2007-12-09

ビクトリア419日目:その後。

 


 最後の投稿を読んで励ましのメールやコメントをくださった皆様、どうもありがとうございました。 たくさんエネルギーをもらった気がします。

 なにも書かずに日々過ごすのもなんとなく気持ちがよくないので、最後の投稿から今日までにあったことを自分のための記録も兼ねて書き綴ろうと思います。

 まずうれしかったことから。 飛行訓練に興味をお持ちで僕のサイトを見て連絡をくださったSさんが、彼女さんと一緒にはるばる北海道からビクトリアまで来られました。 12月3〜5日という短い期間で、天気も不安定な期間だったのでフライトがちゃんとできるかどうか不安でしたが、4日にお二人を連れてビクトリア上空を飛ぶことができました。 あいにく天気は悪く、雲も低かったので雲を避けるような形で飛ぶことになってしまいました。 タービュランスもそこそこ強く、離陸直後からガスト25ktほどというコンディションで、飛行機の機首の向きと進行方向は全然違う(風によるドリフトのため)というような珍しい状況でしたが、お二人とも飛行機酔いすることもなく、楽しんでいただけたようでした。 5日にはSさんだけ、C-152を使って初期飛行訓練を体験していただきました。 フライトの基本となるattitudes and movements(姿勢と動き)のレッスンを体験していただきました。 4日と違って5日はとても良いお天気で、離着陸も操縦桿に手を添えて一緒にやっていただきました。 普通の訓練1日目ではやらないようなことも少しだけデモンストレーションして、途中で写真を撮ったりなんかもして、楽しいフライトになりました。 短い期間の出会いでしたが、とても楽しく、良い思い出になりました。 

 もう一つうれしかったこと。 っというよりは、安心したこと。 12月5日にグランドスクールを担当しました。 PPLを取得するための訓練を受けている現地学生約20名ほどの前でレクチャーをしました。 レクチャーとはいっても、ほとんどは航空法を棒読みしただけなんですが(笑)。 外国人である僕がする授業をしっかりと聞いてくれる生徒さん達でした。 もちろん中には居眠りする人もいましたけど(笑)。 夜7時からと遅い時間からの授業ですし、皆さん日中は仕事や学校があって疲れていた上に退屈な法律の話なので居眠りも仕方ありません。 それでも中には質問をばんばんしてくれる生徒さんがいたり、自分の体験を話してくれたりする人もいて、楽しい時間になりました。 それでも2時間強のレクチャーが終わったあとは嫌〜な汗が体中に出ていましたし、疲労感はものすごかったです。 途中でなんども口が回らなくなったり、英語の文法がおかしくなって焦った場面もありました(笑)。 それでも無事に終わってくれてほっとしました。 来週の月曜には2日目のレクチャーがあります。 2回目だから少しは落ち着いてやれるんじゃないかと思っています。 

 ビザの件ですが、クラブのマネージャーのジェリーが1通、僕が1通の嘆願書を用意して、地元に住んでいる国会議員の方のオフィスに提出しました。 正直なところ、これでpost-graduation work permitが下りるとは思っていません。 なぜなら、post-graduation work permitの応募資格のところにはっきりと「私立学校の場合は学位授与権を有する教育機関を卒業したもののみ申請できる」というふうに書いてあるからです。 VFCを始め、ほとんどのフライトスクールは個人経営ですし、学位などは授与できません。 ですから、今までpost-graduation work permitが許可されてきた方々やこれから許可される方は言ってみればCICカナダの担当官の不手際によって運良くビザが発給されてきた/されるということになります。 僕の場合はそれがたまたましっかり仕事ができる担当官(笑)に当たってしまい、申請資格がないということで却下された形です。 私学の場合はダメであるということは申請前からちゃんと把握していました。 ただ、何件も前例があるのできっと問題ないのであろうと思って申請を出していました。 やっぱりそんなに甘くはなかったようです。

 僕が大学事務員で海外に留学生を派遣する業務を担当していた頃、イギリスの大学に学生が2名派遣されることになりました。 どちらも同じ申請書類を使って、同じ内容を書いたにもかかわらず、一人は12ヶ月間有効の学生ビザ、もう一人は6ヶ月間だけ有効の学生ビザが発給されました。 半年しかビザがおりなかった学生は当然文句をいいました。 留学派遣担当の我々職員にも文句を言ってきましたし、ビザ申請を代行した旅行社にもたてつきました。 当時の僕は留学派遣担当という立場上、「ビザは大使館・領事館の審査官が判断して発給するもので、申請すれば全員に与えられるものではない」という風にその学生に客観的・事務的に説明した記憶があります。 英語でいうところの「right(皆に与えられた権利)」と「privilege(特定の人間に与えられる特権)」の違いです。 どの国であっても、ビザの発給は入国審査官のような担当官の一存にゆだねられているようで、その判断が覆ることはほとんどないと思います。 今回の僕の場合もまさにこの考え方で、僕の書類を審査した審査官が僕にはビザを発給しないという決断を出しました。 そしてそれがカナダ政府の判断となります。 これを覆すためのアピールプロセスはないそうで、国会議員や弁護士にでも頼む以外は方法がないようです。 お恥ずかしながら、こちらでの生活費や訓練費は予算を組んで用意してきたつもりですが、まさかビザが発給されるまで1ヶ月以上も待つことになることや、ビザ申請が却下されることまでは計算にいれていなかったため、弁護士を雇うような金銭的余裕はありません。 ですから、国会議員さんが無理な場合は素直に諦めることになります。

 Post-graduation work permitは諦めても、教官として働くことは諦めません。 正直なところ、ビザ申請が却下になってから少し気持ちが弱くなってしまって、日本に帰ってサラリーマンをまた始めることも考えてみました。 でも、それではきっとまた後悔するであろうし、今回のビザが許可されなかったとしても他にもビザを取得する方法はあるわけだし、それらをすべてやってみて、それでもダメというのであればそのときに諦めればいいのではないかという結論に達しました。 自分は来年で30歳になります。 世間一般の考えでいけば30歳にもなってふらふらしているのは決して好ましいことではないというのは痛いほどよくわかっています。 でも、自分がやりたいと思って一度進み始めた道から途中で逃げ出してしまうような人間はきっとこれからなにをやっても辛い局面に遭遇したら逃げ出してしまうようになると思うのです。 ですから、まずは今やれることをすべてやる。 それから今後の身の振り方を考えても遅くないのではないかと思っています。 

 今晩クラブのマネージャーから電話があり、「Labour Market Opinionの申請をしておいたよ」と言われました。 「Labour Market Opinion」というのは、カナダの企業や会社が外国人を雇用する際に、本当にその職種に外国人を採用する必要があるのか、現在のカナダの就業状況から考えて、外国人を雇用することがカナダ人の労働市場に悪い影響を与えることがないか、また、もし外国人が採用される場合、その賃金や雇用条件などは正当かどうかといったことを下調べするためのプロセスです。 これは雇用主(僕の場合はVFC)が申請しなければならず、被雇用者(僕)自身で申請できるものではありません。 ジェリーは「念のためにね」といって僕には事前に話をすることなく申請をあげてくれました。 まだ正式に話はしていませんが、これはつまり、たとえ正規のワークパーミットを取らなければいけなくなってもクラブで教官として採用したいと言ってくれていることと同じことだと思います。 僕はこのことを心配していたので、Labour Market Opinionの話をジェリーから聞いたときは正直うれしかったです。 正規のワークパーミットを取得するにはこのLabour Market Opinionを取るのに1ヶ月程度、そしてその後でワークパーミットの申請をし、それを取得するのに最低1ヶ月、長いと2ヶ月〜3ヶ月ほどかかるそうです。 それだけクラブが僕のことを待っていてくれるのかどうか不安でしたが、どうやらその心配はないみたいです。 月曜にジェリーと話をすることにしているので、そこでもう一度意思確認をしたいと思います。 数ヶ月遅れても採用してもらえるということが分かったら安心して一時帰国できそうです。

 少し気は早いかも知れませんが、一時帰国のことをいろいろ考え始めました。 本当は2週間程度の帰国の予定でしたが、ビザが下りないとなればそれが2、3ヶ月の帰国になります。 その間遊ぶわけにもいきませんから、なにか短期のアルバイトか派遣の仕事でもしようかと思っています。 地元で働くべきか、それとも大阪などの都市部で働くべきか、いろいろ考えます。 またスーツを着て、革靴を履いてネクタイをしてという出で立ちになるのも少し新鮮な気がします。

 長くなりましたが、これが今の状況です。 来週末までには向こう数ヶ月の予定を立てて行動を開始しないといけません。 カナダを数ヶ月離れるとなれば今住んでいる部屋も明け渡さないといけないし、車の処分や荷物の保管場所なども考えなければいけません。 貧乏暇なしです(苦笑)。

 今日の写真はクラブの飛行機達です。 絶対に教官として働いて乗ってやるから、お前ら待ってろよ〜〜〜。

 これからは不定期になるかもしれませんが、なるべく頻繁に近況報告を書こうと思っています。 皆さんにとってはつまらないかも知れませんが(笑)。

 
 ではまた。



(つづく)

 

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

パーミットのことがよくわからなかったのですが、どうやらpost-graduation work permitと正式なワークパーミットは違うようですね。
前者が取れなくても後者が取れる(クラブが認めてくれる)、ということなら安心?していいのでしょうか。


無責任ことはあまり言いたくないのですが・・・夢がかなうことを陰ながら応援しています。頑張ってください。

Youhavecontrol@gmail.com さんのコメント...

梶君

応援ありがとう。 こうやって励ましてくれる言葉が今は一番ありがたいです。 

ワークパーミット、なにがなんでも絶対に取ってやります。 今日になってちょっと希望の光が差し込んできました。 また報告するつもりです。

匿名 さんのコメント...

こっちでは、雇用主がいればとれるWorking Visaなるものがあるから、そっちを考えてみれば、といおうとしてたけど、そっち方面にもむかってるようで良かった良かった。せっかく免許とったんだから、最悪他の国になることなっても、そっち方面でトライしてみてはどうでしょ。メリケンのそういう学校は結構日本人いそうやから、働き口とかあるかもしれんし。まあ、Work permitがとれることをいのってきます。

Youhavecontrol@gmail.com さんのコメント...

かんがるうさん

カナダがダメとなったら今度は赤道を超えてオーストラリアまで行ってやるぞ〜。 どこへでも行ってやるぞ〜。 実は既にオーストラリアの免許制度も少しだけ調べたのよ。 そしたらちょっと仕組みが違うみたいで、フライトテストと筆記試験に合格すれば教官資格を取得できるみたい。 少しお金はかかるだろうけど、不可能ではないだろうから、一応選択肢にはいれておきます。 グッダイマイトっていう練習を今のうちから少しずつしておこ〜っと。