2010-01-09

Yaw。

 航空用語の中に「yaw」という言葉があります。 発音は「ヨー」と言う口にしながら実際には「ヤー」と発音します。 飛行機の機首が水平に左右に動く動きのことを差します。 基本的にはフライト中には機首が左右に振れるのは好ましくないため、それを修正するために舵(ラダー)を使います。

 車を運転であれば手でハンドルを回して進路を変え、足でアクセルやブレーキをコントロールしますね。 飛行機の操縦も同じように手を使って操縦桿をひねって進路変更します。 でも足は車の運転とはほとんど全くといっていいほど違う動きをします。 この動きを頭で理解するのはそれほど難しくありませんが、これを実際に機内でやるとなると慣れるまではなかなか大変です。

 生徒さんの中にはこのラダーの使い方で苦戦する方もいます。 既にライセンスを保持している人でもラダーの使い方で感心させられる人は5人に一人いるかいないかくらいです。 かくいう僕も、正直なところは事業用操縦士免許を取得する直前くらいまではラダーの使い方が全然なっていませんでした。 教官資格取得のときのフライトテストでも試験官に「Your feet are lazy!(お前の足は怠けている)」と言われたものです。

 このyaw、なぜ修正しなきゃいけないかというと、飛行機がyawすると飛行進路が変わってしまうというのが一つの理由かと思います。 でも、もっと重要な理由は飛行機がyawすると飛行機の片方の翼が上がり、もう片方が下がってしまいます(rollという動きです)。 こうなると、それを修正するのに今度はエレロンという翼の先の部分を使って翼の上昇を抑え込むことになります(cross-controlといいます)。 これが悪化すると最悪の場合には飛行機は失速、そしてスピン(きりもみ)に入ることになります。 だから危険なのです。

 フライトトレーニングではyawの修正はしっかりできるように努力をしてもらいます。 それは安全に飛行機を飛ばすためです。 難しいのはわかっていますが、基本中の基本なのでそこはしっかりやる必要があると思います。 特に将来エアラインやプロを目指す人には最初からこのくらいはちゃんとできないと、とも思います。 

 っと、教官らしい発言はこの辺にしておいて、っと。 ちょっとしたフライトトリビアでした。 

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 今日は天気が崩れ、フライトはできませんでした。 代わりにブリーフィングを2回やりました。 一人の生徒さんとはナナイモにいくクロスカントリーフライトのブリーフィングをしました。 この生徒さん、なんとか今月中にライセンスを取得したいということで、急ピッチで訓練を進めています。 特に、今月の最後から始まるオリンピックの影響でナナイモ空港が制限区域に指定されているので、オリンピックが始まる前にクロスカントリーの必須訓練項目を終わらせる予定でいます。 飲み込みも早く、大学院にいく予定というだけあって頭も冴えているようなので、天気さえ味方してくれれば今月末までにライセンス取得となると思います。

 明日は久しぶりに4フライトある予定ですが、午前中のフライトは天気の影響でキャンセルになるかも知れません。 冬のビクトリアはお世辞にもフライトトレーニングに向いているとはいえないので、フライトの予定がキャンセルになることは多々あります。 こればっかりはどうしようもないので、予定は余裕をもって組む必要があるようです。


(つづく)

 

 

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