2008-03-29

ビクトリア529日目:予期。



 今日も朝から雨でした。 しかも時々雨は雪に変わりました。 おかげで視界は悪く、シーリングも低く、今日はフライトをすべてキャンセルしました。 

 今日はフライトの代わりにブリーフィングをやりました。 天気が悪くて飛べない日はブリーフィングにいつもよりもしっかり時間をかけれるので実は少しだけうれしかったりします。 新しい訓練項目を教える前には必ず PGI(Preparatory Ground Instruction)というブリーフィングをすることになっています。 このブリーフィングでは、その訓練項目をなぜ学ぶのか、どういうふうに練習するのか、安全面ではなにに気をつけるべきか、などについて教えます。 今日はスティーブターン、スパイラルダイブ、スリップスのPGIをやりました。 これらはどれもとても大切な訓練項目です。 1時間ほどかけてしっかり教えましたが、果たして生徒にはちゃんと伝わったかどうか。 それは次回飛べばすぐに分かります

 今日はもう一つブリーフィングをやりました。 昨日一緒に飛んだ年配パイロットとブリーフィングルームで、僕が管制官の役を演じて無線会話の練習をしました。 なるべくたくさんの例を教えてあげようと思ってこちらもしっかりと時間をかけました。 「無線会話」と一言でいってもシチュエーションによって管制官がいうことは様々です。 「これさえ知っておけば大丈夫」というようなものはありません。 管制官も人間ですから、人によって航空管制の仕方は少しずつ異なるようですし、言い方も微妙に異なります。 日本人が経営する海外のフライトスクールのウェブサイトを見ると、「英語力はなくても航空英語は特殊で丸暗記で大丈夫です!」と無責任なことを書いていることがよくあります。 これはまったくのでたらめだと僕は思っています。 丸暗記でクリアできるような内容であれば誰も苦労しません。 それはさておき、今日は僕が知っている限りの例をあげてクラブを出発してクラブまで戻ってくる一通りの流れを練習しました。 航空無線をマスターするためのキーワードはずばり「anticipate」です。 日本語に訳すと「予期する」という意味になると思います。 どういうシチュエーションではどういうことを言われるかということをしっかりと理解して、管制官がなにを言ってくるかを予期してから無線を発信することが重要だと思います。

 無線会話はとても大切なエクササイズですが、実はあまり訓練の中で時間を割いて教えてもらうものではありません。 僕がPPLをやっていたときは教室で教官とペンを片手にもって、ペンをPTTボタン(無線を発信するときに押す操縦桿についているボタン)に見立てて無線の練習を数回やった程度です。 あとはフライト中に教官が言う内容を聞いて自分で覚えろというスタンスのような気がします。 それでは不十分なのは明らかなので、僕は生徒となるべく無線会話に時間を費やして、なるべく分かりやすく説明するようにしています。 自分自身が大変だったと思うことは僕の生徒にはなるべく大変でないようにしてあげたいと思っています。

 今日はフライトがキャンセルになって出来た時間を利用して無線の録音ファイルの編集もしました。 短時間ではありましたが集中して仕事ができました。

 明日も天気が心配です。 もうすぐソロに送り出す生徒が一人いるので、なるべく天気は持ち直してもらいたいものです。

 今日の写真は手前がPilatus PC-12、奥が別の種類のビジネスジェットです。 手前のピラタスには以前に解説したDihedral (翼が上に向かって少し上がっているデザイン)が組み込まれているのがよく分かると思います。 ピラタスはそこそこ大きい飛行機だと思っていましたが、こうやって比べるとそんなに大きくはないんですね。 それでもかっこいい飛行機であることには間違いありません。

 ではまた明日。


(つづく)

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