2018-04-21

Augmentでロンドン、そして氷雨(パート3)。

 今回はオタワからロンドン・・ヒースロー空港までは乗務員(operating crew)というステータスでイギリスにやってきました。 帰りはデッドヘッドで乗客としてカナダに戻ります。  この場合、いつもとは入国の仕方が違ってきます。

 通常、ロンドンヒースロー空港まで操縦してきた場合、フライト後に乗客のみなさんが全員降りた後、飛行機の下で待機するホテル行きのバスに直接乗り込み、そのまま空港を後にします。 一般のお客さんが通過するような税関申請や入国審査はありません。 唯一あるのは空港の敷地を出るところで入国審査局にクルー全員の名前が書かれた一覧をフライトアテンダントのリーダーが提出し、最後に入国管理官がバスに乗り込んできて我々のIDをチェックする程度です。 

 ところが、デッドヘッドで入国した場合や、デッドヘッドで出国する場合にはイギリス当局の指示により、一般のお客さんと同じように入国審査を受ける必要があります。 そのため、入国審査後は空港外にあるバス乗り場でクルーが乗ったバスにピックアップしてもらいます。 なんだかややこしいですが、慣れれば簡単です。 そして、クルーは「Fast Trackパス」をもらえます。 これがあると入国審査場で優先的に審査を受けることができるレーンに並ぶことができます。 ビジネスクラスで旅行しているお客さんはこういった特典をうけることができるようです。 いつもこのパスのおかげで、どんなに混んでいても入国審査を通過するのには5分もかかりません。 

 空港の外に出て、クルーバス乗り場で他のクルーが乗ったバスが到着するのを待ちます。



 バス乗り場16番がいつもの乗り場です。 ここにいるといろんな航空会社のクルーが乗ったバスが停まることがあります。

 そこからバスに揺られること1時間弱でダウンタウンの滞在先ホテルに到着します。 これが結構長旅で、しかもカナダ時間にすれば夜中じゅう働き通してきたので、クルーはほとんどの人がバスの中では寝ています。  ぐったりしたクルーを見ると、「長距離フライトをしているんだな」と実感します。 僕も少しだけうとうと・・・。

赤い印がホテルです。 
テムズ川、ビッグベンなどがあるエリアからは歩いて30〜40分です。


 ここのホテルがとても不思議なホテルなんです。 ホテルに到着すると、8割くらいの確率でこれから出発しようとしている我が社のクルーに遭遇します。 チェックインカウンターには僕が務める航空会社の名前がば〜んと張り出されています。 きっとお得意様なんだと思いますが、とても変な感じです。 ホテル自体はなんの変哲もない、普通のホテルです。 良くも悪くもない感じです。 ロンドンは物価が高い都市なので、ホテルの部屋も狭いです。 ただ、ロケーションはとてもいいんです。 歩いてロンドン中心部にも余裕でいけますし、地下鉄(通称チューブ)も近いです。 近くには公園もありますし、カフェやスーパーにも近いので滞在中の生活には一切困りません。

 ロンドンにつくと、ほとんどのクルーは数時間の仮眠をとります。 前述のとおり、カナダ時間にすると夜から朝方までの深夜勤務をしたことになるので、ロンドンに到着するころには仕事の疲労と時差によってかなりクタクタになります。 数時間の仮眠では本当は足りないのですが、ここで思いっきり7〜8時間の睡眠を取ってしまうと、ロンドン時間の夜に目覚め、朝が来るまで起きていることになってしまいます。 そしてロンドンを発つのはロンドン時間の朝かお昼頃ですから、これでは仕事に支障をきたします。 そのため、2〜3時間の仮眠後はたとえ眠くてもなんとかベッドから起き上がり、たとえ眠くても外に出てアクティブに活動します。 そしてロンドン時間の夜が来たら眠りにつく、というのがもっとも良いパターンのようです。 みなさんの知らないところで長距離パイロットはこんな些細に見えるけど結構深刻な問題と戦っています。 「国際線パイロット」、「キャビンアテンダント」と聞くと、その響はエレガントでかっこいいと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際の生活の質は決して高くはない場合があります。 国内線を主に飛んでいるナローボディのパイロットの方々が羨ましくなることも当然ありますし、毎日決まった時間に自分のベッドで起床できる一般のサラリーマンが羨ましく思うこともあります。

 今回のレイオーバーは日曜日だったこともあり、閉まっているお店も多くありましたが、忙しい通りやブティックが多くあるエリアを散歩してきました。

ロンドンは街中にこんな緑豊かな公園が多数あります。


建物が綺麗で歴史を感じるからロンドンは好きです。

こんなファンキーな犬がいました。

 ロンドンは高級な車が多く走っていて、車好きには楽しい街です。

VWゴルフGTE

こんなフェラーリが普通に路上駐車されています。


ロールスロイスもイギリスならでは。

ランドローバー。 これはまじでかっこいい!

 今回のレイオーバーはトロント・オタワ出発の遅れの影響で予定よりも短くなってしまいましたが、久しぶりのロンドンの雰囲気を楽しむことができました。 本当はレイオーバーは短い方が好きで、さっさと仕事をして家に帰りたいと思うところもあるのですが、たまにはこういう海外のレイオーバーも悪くありません。 そういう楽しみができるのも国際線パイロットの特権だと思います。

 

(パート4に続く)





 

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