2007-12-02

ビクトリア412日目:Fight to Live。



 今日は朝から雪が降りました。 それも一時吹雪くような感じでした。 でも、積もるというほどまではいきませんでした。 それでも車の運転はかなり慎重にやりました。 1カ所だけ路面が凍結していてちょっとだけ怖いところがありましたが、他はほとんど問題なく走れました。
 今日の午後1時からクラブのメンバーラウンジで「Down but Not Out」というタイトルのセミナーが行われました。 ゲストスピーカーはビクトリアにあるJoint Rescue Coordination Centreというところの司令官と、実際の救助探索を行う救助隊の隊員の方でした。 はじめの1時間は飛行機が墜落してから救助隊が出動するまでのSearch and Rescue (SAR)の流れが説明されました。 その後、実際に飛行機の墜落現場の写真や探索オペレーション用のチャートの写真などを交えて探索のやり方などについての説明がありました。 先月、本土のレベルストーク空港から飛び立ち、バンクーバー島のクオリカンビーチまで向かっていたセスナ182がフライトの途中で行方不明になった事故がありました。 今日はその話を交えながら、実際のオペレーションについての話がありました。 普段聞ける内容ではないのでとても興味深かったです。 遭難救助に使われるバッファローやオーロラという飛行機についての話もありました。 
 SARの話の後は不時着の際のサバイバルテクニックについての話がありました。 面白かったのは不時着するときにやるべきポーズの話でした。 飛行訓練では、「不時着をする前にはMayday callをして、passenger briefingをして、engine shut-downをして、着陸」というふうに地面まで飛行機を安全に下ろす方法を学びます。 ですが、実際に接地してから飛行機が停まるまで、そしてそこからのサバイバル技術については一切教えてもらうことはありません。 今日の講習ではその「不時着の前と後」のことがとても細かく、専門的な知識も交えて話されました。 意外だったのは、接地直前には手を操縦桿やスロットルなどから離し、足はラダーペダルから離すべきというアドバイスでした。 左手を右肩の首の根元に、右手を左肩の首の根元に当て、腕の交差部分になるべく深く顔を埋めるのが良いそうです。 こうすることで目、心臓、肺などの大事な器官を守ることができ、クラッシュ後に生還する確率が格段にあがるそうです。 また、足は着陸の衝撃でラダーペダルと干渉して骨や筋肉組織がえらいことになることがあるそうです。 そのため、接地する寸前に足はペダルから離し、膝の真下あたりまでかかとを引き、両方のかかとをくっつけて膝の下で三角形を作るのが良いそうです。 これをやらないと体は大丈夫でも足がダメになってコクピットから抜け出せなくなってしまうそうです。 不時着後にやらなければいけない大切なことはたくさんありますが、「決してあきらめないこと」が一番大事なんだそうです。 「生きたい」と強く思うことで生還するためのエネルギーがわいてきて、心理的にも効果があるそうです。 「もうだめだ」と思うとやはりそこで終わってしまうそうです。 
 こんな話の他には救助隊が助けにくるまでにやるべきことなどの話や、フライトに行く時に持っていくべきものについての話がありました。 年中いつでもゴアテックスなどでできたジャケットを持っていくこと(いざというときにもっとも身近なシェルターになります)、ナイフなどの万能ツールをポケットに忍ばせておくこと(いろいろ便利です!)、火をおこすのに必要な防水・防風マッチ、および着火材のようなものなどをベストのポケットに忍ばせておくことなど、どれもとても興味深い内容でした。 僕もちょっと考えなければいけないなと思いました。 とりあえず万能ナイフでも携帯するようにしようかと思います。

 明日はクラブに行ってグランドスクールのプレゼンのリハーサルをし、配布資料を印刷しようと思っています。 

 今日の写真はセミナーが始まる前の様子です。 今日はセミナーの合間にくじ引きが行われ、クラブ提供のセスナのマグカップやバッグ、Vancouver Island Helicopter提供の帽子やペンなどの景品が配られました。 僕は運良く帽子が当たりました(笑)。 他にもクラブから軽食やスナック、ソフトドリンクが無料で振る舞われたりしました。 こういう楽しくて役立つ社交的な場が提供できるのがフライングクラブの強みだと思います。

 ではまた明日。


(つづく)
 

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

興味深いセミナーですね。うちの学校でもたまに色々な講習会をやっていますがこの様な講習会は見たことが無いですね。それにソフトドリンクや軽食に抽選会ですか。私も参加してみたかったです。V.I.H.の帽子良いですね。
今日は吹雪の中サーキットだけですが3回飛びましたよ。風は050@15G25Ktとかでした。途中雪の為IMCになったのでSVFRをリクウェストしていたのですが、それでもミニマムを下回ったので一度ATCから中断するように言われてしまいました。こういう日は普段忙しいうちの空港もガラガラなので色々な訓練が出来て良いですね。

Youhavecontrol@gmail.com さんのコメント...

Aviatorさん

コメントありがとうございます。 とても興味深いセミナーでした。 今日のセミナーはボイスレコーダーで録音しました。 これを編集してクラブのウェブにアップしたり、それが無理な場合はメンバー貸し出し用にDVDにでも焼き付けることができないかと考えています。 スピーカーの方々が知識豊富な方々で、いろんな質問にも的確に答えられていたのが印象的でした。 クラブのマネージャー達の働きかけによって実現したセミナーのようです。 
今日はビクトリアでもあまり飛行機は見かけませんでした。 飛んでいたのはJazzやHorizonくらいで、ときどきリアジェットやナバホが飛んできていました。 朝の段階では視界は3/4マイルとなっていました。 SVFRでのサーキットとはなかなかエキサイティングですね!(笑)