覚えることが多いです。パソコンで必要知識をまとめることもありますが、やはり手書きが一番頭に残るような気がします。人間はなるべく多くの器官を使って覚えた方が記憶に残る可能性が上がるそうです。目で見ただけよりも、目で見て手で書いたほうが2つの器官を使うので記憶力があがるという話です。これにさらに耳や感触なんかも取り混ぜるとなおさら覚えやすくなるはずです。

 今回出てくるセスナ172のC-FMEKという機体は残念ながらもう存在しません。僕が教官時代に、とあるクラブメンバーがレンタルしてフライトに出かけ、途中で燃料切れを起こしてしまい、ハイウェイ上に緊急着陸をしました。その着陸の際に致命的なダメージを受けてしまい、保険会社も修理するよりも新しい機体に買い換えた方が安上がりになると判断したようで、結局はスクラップされてしまいました。もしかしたらそのスクラップ後の写真が僕のブログのどこかにあるかもしれません。今でもこの事故のことは覚えています。死者や怪我人が出なかったのが幸いでした。このメンバーは事故当日クラブに加入し、教官とのチェックライドを終えた直後に飛行機をレンタルしてフライトに出かけたそうです。チェックライドでは失速からの回復やサーキット、不時着の手順などをチェックし、フライト時間にして一時間ちょっとかかります。このメンバーはチェックライド後に燃料補給することなく、そのまま片道一時間以上のフライトに出かけたようです。そしてビクトリアに戻ってくる前に燃料切れとなりました。セスナには燃料計があって一応は機能しますが、あまりあてになりません。というのも、フライト中には燃料が翼の中のタンク内で動き回るため、フロート式の燃料計では正確な量が測れないのです。そのため、地上で燃料をディップスティックと呼ばれる棒を燃料タンクに突き刺して目視確認します。このメンバーもこれさえしていれば緊急着陸なんてしなくてよかったはずなのに。ちなみに旅客機クラスになると燃料の測り方の仕組みも大きく違い、いちいち棒を突き刺さずとも量は正確にわかるようになっています。


(つづく)

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