2014-01-20

出産ラッシュ?

 ここ最近のフライトで、ワバスカ(Wabasca)という町に行くことが多いです。 ここはuncontrolled airportで、滑走路は3500フィートほど。 そこそこ短い滑走路ですが、キングエア200にとっては必要十分な離着陸距離です。 

 フォートマクマレー空港からワバスカ空港までは西へ30分ほどのフライトです。 ここ3日間の間に、この空港に3回行きました。 一昨日なんかは1日に2回も行きました。 

 不思議なことに、ローテーション毎にどの空港に多く行くかというのがなぜかあるみたい(意図的ではないと思いますが)で、前回のローテーションのときはフォートチプワン(Fort Chipewyan)によく行きましたが、今回のローテーションではまだ1度も行っていません。 

 そして今回のローテーションではワバスカがなぜかフィーバー(笑)。 ワバスカという町はアルバータ州の他の町と同じように天然ガスやらオイル関連の産業が盛んなところみたいで、そこで怪我をした人を都市部の病院に運んだりすることが多いように思いますが、今回のローテーションはほぼ100%妊婦さんを運んでいます。 プライバシーに関わるのであまり深くは言っちゃいけないと思うのですが、とても若い女性の妊婦さんが多いように感じます。 昨日の場合はまもなく産まれる〜っていう感じの妊婦さんで、我々が着陸してすぐに救急車で空港まで運ばれてきたんですが、「このままでは機内出産になっちゃうかも?」っていう判断が出て、結局一旦クリニックに引き返してしまいました。 

 ワバスカ空港で待機すること小一時間。 ようやく妊婦さんの状態が落ち着いたので急いでエドモントンまで搬送。 追い風のおかげもあって、予定よりもちょっと早くエドモントンに到着。 我々の仕事はそこで終わりで、あとは地上スタッフが市内の病院まで搬送しました。 後で聞いた話では、妊婦さんは病院まで持ちこたえることが出来たそうで、今頃きっと無事に出産されていることと思います。 なかなか緊張感のあるフライトで、達成感がありました。 


 ここ数日、天候に恵まれて、機長訓練にはちょっと条件が良すぎじゃない?ってくらいの感じで、僕的には楽なフライトが続いています(笑)。 もう冬も終わり?春が来た?って思っていたら、今日はまた小雪がちらつく天気で現在の気温はマイナス11度。 午後から夜にかけてまたマイナス20度に逆戻りのようです。 残念!

 今日の写真は昨日のワバスカ空港です。 青空がきれいでした。







(つづく)

2014-01-11

2014年お正月。

 皆様、遅くなりましたがあけましておめでとうございます。 今年の大晦日はカナダの自宅であるビクトリアにて迎えることができました。 昨年最後の投稿のあと、12月29日にビクトリアに戻りました。 

 僕が働く会社は定期便を飛ばす会社ではないので、大手航空会社(Air Canada, Westjet等)とのjump seat agreementといったものがありません。 したがって、毎月の休暇でビクトリアに戻るときには自腹でチケットを購入しています。 いつもはだいたい$400〜500(往復)なのですが、さすがにクリスマス休暇から新年のお休みの間にかけては航空券価格が急騰していました。 往復でいつもの倍近い値段を払ってビクトリアに戻りました・・・(涙)。

 ここ数年、毎年大晦日には年越しそばを作っています。 今年も例年どおり、出汁から自分で取る、こだわり(笑)の蕎麦を作り、彼女と美味しくいただきました。 本当は天ぷらそばで年越しといきたかったのですが、揚げ物を作るのは苦手なのでかまぼこと油揚げで我慢しておきました。 今回も昆布とカツオの美味しい出汁が作れ、なかなかの出来でした。



 年末はTV Japanというケーブルテレビのチャンネルで紅白歌合戦がやっていたので、それを鑑賞。 カナダにいながら紅白が観れるなんて。 何年ぶりでしょう、最初から最後まですべての歌手の歌を観たのは(笑)。 演歌もいいし、僕の知らないポップ歌手もそこそこよかった。 SMAPとか TOKIOは知っている顔ぶれだから観ていて楽しかったですね、って書くとジャニーズ好きのおっさんみたいでちょっとキモいですね(苦笑)。

 休暇も終わり、1月7日にフォートマクマレーに戻ってきて忙しく仕事をしています。 過去数日は毎日夜のフライト。 だいたい夜10時から12時くらいに電話で呼ばれ、フライトを終えて家に戻ってくるのは朝5時か6時位という感じの毎日です。 今日も起きたのは正午過ぎ(笑)。 メディバックパイロットらしいといえばらしいですけど、そろそろ昼間に飛びたいなぁというのが本音です。

 そんなメディバックパイロット、ほとんどのパイロットが使う携帯電話はもちろんiPhone。 天気を確認したり、アプローチプレートを見たり、フライトプランニングをやったり。 僕のiPhoneは旧型のiPhone 4 (!)なので、バッテリーのもちが不満になってきました。 そこでクリスマスの翌日のボクシングデーセールにて下のものを購入!


MophieのJuice pack airという製品です。 iPhoneのケースにバッテリーが内蔵されているもので、これは一番容量が少ない製品。 それでもバッテリーが20%くらいしか残っていない状態から100%近くまで充電してくれます。 これで普段はバッテリーの消費を気にしなくてよくなりました。 ケースなので持った時のサイズがちょっと大きくなって、慣れるのに時間がかかりましたが、裏側のゴムのようなカバーの手触りがとてもよくて気に入っています。 普段はjuice packの電源をOFFにしておいて、iPhoneのバッテリーが減ってきて必要な時だけONにするだけで移動中にカバー内のバッテリーからiPhoneのバッテリーを充電できます。 本当はiPhone 5Sにアップグレードしたいけど、電話自体が700ドルくらいするから、次回のiPhone 6(?)が出るまで待つことにしています。

 後輩の女の子のブログで、彼女の今年の目標の一つに「貯金する」というのがありました。 それに影響を受けて、銀行でsavings account(預金口座)を新たに開設しました。 僕も少しずつでも目に見える形でお金を貯めていけるよう、checking accountから毎月savings accountのほうにお金を入れていこうと思っています。

 という感じで2014年がスタートしました。 今年の目標は当面はキャプテンとしての仕事に慣れること。 そして「飛躍」。 毎年この言葉を使っているようにも思いますが、何か?(笑)

 では!


(つづく)

2013-12-28

2013年のまとめ。

 今年も残すところあと少しになりました。 気がつけば、今年はほとんどブログを更新できませんでした。 いろいろ理由がありまして、っていうのは言い訳で、単なる怠惰です。 来年はもうちょっと書こうかなと思います。 書くことが多くなる一年になればいいなと思います。

 2013年は短いようで結構長かったような気がします。 いろいろ気持ちが空回りして、現状に満足できなかったり、不満を持つことも多かったです。 反省することも多くあって、来年はもっと前向きに頑張らないとと思います。 これと同じようなことを昨年も書いたような気がしますが、昨年のブログを読み返すのは止めておきます(笑)。

 今年は6月に一時帰国できたのがよかったです。 今回は彼女を連れて帰り、実家の母親に紹介しました。 どきどきものでしたが、母親も気に入ってくれて、とてもうれしかった。 来年も春には一度帰国したいと思っているので、母に彼女共々会えるのが楽しみです。

 特に目立ったこともない本ブログですが、それでもネットで見つけてくださって読んでくださる方が結構いることに正直驚いています。 特にパイロットの夢を諦めきれない方々からの問い合わせが多いです。 いろいろなバックグラウンドの方々からメールをいただく度に、自分が皆さんと同じようにパイロットになることを夢見て情報集めしていた頃のことを思い出します。 あれから結構な時間が経ち、今は自分が偉そうにアドバイスをする立場になったことが信じられません。 同じような夢を持って頑張っている方々のお役に少しでも立てていれば幸いです。

 仕事は順調に経験を積ませてもらうことができました。 コミューターや貨物機のパイロットの友人たちに比べればやはりメディバックなので飛行時間はだいぶ少ないと思いますが、それでも今年も500時間弱の多発タービン機の飛行時間を積むことができました。 今年の上旬にはエアラインの面接にも2回お呼ばれし、とても貴重な経験をさせてもらえました。 

 そして今月に入り、機長(captain)に昇格しました。 1年ちょっと副操縦士(FO)としていろいろ勉強させてもらい、今月の中旬に昇格のためのフライトテストに合格できました。 今はline indoc trainingという、実地訓練をしています。 僕が機長席(左席)に座り、もう一人の機長資格保持者(co-captain)が副操縦士席(右席)に座って飛行します。 なれないことばかりで最初はどうなるかと思いましたが、ようやく左席からの眺めにもなれ、フライトも右席で飛ぶのと同じようにできるようになりました。 機長になると飛行計画を建てて提出したり、いろんなところに電話をしたりしてなにかと仕事が増えます。 特に、どこかの空港で患者をピックアップするときには、電話がなってから30分以内に離陸しなければならず、いつでも出発できるように自分がon callのときには天気を頻繁にチェックするようになりました。 FOのときは電話があれば空港に出向いてただ飛ぶことだけに集中すればよかったですが、今は全体のオペレーションに気を配らなければいけません。 まだ慣れないことばかりでなかなか大変ですが、やりがいを感じています。 緊張することが多いですが、これもきっと時間の問題で、いつかある程度自然にできるようになるものだと思います。 

 機長に昇格したので、またログブックにPICとして時間をつけることができるようになったのが実は結構うれしいです。 教官をしていたときもPIC(Pilot-in-Command)でしたが、あれは単発VFRがほとんどだったし、FOになってからもずっとSIC(Second-in-Command)としてしかログできなかったので、Multi-Engine PICとして時間をログできるようになったのは感慨深いものがあります。 お給料も上がったし、良いことづくしのようにも見えますが、その分責任が大きくなるので、ますます気を引き締めて精進していこうと思います。

 昨年は職場で年越しでしたが、今年はビクトリアで年越しができます。 紅白を見て、年越しそばを食べるのが楽しみです。 

 それでは皆様、良いお年をお迎えください。 今年もこの退屈なブログを読んで頂き、ありがとうございました。


(2014年もつづく)

2013-06-27

懐古。

今思えば、僕は小さい時から外国文化に対する興味が人一倍あったと思います。 小学生の頃には北米のカウボーイに興味があったし、また、アメリカンモーターサイクル(ハーレーダビッドソン)にも興味がありました。 外国で作られている旅客機にももちろん惹かれていました。 そんなこんなでいつのまにか外国で生活するようになってしまい、今まで憧れていたものがごく普通に、いつでも身の回りで見かけることができるようになりました。

 不思議なもので、カナダで生活していると、今度は母国・日本の文化への興味が出てきます。 最近は伝統的な日本の建築、陶芸、酒・食文化などにも興味が出て来ました。 とはいえ、なにも専門的に研究をしているということではなく、なんとなく「いいなぁ」と心が惹かれることが多くなっているという程度です。 今までは気にも留めなかったことを最近ではネットで調べたりしている。 結局のところ、興味心は「ないものねだり」によるものなんでしょうね。 

 今回の一時帰国は3年近くぶりだったので、日本文化が僕に与えたインパクトは予想以上に大きかったです。  これまでの一時帰国はというと、日本しか買えない物を買い、美味しいものを食べ、はい、楽しかったね、また来年!っていう感じで済んでいました。 でも、今回の帰国ではいろいろと考えるものがありました。 今のカナダでの生活や仕事のこと、将来のこと、老後のこと。 人の考え方はそのときに置かれている境遇や心持ちで本当に様々に変化するもののようで、自分でも正直驚いています。

 こう書くと日本は最高!というふうに聞こえるかも知れませんが、嫌なところももちろん目につきました。 例えば、歩きにくいこと。 カナダでは街中の人の流れはある程度規則正しいと思います。 車と同じように右側通行が一般的です。 日本にはそういう決まりがないですね。 JR京都駅で人混みの中を歩くことの大変なことといったらもう。 観察してみると、日本人は前の人に続いてあるくということが分かります。 右側通行・左側通行なんて関係なし。 前に続け。 日本らしいです。 

 歩道を行き交う自転車。 あれは怖い。 かといって、車道を走らせるのも酷な気がします。 難しい問題です。

 喫煙者の数の多さは相変わらずです。 でも、これは文化なのでどうしようもない気がします。 自分自身も一時期は喫煙者だったのであまり強くは言えません。 ただ、周りの人への心配りがあるといいなとは思います。

 昔の人は長持ちするものを、職人さんが作っていたのに、今では安っぽいものが多く目につきます。 トレンドの移り変わりが早い日本の場合にはそれでいいのかも知れませんが、長年愛用できるものをお店では取り扱わず、安い、プラスチックなどを使って中国などで安く生産されたものが多く店頭に並んでいるのには興ざめします。 これはカナダでもある程度同じですが、日本の場合はそれが深刻に思います。 ダイソーの百均製品もいいけど、せっかくしっかりとしたモノづくりの文化があるんだから、そういうのにお金をかけようと思う日本人が増えてくれるといいと思います。 そういう文化もちゃんと残ってはいる。 それらのギャップがとても大きいのが日本の特徴のように感じます。

 ゆるキャラ。 ふなっしーは好きです(笑)。 くまモンはどうかと。

 それにしても日本は美しい。 そう今回の帰国で度々気が付かされました。 



























(つづく)

2013-06-15

一時帰国しました。

 今月の頭から中旬まで、約10日ほど日本に一時帰国しました。 実に2年10ヶ月(?)ぶりです。 ずっと一度日本に帰りたいと思ってはいたんですが、タイミングとコスト面の理由で「また今度」と延期しっぱなしでしたが、今回は彼女が京都で日本語短期集中講座を受けることになったこともあり、今こそベストタイミング!と思い、帰国を決意しました。

 それにしても高い。 日本からカナダに最初来たときは確か航空運賃が往復で1000ドルほどだったと記憶しています。 それが今回は倍近くかかりました(汗)。 まぁ、今住んでいるのがフォートマクマレーだからっていうのが理由の一つだとは思いますが。

 今回はいろんな初めてを体験しました。 

 まず、初めてカルガリーから日本に帰国しました。 今まではいつもバンクーバー経由か、サンフランシスコ経由だったんですが、今回はカルガリーから東京・成田までひとっ飛び。 これが意外にもよかったです。 バンクーバーに比べるとカルガリーに来る日本人は圧倒的に少ないようで、行きの飛行機はガラガラでした。 機種はボーイングの767-300ER。 200人以上余裕で乗れる機体に乗客はなんと70人!! もちろん隣の席は空席。 移動したい人はどんどん移動してね〜とフライトアテンダントの方々もリラックスムード。 でも、日本に帰れることに興奮しすぎてか、あまり良くは眠れませんでした。 日本からの復路はあいにくほぼ満席でしたが、カルガリーは入国審査がめちゃくちゃ空いていました。 飛行機を降りて、ものの5分もしないうちに入国審査と税関を通過。 荷物もすぐに出て来ました。 これは助かりました。

 二つ目の初めては、日本で国内線に乗って小松空港まで行きました。 いつもは関空着で、そこから電車で福井までっていうのが多かったんですが、今回は関空行きのフライトが取れなかったこともあり、成田から羽田までリムジンバスで移動、そして羽田から小松までANAでフライトしました。 Star Allianceメンバーだから、ANAに乗っても同料金で行けました。 日本の効率の良さには感動しました。 午後8時羽田発のフライトで、ゲートオープンは7時50分頃。 機体はボーイング747。 しかもほぼ満席。 これをたった10分で搭乗させるの?無理じゃない?って思っていましたが、しっかり全員時間内に搭乗完了。 出発時刻ちょうどにプッシュバックスタートでした。 さすが日本。 まあ、ゲートでIDを確認しないから、電車に乗るみたいなスピードでゲートを通過できるからっていうのが理由だとは思いますが、それにしてもこれには驚かされました。

 小松空港からは高速バスで地元の丸岡町まで。 もっと遠いと思っていたのに、30分ちょっとでついちゃいました。 カナダでの移動(=長時間)になれているからか、本当にあっという間のように感じました。 そして実家まで徒歩20分。 実家についたのは午後10時前くらいでした。 

 実家で3日ほど過ごしました。 昔よく行った川や池に釣りに行きました。 暑かったですが、楽しかったです。 なんにも釣れなかったし、最後には釣竿を折ってしまいましたけど(笑)。

 それから母親を連れて京都まで行き、そこで彼女と合流。 母親に彼女を紹介して、それから1泊2日の京都観光をしました。 ネットで予約していたホテルも思ったよりも良いところで、気温は高かったけど、とても楽しい時間を過ごせました。 わざわざ出てきてくれた母親に感謝です。 観光ではお決まりの金閣寺や四条河原町などのスポット、あとは僕が好きな龍安寺にも行きました。 

京都駅ビルから見る京都タワー

金閣寺を横から
 
龍安寺への入り口
 
龍安寺・石庭

龍安寺界隈のお茶屋さんの傘
 
嵐電の駅にて
 
母が福井への帰路についたところで、僕達は大阪に移動。 大阪で1泊2日の観光でした。 懐かしいところにも行ったし、初めて行ったところもありました。 京都とはまた違う雰囲気で、大阪もやっぱり楽しいです。 面白い居酒屋風のレストランで食べた和風パスタが最高でした。

大阪市役所付近

それからまた京都に戻り、そこで4泊5日の滞在をしました。 京都はやっぱりいいです。 無茶苦茶暑くて、本当に湿度が高くて大変でしたが、それでも毎日が楽しかったです。 おいしいものもいっぱい食べたし、お酒もたくさん飲みました。 いままでの一時帰国の中で、一番充実していたんじゃないかと思います。 

京都の台所・錦市場
 
京都のレトロ居酒屋
 
ホテル付近の路地
 
帰国の日は京都から電車で関空まで移動し、そこからANAと共同運航便のStarflyerのエアバスで羽田空港まで飛び、リムジンで成田に移動、そしてカルガリー経由フォートマクマレー行きという感じで帰ってきました。 Starflyerには初めて乗りましたが、とても気に入りました。 真っ黒の機体、真っ黒の高級感がある座席、ユーモアのあるセーフティームービーなど、どれも他のエアラインとは違って独特で、楽しいフライトになりました。 

スターフライヤーのエアバス A320

奈良・和歌山上空

 久しぶりの日本だったので、いろいろ今までは気にならなかったことが気になったりしましたが、それはまた次回にでも。


(つづく)

2013-04-16

久しぶりのC172。


 今月のお休みはいつものようにビクトリアに戻りました。 フォートマクマレーを休日の初日の朝5時過ぎに出発し、カルガリー経由でビクトリアまでというルートでした。 以前はカルガリーまでがDash-8の100か300シリーズ、そしてビクトリアまでがCRJというのが多かったように思いますが、今回はどちらのレッグもQ400でした。  このQ400、日本では「ボンバルディア社」の飛行機ということで悪名高いかと思いますが、こちらではそういう風評被害はないと思います。 むしろ、環境に優しく、速度も早く、キャビン内は静か(QシリーズのQはQuiet=静寂のQだそうで)、照明などにLEDを多用していて、なんといっても見た目がかっこいいです(笑)。 プロペラは6枚で、テイクオフのときでもかなり低い回転数で十分なパワーをだせるそうで、確かに地上から見ていてもだいぶ静かにテイクオフしていきます。 いつもロッキー山脈の上を飛行するときにはCRJだったので結構高い高度を飛んでいたと思いますが、Q400だと25,000ftを飛行するようで、山々の見え方もだいぶ違います。 このQ400、日本の企業が開発・製造に多く関わっているそうです。 なんだかうれしくなりました。

 今回のビクトリア、僕が帰る前までは連日晴天で、気温も18度まで上がっていたそうです(っと、エアカナダのカウンターのおばさんがチェックインの時に言ってました)。 ところが僕が帰った途端、雨、アメ、☂。 でも、気温は過ごしやすかったので嫌ではありませんでした。 

 ビクトリア滞在中に、以前担当した生徒さんとセスナでフライトしてきました。 前回はその生徒さんがフライトするのに同乗しただけで、操縦はしなかったんですが、今回は最初から最後まで僕が操縦しました。 セスナのラダーは軽い!! これをすっかり忘れていました。 離陸の際にラダーをオーバーコントロールしすぎて、ちょっと左右にふらふらしました(笑)。 離陸後は昔の感を取り戻し、以前と同じように安全に飛べました。 訓練空域に入ってからはフラップ無しのslow flight、そこからフルフラップ、そこからpower-off stall、リカバー後にpower-on stall、steep turn180度x連続2回、そしてforced approachと、すべてを一気にやりました。 いや〜、楽しかった! 実際に操縦するのは、いつも仕事でやっている操縦とはまた違う楽しみがあって満喫できました。 今日の写真一枚目はそのときの写真です。 雲が多かった日でしたが、問題なく飛べてよかったです。 


 ビクトリア滞在中の後半にかけてはだいぶ天気が良い日が多くなりました。 ビクトリアではまだ桜が咲いていました。 途中でバンクーバーに行く用事があったんですが、最初は曇天でも雨は降っていなかったんですが、午後過ぎからは結構降り始めてしまいました。 とはいっても、外にいたわけではなかったので困ったりはしなかったんですけどね。 バンクーバーではこのブログを見てくださっている、カナダで働いていらっしゃる方とお会いできる機会がありました。 いろんなおみやげまでもらってしまって、恐縮してしまいました。 同じ日本人がカナダで活躍しているのはとてもうれしいし、励みになります。 そしてそういう方とこのブログを通してお知り合いになれてうれしいです。 よく考えてみればこのブログは始めてからもう7年目です。 このブログをやっているおかげでいろんな方とお知り合いになれたり、一緒に飛ぶ機会があったり、生徒さんになってもらったりすることができました。 ブログっていいもんですね。

 10日間の休暇をしっかり満喫してフォートマクマレーに戻ってきました。 こっちは湿度がめちゃくちゃ低いです(笑)。 おかげで肌がガサガサになります。 昨日は今回のシフト最初のフライトでエドモントンに行って来ました。 いきなり5時間ほど待機という長い一日になりました。 今回ビクトリアからiPadを持ってきたので、時間つぶしのために電子書籍なんかを入れてみようかな〜と模索中です。  なにか良いアイデアをお持ちの方がいらっしゃったらぜひコメント欄から教えて下さい。


(つづく)

2013-03-23

エドモントン国際空港。


 今月15日から我々Alberta Health ServicesのMedevac機は、今まで行っていたエドモントン市中央空港(CYXD)ではなく、エドモントン国際空港(CYEG)に患者さんを運搬することになりました。 これにはいろいろな政治的な問題が絡んでいるらしいです。 こういうことに興味がおありの方はこのウェブサイト(リンク)を御覧ください。
 
 エドモントン市中央空港は名前のとおりエドモントン市のダウンタウンに結構近い位置にある空港で、いろんな施設へのアクセスが抜群の空港です(関西にお住まいの方であれば「伊丹空港」がこの空港のイメージに近いかと思います)。 特に病院へのアクセスがよく、着陸後はすぐに患者さんを救急救命士達が救急車に載せ替え、そのまま病院に搬送します。 Medevacはスピードが命なので、特に急患の場合にはこのアクセスの良さは重宝されました。 また、我々パイロットにとっても便利な場所で、スーパーマーケットは近いし、Tim Hortonsもあるし、何時間も待機しなければいけないときの時間つぶしには事欠かない場所でした(笑)。 残念ながら、この空港にmedevac機が離着陸するのを禁止するルールが出来てしまい、今月の15日から施行されたわけです。 ちなみに空港自体は今まで通り運用されています。 Medevac機が下りれないこと以外はなにも変わっていません。 おかしな話です。

 エドモントン国際空港は、どこの空港でも同じように、エドモントン市からは結構離れた場所にある空港です(関西で言えば関空のような感じ)。 ここにAlberta Health Services(AHS)は大きな患者運搬・ケア施設を建てました。 今日の写真はその建物の外観(上)と、ハンガーの中の様子(下、パノラマ写真)です。 大変立派なハンガーです。 


 エドモントン国際空港は大きな空港で、ILSもあるし、天気が悪くても下りられる確率が高い空港なので、その点はいいと思います。 でも、たくさん問題があります。 一番の問題は病院まで遠いこと。 大問題です。 空港から病院までの距離は、今のような時期だと下手をすると1時間ほどかかってしまうこともあるとか。 この間に急患の患者さんの場合は最悪の場合命を落とします。

 そこでAHSは考えました。 「それなら、急患の場合には空港からヘリで患者を運搬しよう!」 なるほど、聞こえはいいです。 救急車よりも速そうですし。 でも、残念ながらヘリコプターってあまり役に立たないんです。 救急車よりは早くても、我々が市中央空港に着陸して救急車で運搬するよりは時間がかかる。 悪天候の時は飛べない。 巡航速度が遅い。 着氷するときには飛べないなど。 全然だめです。 しかも、ものすごい莫大な費用がかかる。 政治家さん達はなにを考えているんでしょう。 

 こんなことが今、アルバータ州の医療現場で起きています。 しかも噂では今回の予算編成で医療予算がだいぶ削られたらしく、目に見て明らかに分かるほどmedevacのフライト数が減っています。 逆に言えばいままでかなりmedevacフライトを乱用してきたのかも知れません。 飛行時間が欲しくて働いている僕にとってはちょっとがっかりです。 これからどうなるんだろ〜なんて思うこともあったり。 

 なにはともあれ、国際空港へのフライトは楽しいです。 レーダーベクターされるし、ジェット機とかも見れるし。 僕が訓練したビクトリア国際空港に似た感じです。 ただ、旅客ターミナルは遠いし、そもそもそこまで行く足がない! さらに、ほとんどの場合はそんなに待つこともなくさっさとフォートマクマレーに帰るよう指示されたり、他の空港に患者さんをピックアップしに行かされたりします。 少しだけmedevacパイロットの楽しみ(買い物やショッピングモールでの時間つぶしなど)が減ったような気がしてなりません(苦笑)。


(つづく)