2008-02-17

ビクトリア488日目:「体で感じろ!」。



 今日は天気もなんとかもってくれて、朝10時からフライトを4本こなしました。 

 1本目と3本目はカナダ人の男の子で、今日はストール(失速)からの回復の練習を主にやりました。 この生徒は頭が結構いいようなのですが、いつも理屈ばかりで考えようとします。 飛行機の操縦は理屈も大事ですが、それ以上に飛行機がどういう動きをしているかを体で感じることも大切です。 僕がPPLの訓練を受けていたときには、「Don't think, feel it(頭で考えるな、体で感じろ)!」とよく教官に言われたものです。 今になってその言葉の意味がよく分かるようになりました。 僕の生徒にも体で飛行機の動きを感じとれるようになってもらいたいものです。

 2本目はディスカバリーフライトで、見た目でだいたい30代最初か半ばくらいの男性でした。 今日の写真の手前に写っているGYRN(無線交信では「ゴルフ、ヤンキー、ロミオ、ノーベンバー」と発音します)という赤いセスナ152でビクトリア上空までお連れしました。 僕が日本から来たという話をしたら、袖をめくって立派な龍と鯉の入れ墨を見せてくれました。 なんでも名古屋までいってわざわざ彫ってもらったそうです。 カラフルできれいなタトゥーでした。 このGYRNは最近クラブが追加したセスナ152です。 コクピットの中まで真っ赤で、いかにも70年代製という感じのインテリアです(笑)。 今日初めて飛ばしましたが、しっかりと整備されていてタイトな感じのコントロール感が印象的でしたが、どうも右にロールする傾向にあるように感じました。 もちろん燃料や乗客の体重などによって飛行機のバランスはかわりますが、どうもそれとは違う理由があるように感じました。 それにしてもこの飛行機の登録番号、発音しにくくて仕方ありません! どうやら母音が多いからだそうです。 ネイティブでも言いにくいそうです。

 4本目はナイトレーティングの生徒でした。 ブリーフィングをして、薄暗くなってきてから出発しました。 フライトの前に電話がかかってきて、「乗客をつれていってもいい?」と聞かれたのでOKしました。 彼はもうPPLを持っていますし、今日は初めてのナイトフライトでビクトリアの上空を飛ぶ予定だったので乗客がいても問題ないと判断しました。 生徒が連れてきた彼女と思われるその女性は小型機に乗るのは今回が初めてということでしたが、今夜は気流も穏やかで、生徒の操縦テクニックもまずまずだったので楽しんでもらえたようです。 フライトの途中でGPSや無線機をいじっていたら、触れてはいけないスイッチを入れてしまったようで、しばらく無線が使えなくなってちょっと驚きましたが、無事にビクトリアに戻ってきました。

 今日は教官を始めてから初めてとなる1日4本のフライトをこなしました。 飛行時間はぐんぐん伸びていますのでとても嬉しいのですが、一方で教官になると自分で操縦をすることが殆どなくなります。 教官は飛行機を飛ばすのが仕事ではなく、生徒が操縦できる時間を最大限に作ってあげるのが仕事だそうです。 僕が操縦をするのを見て学ぶよりは、実際に生徒が操縦桿を握り、体を使って覚えるほうが効率は良いそうです。 Flight Instructor Guideによれば、このプロセスは原始人が子供に石斧の作り方を教えたやり方と同じだそうです。 まずは親が自分で斧を作ってみせ、それから指示を与えながら子供に作らせ、次は指示なしで子供が作るのを監督し、最終的には子供が一人で斧を作れるようになります。 


 明日はフライトは3本あります。 うち、1本は先週飛べなかったディスカバリーフライトの男性なので、明日はきっと楽しんでもらえると思います。

 ではまた明日。


(つづく)

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

教官はやっぱり飛行時間は溜まっても実際に自分で操縦するわけではないのもツライところですね。こちらは時々飛ばせますし、飛ばせなくてもマネージメントなどをしているのでそれなりに“飛ばしている”という感じにはなれるのがいいところかもしれません。

飛行時間は順調に溜まっているようですね。僕のほうはかなりのスローペースです。

Youhavecontrol@gmail.com さんのコメント...

motoさん

そうですね、やっぱり教官は飛ばすというよりは飛ぶのを促して育てるという職業のようです。 それはそれで僕は好きなんですけどね。

え〜っと、motoさんはコーポレートで飛ばされている方でしょうか。 「moto」というハンドルネームではどなたなのかピンとこないのですが。 申し訳ありません。