2020-09-09

ここ半年のまとめ。

 あとちょっとで僕の最後のフライトから半年が経ちます。月並みな言い方になりますが、時間が経つのは早いです。なにかに取り組んでいる時、特に大変な時には時間の流れは遅く感じるのに、ぼ〜っとしてふらふらしていただけだと振り返ってみると早かったようにも感じるから不思議なものです。

 これだけコロナの影響をもろに受けている航空業界・旅行業界にいながら今だにレイオフになっていないのはありがたいのは当然ですが、昔の同僚や知人・友人がレイオフの対象になってしまい、人生プランの大規模な方向転換を強いられている状況を目の当たりにするととても心が痛みます。自分がレイオフになったらどうするべきかというのをこれまでも、そして今も、頻繁に考えています。まだ答えはでません。

 その過程において痛感するようになったのは僕自身のアイデンティティです。話はややそれますが、ベテランパイロットが定年を迎え、空を飛ぶのをやめると一気に老いていくとか、人によっては心の病気になったり、最悪の場合は定年退職後の早い段階で亡くなる方も多いと聞きます。理由や原因はおそらく星の数ほどあり、高高度を飛ぶことで受ける放射線のせいとか乱れた生活リズムのせいなど、人によって原因は異なると思います。ただ、よく聞くのはパイロットをやめると自身のアイデンティティを失うというか、自分が生きている意味そのものを見失ってしまう場合もあるということです。今まで「パイロットの〇〇さん」とか、「〇〇航空の機長の〇〇さん」というふうに、必ず「自分はパイロット」という自己意識で社会の中で生きてきた人々にとっては、そのタイトル(肩書き)を失うということは自分自身の存在価値を見失うことを意味するというのです。今まで必死に「パイロットになるために生きて来た」のに、ある日ある時点から「生きていくためにパイロットであり続けなければならない」という逆転した状態になることがあるのです。この流れに陥った場合、パイロットを辞めるイコール生きていく目的を失うということになります。

 僕自身も知らぬ間に「僕はパイロット」というアイデンティティを確立してきたように感じます。今まではそんなことほとんど感じなかったのですが、自分がパイロットを一時的にであっても辞めることがあるという局面に遭遇したとき、自分からパイロットを取ったらなにが残るんだろうと思うようになりました。それと同時に、なんとしても自分はパイロットとして働き続けたいという気持ちも少なからず持ち合わせていることにも気がつきました。なぜかということに関してはまたいずれ書きます。

 とはいえ、ずっと後ろ向きなことを考えているわけにもいかず、いろんな人に応援してもらって生きていますので、なるべく前向きに生活をしようと心がけています。今回の半年間仕事をしなかった期間にいったい自分はなにをやってきたんだろう?と思ったので、今回ここにリストアップしてみることにします。


・毎日同じ時間に寝るよう努力してきた
    
    規則正しい睡眠を取れたのは何年ぶりでしょう。毎朝同じ時刻に目がさめるのは気持ちが良いものです。


・外食ゼロで、バランスの取れた食事を毎日自炊した

 今までは出先のレストランや出前・テイクアウトなどで済ませることも多かったですが、外食できない時期でもあったため、毎日自炊しました。おかげでレパートリーを考える能力が身についたように思います。


・次に乗務する飛行機の勉強をしてきた

 自宅待機期間が始まった最初の頃は特に真剣に勉強し、すぐに訓練が開始となっても問題ないくらい知識を蓄えました。その後、訓練がしばらくないことがわかり、勉強から少し遠ざかりました。しかし、知識はちゃんと頭に残っているようです。


・ほぼ毎日欠かさず写真を撮った
 
 今年から始めた久しぶりの趣味が写真です。インスタにほぼ毎日1~2枚写真をアップし続けています。自分の行動の記録になりますし、外に出かけることも多くなりました。よろしければインスタをご覧ください(https://www.instagram.com/tanuki_p_foto/


・パンの焼き方をマスターした

 しばらくの間、毎朝柔らかいパンを食べたいと思って作り始めました。今ではレシピを見なくても焼けるようになりました。


・自家製ピザを作れるようになった

 これもなんども試行錯誤しました。家庭用オーブンでは限界を感じますが、今では結構上手に作れるようになりました。生地もソースも自家製です。


・モントリオール中の場所に出かけていった

 写真を撮る目的と運動を兼ねて毎日いろんなところに出かけました。主に旧市街とダウンタウンに行くことが多かったのでそのあたりのだいたいの道は覚えました。


・家の掃除を定期的に行って常に清潔に保った

 土曜日はベッドシーツ交換、日曜日は掃除機、月曜日は水回りの掃除など、曜日毎にスケジュールを決めました。仕事をしていると曜日の観念そのものが意味を持たなくなりますので、曜日毎のスケジュールはかなり新鮮でした。


・芸術の分野に触れる機会を持った

 写真もそうですが、絵画にも興味を持つようになりました。絵の構図や色使いなどは写真のテクニックにも通じるところがあります。まさに写真の勉強に適したクロストレーニングという感じです。なぜもっと前から芸術に時間を割いて来なかったのだろうと後悔しています。


・フランス語を勉強した
 
 毎朝学習アプリを使って勉強しています。今では過去形や未来形なども簡単なフレーズであれば言えるようになりましたし、覚えた単語の数も500近くになりました。フランス語のニュースを毎日1時間程度観るようにしたところ、学んだ単語やフレーズを聞き取れるようになってきたので楽しめています。いずれ機長に昇格するまでには機内アナウンスをフランス語でもできるようになりたいと思っています。


 という感じです。特にキャリアに役立つとかお金儲けに直結することではありませんが、それでもそれなりに普段はできないことをいろいろとやってきたもんだというのが正直な感想です。これだけ自由にやりたいことをやりたいだけできることはコロナ禍でなければ考えられません。そう思えばこのような期間があることもそれほど悪くはないのかもしれません(っと、自分に言い聞かせています)。

 そうこうしているうちに、本職のほうの訓練開始日がようやく決まりました。次回は訓練について書こうかと思います。


最近極端に曇りの日が多くなってきました。



(つづく)


 

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